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【報道解説】電車内の痴漢事件で逮捕

2023-05-25

【報道解説】電車内の痴漢事件で逮捕

兵庫県明石市痴漢による兵庫県迷惑防止条例違反の刑事処罰について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

走行中の電車内で女性の体を触ったとして、兵庫県明石警察署は、令和5年4月29日に、兵庫県迷惑防止条例違反の疑いで、明石市の会社員の男性(30歳)を逮捕した。
逮捕容疑は、28日午後9時頃に、JR神戸線神戸明石を走行中の新快速電車内で、女性(20歳)の尻を数回触った疑い。
警察取調べに対して、男性は「手が当たっただけで故意ではない」と容疑を否認している。
明石警察署によると、女性が車内から携帯で母親に相談し、母親が交番に通報して被害が発覚したという。
(令和5年4月29日に配信された「神戸新聞NEXT」より抜粋)

【痴漢による兵庫県迷惑防止条例違反の刑事処罰】

路上などの「公共の場所」や、電車内などの「公共の乗物」において、他人の身体を触る等の痴漢事件を起こした場合には、各都道府県の「迷惑防止条例」に違反するとして、刑事処罰を受けます。
兵庫県迷惑防止条例の場合には、痴漢事件を起こした場合の法定刑は、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」とされています。

兵庫県迷惑防止条例 第3条の2 (卑わいな行為等の禁止)
1項「何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。」
1号「人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動」
2号「正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為」

【痴漢事件の弁護活動】

痴漢事件を起こして逮捕された場合や、警察取調べの呼び出しを受けた場合には、まずは弁護士に法律相談をして、警察取調べの供述対応を検討することが重要です。
痴漢事件を認めるのか、否認するのか、具体的に何があったと供述するかが、その後の刑事処罰の判断に大きく影響するため、警察取調べに行く前の段階から、弁護士とともに供述内容や弁護方針を検討する必要があります。

また、痴漢事件を起こしたことを認めるケースの場合には、被害者側への謝罪や慰謝料の支払いといった示談交渉を行うことで、被害者側に許してもらえるような内容の示談が成立すれば、刑事処罰の軽減や不起訴処分の獲得に繋がることが期待されます。

ただし、被害者やその保護者は、加害者側に対して恐怖心を持っているケースが大半のため、被害者側の連絡先が加害者側に伝えられることは、ほとんど無く、加害者側が直接に示談交渉を行うことはできません。
そこで、刑事事件に強い弁護士を依頼することで、被害者側との示談交渉弁護士が仲介して、示談成立に向けて動くことが可能となります。

まずは、電車内痴漢事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

兵庫県明石市電車内痴漢事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【報道解説】女性が淫行条例違反で逮捕

2023-05-14

【報道解説】女性が淫行条例違反で逮捕

女性淫行条例違反逮捕された事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

東京都在住の会社員女性Aさん(33歳)は、SNSで知り合った17歳の男子高校生Vさんを自宅に呼んで、Vさんの同意の元、Vさんと性交をしました。
ある日の早朝、警察官が自宅に訪れて、Vさんは東京都青少年保護育成条例違反淫行条例違反)で逮捕されました。」
(令和4年8月30日の神奈川新聞の記事を基に、事実を一部変更したフィクションです)

【淫行条例違反で逮捕されるのは男性だけではない】

18歳未満の青少年と同意のもとで淫らな行為淫行)を行うと、各都道府県が定める青少年保護育成条例(いわゆる淫行条例)に違反する可能性があります。

よく、淫行条例違反の疑いで逮捕されたというニュースを見聞きすることがありますが、そうしたニュースで逮捕されているのは男性であるケースが大多数かと思います。
しかし、淫行条例違反は、男性が18歳未満の女性に対して淫らな行為をした場合のみ該当するわけでありません。

例えば、東京都青少年保護育成条例18条の6では「何人も、青少年みだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない。」と規定しているように、淫行条例自体は、男性が18歳未満の女性に対して淫らな行為をした場合のみに罰則の対象にしている訳ではありません。
そのため、事例のように女性が18歳未満の男性に対して淫らな行為をした場合や、同性の18歳未満の者に対して淫らな行為をした場合でも、淫行条例違反になる可能性があることになります。

ちなみに、東京都青少年保護育成条例18条の6に違反した場合、同条例24条の3によって、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科される可能性があります。

