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騙して全裸を撮影し準強制わいせつ罪
騙して全裸を撮影し準強制わいせつ罪
~今回の事件~
神奈川県横浜市神奈川区在住のAさん(50歳)は、芸能プロダクションを経営しています。
Aさんは、モデル志望のVさん(20)に対して、「モデルになるためには全裸になって写真撮影されることも必要である」と誤信させて、Vさんの承諾を得て全裸にして写真撮影をしました。
翌日、Aさんは準強制わいせつ罪の疑いで神奈川県神奈川警察署の警察官に逮捕されてしまいました。
(これはフィクションです)
~問題となる犯罪~
刑法第178条 第1項
人の心身喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせてわいせつな行為をした者は、第176条の例による。(6月以上10年以下の懲役に処する。)
~準強制わいせつ罪~
準強制わいせつ罪は、刑法176条のように、暴力又は脅迫の手段を用いないが、被害者の抵抗困難な状態を利用するわいせつ行為を処罰するものです。
被害者の抵抗困難な状態は、「心神喪失」と「抗拒不能」の2つに分類されます。
「心神喪失」とは、「自分の性的自由が侵害されていることについての認識がない場合」をいいます。
睡眠、泥酔、失神などの状態のことを指します。
「抗拒不能」とは、「自己の性的自由が侵害されていることについての認識はあるが、物理的あるいは心理的に抵抗ができない、抵抗が著しく困難な場合」をいいます。
~わいせつな行為~
「わいせつ」という言葉だけでは、どのような行為が「わいせつ」に当たるかが不明確です。
そこで、「わいせつな行為」とは、裁判例によって「徒に性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為」と定義づけられています。
本罪は、個人の性的自由を保護するための条文なので、不特定多数の人がどのように感じるかではなく、被害を受けた相手がどのように感じるかが重視されます。
そのため、本罪の「わいせつな行為」に該当する行為は、公然わいせつ罪(174条)でいう「わいせつな行為」とは少し異なります。
たとえば、公共の場で無理やりキスをした場合、強制わいせつ罪における「わいせつな行為」には当たっても、公然わいせつ罪における「わいせつな行為」には当たらないと考えられます。
~被害者の承諾~
被害者自身が、自分への法益侵害を承諾している場合は、犯罪が成立しないことがあります。
つまり、わいせつな行為の相手方がその行為を許していれば、たとえ準強制わいせつ罪に当たる行為に及んでも無罪になるということです。
では、今回の事件では、AさんはVさんから承諾を受けているので、準強制わいせつ罪は成立しないのでしょうか。
裁判例では、「もし被害者が錯誤に陥っていなければ行為者に性的行為をゆるさなかったであろう」といえる場合には、被害者の承諾は無効であるとしています。
つまり、相手を騙す欺罔行為は、相手を心理的な抗拒不能状態にさせているとして、被害者の承諾を無効にして、準強制わいせつ罪の成立を認めるのです。
今回の事例において、Aさんは、Vさんにモデルになるためには全裸で写真撮影をされることが必要だと誤信させています。
Vさんは、Aさんが自分を騙していると分かっていれば、全裸で写真撮影をすることを許さなかったはずなので、Vさんの承諾は無効となり、Aさんの行為は準強制わいせつ罪に該当する可能性があるでしょう。
もしも、ご家族の方が、このような準強制わいせつ罪の疑いで逮捕されてしまった場合は、早急に刑事事件専門の弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士は、逮捕されてしまった方のもとへ面会に行き、今後の対応の仕方や家族からの伝言を伝えることが可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見サービスをおこなっております。
無料法律相談や初回接見サービスの予約はフリーダイヤル0120-631-881にて
24時間受け付けておりますので、神奈川県横浜市神奈川区の準強制わいせつ事件など、刑事事件でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。
監禁罪等で逮捕
監禁罪等で逮捕
Aさんは、Vさん(14歳・女性)を誘拐してわいせつなことをすることを計画し、Vさんの両親がおらず、Vさんが一人で自宅にいる時間帯を見計らってVさんの自宅に立ち入り、Vさんを無理やり連れ去った後、VさんをAさんの車の中に閉じ込めました。その後Aさんは、Vさんの両親により通報を受けた埼玉朝霞警警察署の警察官により、住居侵入罪、わいせつ目的略取罪及び監禁罪の容疑で逮捕されました。Aさんの家族は、刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼することにしました。
(フィクションです。)
~ はじめに ~
Aさんにはどんな罪が成立し、どんな刑罰を科される可能性があるのでしょうか?
