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【報道解説】商業施設で痴漢行為 強制わいせつ罪で逮捕

2022-11-19

【報道解説】商業施設で痴漢行為 強制わいせつ罪で逮捕

強制わいせつ罪痴漢罪の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道事例】

千葉県浦安警察署は令和4年10月19日に、強制わいせつ罪の疑いで、千葉県浦安市に住む自称アルバイトの男性(25歳)を逮捕した。
逮捕容疑は、9月7日午後5時55分頃に、千葉県内の複合商業施設内で、当時12歳だった女児に背後から抱きつき、体を触るなどした疑い。
浦安警察署によると、男性と被害者女児に面識はなかったとみられる。
現場周辺の防犯カメラの映像などから容疑者男性が浮上し、男性は容疑を認めている。
(令和4年10月20日に配信された「千葉日報オンライン」より抜粋)

【強制わいせつ罪とは】

被害者の身体を同意無しに触る等した場合には、刑法の「強制わいせつ罪」や、各都道府県の制定する「迷惑防止条例違反痴漢罪」に当たるとして、刑事処罰を受ける可能性が考えられます。

被害者の身体を触った際に、被害者の反抗を抑圧する程度の「暴行又は脅迫」を用いて、わいせつ行為をした場合には、刑法の「強制わいせつ罪」に当たるとして処罰されます。
上記の事例では、「被害者に背後から抱きついたこと」が、「反抗を抑圧する程度の暴行」を用いたことに当たると、捜査機関により判断されたと考えられます。
強制わいせつ罪の法定刑は、「6月以上10年以下の懲役」とされています。

・刑法 176条
「十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。」

【迷惑防止条例違反の痴漢罪とは】

各都道府県の制定する迷惑防止条例違反痴漢罪は、「公共の場所または公共の乗物」において被害者の身体を触る行為を、刑事処罰の対象としています。
上記の事例では、「複合商業施設内での痴漢事件」であることから、千葉県迷惑防止条例違反痴漢罪にも該当しますが、より刑事処罰の重い「強制わいせつ罪」の容疑がかけられているものと考えられます。
千葉県迷惑防止条例違反痴漢罪の法定刑は、「6月以下の懲役又は50万円以下」とされています。

・千葉県迷惑防止条例 3条の2
「何人も、みだりに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次の各号に掲げるものをしてはならない。」
2号「公共の場所又は公共の乗物において、人の胸部、臀でん部、陰部、大腿部その他の身体の一部に直接又は衣服その他の身に着ける物の上から触れること。」

【強制わいせつ事件の弁護活動】

強制わいせつ事件や、迷惑防止条例違反痴漢事件で、刑事弁護の依頼を受けた弁護士は、早期釈放や刑事処罰軽減に向けて、まずは警察取調べに対する供述対応を、逮捕された本人とともに、綿密に検討したします。
また、被害者やその家族との示談交渉弁護士が行い、謝罪の意思や、慰謝料支払の意思を示すことで、被害者の許しを得られるような示談を成立させることが、早期釈放や不起訴処分獲得に向けて、重要な弁護活動となります。

まずは、強制わいせつ事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

強制わいせつ事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【報道解説】女児に対する強制わいせつで逮捕

2022-11-08

【報道解説】女児に対する強制わいせつで逮捕

6歳女児の下半身を触るなどの行為をしたとして強制わいせつの疑いで逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「神奈川県警港北署は16日、強制わいせつの疑いで、自称横浜市港北区新横浜1丁目、会社員の男(57)を逮捕した。
逮捕容疑は、15日午後5時35分ごろ、同市港北区新横浜2丁目の商業施設で、同区の小学1年女児(6)の下半身を触るなどわいせつな行為をした、としている。
容疑を認めている。
署によると、女児は家族と離れて商品を見ていた時に被害に遭った。」

(令和4年10月16日にカナコロ(神奈川新聞)で配信された報道より引用)

【13歳未満の子供に対する強制わいせつ罪】

刑法176条では強制わいせつ罪を規定しています。
刑法176条は、被害者の年齢が13歳以上のときと13歳未満のときで強制わいせつ罪が成立する場合を分けて規定しています。

被害者の年齢が13歳以上のときは、被害者の反抗を著しく困難にする程度の暴行脅迫を用いてわいせつな行為をした場合に強制わいせつ罪が成立します。
これに対して被害者の年齢が13歳未満のときは、暴行脅迫を用いた場合はもちろんのこと、そのような暴行脅迫を用いずにわいせつな行為をした場合は強制わいせつ罪が成立します。