【ご家族が淫行条例違反で逮捕されたことを知ったら?】

ご家族が淫行条例違反の疑いで逮捕されたことを知ったら、弁護士に依頼していち早く初回接見に行ってもらうことをお勧めします。

事例のように、女性が警察に逮捕されると、逮捕した警察署に女性専用の留置施設が無い場合には、女性専用の留置場がある警察署に移動して、そこで留置されることになります。
そのため、逮捕された方のご家族様にとっては、逮捕された女性が逮捕した警察署ではないところで留置されていることを知らされずに、どこにいるのか分からないという事態になることも考えられます。

このような場合でも、弁護士であれば、逮捕された方がどこにいるのかということについて警察署に確認を取り、逮捕された女性の居場所を知ることできますので、逮捕された女性のもとに接見に向かうことが可能になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族の中に淫行条例違反の疑いで逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】電車内で体液を付ける器物損壊事件

2023-05-03

【報道解説】電車内で体液を付ける器物損壊事件

体液を付ける犯罪行為による刑事処罰について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

JR埼京線の電車内で女子学生の制服のスカートに体液をつけたとして、警視庁は、神奈川県藤沢市の男性(28歳)を器物損壊容疑で逮捕した。
警視庁池袋警察署によると、男性は令和5年2月1日と9日の朝、埼京線の電車内でそれぞれ10代の女子学生の制服のスカートに体液を付けた疑いがある。
赤羽駅のホームで好みの女性を見つけて一緒に電車に乗り込み、下半身を女性に押しつけていたという。
スカートについた体液のDNA型や、車内の防犯カメラの映像などから男性の関与が浮上した。
池袋警察署によると、男性は以前、神奈川県内の公立小学校の教諭だったが、電車内痴漢行為をしたとして昨年4月に懲戒免職になっていた。
(令和5年3月20日に配信された「朝日新聞デジタル」より抜粋)

【体液を付ける犯罪行為による刑事処罰とは】

体液を付ける行為により警察に逮捕されるなどして、刑事事件となった場合には、「刑法の器物損壊罪」や、「各都道府県の制定する迷惑防止条例違反」「刑法の暴行罪」「刑法の強制わいせつ罪」などの刑罰に問われる可能性があります。

服やスカートに体液を付ける行為により、「器物損壊罪」に当たるとして刑事処罰に問われることが、よく見られるケースとなります。
器物損壊罪の法定刑は、「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」とされています。

他方で、各都道府県の制定する迷惑防止条例には、公共の場所や公共の乗物における「卑わいな言動」を処罰する規定があり、体液を付ける行為が「卑わいな言動」に当たるとして、刑事処罰を受けるケースも考えられます。
公共の場所や公共の乗物における「卑わいな言動」による迷惑防止条例違反の法定刑は、東京都迷惑防止条例の場合には、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」とされています。

また、体液を付ける行為が、不法な有形力の行使に当たるとして、「暴行罪」に該当すると判断されたり、「暴行又は脅迫を用いた、わいせつ行為」に当たるとして、「強制わいせつ罪」に該当すると判断されるケースも考えられます。

【体液を付ける器物損壊事件の弁護活動】

体液を付ける器物損壊事件の容疑をかけられて、警察の取調べを受けた場合には、まずは、弁護士に相談することで、事件の認否供述や、事件当日の状況の説明について、綿密な弁護方針を立てることが重要となります。

また、事件をやったことを認めるケースでは、被害者に対する謝罪と、慰謝料支払いの意思を伝えて、示談により被害者から許しを得ることが、刑事処罰の軽減のための重要な弁護活動となります。
ただし、加害者と被害者による直接のやり取りによる示談交渉は、被害者側が恐怖心を持つケースがほとんどなことから、認められません。
刑事事件対応の豊富な弁護士を仲介して、弁護士だけに被害者側の連絡先を伝えてもらうことで、被害者あるいは被害者の保護者との、円滑な示談交渉が可能となります。

まずは、器物損壊事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

東京都豊島区器物損壊事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【報道解説】睡眠薬を飲ませる準強制わいせつ事件

2023-04-22

【報道解説】睡眠薬を飲ませる準強制わいせつ事件

東京都豊島区睡眠薬を飲ませる準強制わいせつ事件の刑事処罰について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