~ 住居侵入罪(刑法130条前段) ~
住居侵入罪は、正当な理由がないのに、人の住居に侵入した場合に成立する罪です。
「侵入」とは、建造物の管理権者の意思に反する立ち入りをいいます。
AさんとVさんの両親とに面識がなければ、Aさんが勝手に立ち入っただけで「侵入」に当たるでしょうし、仮に面識があったとしても、Vさんの両親がAさんの略取目的での立ち入りを許すはずがありませんから、やはり「侵入」に当たると考えられます。
本罪の法定刑は「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」です。
~ わいせつ目的拐取罪(刑法225条) ~
わいせつ目的拐取罪は、わいせつな目的で人を略取・誘拐した場合に成立する罪です。
「略取」とは、暴行または脅迫を手段として、人をその生活環境から引き離し、自己や第三者の支配下に移すことをいいます。「略取」とは異なり、欺罔(騙すこと)や誘惑を手段として人をその生活環境から引き離し、自己や第三者の支配下に移した場合には「誘拐」となります。「略取」と「誘拐」とを合わせて「拐取」ともいい、いずれについても刑法第225条は禁止しています。AさんはVさんを無理矢理連れ出したということですから「略取」で逮捕されたものと考えられます。
本罪の法定刑は「1年以上10年以下の懲役」です。
なお、Vさんは未成年者(20歳未満の者)ですから、仮に、Aさんにわいせつ目的が認められなかった場合は未成年者拐取罪(3月以上7年以下の懲役)が成立する可能性があります。同罪は親告罪(被害者の告訴がなければ起訴されない罪)です。
~ 監禁罪(刑法第220条) ~
監禁罪は、不法に人を監禁した場合に成立する罪です。
「監禁」とは、一定区域からの脱出を不可能若しくは著しく困難にすることをいい、多少の時間的継続を必要とします。
Aさんが、一定時間、Vさんを自動車内に乗せて走行すれば「監禁」に当たる可能性はあります。
本罪の法定刑は「3月以上7年以下の懲役」です。
では、AさんがVさんにわいせつ目的での略取(連れ去り)を秘し、Vさんが不法に監禁されていることを認識していない場合、監禁罪は成立するでしょうか?
この点については、監禁罪の保護法益(守るべき利益)は「行動したいときに行動できる自由」(可能的自由)であることを理由に認識を「不要」とする立場と、保護法益は可能的自由だが可能的自由の根本は「人の意思」であるとして、認識を「必要」」とする立場があります。前者の立場の場合、監禁罪が成立し、後者の立場の場合成立しません。
なお、不要としている裁判例(広島高裁昭和51年9月21日)もありますが、オートバイに乗っている途中、被害者が「降ろして」と言った時点から監禁と評価した判例(昭和38年4月18日)もあります。
~ おわりに ~
最後に、上記3つの罪が成立した場合の罪数をご説明いたします。
まず、住居侵入罪とわいせつ目的略取罪は手段と結果の関係にありますから牽連犯となり、罪の重いわいせつ目的略取罪で処断されます(刑法54条1項)。次に、わいせつ目的略取罪と監禁罪は保護法益が異なることから併合罪となり、結果として、「1年以上15年以下の懲役」の範囲で処断されます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずは、0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの受け付けを行っております。
準強制性交等罪で逮捕
準強制性交等罪で逮捕
兵庫県神戸市長田区に住むAさん。
友人の女性Vさんと飲みに行きました。
店を出たVさんは、
「終電で帰る」
と言っていますが、かなり酔ってフラフラの状態。
「これはチャンスだな」
と思ったAさんは、
「とりあえずウチで休んできなよ」
などと言って自宅に連れ込み、性交をしました。
後日、Vさんから被害届の提出を受けた兵庫県長田警察署の警察官により、Aさんは逮捕されました。
(フィクションです)
~強制性交等罪の成立条件~
Aさんの行為には、強制性交等罪または準強制性交等罪が成立する可能性があります。
まずは強制性交等罪から見ていきましょう。
刑法第177条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
第38条1項
罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
これらの条文をもとにすると、強制性交等罪の成立条件は
①暴行または脅迫を用いること
②性交等をすること
③被害者の同意がないこと
④故意(「罪を犯す意思」)があること
となります。
①暴行または脅迫を用いること
暴行または脅迫は、相手方の反抗を著しく困難にする程度のものである必要があります。
特に、「反抗を著しく困難」とは、具体的にどの程度のものかというのが問題となります。
これは各事件の個別的な状況をもとに判断されます。
以前は強い態様の暴行または脅迫がなければ条件が満たされないと考えられていました。
しかし、被害者としては無理やり性交されそうな状況になると、「抵抗するとさらに強い暴行されるんじゃないか」「殺されるかもしれない」といった恐怖心などから、大声を上げたり、男性を強く突っぱねたりすることが難しいことも多いです。
今後は、それほど強い態様の暴行または脅迫ではなくても、相手方の反抗を著しく困難にする程度のものであったと判断される傾向が強くなってくるかもしれません。
②性交等をすること
いわゆるアナルセックスやフェラチオでも性交「等」として条件を満たします。
③被害者の同意がないこと
強制性交等罪は同意がないことが前提となっているため、相手方の同意があれば成立しません。
④故意があること
故意があるというのは、簡単に言うと、犯罪行為をわざと行ったということです。
ちなみに。過失というのは犯罪行為を不注意で行ったということです。
強制性交等罪で特に問題となるのは、被害者が同意していないのに、同意していると思っていた場合です。
たしかに同意していると思っていたのであれば、わざと犯罪をしたわけではないので、故意が認められず犯罪は成立しません。