取り上げた報道では具体的な事実関係が明らかではありませんが、商業施設を家族と一緒に訪れた6歳女児の下半身を触るといったわいせつな行為を行ったとあります。
そのため、下半身を触るまでに暴行脅迫を用いたのか、誘惑的な手段を用いたのか明らかではありませんが、どのような手段を用いたにせよ、女児の下半身を触ったことで強制わいせつ罪が成立することになると考えられます。

なお、強制わいせつ罪の法定刑は、6カ月以上10年以下の懲役となっており、罰金刑が定められていない点で、比較的重い法定刑であると言えるでしょう。

【強制わいせつ罪で被害者の方との示談をしたい】

強制わいせつ事件を起こした際に、前科が付くことを避けたい場合は、検察官に事件を起訴される前に被害者の方と示談を締結することが重要になります。
というのも、起訴前に被害者の方と示談を締結したという事実は、検察官が起訴をするかどうかの判断に当たって起訴を回避する判断に傾く考慮要素となるからです。

示談交渉は通常、被害者本人と行うのですが、被害者の方が未成年である場合の示談交渉は被害者本人と行うのではなく、被害者の保護者の方と行うことになります。

保護者の方は自分の子供にわいせつな行為をされたということで、犯人を許せないという処罰感情が強く、示談については最初は断られる場合がありますが、粘り強く示談の条件などを交渉することで、最終的に示談を締結するということも全く不可能という訳でもありません。

示談交渉というものは必ずしも決まった方法があるというわけではなく、それぞれの弁護士の腕によるところがありますから、示談をお考えの方は示談交渉の経験が豊富な弁護士に依頼されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所で、示談交渉の経験が豊富な弁護士が在籍しております。
強制わいせつ事件で被害者の方との示談を考えている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】女性に抱きついて暴行で逮捕

2022-10-17

【報道解説】女性に抱きついて暴行で逮捕

面識の無い女性に背後から抱きついたとして暴行の疑いで男性が逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「神奈川県茅ケ崎署は2日、暴行の疑いで、住所不定、無職の男(53)を逮捕した。
逮捕容疑は、1日午後2時40分ごろ、茅ケ崎市茅ケ崎3丁目の温浴施設内エレベーターで、同市内に住む従業員の女性(47)に背後から抱きついた、としている。
調べに対し『ハグしただけで暴行はしていない』と供述し、容疑を否認している。」

(令和4年10月2日にカナコロ:神奈川新聞社で配信された報道より引用)

【抱きつきは暴行罪になる?】

今回取りあげた報道では、逮捕された男性が警察の取り調べにおいて「ハグをしただけで暴行はしていない」と供述しているようです。
刑法208条が規定する暴行罪は、殴る蹴るなどの暴力行為をした場合に成立する犯罪だと思われている方がいるかもしれませんが、後ろから女性に抱きつく(ハグをする)行為は暴行罪に当たる行為になりますので、逮捕された男性には暴行罪が成立する可能性が高いと言えます。
ちなみに、暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金、又は拘留若しくは科料となっています。

【抱きつきは強制わいせつ罪になる?】

報道を読んだ方の中には、抱きつく(ハグをする)行為は刑法176条の強制わいせつ罪ではないのかと思われた方がいらっしゃるかもしれません。
確かに、見知らぬ女性に抱きつく(ハグをする)という行為は、場合によっては強制わいせつ罪や、その未遂罪が成立する可能性があります。

刑法176条では、13歳以上の者に対しては、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした場合に強制わいせつ罪が成立するとしています。
そのため、被害者の反抗を著しく困難にする程度に抱きついたという場合は刑法176条の強制わいせつ罪における「暴行」に当たることになりますので、そうして抱きついた上で、被害者の胸や下半身をまさぐったり、無理やりキスをしたりなどのわいせつな行為をした場合には、強制わいせつ罪が成立する可能性が高いと考えられます。

他にも、たとえば、後ろから抱きつくと同時に被害者の胸を揉んだというような暴行わいせつ行為が一緒に行われた場合にも強制わいせつ罪が成立する可能性が高いと言えます。
また、わいせつな行為を実際には行わなかったものの、わいせつな行為を行う目的で抱きついたのであれば、強制わいせつ罪未遂罪が成立する可能性もあります。