同じキャバクラ店で働く女子大学生に、睡眠薬入りの飲料を飲ませ、わいせつな行為をしたとして、従業員の男性が、警視庁池袋警察署逮捕された。
キャバクラ店従業員の男性は、令和5年3月8日に、東京都豊島区の自宅マンションで、勤務先でアルバイトとして働く10代の女子大学生に、睡眠薬入りの飲料を飲ませた上、下半身を触るなどした疑いがもたれている。
男性は、エステをする名目で自宅に誘い出し、「脱水症状になるかもしれない」などと言って、睡眠薬入りの飲料を飲ませ、犯行に及んだとのこと。
この事件では、警視庁が性犯罪捜査のために新たに開発した検査キットを使った捜査が行われ、女子大学生の体内から睡眠薬の成分が検出され、逮捕に至った。
(令和5年4月26日に配信された「日テレNEWS」より抜粋)

【準強制わいせつ事件の刑事処罰とは】

準強制わいせつ罪とは、被害者を抵抗できない状態にして、わいせつ行為をした場合などに成立し、「6月以上10年以下の懲役」という法定刑で刑事処罰を科される犯罪です。
具体的には、酒や薬物を飲ませるなどして、被害者が抵抗できない状態にして、わいせつ行為をした場合や、もともと寝ていた被害者に対して、わいせつ行為をした場合に、準強制わいせつ罪が成立するケースが多いです。

・刑法 178条1項
「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。」

準強制わいせつ罪には、懲役刑だけが規定されており、罰金刑は無いため、もし準強制わいせつ罪起訴されれば、正式裁判となり、執行猶予付き判決か、実刑判決かを裁判で争う形となります。
弁護方針としては、事件が起訴される前の段階で、被害者と示談交渉をしたり、否認のための供述方針を検討するなど、不起訴処分を得るための弁護活動が重要となります。

【準強制わいせつ事件で逮捕された場合】

準強制わいせつ事件逮捕された場合には、逮捕から2、3日後に、さらに10日間の身柄拘束(勾留)がされるかどうかが判断されます。
勾留が決まれば、勾留期間の終わる10日後(勾留延長されれば20日後)に、事件起訴不起訴の判断がなされます。

事件の起訴不起訴の判断があるまでの間に、弁護士とともに、警察取調べの供述対応を綿密に検討するとともに、被害者との示談交渉弁護士が仲介して動くことが、不起訴処分を得るための重要な弁護活動となります。

まずは、準強制わいせつ事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

睡眠薬を飲ませる準強制わいせつ事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【事例解説】強制わいせつ罪と迷惑行為防止条例違反(痴漢)

2023-04-11

【事例解説】強制わいせつ罪と迷惑行為防止条例違反(痴漢)

強制わいせつ罪迷惑行為防止条例違反痴漢)が成立する事例とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

<事例1>

福岡市在住の会社員男性A1は、深夜の路上で帰宅中の会社員女性V1の背後から腕をまわし、着衣の上から胸を複数回揉んだ。

<事例2>

福岡市在住の会社員男性A2は、深夜の路上で帰宅中の会社員女性V2の背後から追い抜きざまに、着衣の上からお尻を揉んだ。

(上記いずれの事例も登場人物はすべて成人で、すべてフィクションです。)

【強制わいせつ罪】

刑法176条で、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する、と定めています。

わいせつな行為」とは、「相手の意に反して性的羞恥心を害する行為」とされており、唇にキスしたり、胸や陰部を触る行為などが該当します。

また、「暴行又は脅迫を用いて」とありますが、暴行又は脅迫により被害者を抵抗不能の状態に陥れた後にわいせつ行為をする場合のみならず、わいせつ行為自体が「暴行」と評価される場合も成立します。
胸に触れるのみならず、複数回揉むような場合は、その行為自体が暴行と評価されます。

よって、事例1のA1は、暴行を用いてわいせつな行為をしたとして、強制わいせつ罪が成立します。

【迷惑行為防止条例違反(痴漢)】

福岡県の迷惑行為防止条例(第6条、第11条)では、(1)公共の場所で、(2)正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、(3)他人の身体に衣服の上から触れた場合、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する、と定めています。

事例2でのA2の行為は、上記要件(1)から(3)を満たすとして、福岡県迷惑行為防止条例違反痴漢)が成立することは明らかですが、お尻を揉んだ行為の態様次第では、その行為自体が暴行と評価されて強制わいせつ罪が成立する可能性も否定できません。