しかし、「同意がない」と明確に認識している場合はもちろん、「同意がないかも」と思っているだけでも故意があると評価されるのが実務上は一般的です。
それだけでなく、本人がいくら「同意があると思った」と弁解しても、それが警察官・検察官・裁判官にすんなり信じてもらえることは稀です。
特に①で書いたように、性犯罪の被害者は抵抗が難しく、明確な拒否がなくても同意がない場合があるとの知識が世間に広まっていけば、「同意があると思った」という弁解が通用しにくくなることは十分考えられます。
なぜなら、「被害者が強く抵抗していなくても、同意がない場合もあることは常識なのだから、あなたも同意がないかもと思っていただろう」と言われてしまう可能性があるからです。
~準強制性交等罪の成立条件~
Vさんが酔っていたことから、Aさんには強制性交等罪ではなく準強制性交等罪が成立する可能性もあります。
刑法第178条2項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。
準強制性交等罪の成立条件は
①被害者が心神喪失または抗拒不能の状態にあること
②性交等をすること
③被害者の同意がないこと
④故意があること
となります。
強制性交等罪と比べると、①のみが違います。
つまり、暴行や脅迫をしなくても、相手が飲酒や薬物等を原因として抵抗できない状況にあることを利用して、あるいは飲酒や薬物摂取をさせて抵抗できない状況にさせて状況にさせて性交等をすれば、犯罪が成立するわけです。
~弁護士にご相談を~
逮捕されたAさんに対しては、こちらに記載されているように刑事手続が進んでいきます。
弁護士としては、早期釈放を実現させ、不起訴処分、罰金、執行猶予などの軽い処分や判決を目指して弁護活動をしていくことになります。
しかし、逮捕されるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、どのくらいの刑罰を受けるのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合は、事務所での法律相談を初回無料で受けていただけます。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。
刑事事件の経験が豊富な弁護士が対応いたしますので、強制性交等罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。
京都府京都市左京区で監護者わいせつ罪
京都府京都市左京区で監護者わいせつ罪
京都府京都市左京区に住む会社員のAさんは,妻、長女Vさん(12歳)、次女の4人家族です。Aさんは長女Vさんに対し、日頃から性的虐待を繰り返していたと認められたことから、Vさんは児童相談所に一時保護されました。そして、Aさんは、Vさんに対してわいせつ行為に及んだとして監護者わいせつ罪で京都府下鴨警察署に逮捕されてしまいました。Aさんの妻は、突然のことに驚き、Aさんとの接見を弁護士に依頼しました。
(フィクションです)
~ 監護者わいせつ罪 ~
監護者わいせつ罪は刑法179条に規定されています。
179条
1項 18歳未満の者に対し,その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は,第176条の例による。
「第176条の例による」との「第176条」とは「強制わいせつ罪」を指し,「例による」とは法定刑を強制わいせつ罪と同様
6月以上10年以下の懲役
とするという意味です。
= その者を現に監護する者(=監護者) =
「監護者」は法律上の監護権(民法820条)に基づかなくても,事実上現に18歳未満の者を監督し保護する者であれば「監護者」に当たります。反対に,法律上の監護権を有していても,実際に監護している実態がなければ現に監護する者に当たりません。現に監護している実態があるかどうかは,同居の有無や居住状況,指導や身の回りの世話などの生活状況,生活費の負担などの経済的状況,未成年者に対する諸手続の状況などを考慮して判断されます。
(例)
・同居して子供の寝食の世話をして指導・監督している親
・単身赴任して平日は子供との関わりは少ないが,配偶者を介したり電話やメールで指導等をしたり,休日に帰宅して指導等をしている親
・親の再婚相手で,養子縁組している者
・養子縁組していない者であっても,同居し子供の寝食の世話し指導・監督している者
= 影響力があることに乗じて =
「影響力」とは,監護者が被監護者の生活全般にわたり,衣食住などの経済的な観点や生活上の指導・監督などの精神的な観点から,現に被監督者を監督し,保護することによる生じる影響力とされています。「あることに乗じて」とは,当該影響力が一般的に存在し,当該行為時においてもその影響力を及ぼしている状態でわいせつ行為・性交等をすることをいいます。わいせつ行為をする場面で,特定の影響力が生じるための具体的な行為を行う必要はありません。影響力を及ぼしている状態でわいせつ行為を行ったことで「影響力があることに乗じて」に当たります。
* 「影響力があることに乗じて」といえない場合 *
「影響力があることに乗じて」といえなければ監護者わいせつ罪は成立しませんが、暴行または脅迫を手段としてわいせつな行為に及んでいれば「強制わいせつ罪」に当たる可能性が出てきます。
更に、13歳未満の者に対するわいせつ行為は、暴行・脅迫などがなくとも「強制わいせつ罪」に当たります。
= わいせつな行為(1項) =
判例によれば,「わいせつな行為」とは,行為者又はその他の者の性欲を刺激興奮又は満足させる行為であって,普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するものをいうとされています。
(例)
・乳房を触る,揉む,舐める
・性器を触る,舐める
・自己の陰茎を性器に押し当てる
※挿入した場合は監護者性交等罪または強制性交等罪が問題となります
~ 監護者わいせつ罪は非親告罪 ~
監護者わいせつ罪は、身内の犯罪であるが故に、
・許してくれるだろう
・告訴はされないだろう
と考えていると大きな間違いです。監護者わいせつ罪は非親告罪であり、被害者の告訴を必要としません(強制わいせつ罪も同様です)。つまり、