以上のように、抱きつき行為が具体的にどのような態様であったのか、抱きついた後に被害者に対して行った行為がどのようなものであったか、どのような目的で抱きついたのか等の事情によっては、強制わいせつ罪強制わいせつ罪未遂罪が成立する可能性があります。
このような強制わいせつ罪の法定刑は、6か月以上10年以下の懲役となっています。

【暴行の疑いで刑事事件化したら】

取り上げた報道では、男性は暴行の疑いで逮捕されていますが、男性が女性に背後から抱きついたという事件ですので、今後の捜査では、男性が女性にわいせつな目的で抱きついたのか、抱きついた際に女性の身体のどこを触ったのかなどの抱きつき行為をしたときの具体的な状況などが詳しく捜査されることが予想されます。
抱きつき行為の目的や、その具体的な状況次第によっては、暴行事件ではなく、強制わいせつ事件強制わいせつ罪未遂事件として手続きが進んでいく場合もあり得ます。

先ほど説明した暴行罪強制わいせつ罪の法定刑を比べるとわかるように、強制わいせつ罪の法定刑には罰金が定められていませんので、仮に検察官が事件を強制わいせつ事件として起訴した場合に必ず正式な裁判が開かれることになります。
従って、暴行罪よりも強制わいせつ罪のほうが重い犯罪であるといえますので、事件が暴行事件として処理されるのか、強制わいせつ事件として処理されるのかはその後の手続が大きく異なる可能性があります。

そのため警察の取り調べにおいては、取り調べを担当する警察官の誘導に引っかかって、抱きつき行為強制わいせつ罪に当たるようなものであったと虚偽の自白してしまわないよう、取調べには十分注意して臨む必要があります。
警察署の取調室という密室で、取調べのプロである警察官を相手に虚偽の自白を行わないようにするためには、事前に弁護士に相談して警察での取調べ等の対応についてアドバイスを得ておくことをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
女性に抱きついて暴行の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】ブラジャー姿の上半身を見せて逮捕

2022-10-06

【報道解説】ブラジャー姿の上半身を見せて逮捕

路上にてブラジャーを付けた上半身を女性に見せつけた男性が、兵庫県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「路上で通行人に下着姿を見せたとして、兵庫県警尼崎南署は25日、県迷惑防止条例違反の疑いで同県尼崎市の会社員の男(52)を逮捕した。
逮捕容疑は9月10日午前2時半ごろ、尼崎市神田北通2の路上で、通りかかった女性(38)に向かって素肌にブラジャーを付けた上半身を露出した疑い。
容疑を認めているという。」

(令和4年9月25日に神戸新聞NEXTで配信された報道より引用)

【路上で裸を露出すると何罪になる?】

今回取りあげた報道では、路上で男性がブラジャーを付けて上半身裸になった姿を女性に見せつけたことで警察に迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されています。
記事の中には、兵庫県迷惑行為防止条例のどのような規定に違反したかは明記されていませんが、おそらく、路上で男性がブラジャーを付けて上半身裸になる行為は、兵庫県迷惑行為防止条例3条の2第1項1号で禁止されている、公共の場所や乗り物において人に対して不安を覚えさせるような卑わいな言動にあたると警察が判断したために今回逮捕に至ったものと考えられます。

路上で裸を露出したという場合は、露出した体の部分や露出の方法などによって成立する犯罪が異なります。
迷惑行為防止条例違反である卑わいな言動以外にも、刑法174条が定める公然わいせつ罪軽犯罪法1条20号違反が成立する可能性があります。

【公然わいせつ罪とは】

公然わいせつ罪は、「公然わいせつな行為をした」場合に成立する犯罪で、その法定刑は、6カ月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料となっています。
公然わいせつ罪における「公然と」とは、不特定又は多数の人が認識できる状態のことを意味し、「わいせつな行為」とは、性欲を刺激、又は満足させる行為であり、普通人の性的羞恥心を害し、善良な詩的道義観念に反する行為を意味すると考えられています。
わいせつな行為」については、定義が抽象的で意味が分かりずらく、具体的にどのような行為をすれば公然わいせつ罪となるのかよく分からないと思いますが、路上で陰部を露出する行為は、公然わいせつ罪にあたる典型的な行為であると考えられています。

【軽犯罪法違反とは】

軽犯罪法1条20号は、「公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者」を拘留又は科料に処するとしていますので、お尻や太ももといった身体の一部分を露出した場合は、露出した場所や露出した方法によっては、軽犯罪法1条20号に違反する可能性があります。