なお、被害者を押し倒したりや抱きしめた上で行為を行った場合は、暴行を手段としてわいせつ行為をしているため、強制わいせつ罪が明らかに成立します。

【強制わいせつ罪と迷惑行為防止条例違反(痴漢)の弁護活動】

迷惑行為防止条例違反痴漢)にとどまる場合は罰金刑もあり得ますが、強制わいせつ罪の場合は、起訴されると執行猶予付きの判決とならなければ懲役刑となります。
そのため、不起訴処分を得るためには、起訴される前に、被害者との示談を早期に成立させることが重要です。

特に性犯罪刑事事件では、加害者が被害者から連絡先を教えてもらい自ら示談交渉を行うことは事実上不可能です。
弁護士であれば被害者も話を聞いてもよいと連絡を教えてくれる余地があり、特に刑事事件示談交渉に経験豊富な弁護士であれば、条件の良い示談がまとまる可能性が見込まれます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、強制わいせつ罪迷惑行為防止条例違反痴漢)での示談成立による不起訴処分を獲得した実績が多数あります。

強制わいせつ罪迷惑行為防止条例違反痴漢)で自身やご家族が事件を起こし不安を抱える方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

【報道解説】母親が実娘のわいせつ画像を販売して児童ポルノ製造罪で逮捕

2023-02-04

【報道解説】母親が実娘のわいせつ画像を販売して児童ポルノ製造罪で逮捕

10歳の実の娘を裸にさせたわいせつ画像を撮って販売したとして、母親が強制わいせつ罪児童買春・児童ポルノ禁止法違反逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「10歳の実娘を裸にし、わいせつな画像を撮って販売したなどとして、愛知県警が40代の女を強制わいせつ児童買春・児童ポルノ禁止法違反逮捕していたことがわかった。
認否は明らかになっていない。
捜査関係者によると、女は10月20日に児童買春・児童ポルノ禁止法違反(提供)の疑いで逮捕され、11月9日には同法違反(不特定多数への提供目的所持)と強制わいせつの疑いで再逮捕された。
『1年ほど前から、不特定多数の人に娘の裸の画像を1千~3千円程度で売った』などと供述しているという。」

(令和4年11月28日に朝日新聞DIGITALで配信された報道より一部抜粋して引用)

【実の娘の裸にした画像を製造して販売すると】

児童ポルノ製造関係で警察が男性を逮捕したというニュースを見たことがあるかと思います。
その多くは、男性が女子トイレや女湯の更衣室での女児を盗撮したり、男性がSNSで知り合った未成年の女児との性行為の様子を撮影したり、裸の自撮り画像を送ってもらったりといったものかと思います。

今回取り上げた報道は、前述の事例とは異なり、母親が10歳の実の娘の裸にして写真を撮ったとして児童ポルノ製造等の疑いで逮捕されたケースです。
児童ポルノ製造すると児童買春・児童ポルノ禁止法7条3項に違反して3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
また、児童ポルノをSNSなどを使って不特定もしくは多数の人に提供する目的で所持すると児童買春・児童ポルノ禁止法7条7項に違反して5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金が科されるか、この両方が科される可能性があります。

他にも、10歳の実の娘を裸にさせる行為は、「わいせつな行為」として刑法176条の強制わいせつ罪が別途成立する可能性があります。
強制わいせつ罪の法定刑は、6月以上10年以下の懲役となっています。

【自分の子どもの裸を撮影した画像は全て「児童ポルノ」になるのか?】

児童買春・児童ポルノ禁止法7条において刑事罰の対象になるのは「児童ポルノ」に関して、同条各項に掲げられた行為をした場合です。
そもそも「児童ポルノ」とは、18歳未満の児童の次にあげる①〜③のいずれかの姿を撮影した画像や動画のことをいいます(児童買春・児童ポルノ禁止法2条3項参照)。
児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態(同項1号)
②他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの(同項2号)
③衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの(同項3号)
取り上げた報道では、逮捕された母親が10歳の実の娘を裸にして撮影したとのことですので、こうした画像は③の児童ポルノに当たると考えられます。

このように説明すると、自分の子どもが裸でいる状態を撮影した場合に全ての画像が児童ポルノに当たると判断される方がいるかと思いますがそうではありません。
たとえば、自分の3歳の子どもが自宅の庭で全裸で水遊びしている様子を子どもの成長の思い出として写真に撮った場合があるかと思いますが、これは③の「衣服の全部…を着けない児童の姿態」には当たりますが、水遊びの自然な様子を撮影したのあれば通常、「殊更に児童の性的な部位…が露出され又は強調されているもの」には当たらないと考えられます。
そのため、成長を記録するために親が子供の裸の画像を撮影した場合は、通常は児童ポルノに当たるとは考えられていません。
今回取り上げた報道では、逮捕された母親は撮影した実の娘の裸の画像を不特定多数の人に販売していたということですので、撮影した裸の画像が「殊更に児童の性的な部位…が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」であったために児童ポルノに当たると判断されたものと考えられます。

