強制性交等致死傷罪,強制わいせつ致死傷罪

刑法第181条1項 強制わいせつ致死傷罪等
「第176条(※注 強制わいせつ罪),第178条第1項(※注 準強制わいせつ罪)若しくは第179条第1項(※注 監護者わいせつ罪)の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し,よって人を死傷させた者は,無期又は3年以上の懲役に処する。」

刑法第181条2項 強制性交等致死傷罪等
「第177条(※注 強制性交等罪),第178条第2項(※注 準強制性交等罪)若しくは第179条第2項(※注 監護者性交等罪)の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し,よって人を死傷させた者は,無期又は6年以上の懲役に処する。」

 

【強制性交等致死傷,強制わいせつ致死傷等事件の解説】

1 強制性交等致死傷罪などとは

強制性交渉致死傷罪などは,強制性交渉等・準強制性交渉等,強制わいせつ・準強制わいせつ,監護者わいせつ・監護者強制性交等又はこれらの未遂罪を犯した結果,さらに人を死傷させた場合に成立します。

したがって,基本となる犯罪(基本犯)である強制性交等が既遂に至っていない場合でも(例えば,強制性交等の意思をもって暴行したものの,性交や肛門性交等には至らなかった場合),被害者に死傷の結果が生じてしまえば,強制性交等致死傷罪の既遂犯として処罰されることになります。

 

2 因果関係のある結果の発生であること

強制性交等死傷罪等が成立するためには,強制性交等などの基本犯又はその未遂罪を犯したことと死傷の結果との間に因果関係がなければならないとされています。

このような因果関係が認められる場合とは,死傷結果が,わいせつ又は性交等の行為自体から生じた場合はもちろんのこと,その手段である暴行・脅迫行為によって生じた場合や,その場から逃走するために加えた暴行行為によって生じた場合も含むとされています。

 

3 親告罪ではないこと

強制性交等などの罪は,親告罪とされていないことから,告訴権者による告訴がなくても公訴することができます。

 

4 強姦致死傷事件等の流れ(平成26年度検察統計年報参照)

刑事事件として処理された強姦致死傷事件(準強姦や,集団強姦等も含みます。)のうち,行為者が逮捕されたケースは約61%です。また,逮捕された場合の勾留率は約99%と高い上,勾留延長される場合も約92%と高いことから,逮捕された場合の身柄拘束は長期化する傾向があるといえます。

そして,強姦致死傷事件として処理されたケースの起訴率は37.2%とされ,重大犯罪であるにもかかわらず,低いといえます。起訴率が低い理由は,強姦罪等の場合,起訴に告訴が必要とされている点や強姦致傷等の場合には裁判員裁判となることが影響していると思われます。

 

5 裁判員裁判対象事件であること

強制性交等致死傷事件等は,裁判員裁判対象事件であるところ,裁判員裁判では一般の方も裁判に参加することから,強制性交等致死傷事件等の場合には,裁判員裁判の経験を有する弁護人を付ける必要があるといえます。

 

【強制性交等などの事件の対応】

1 無罪を主張する場合

身に覚えがないにも関わらず,強制性交致死傷罪等の容疑を掛けられてしまった場合や相手方の同意があった場合には,弁護士を通じて,警察や検察などの捜査機関及び裁判所に対してその旨主張することで,不起訴又は無罪を獲得する余地があります。

身に覚えのない強制性交等致死傷罪等の容疑をかけられた場合には,アリバイや真犯人の存在を示す証拠を提出することで,強制性交等致死傷罪等を立証する十分な証拠がないことなどを主張していきます。

また,相手方の同意があったことを主張する場合には,相手方の同意を推認することができる客観的な証拠,事情を捜査機関に主張していくこととなります。

もっとも,アリバイの主張や同意があったことの主張・証明にはポイントがあるところ,効果的な主張・証明を行っていくことは,一般の方には困難と思われます。

この点,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,強制性交等致死傷事件など刑罰(刑事責任)が問題になる刑事事件・少年事件を取り扱っており,強制性交等事件の刑事弁護実績が豊富な弁護士が多数在籍しておりますので,適切なアドバイスをすることにより,不起訴・無罪を獲得するためのサポートをさせていただきます。

 

2 罪を認める場合

⑴ 謝罪,示談
被害者感情が重要視される昨今,強制性交等致死傷事件においても,被害者の方と示談することは,重要な弁護活動です。警察に被害届が提出される前であれば,被害届の提出を阻止し,警察の介入を阻止して事件化を防ぐことができます。

警察に被害届が提出されてしまった後であっても,強制性交等致死傷事件においては,示談をすることによって,不起訴を獲得する可能性を高めることができます。

強制性交等致死傷事件では,被害弁償や示談の有無及び被害者の処罰感情が行為者の処分に大きく影響することになるので,弁護士を介して迅速で納得のいく示談をすることが重要です。

また,示談をすることで行為者が釈放される可能性もありますので,示談によって行為者の早期の学校復帰・社会復帰を目指すことができます。

⑵ カウンセリング等を受ける
強制性交等致死傷事件等の加害者のなかには,その背景に自己の性的衝動に対するコントロールに関し,何らかの問題を抱えている場合が多く,そのような場合には,専門家による治療が必要となります。

カウンセリングを受けたり,クリニックに通うことによって,問題を根本から改善する必要がありま
す。

 

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