【迷惑行為防止条例違反とは】

今回、路上でブラジャーを付けた状態の上半身裸を女性に見せつけた男性は、上記の公然わいせつ罪でも軽犯罪法違反でもなく、兵庫県迷惑行為防止条例3条の2第1項1号公共の場所において人に不安を覚えさせるような卑わいな言動にあたるとして逮捕されたと考えられます。

卑わいな言動」とは、最高裁判所によれば、「社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作」のことをいいます(最高裁平成20年11月10日決定)。
卑わいな言動」の定義についても、抽象的で分かりづらいものですが、「卑わいな言動」は、「わいせつな行為」よりも広いものと考えられていますので、「わいせつな行為」に当たらなくても「卑わいな言動」に当たる可能性があります。 
男性が路上で素肌にブラジャーを付けた上半身を女性に見せつける行為は、公共の場所に置いて人に不安を覚えさせるような下品でみだらな動作に当たる可能性が高い行為であると言えるでしょう。

なお、卑わいな言動に当たるとして仮に起訴されて有罪になると、6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられる可能性があります(兵庫県迷惑行為防止条例15条1項)。

【路上で裸を露出したことで警察の捜査を受けてお困りの方は】

路上で裸を露出したことで警察の捜査を受けてお困りの方は、まずは弁護士にご相談されることをお勧めします。
特に、路上で見ず知らずの人に対して裸を露出したという事件で前科が付くことを避けたいという場合に、その事件について認めるのであれば、被害者の方との示談を行うことで事件について真摯に反省しているという姿勢を示すことが非常に重要になるでしょう。

名前も連絡先も知らない被害者の方と示談を望まれる場合は、弁護士を通して示談交渉を行うことをお勧めします。
弁護士であれば、被害者の方の同意を得た上で、警察や検察といった捜査機関から被害者の情報を開示してもらえる可能性がありますので、見ず知らずの被害者の方であっても示談交渉を行うことができるようになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
卑わいな言動による迷惑行為防止条例違反の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】従業員に行き過ぎたセクハラによって強制わいせつ罪で逮捕

2022-09-25

【報道解説】従業員に行き過ぎたセクハラによって強制わいせつ罪で逮捕

強制わいせつ事件示談解決について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

東京都大田区で、パン屋を経営していた男性(68歳)が、アルバイトの女子高校生にわいせつな行為をしたとして、警視庁田園調布警察署で逮捕された。
男性は、令和4年6月4日に、店の厨房で皿を洗うなど閉店の準備をしていたアルバイトの女子高校生に対し、後ろから抱きつき、胸や尻を触るなどの、わいせつな行為をした疑いがもたれている。
男性は、警察の取調べに対して容疑を認め、「理性が抑えきれなかった」「他のアルバイトの女性の胸や尻も触った」と供述しているということで、警視庁は余罪があるとみて調べている。
(令和4年8月26日に配信された「TBS NEWS DIG」より抜粋)

【強制わいせつ事件の刑事処罰とは】

暴行又は脅迫を用いて、わいせつな行為をした場合には、刑法の「強制わいせつ罪」が成立します。
本件において、後ろから抱きついたという行為態様が、「被害者が抵抗するのを著しく困難にする程度の行為」といえる場合には、「暴行又は脅迫」があったと認定され、強制わいせつ罪に当たると判断される可能性があります。

・刑法 176条
「十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。」

【強制わいせつ事件の示談解決】

強制わいせつ事件逮捕された場合には、逮捕から2、3日の間に、さらに10日間の勾留(身柄拘束)を続けるかどうかが判断されます。
逮捕後の勾留期間(身柄拘束)は、原則として10日間、延長されれば最大20日間とされており、勾留期間の終わるときに、刑事処罰の起訴不起訴の判断がなされます。

刑事処罰の起訴不起訴の判断があるまでの勾留期間に、弁護士を依頼して、警察の取調べ対応の検討や、被害者側との示談交渉をまとめることが、刑事処罰の軽減や、不起訴処分の獲得のための、重要な弁護活動となります。

被害者側は、加害者に対する恐怖心を持つことが多く、直接の加害者と被害者の示談交渉は困難となるため、刑事事件に強い弁護士を依頼して、弁護士を仲介することで、示談交渉をスムーズに進めることが必要となります。
また、被害者が未成年のケースにおいては、未成年者の保護者との示談交渉を行い、謝罪や慰謝料支払いの意思を伝えることで、加害者を許す意思を含むような示談成立を目指すことにより、後の刑事処罰の判断に有利に影響することが期待されます。