【ご家族が児童ポルノ製造などの疑いで逮捕されたら?】

ご家族が児童ポルノ製造などの疑いで逮捕されたことを知った場合は、いち早く弁護士に初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
逮捕期間中は家族であっても逮捕された本人と面会することができませんし、土日祝日も警察の留置場などは休みのためご家族が逮捕された本人と面会することができません。
しかし、弁護士であればこうした制限や警察官の立ち合いなく自由に接見(面会)することができますので、逮捕された本人から事件について話を伺って、事件の見通しや今後の手続の流れといったことを逮捕された本人や、そのご家族の方に説明することができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族が児童ポルノ製造などの疑いで逮捕された方がいてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】AV新法で全国初摘発

2023-01-24

【報道解説】AV新法で全国初摘発

令和4年6月に施行されたAV新法違反で日本で初めて摘発された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「令和4年6月に施行されたアダルトビデオAV出演被害防止・救済法に違反したとする事例が、全国で初めて摘発された。
法律が義務づけた出演者への契約書の交付をしなかったとして、警視庁が映像制作会社経営の男(50)を同法違反容疑で逮捕し、6日発表した。
保安課によると、A容疑者は8~10月、自身が制作するAV7作品に出演した20~50代の女性3人に対し、撮影する性行為の内容などを明記した契約書を作品ごとに渡す義務があるのに渡さなかった疑いがある。
調べに、容疑を認めているという。」

(令和4年12月6日に朝日新聞DEGITALで配信された報道より匿名にして一部抜粋して引用)

【AV新法とは】

今回取り上げた報道は、「AV新法」違反で日本で初めて摘発されたケースです。
AV新法」はアダルトビデオAV)に出演したことによって生じた被害の防止などに対応するための法律で、正式には「性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律」と言います。
非常に長い法律名ですので、以下、「AV新法」という略称を用います。

【AV新法の処罰対象】

AV新法では「制作公表者」や「制作公表従事者」に様々な義務を課していますので、違反すると刑事罰の対象になっている義務を簡単に説明します。

そもそも義務の対象になっている「制作公表者」とは、AVの制作公表を行う者として、出演者との間で出演契約を締結し、又は締結しようとする者のことをいい(AV新法2条7項参照)、「制作公表従事者」とは制作公表者以外の者であって、制作公表者との間の雇用、請負、委任その他の契約に基づきAVの制作公表に従事する者のことをいいます(AV新法2条8項参照)。

そして、AV新法5条1項では、AVの「制作公表者」には、AVの出演者との間でAVの出演契約を締結しようとするときには、AV作品ごとに撮影予定の性行為の内容などの事項を書面を交付して説明する義務があります。
このAV新法5条1項の義務に違反すると6カ月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金が科されるか、この両方が科される可能性があります(AV新法21条1号)。

また、AV新法6条では、AVの「制作公表者」は出演契約事項が記載された出演契約書をAV出演者に対して交付・提供しなければならない義務を負っています。
このAV新法の義務に違反して契約書を交付・提供しなかった場合には、先ほどの場合と同様に6カ月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金が科されるか、この両方が科される可能性があります(AV新法21条2号)。

これらに加えて、AV出演契約の解除に関しても罰則が設けられています。
AV新法13条1項では、AVの出演者はAVが公開されてから1年経過するまで(法律の施行後2年間は経過措置として公開から2年経過するまで)はAVの出演契約の申込みを撤回したり、既にAV出演契約がされている場合はAV出演契約を解除したりできます(以下では、この2つをまとめて「AV出演契約の任意解除等」と表現します)。
そして、AV新法13条5項では、「制作公表者」や「制作公表従事者」が、AV出演契約の任意解除等をAV出演者が行使することを妨げるために、AV出演契約の任意解除等に関する事項や出演契約そのものに関する事項で重要なものについて、真実でないこと(不実のこと)を告げてはならないとしています。
また、AV新法13条6項によって、「制作公表者」や「制作公表従事者」には、AV出演契約の任意解除等を妨げるために、AV出演者を威迫して困惑させてはならないという義務も負っています。
こうした義務に違反して、AV出演契約の任意解除等の行使を妨げるために、AV出演者に不実のことを告げたり、威迫して困惑させたりすると、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金が科されるか、又はこの両方が科される可能性があります。