被害者(身内)の意思に関係なく起訴され処罰される可能性がある
ということだけはぜひ覚えていただきたいものです。
~ 少女の証言は慎重な吟味を ~
未成年者(特に、年齢が低ければ低いほど)は成人に比べ、一般的に、記憶力、言語・理解能力が乏しいと考えられます。したがって、本件においてもVさんの供述がどこまで信用できるのか慎重に見極める必要があります。なお、平成31年3月28日、静岡地裁では、12歳の少女に対する強姦罪(現強制性交等罪)に問われた男性に対し、少女の証言が信用できないとして、無罪判決を言い渡されています(控訴中)。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,監護者わいせつ罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。お困りの方は,フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。
準強制性交等罪の共犯
準強制性交等罪の共犯
~ケース~
福岡県福岡市早良区在住の大学生Aさん(満20歳)は、ある日サークルの先輩Bさん(男・満20歳),Vさん(女・満20歳)とサークルの部室で飲み会をしていた。
Vさんはお酒が進んでおり,かなり酔っ払っていた。
BさんはかねてよりVさんに好意をもっており,Vさんが酔っていることに乗じてVさんと性交をしようと考えた。
そこで、BさんはAさんに「部室に誰か来ないように外で見張っていて欲しい」と頼んだ。
Aさんは先輩であるBさんの頼みを断ることが出来ず、部室の外で誰か来ないか見張りをしていた。
その後,BさんはVさんと性交したが,後日Vさんから福岡県早良警察署に被害届が提出された。
Bさんは準強制性交等罪の疑いで逮捕され、当日一緒にいたということでAさんも話を聞かれることになった。
(フィクションです)
~見張りと共犯~
今回のケースでは、Bさんに準強制性交等罪が成立する可能性が高いです。
Vさんに暴行や脅迫は加えていないものの、酩酊状態で抵抗できないのをいいことに性交に及んでいるためです。
問題となるのは、外で見張りをしていたAさんに、準強制性交等罪やその他の罪が成立するのかという事です。
ほとんどの事件で見張り役は「共犯」となりますが,事件によって共同正犯となるか幇助犯にとどまるかという違いがあります。
共同正犯であれば正犯と同様に重い責任を負うことになる一方、幇助犯であれば正犯より軽い責任にとどまることになります。
今回のケースでは、共同正犯と幇助犯のどちらになるのでしょうか。
◇共同正犯◇
刑法60条は「二人以上共同して犯罪を実行した者は,すべて正犯とする。」と規定しています。
これは、複数人での犯罪が全て共同正犯になるという意味ではなく、「共同」という特殊な関係で犯罪を行った場合のみ共同正犯になるということを意味します。
その「共同」関係を判断する一つの考え方として、特定の犯罪を画策する者同士が互いに協力し合って行為に及んだかどうかというものがあります。
この考え方によれば、共犯者それぞれが自己の犯罪を行おうという積極的な姿勢にあったか、犯罪の遂行のために一定の役割を果たしたか、といった事情が重要になると考えられます。
たとえば、侵入盗(住居などに侵入して窃盗を行うこと)における見張り役は、自らの手で窃盗に及んだ者と同様に窃盗罪の共同正犯とされる場合が多くなっています。
侵入盗の場合,住人などが帰宅しないように外で見張りをするということは、犯行を確実に行ううえで重要な行為であるといえるでしょう。
また,侵入盗の場合には見張り役も分け前や利益を得ることが多く,自らも窃盗罪の遂行を目指しているといえるでしょう。
したがって,侵入窃盗の見張り役は、多くの場合共同正犯である考えることができます。
◇幇助犯◇
刑法62条は「正犯を幇助した者は,従犯とする。」と規定しています。
そして、従犯は正犯の刑を減軽する(刑法63条)ことから、幇助犯の刑は幇助の相手である正犯より軽くなります。
幇助とは,正犯の実行行為の遂行を促進し,さらには構成要件該当事実の惹起を促進することを意味します。
つまり、物理的・精神的な支援を行うことで、正犯の犯行を容易にするのが幇助犯ということになります。
◇今回のケース◇
今回のケースでは、AさんがBさんの頼みを断り切れず、BさんがVさんと性交している間、誰か来ないか部室の外で見張りをしています。
Aさんの見張りによりBさんは犯行が容易になっていると考えられるため、少なくとも準強制性交等罪の幇助犯には当たりそうです。
それを超えて共同正犯が成立するかどうかは、Aさんの内心やその後の行動などに左右されるでしょう。
たとえば、後にAさんがBさんと交代して性交に及ぶつもりだった、積極的に見張りを行った、Bさんから報酬を貰う予定だった、といった事情があれば、共同正犯は肯定に傾くと考えられます。
~弁護活動~
準強制性交等罪は強制性交等罪に準じますので、法定刑は5年以上の有期懲役(上限20年)となっています。
執行猶予を付けることができるのは懲役が3年以下の場合ですので、準強制性交等罪の場合は刑の減軽がない限り執行猶予を付すことができません。
幇助犯は先述のとおり刑の必要的減軽が定められていることから、懲役刑の下限は短期の二分の一,すなわち2年6ヵ月となります。
また,刑法66条は「犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは,その刑を減軽することができる。」と定めています。
(準)強制性交等罪においては、行為の悪質性や被害者の方との示談の成立が情状酌量として考慮されます。
正犯であっても、被害者の方との示談の成立,「加害者を許します」という宥恕の存在,告訴の取消しがある場合には、酌量軽減により執行猶予付きの判決となる場合が多いようです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
他人の犯罪の見張りなどの手伝いをしてしまいお困りの方は0120-631-881までご相談ください。
初回接見や無料法律相談の予約を24時間受け付けています。
公然わいせつで逮捕されたら?