まずは、セクハラ強制わいせつ事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

セクハラ強制わいせつ事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【事例解説】見ず知らずの人に対する強制わいせつ罪と示談

2022-09-14

【事例解説】見ず知らずの人に対する強制わいせつ罪と示談

見ず知らずの人に対して突然後ろから抱き着いて胸を触ったという強制わいせつ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例紹介】

「Aさんは、仕事が終わって帰宅の際、最寄り駅から自宅までの道中で、大学生のVさんが歩いているのを見つけました。
AさんとVさんは全く面識がありませんでしたが、Vさんの容姿がAさんの好みのタイプであったため、AさんはVさんの跡を付け始めました。
Vさんが街灯が少なく人通りのない路地に入ったところで、AさんはVさんの後ろから抱き着いてVさんの胸を触りました。
Vさんが悲鳴をあげたことで、Aさんはその場から走り去りました。
後日、防犯カメラの映像からAさんを犯人だと特定した警察官が、Aさんを強制わいせつ罪の疑いで逮捕しました。」

(この事例はフィクションです)

【見ず知らずの被害者との示談】

事例のAさんのように、後ろから突然抱き着くという被害者の方の反抗を著しく困難にする程度の「暴行」を用いて、胸を触るという「わいせつな行為」をした場合は、刑法176条が定める強制わいせつ罪が成立することになるでしょう。
強制わいせつ罪の法定刑は6月以上10年以下の懲役刑となっており、罰金が定められていないことから、比較的罪が重い犯罪であると言えます。

強制わいせつ罪の重い刑罰を回避するためには、不起訴処分の獲得を目指すことが考えられますが、そのためには、被害者の方との示談を締結することが重要な要素となるでしょう。

示談を締結するためには被害者の方と示談交渉をする必要がありますが、交渉を始めるにあたっては、被害者の方の名前や連絡先を知っていることが前提にあります。

加害者と被害者の方との間で従前から面識があり名前や連絡先を知っているという場合には、特段問題なく示談交渉を開始することができます。
しかし、加害者と被害者の方が全くの面識がなく、加害者が被害者の方の名前や連絡先を知らないという場合は、まずは被害者の方の名前や連絡先の情報を知ることができなければそもそも示談交渉を開始することができません。

被害者の方の名前や連絡先の情報を知らない場合は、弁護士が捜査担当の検察官や警察官などに被害者の方の情報を教えてもらえないか打診することになるでしょう。
打診を受けた検察官や警察官が、なぜ弁護士が連絡を取ろうとしているのかについて被害者の方に説明した上で、弁護士に連絡先などの情報を教えて良いかの確認をとり、被害者の方が承諾すれば、被害者の方の情報が弁護士に開示されるというものが一般的な流れになります。

このような捜査機関を通じて被害者の方の情報を得るという方法は、加害者本人が申し出ても教えてもらえる可能性はほぼ皆無であり、弁護士しか採ることが出来ない方法と言ってよいでしょう。

なぜならば、捜査機関側としては、加害者本人が被害者と接することは証拠隠滅のおそれや加害者が被害者に更なる危害を加えるおそれがあると懸念して、加害者本人に被害者の情報を教えることは極めて慎重になるでしょうし、また、被害者の方の心情として、性犯罪の被害にあった恐怖心から、被害者が加害者本人と直接コンタクトを取ろうとは思わないと考えられるからです。

【強制わいせつ事件で示談をお望みの方は】

強制わいせつ事件で前科が付くことを避けるために被害者の方との示談交渉を望まれる場合は、弁護士に依頼されることをお勧めします。

前述の通り、見ず知らずの被害者の方との示談にあたっては、弁護士でなければ被害者の方の連絡先を知る方法が無いと言えますし、また、示談と一言で言っても、どのような条件で示談を締結するか、示談書は具体的にどのような内容にするか、示談締結後にその事実をどのように捜査機関側に伝えるかなどと、様々なことを考慮する必要がありますので、示談交渉の経験が豊富な弁護士に任せるのがよいと言えるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
強制わいせつ事件で前科が付くことを避けたいとお考えの方、被害者の方との示談をお考えの方は、一度ご相談ください。