取り上げた報道では、逮捕された男性は、AVの出演契約書を出演者に渡さなかった疑いがあるとのことですので、AV新法21条2号による刑事罰の対象になる可能性があります。

【AV新法違反でお悩みの方は】

AV新法の適用されるのはAVメーカーが制作しているAVにしか限られないと思われている方がいるかもしれませんが、AV新法上、その適用を法人が業務として制作しているAVに限定しているという訳ではありません。
そのため、例えば副業として、個人で出演者を募集・交渉したうえで自分との性行為を撮影することでAVを制作して、そのAVを動画配信プラットフォームで配信しているといった場合にもAV新法が適用されることになります。
出演者に契約書を交付せずにこうしたAVの製作・配信の副業を行っていた場合、出演者からの相談などをきっかけに警察の捜査の対象になる場合があり得ます。

ある日突然、警察から話をききたいと警察署まで呼び出しの連絡が来たら、まずは、弁護士に相談して、取調べの対応を含めた今後の対応についてご相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
AV新法違反の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】パパ活の勧誘を装った性的暴行で強制性交等罪で逮捕

2023-01-13

【報道解説】パパ活の勧誘を装った性的暴行で強制性交等罪で逮捕

パパ活の勧誘で声をかけた女性に性的暴行を加えたとして強制性交等罪逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「女性に『パパ活しない?』などと声をかけ、性的暴行を加えるなどした疑いで、名古屋市中区栄の41歳の会社員の男が逮捕・送検されました。
警察の調べによりますと、容疑者は令和4年10月16日の午後8時半ごろ、名古屋市中区の駐車場で、21歳の女性に性的暴行を加えた強制性交等などの疑いが持たれています。
警察によりますと、容疑者は歩いていた女性に『パパ活しない?』『お小遣いあげるからごはん行こう』などと声をかけ、現金1000円を無理矢理渡して駐車場に連れ込んだということです。
取り調べに対してA容疑者は『性欲を満たすため』と話し、『おおむね間違いありません』と容疑を認めているということで、警察は余罪などについて詳しく調べる方針です。」

(令和4年11月18日にCBCテレビで配信された報道より一部匿名にして引用)

【強制性交等罪はどのような犯罪か】

今回取り上げた報道は、逮捕された男性が路上を歩いていた21歳の女性を駐車場に連れ込んで性的暴行を加えたとして強制性交等罪の疑いで逮捕されたケースです。
強制性交等罪は刑法177条に規定されていて、13歳以上の者に対して、被害者の反抗を著しく困難にする程度の暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交を行うことで成立する犯罪です。
強制性交等罪の法定刑は5年以上の有期懲役となっていますので、仮に強制性交等罪で実刑の有罪判決が出てしまうと最低でも5年は刑務所に収監されることになります。

なお、強制性交等の機会に被害者に怪我を負わせた場合は、刑法181条2項の強制性交等致傷罪が成立することになります。
例えば、強制性交等の際に、抵抗する被害者の身体を強く押さえつけたことで皮下溢血の傷害を負わせた場合や、人気のない場所に被害者を移動させるために被害者を引きずったことで擦り傷の傷害を負わせた場合には強制性交等罪致傷罪が成立することになるでしょう。
強制性交等罪致傷罪の法定刑は無期又は6年以上の懲役刑となり、強制性交等罪の場合よりも重くなっています。

【ご家族が強制性交等の疑いで逮捕されてお困りの方は】

警察からの連絡などでご家族が強制性交等の疑いで逮捕されたことを知ったものの、何をしたら良いのか分からずお困りの方は、まずは弁護士に初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
この初回接見では、逮捕された本人が拘束されている警察の留置場などに弁護士が出向いて、逮捕された本人から弁護士が直接事件についてお話を伺うことができますので、まずは本人に事件の見通しや今後の手続きについて説明することができます。
また、逮捕された方のご家族の方に対しましても、接見に向かった弁護士から接見の報告をさせて頂きますので、なぜ本人が逮捕されたのか、今後どのような手続で事件が進んでいくのか、弁護士刑事弁護活動を依頼することのメリット、予想される結果などについて知ることができるでしょう。