公然わいせつで逮捕されたら?
東京都中央区に住む会社員のAさんは,同区にある誰もいない公園のベンチに座っていた際,性欲を満たすために着ていたズボンから自己の陰茎を出したところ,たまたま近くを通りかかったVさんにその場面を見られてしまいました。その後,Aさんは自宅へ帰りましたが,通行人から警視庁築地警察署に通報され逮捕され逮捕されるかもしれないと不安になり,公然わいせつに詳しい弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)
~ 公然わいせつ罪(刑法174条) ~
公然わいせつ罪は、公園や路上などの不特定または多数の人がいる、またはいる可能性のある場所で、自己の陰部(局部)を露出させたり、見せつけたりするなどのわいせつな行為をした場合に問われ得る犯罪ですす。刑法174条には、
公然とわいせつな行為をした者は,6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
と規定されています。
~ 公然わいせつ罪の身柄率は? ~
ここで,身柄率とは,平成29年内に①検察庁で処理した件数のうち,②逮捕され,検察官の元へ身柄送致された件数(逮捕期間中に釈放された件数は含まない)の割合のことを意味します。平成30年版犯罪白書によれば,平成29年の公然わいせつ,わいせつ物頒布等罪の「身柄率(②÷①)」は
32.7%
でした。
同じ性犯罪の中でも強制わいせつ罪の身柄率が「63.5%」,強制性交等罪の身柄率が「58.2%」に比べると,公然わいせつ罪等の身柄率は
低い
ことが分かります。このことは,
公然わいせつ罪で検挙されても,逮捕されないか,あるいは逮捕されたとしても逮捕期間中に釈放される可能性が比較的高い
ことを意味しています。しかし,逮捕されない、逮捕されても釈放されるという保証はありませんので安心はできません。
~ 逮捕されたら?? ~
逮捕されたら、早めに弁護士と接見することをお勧めいたします。なぜなら、刑事事件において、いったん不利な話をしてしまうとその話を覆すことに多大な労力と時間を要するため早めに手を打つ必要があること、早めに弁護活動に移ることができ、身柄拘束により被る不利益を最小限に押さえることが期待できるからです。刑事弁護人には、大きく、「私選弁護人」「国選弁護人」「当番弁護人」の3種類がありますが、逮捕直後に接見に来てくれるのは「私選弁護人」と「当番弁護士」です(「国選弁護人」は逮捕→勾留決定が出た(勾留状が発布された後)後に選任されるものです)。ここで、「私選弁護人」と「当番弁護士」のどちらにすべきか悩まれるかもしれません。
まず、①知り合いの弁護士がいるという方は、その弁護士を「私選弁護人」として選任した方がいいでしょう。知り合いの弁護士がいないという方は、ご家族等に弁護士を探してもらえない限り「当番弁護士」と接見するというのも一つのです。「当番弁護士」と接見して、その弁護士が気に入ったのなら、「私選弁護人」として選任することもできます。ただし、「当番弁護士」は、「1回の接見」しか行わない弁護士です。契約を結ばない限りは、具体的な弁護活動を行ってくれるわけではありません。また、当番弁護士の中には、呼んでもなかなか来ない、刑事事件に慣れていないという弁護士もいるようです。もし、何らかの犯罪を犯し、逮捕されそうか不安だ、などという方は、万が一逮捕された場合に備え、今のうちから無料法律相談を利用するなどして自分に合いそうな私選候補の弁護士を探しておいてもいいかもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、公然わいせつ罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。
医師と準強制わいせつ罪
医師と準強制わいせつ罪
東京都立川市の医師Aさんは、健康診断中に、女子の胸に聴診器を当てるふりをして、指を押し当てるなどした準強制わいせつ罪の疑いで警視庁立川警察署に逮捕されてしまいました。Aさんは、接見に来た弁護士に、「胸に当たったかもしれないが、故意に触ったわけではない」などと話しています。
(事実を基に作成したフィクションです。)
~ はじめに ~
事例は、群馬県前橋市で起きた事件を元に作成しております。事例のように、医師が、診察中に患者に対してわいせつな行為をした準強制わいせつ罪の疑いで逮捕されるという事例が散見されます。今年2月に開かれた日本医師会副会長の会見では、日本医師会が把握する限り、平成20年以降で医師による診療を騙ったわいせつ行為について有罪判決を受けたケースは8件あるとのことでした。医師による犯罪行為は、国民の医療、医療行為に対する信頼を損ねるもので許しがたい行為であることは間違いありません。他方で、被害者である患者の思い込み、捜査機関のずさんな捜査が指摘されて無罪とされた裁判例もあります。
~ 準強制わいせつ罪とは ~
では、準強制わいせつ罪とはどんな罪なのでしょうか?本罪は刑法178条1項に規定されています。
刑法178条1項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ,又は心神を喪失させ,若しくは抗拒不能にさせて,わいせつな行為をした者は,第176条の例による。
= 心神喪失 =