【報道解説】下着を見せつけて迷惑行為防止条例違反で逮捕

2022-09-03

【報道解説】下着を見せつけて迷惑行為防止条例違反で逮捕

コンビニでチャックを下ろして下着を見せつけたことにより、千葉県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「コンビニの店員にスラックスのチャックを下ろし下着を見せつけたとして、千葉県警千葉中央署は16日、千葉市若葉区、県立B高教諭、A容疑者(32)を県迷惑防止条例違反の疑いで逮捕した。
『自分がやったことで間違いない』と容疑を認めている。
逮捕容疑は6月6日午前7時20分ごろ、千葉市中央区内のコンビニで会計をする際、カウンター奥のレジにいたパートの女性(46)に対し、スラックスのチャックを全開にして下着を露出したとしている。」

(令和4年8月16日に産経新聞で配信された報道より一部匿名にして引用)

【コンビニで下着を見せつけると…?】

報道では、Aさんは、コンビニでズボンのチャックを下ろして下着を見せつけたために逮捕されたとあります。

不特定または多数人が認識することができる状況で、自身の陰部を露出したため事案において、公然わいせつ罪(刑法174条)の疑いで逮捕されたという事案はご存じの方もいらっしゃると思います。

報道では、Aさんは、迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されたとの記載があります。
事件が起きた千葉県が定める迷惑行為防止条例(正式には「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」)第3条の2第3号では、公共の場所や乗物における卑わいな言動を禁止しています(ただし、同条1号、2号でそれぞれ禁止されている盗撮痴漢にあたるものを除きます)。

このような卑わいな言動は、みだりに人を著しく羞恥させ又は人に不安を覚えさせるような行為である必要があります。

報道では詳しい事実関係については明らかになっていませんが、Aさんがコンビニでズボンのチャックを下ろして下着を見せつけた行為が、たとえば単にトイレに行った後にズボンのチャックを上げ忘れたために下着がちょっと外部に出ていたというような状態を超えて、みだりに人を著しく羞恥させ又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動であると当局が判断したために、迷惑行為防止条例違反で逮捕されたと考えられます。

なお、仮に卑わいな言動をして有罪となってしまうと、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります(同条例13条の2第1項2号)。

【迷惑行為防止条例違反で逮捕されてお困りの方は】

ご家族の中に、迷惑行為防止条例違反逮捕された方がいる場合は、いち早く弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
Aさんのように県立高校の教員という地方公務員の方が事件を起こした場合は、刑事処分に加えて、教育委員会の懲戒処分が科される可能性が非常に高いですが、この懲戒処分は、刑事処分が最終的にどのようなものであったかという点が少なからず影響すると考えられます。
そのため、その後の懲戒処分の影響も考慮すると、なるべく早期に弁護士に依頼して、刑事事件の解決を目指すことが非常に有用であると言えるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です
ご家族の方が、迷惑行為防止条例違反逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】19歳の少年が強制わいせつで逮捕

2022-08-23

【報道解説】19歳の少年が強制わいせつで逮捕

19歳の少年強制わいせつ罪の疑いで逮捕された場合の刑事責任と刑事手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「千葉県警千葉南署は5日、千葉市の男子大学生(19)を強制わいせつ罪の疑いで逮捕した。
発表によると、大学生は1日、同区内の路上で県内の会社員女性(26)に背後から抱きつき、胸を触るなどした疑い。
調べに対し、容疑を認めているという。女性と面識はなかったとみられる。」

(令和4年8月6日に読売新聞オンラインで配信された報道より引用)

【19歳の少年が事件を起こした場合】

今回取り上げた報道では、逮捕された19歳の大学生は路上で見知らぬ女性に背後から抱きつき胸を触るなどのわいせつ行為をした疑いがあるとのことです。
このように13歳以上の者に対して、背後から抱きつくといった、被害者の方の反抗を著しく困難ならしめる程度の暴行を加えた上で、胸を触るなどのわいせつな行為は、刑法176条で定める強制わいせつ罪にあたる可能性が高い行為です。

ここで、今回逮捕された大学生の年齢が19歳ということですので、19歳の少年が事件を起こしてしまった場合は、その少年の誕生日が非常に重要になります。

というのも、事件を起こした人の年齢が20歳に満たない場合は、その事件は少年事件として少年法が適用されますので、事件については家庭裁判所に送致されて、少年に対する最終的な処遇を家庭裁判所が決定するというのが基本的な流れになるのですが、家庭裁判所がそうした決定をする前に少年が20歳になった場合には、少年事件ではなく通常の刑事事件としての扱いとなってしまうからです。