強制性交等事件で容疑を認めている場合は、弁護士を通じて被害者の方と示談することが重要になります。
強制性交等罪は数ある性犯罪の中で罪が重い犯罪と言えますので、示談金の相場も他の性犯罪示談金よりも高い傾向にありますが、強制性交等罪の被害者の方に真摯な謝罪と反省の意思を示して示談を締結することができれば、不起訴処分となる場合もあり得るでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族が強制性交等の疑いで逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

【報道解説】下着を無理やり脱がせて傷害を負わせ強制わいせつ致傷で逮捕

2023-01-02

【報道解説】下着を無理やり脱がせて傷害を負わせ強制わいせつ致傷で逮捕

男性の同僚の下着を無理やり脱がせた際に傷害を負わせたとして男らが強制わいせつ致傷罪で逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「警視庁葛飾署は9日、『アート引越センター』社員(27)(東京都江戸川区)、同社アルバイト(52)(葛飾区)ら男4人を強制わいせつ致傷容疑で逮捕した。
葛飾署幹部によると、4人は4月30日未明、社員の男の自宅マンションで同僚の20歳代男性の体を押さえつけて無理やり下着を脱がせ、腹部に全治約3週間の傷害を負わせた疑い。いずれも容疑を認めている。
男性が5月に葛飾署に相談して発覚した。」

(令和4年11月14日に読売新聞オンラインで配信された報道より引用)

【強制わいせつ致傷罪とは】

刑法176条では、13歳以上の者に対して暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした場合に強制わいせつ罪が成立するとしており、さらに強制わいせつ罪によって人を傷させた場合には刑法181条1項のわいせつ致傷罪が、死亡させた場合には同じく刑法181条1項の強制わいせつ致死罪(あわせて「強制わいせつ致死傷罪」と言うことがあります)が成立することになります。

今回取り上げた報道では、逮捕された男性らは、被疑者の男性の身体を押さえつけるという暴行を用いて、下着を無理脱がせるというわいせつな行為をし、この時、被害者の男性に腹部に全治約3週間の傷害を負わせた疑いがあるとのことですので、仮にこれが事実であれば、強制わいせつ致傷罪が成立することになるでしょう。

【いじめ目的で下着を脱がせることも「わいせつ」?】

ところで、強制わいせつ罪が成立するためには、昭和45年1月29日に出された最高裁判所の判例によって、「犯人の性欲を刺激興奮させまたは満足させる」という性的意図(わいせつ目的)が必要であるとされてきました。
強制わいせつ罪の成立の要件としてわいせつ目的が必要であるとすると、今回取り上げた報道のように、いじめ目的で自分と同じ性別の被害者の下着を無理やり脱がせたという場合はわいせつ目的が存在しないとして強制わいせつ罪が成立しない可能性が高いといえます。
しかし、わいせつ目的を一律に強制わいせつ罪の成立要件とする昭和45年の最高裁判所の判例は、平成29年11月29日に出された最高裁判所の判例によって変更されました。
この平成29年の判例によると、被害者の下着を無理やり脱がすという行為それ自体が性的な意味合いが強い行為を行った場合には、犯人の意図にかかわらず強制わいせつ罪が成立することになると考えられています。
そのため、この平成29年の判例が出された現在では、わいせつ目的で下着を脱がせた場合はもちろん、いじめ目的で下着を脱がせた場合であっても強制わいせつ罪が成立することになるでしょう。

【ご家族が強制わいせつ(致傷)罪で逮捕されたら】

ご家族が強制わいせつ罪強制わいせつ致傷罪の疑いで逮捕されたことを知った場合は、まずは弁護士に依頼して初回接見にいってもらうことをお勧めします。
この初回接見によって、弁護士が直接逮捕された方から事件について話を聞くことができますので、事件の見通しや今後の手続きの流れなどを知ることができます。

また、強制わいせつ罪の法定刑は6月以上10年以下の懲役刑で、強制わいせつ致傷罪の法定刑は無期又は3年以上の懲役刑となっていて、罰金刑が定められていないことから両者の法定刑は比較的重いといえます。
ただ、このように比較的刑が重い強制わいせつ罪強制わいせつ致傷罪であっても、行ったわいせつ行為の態様や、被害者の方の傷害の程度などによっては、被害者の方と示談を締結することができれば起訴を回避することも可能になる場合があります。
そのためには、弁護士が初回接見をきっかけに事件に早期に関与して、示談を検察官が起訴を決定するまでにまとめることが必須となってくるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族が強制わいせつ罪強制わいせつ致傷罪の疑いで逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】いじめ目的で下着を無理やり脱がせて傷害を負わせ強制わいせつ致傷で逮捕