精神上の障害によって正常な判断を失っている状態をいいます。具体的には,熟睡,泥酔・麻酔状態・高度の精神病などがこれに当たります。責任能力における心神喪失(刑法39条1項)とは若干意味が異なります。
= 抗拒不能 =
心神喪失以外の理由によって心理的・物理的に抵抗することが不可能又は著しく困難な状態をいいます。本件のように、医師に対する信頼から治療・診察のための行為と誤信した場合、部屋の暗さや夢うつつであったことと声の類似のため夫と誤信した場合など、様々です。
= ~乗じ,~させ =
「(心身喪失・抗拒不能に)乗じる」とは既存の当該状態を利用することをいいます。「(心神喪失・抗拒不能)にさせる」手段には制限はありません。麻酔薬,睡眠薬の投与・使用,催眠術の施用,欺罔などはいずれもその手段となり得るでしょう。ただし、たとえば暴行を加えて失神させた場合については、暴行により抵抗を困難にしたとして、準強制わいせつ罪ではなく強制わいせつ罪となることも考えられます。
= 故意 =
本罪は故意犯です。加害者において,「被害者が心神喪失,抗拒不能の状態にあること」,「被害者を心神喪失,抗拒不能の状態にさせたこと」,「わいせつ行為に及んだこと」を認識している必要があります。なお,わいせつ行為か否かは社会通念から判断されます。よくある例としては、無理やりキスをする、胸を揉む、性器や肛門に指を入れるといったものが挙げられます。
* 本件の場合 *
本件の場合、健康診断中の行為ですから、医師Aさんに相手方が「抗拒不能」の状態にあることの認識は認められやすいと思われます。問題は、故意にわいせつ行為に及んだのかそうではないのかが争点となると思われます。
~ 無罪判決も ~
今年2月20日、東京地方裁判所で、全身麻酔による乳腺腫瘍の摘出手術を担当し、手術が終了した女性患者の乳首を舐めたという準強制わいせつ罪に問われた40歳代の乳腺外科の医師に無罪判決が言渡されています(検察側控訴中)。判決では、「女性患者が麻酔の影響でせん妄状態に陥り、わいせつ行為を受ける幻覚を体験した可能性がある」と指摘、検察側が立証の柱とした女性の証言について、「女性は麻酔から覚めた際のせん妄(幻覚)の影響を受けていた可能性があることなどから、証言の信用性に疑問を差し挟むことができる」とし、犯罪(準強制わいせつ罪の成立)の証明がないことから無罪としたのです。
~ 無罪判決を受けた医師は? ~
医師は社会的に地位の高い職業であり、犯罪を疑われれ逮捕されれば社会的にも耳目を集めやすく、マスコミに報道されるリスクも高いをいえます。上記の無罪判決を受けた男性は、マスコミに報道されたことはもちろん、長期の身柄拘束をも余儀なくされたそうです。その結果、診察や手術などに影響が生じ、かかりつけ患者は行き場を失い、医療現場に不安がもたらされたとのことです。さらに医師は職を失い、実名報道によって本人のみならず家族や関係医療機関への不利益も生じているとのことです。
これらのリスクを少しでも軽減させるためには弁護士の力が必要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪事件をはじめとする刑事事件、少年事件を専門とする法律事務所です。刑事事件、少年事件でお困りの方は、まずは、お気軽に0120-631-881までお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。
強制性交等致死傷罪で逮捕
強制性交等致死傷罪で逮捕
神奈川県横浜市金沢区に住むAさん(44際)は、会社を突然クビになったことから、憂さ晴らしに深夜女性を襲って性交しようと考えました。そして、ある日の深夜、Aさんは、一人で歩いているVさん(20歳)に「ちょっと道を尋ねたいんだけど」などと声をかけて呼び止め、いきなり右手でVさんの頸部を強く締め付け、近くの公園の草むらに引きずり込んで仰向けに押し倒し、さらに頸部を強く締め付ける暴行を加えるなどしてVさんと性交しました。そして、その際、Vさんに加療約1か月間を要する怪我を負わせてしまいました。
その後、Aさんは強制性交等致傷罪の疑いで神奈川県金沢警察署に逮捕されました。
(フィクションです。)
~ はじめに ~
強制性交等罪については、この弊所の性犯罪サイトに掲載されているコラムでも繰り返し紹介されてきたと思います。そこで、今回は、強制性交等罪を犯し、さらに被害者を死傷させた場合に成立する強制性交等致死傷罪についてご紹介したいと思います。
~ 強制性交等致死傷罪とは ~
本罪は刑法181条2項に規定されています。
刑法181条2項
第177条,第178条第2項若しくは第179条第2項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し,よって人を死傷させた者は,無期又は6年以上の懲役に処する。
「177条の罪」とは強制性交等罪のことを意味します。つまり、強制性交等致死傷罪は、強制性交等罪などの既遂罪あるいは未遂罪を犯し、よって人を死傷させた場合に成立する罪です。
= 強制性交等罪とは =
強制性交等罪は、13歳以上の者に対しては、「暴行」又は「脅迫」を用いて性交等(性交、肛門性交、口腔性交)した場合に成立し、13歳未満の者に対しては、「暴行」又は「脅迫」は不要で、13歳未満であることの認識があり、かつ「性交等」があれば成立する犯罪です。
= 未遂罪でも本罪が成立 =