そのため、逮捕段階では19歳であったものの、次の月には誕生日を迎えて20歳となってしまうという場合には、事件が家庭裁判所から検察官に逆送されて、検察官が起訴するかどうかの決定をすることになります。
仮に強制わいせつ事件として起訴されて有罪となれば、6カ月以上10年以下の懲役刑が科されることになります。

このように19歳の少年が事件を起こしてしまった場合は、20歳になる誕生日がいつなのかということで、今後の手続が変わってきますので、少年の誕生日がいつかということが重要になります。
ちなみに、少年の年齢が20歳に迫っている状況にあることを「年齢切迫」といいます。

【少年事件・刑事事件両面を得意とする弁護士へ早急に相談を】

19歳の少年が事件を起こしてしまった場合は、まずは弁護士にご相談されることをお勧めします。
弁護士に相談することで、今後の事件の流れや事件の見通し、弁護士に依頼することのメリットなどについてアドバイスをもらうことが出来るでしょう。

年齢切迫少年の事件の場合に弁護士を付けるメリットとしては、たとえば20歳までにまだ数カ月あるという場合であれば、弁護士を通して、警察や検察などの捜査機関や家庭裁判所に手続きの進行を早めてもらうように働きかけて、逆送されないように20歳になるまでに事件が終了できるような対応をとることが可能となるでしょう。

また、事件を起こしたその翌週には20歳になってしまうという場合には、逆送される可能性が非常に高いですので、逆送された後に不起訴処分となるよう、弁護士を通じて被害者の方と示談をするといった対応が取ることも出来るでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
19歳のお子さんが強制わいせつ事件を起こしてしまってお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】ストーカー規制法違反の逮捕事案で不起訴処分

2022-08-12

【報道解説】ストーカー規制法違反の逮捕事案で不起訴処分

GPS機器を用いて被害者に無断で被害者の位置情報を複数回取得した行為により、ストーカー規制法違反の疑いで逮捕された後に不起訴となった刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「先月、20代の知人女性のリュックサックにGPS機器を入れ、複数回無断で位置情報を取得したとしてストーカー規制法違反の疑いで逮捕された61歳の男性について、東京地検は不起訴としました。
東京地検は不起訴の理由を明らかにしていません。」

(7月28日にTBS NEWS DIGより配信された報道より引用)

【ストーカーの逮捕事例】

ストーカー規制法では、「ストーカー行為」をした場合や、禁止命令に違反した場合に罰則を科すという内容になっていますので、このような行為をした場合にはストーカー行為規制法違反を理由に逮捕されることになるでしょう。

GPS機器を使った場合にどのような理由でストーカー行為規制法違反になるのかといったことについて簡単に説明すると、特定の者に対する恋愛感情といった好意の感情や、そのような好意の感情が満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、特定の者の持ち物にGPS機器を入れて無断で位置情報を取得する行為は「位置情報無承諾取得等」と呼ばれることになります。
そして、「位置情報無承諾取得等」を反復して行うと「ストーカー行為」に当たることになります。
そのため、知人女性のリュックサックにGPS機器を入れて複数回無断で位置情報を取得する行為は「ストーカー行為」にあたる可能性が高いと言えるでしょう。

【不起訴処分になる要件】

報道では、逮捕された男性が不起訴処分となったとありますが、不起訴処分となる場合として代表的なものには次のような場合があります。

・被疑者が死亡していた場合や時効が完成していた場合など、起訴をするための条件(訴訟条件)が欠けていることが明らかになった場合。
・被疑者がした行為がそもそも犯罪の構成要件に当たらない場合や、正当防衛の成立や犯行時に心神喪失状態であったなどの犯罪の成立を阻害する事実が明らかとなった場合。
・捜査の結果、犯罪となる事実を行った人物が被疑者ではないことが明らかとなったなどの嫌疑なしの場合、犯罪を行った人物が被疑者である疑いがあるものの被疑者が犯人であることの証拠が不足している嫌疑不十分の場合。
逮捕した被疑者に犯罪の疑いがあって犯人であることの証拠も充足しているものの、「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により」(刑事訴訟法第248条)検察官が起訴を必要しないと判断する起訴猶予の場合。