2022-12-25

【報道解説】いじめ目的で下着を無理やり脱がせて傷害を負わせ強制わいせつ致傷で逮捕

男性の同僚の下着を無理やり脱がせた際に傷害を負わせたとして男らが強制わいせつ致傷罪逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「警視庁葛飾署は9日、『アート引越センター』社員(27)(東京都江戸川区)、同社アルバイト(52)(葛飾区)ら男4人を強制わいせつ致傷容疑で逮捕した。
葛飾署幹部によると、4人は4月30日未明、社員の男の自宅マンションで同僚の20歳代男性の体を押さえつけて無理やり下着を脱がせ、腹部に全治約3週間の傷害を負わせた疑い。いずれも容疑を認めている。
酒に酔った男が服を脱ぐよう迫り、スマートフォンでその様子を撮影していたという。男性が5月に葛飾署に相談して発覚した。」

(令和4年11月14日に読売新聞オンラインで配信された報道より引用)

【強制わいせつ致傷罪とは】

刑法176条では、13歳以上の者に対して暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした場合に強制わいせつ罪が成立するとしており、さらに強制わいせつ罪によって人を傷害させた場合には刑法181条1項のわいせつ致傷罪が、死亡させた場合には同じく刑法181条1項の強制わいせつ致死罪(あわせて「強制わいせつ致死傷罪」と言います)が成立します。

今回取り上げた報道では、逮捕された男性らは、日常的ないじめとして、被疑者の男性の身体を押さえつけるという暴行を用いて、下着を無理脱がせるというわいせつ行為をし、この時、被害者の男性に腹部に全治約3週間の傷害を負わせた疑いがあるとのことですので、仮にこれが事実であれば、強制わいせつ致傷罪が成立することになるでしょう。

【いじめ目的で下着を脱がせることも「わいせつ」?】

ところで、強制わいせつ罪が成立するためには、昭和45年1月29日に出された最高裁判所の判例によって、「犯人の性欲を刺激興奮させまたは満足させる」という性的意図(わいせつ目的)が必要であるとされてきました。
強制わいせつ罪の成立の要件としてわいせつ目的が必要であるとすると、今回取り上げた報道のように、いじめ目的で自分と同じ性別の被害者の下着を無理やり脱がせたという場合は、わいせつ目的が存在しないとして強制わいせつ罪が成立しない可能性が高いといえます。
しかし、わいせつ目的を一律に強制わいせつ罪の成立要件とする昭和45年の最高裁判所の判例は、平成29年11月29日に出された最高裁判所の判例によって変更されました。
この平成29年の判例によると、被害者の下着を無理やり脱がすという行為それ自体が性的な意味合いが強い行為を行った場合には、犯人の意図にかかわらず強制わいせつ罪が成立することになると考えられています。
そのため、この平成29年の判例が出された現在では、わいせつ目的で下着を脱がせた場合はもちろん、いじめ目的で下着を脱がせた場合であっても強制わいせつ罪が成立することになるでしょう。

【ご家族が強制わいせつ(致傷)罪で逮捕されたら】

ご家族が強制わいせつ罪強制わいせつ致傷罪の疑いで逮捕されたことを知った場合は、まずは弁護士に依頼して初回接見にいってもらうことをお勧めします。
この初回接見によって、弁護士が直接逮捕された方から事件について話を聞くことができますので、事件の見通しや今後の手続きの流れなどを知ることができます。

また、強制わいせつ罪の法定刑は6月以上10年以下の懲役刑で、強制わいせつ致傷罪の法定刑は無期又は3年以上の懲役刑となっていて、罰金刑が定められていないことから両者の法定刑は比較的重いといえます。
ただ、このように比較的刑が重い強制わいせつ罪強制わいせつ致傷罪であっても、行ったわいせつ行為の態様や、被害者の方の怪我の程度などによっては、被害者の方と示談を締結することができれば起訴を回避することも可能になる場合があります。
そのためには、弁護士初回接見をきっかけに事件に早期に関与して、示談を検察官が起訴を決定するまでにまとめることが必須となってくるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族が強制わいせつ罪強制わいせつ致傷罪の疑いで逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

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