本罪は、強制性交等罪が既遂の場合のみならず、未遂の場合でも成立します。つまり、本罪は、強制性交等に関する行為が行われた際は、その既遂、未遂を問わず、被害者を死亡させたり、怪我を負わせたりする可能性が類型的に高いことから処罰するとされたもので、基本犯(強制性交等罪)が未遂の場合に処罰できないとすると刑責を達することができなくなるからです。ただし、基本犯が既遂か未遂かは量刑の場面で違いが出てくるものと思われます。
= 「よって」の意味 =
「よって」とは、基本犯たる強制性交等罪と結果たる「死傷」との間に因果関係が必要であること、犯人は結果たる「死傷」の発生を予見・認識する必要はないことを意味します。つまり、「性交するため被害者に暴行を加えていたところ、気づかぬうちに被害者が怪我を負っていた」という場合でも本罪が成立する可能性があります。
因果関係については、実務上、よく「強制性交等の機会」という言葉が使われます。「死傷」が「強制性交等の機会」に生じたのであれば本罪が成立する可能性があります。したがって、犯人から逃げようとした被害者が自分で転倒して怪我した、という場合も「強制性交等の機会」に生じたとして本罪が成立する可能性があります。
* 殺意がある場合は? *
先ほど、本罪は、怪我や死の結果を認識していない場合に成立するものだとご説明いたしました。では、死の結果を認識・認容していた(つまり殺意があった)場合、本罪は成立するのでしょうか?
この点、強姦罪(現:強制性交等罪)が生きていた頃の事例で、殺人罪と強姦致死罪が成立するとし、両者は科刑上一罪(観念的競合)とした判例が参考となります(昭31年10月25日)。
観念的競合となった場合に科すことができる刑については、刑法54条1項が「その最も重い刑により処断する」としています。そのため、殺人罪と強盗致死罪を犯した場合の刑は、死刑または無期もしくは6年以上の懲役ということになるでしょう。
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風営法でママが逮捕
風営法でママが逮捕
Aさん(40歳)は,埼玉県さいたま市見沼区内でスナックの営業をはじめて6か月を迎えようとしていました。そうしたところ,埼玉県大宮東警察署の警察官がスナック店に入ってきて,逮捕状を見せられ,「あなたを風営法違反で逮捕する」と言われ逮捕されてしまいました。Aさんは「風俗営業の許可はとっている!」と反論しましたが,警察官は「そうじゃなくて,あの子に接待させたやろ」「その件よ」とボックス席に座っていた女の子を指さしました。Aさんは何のことを言われているのかわからず,後日,確認したところ,Aさんは「18歳未満の者に接待をさせていた件」で逮捕されたとのことでした。Aさんは,接見に来た弁護士に,「18歳未満とは知らなかった」などと話しています。
(フィクションです)
~ 風俗営業の許可 ~
風俗営業を営むには,風俗営業の種別に応じて,営業所ごとに,当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けなければなりません(風営法3条1項)。これを怠ると,「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金又は併科」(風営法49条1号)の処罰を受けるおそれがあります。
* 「風俗営業」とは *
「風俗営業」の種別については,風営法2条1項各号に規定されています。簡素化してまとめると以下のとおりとなります。
1号営業:社交飲食店,料理店(キャバレー,スナック,パブ,キャバクラ,ラウンジなど)
2号営業:低照度飲食店(カップル喫茶など)
3号営業:区画席飲食店(ネットカフェなど)
4号営業:マージャン店,パチンコ店など
5号営業:ゲームセンター,ダーツバーなど
~ 風俗営業の禁止行為 ~
さらに,風営法22条1項各号には,以下のとおり,「風俗営業」における禁止行為を定めています。もちろん,風俗営業の許可を受けていた場合でも禁止されています。つまり,風俗営業を営む者は,上記の許可を受けた上で,さらに,以下の行為も行ってはならないということになります。
1号:客引きをすること
2号:客引きのための立ちふさがり,つきまといをすること
3号:営業所で18歳未満の者に客の接待をさせること
4号:営業所で18歳未満の者を客に接する業務に従事させること(午後10時から午前6時までの間)
5号:18歳未満の者を営業所に客として立入らせること
6号:営業所で20歳未満の者に酒類又はたばこを提供すること
* 「接待」の意義 *
「接待」とは,風営法2条3項で
歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいう
とされています。具体的には,平成30年1月30日,警視庁生活安全局が発出している
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準
の「第4 接待について」という項目が参考になります。
それによると「接待」とは,
営業者,従業者等との会話やサービス等慰安や歓楽を期待して来客する客に対して,その気持ちに応えるため営業者側の積極的な行為として相手を特定して3の各号に掲げるような興趣を添える会話やサービス等を行うことをいう。言い換えれば,特定の客又は客のグループに対して単なる飲食行為に通常伴う提供を超える程度の会話やサービス行為等を行うこと