今回の事件では不起訴処分の理由が明らかとなっていませんが、一般的にストーカー行為規制法違反のような被害者の方がいる事件の場合では、被害者の方との示談締結は、不起訴処分を獲得のために重要な要素になります。

【ストーカー行為規制法違反で不起訴処分を目指すには】

不起訴処分となった場合は刑事裁判が開かれることがないので事件を早期に解決することができますし、また、刑事罰が科されることがありませんので前科が付くことを回避することもできます。
このように不起訴処分には様々なメリットがありますが、不起訴処分の獲得は容易なものではありません。
そのため、不起訴処分を獲得したいとお考えの方は、まずは刑事事件弁護活動経験が豊富な弁護士にご相談されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ストーカー行為規制法違反不起訴処分の獲得を目指したい方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】わいせつな行為を見せたとして強制わいせつで逮捕

2022-08-01

【報道解説】わいせつな行為を見せたとして強制わいせつで逮捕

小学生の女の子にわいせつな行為を見せたことにより強制わいせつの疑いで逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「滋賀県草津市で、学童クラブに勤務する男が、自宅で小学生の女の子にわいせつな行為を見せつけたとして、逮捕されました。
強制わいせつ罪の疑いで逮捕されたのは、草津市内の放課後児童クラブに勤務する放課後児童支援員のA容疑者(35)です。
警察によりますと、A容疑者は今年5月ごろ、自宅で下半身を出し、小学生の女の子に対してわいせつな行為を複数回にわたり見せつけた疑いです。
A容疑者は自宅を子どもたちの遊び場として無償で提供していて、女の子はA容疑者の自宅に定期的に通っていたということです。
今月上旬ごろ、被害にあった女の子と保護者が警察に被害届を出して発覚。
調べに対し、A容疑者は容疑を否認しているということです。

(7月25日に読売テレビで報道されたニュースより一部匿名にして引用)

【身体に触れていなくても強制わいせつ罪になる?】

刑法176条は強制わいせつ罪について規定しています。
その内容は、13歳以上の者に対して暴行脅迫を用いてわいせつな行為をした場合や、13歳未満の者に対してわいせつな行為をした場合には、強制わいせつ罪が成立するとしています。

このような強制わいせつ罪を犯した疑いで逮捕されたというニュースについては、各種報道で目にする機会が多いでしょうが、その内容は、胸やお尻といった被害者の身体を触ったことによるものが多いかと思います。
そのため、今回取り上げた報道では、被害者の身体に触れていないにもかかわらず強制わいせつ罪の疑いで逮捕されたということで、驚かれた方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、強制わいせつ罪が成立するための「わいせつな行為」とは、「性欲を刺激、興奮又は満足させ、かつ、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為」をいうと考えられていますので、身体的な接触がなくとも「わいせつな行為」に当たる場合が当然あり得ます。

例えば、名古屋地方裁判所平成28年4月25日判決は、エレベーターの中という狭く逃げの場ない空間において、17歳の被害者の面前で、自身の陰茎を露出して自慰行為を行い射精した行為を、被害者の性的羞恥心を害し,その性的自由を侵害するため,「わいせつな行為」に当たると判断して、強制わいせつ罪の成立を認めました。

報道では、Aさんは否認していますが、小学生の女の子の前で自身の陰茎を露出してわいせつな行為をした疑いがあるとのことです。
Aさんに疑いがかかっているわいせつな行為が、どのような行為であるかについては明らかではありませんが、仮に小学生の目の前で自慰行為をしたということであれば、先ほど言及した裁判例もありますので、強制わいせつ罪が成立する可能性が高いと言えるでしょう。

なお、報道では、被害に遭われた方が小学生の女の子ということで、その年齢は13歳未満であると考えられますので、暴行脅迫を用いなくとも、単にわいせつな行為をすれば、強制わいせつ罪が成立することになります。

【強制わいせつ罪でご不安の方は】

このように強制わいせつ罪は、被害者の身体に触れなくても成立する可能性がある犯罪です。
強制わいせつ罪の法定刑は6か月以上10年以下の懲役刑となっており、罰金刑が定められていませんので、検察官に起訴された場合は略式手続によることができず、必ず公開の裁判が開かれることになります。
このような点で強制わいせつ罪は決して軽い犯罪とは言えませんので、強制わいせつ罪に当たる行為をしてしまった場合はいち早く弁護士に相談して、今後の対応などについてアドバイスを貰われることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
強制わいせつ罪に当たる行為をしてしまいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

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