とされています。具体例として,「談笑,お酌等」,「ショー等」,「歌唱等」,「ダンス」,「遊戯等」,「その他」の項目が挙げられています。それぞれの具体的な解釈基準については,上記運用基準を参照されてください。
* 罰則 *
風営法22条1項3号に違反した場合は,
1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処せられ,場合によっては,懲役刑と罰金刑を併科(両方の刑を受ける)
されるおそれがあります(風営法50条1項4号)。
* 18歳未満と知らなかった場合は? *
18歳未満であることを知らなかったことを理由に処罰を免れることはできないとして過失規定を設けています(風営法52条2項)。過失規定は不注意により知らなかったという場合でも処罰されるという規定ですから,処罰される可能性としては広がっていることを意味します。一応,同項但書で,「過失のないときは処罰されない」旨規定されていますが「過失がない」とされるためには,本人の陳述,身体的発育状況等の外観的事情を覚知しただけでは足りず,運転免許証や戸籍謄本等の信用性のある公的資料等で確認するとか,家族等に事情を聴いて調査するなど年齢確認につき万全を期さなければならないと考えられています。
したがって,年齢不知を理由に処罰を免れることができるのはかなり限定的と言わざるを得ません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,風営法等をはじめとする刑事事件,少年事件専門の法律事務所です。刑事事件,少年事件でお困りの方は,まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
痴漢(強制わいせつ罪)で現行犯逮捕
痴漢(強制わいせつ罪)で現行犯逮捕
【事件】
東京都渋谷区で電車に乗ったAさんは,混雑する電車内で隣にいた女性(22歳)を引き寄せて体を密着させました。
その後,女性の下半身に手を回ししばらくスカートの上からお尻をなで回したのち、スカート及びパンティーの中に右手を差し入れて陰部をもてあそぶ痴漢をしました。
Aさんは不審な様子に気付いた近くの乗客に右手を掴まれた後に3名がかりで取り押さえられ(現行犯逮捕),隣駅で通報を受けた警視庁渋谷警察署の警察官に引き渡されました。
(フィクションです)
【現行犯逮捕】
通常,被疑者を逮捕するためには裁判所が発行する令状が必要(憲法第33条,刑事訴訟法第199条第1項)で,また逮捕できるのも警察官や検察官など一部の人に限られています。
しかし,現行犯人に対しては,令状なく,さらに私人(警察官や検察官など逮捕権を有する者以外の人)でも逮捕することができます。
現行犯人とは,現に罪を行い、又は現に罪を行い終った者(刑事訴訟法第212条第1項)をいいます。
私人が現行犯逮捕した場合は,直ちに被逮捕者を地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければなりません(刑事訴訟法第214条)。
今回,Aさんは女性の陰部をもてあそんでいるところを掴まれており,Aさんが現行犯であったと認められる可能性は非常に高いでしょう。
【Aさんの痴漢行為に考えられる罪】
では,今回Aさんはどのような罪の容疑で取調べ等の捜査を受けることになるのでしょうか。
Aさんは女性の体を引き寄せ服の上からお尻をなで,さらに直接陰部をもてあそんでいます。
ここで考えられるのは迷惑防止条例違反と強制わいせつ罪です。
【迷惑防止条例違反】
痴漢行為など公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止することによって住民生活の平穏を保持することを目的に各都道府県毎に定められているのが迷惑防止条例です。
東京都の場合,痴漢行為は迷惑防止条例第5条第1項第1号によって処罰対象になっています。
法定刑は6月以下の懲役または50万円以下の罰金です。
後に触れますが,強制わいせつ罪の法定刑(6月以上10年以下の懲役)に比べて軽くなっています。
一般には衣服の上から体を触れば迷惑防止条例違反,直接触れば強制わいせつ罪と考えられている方も多いのではないでしょうか。
東京都の迷惑防止条例の条文には「正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であって」「公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること」が処罰対象と書かれています。
つまり,直接触ろうとも迷惑防止条例が適用される可能性があるのです。
【強制わいせつ罪】
次に,強制わいせつ罪について見てみましょう。
強制わいせつ罪(刑法176条)は13歳以上の者に対し,暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした場合に成立します。
13歳以下の者に対しては,暴行や脅迫がなくともわいせつな行為をした場合に強制わいせつ罪が成立します。
法定刑は6月以上10年以下の懲役です。
この条文を見ていただくとお気づきになるかと思いますが,「直接触る」であるとか「服の上から」といった文言はありません。
以上から,直接触った場合でも迷惑防止条例違反に問われることがありますし,また服の上から触っても強制わいせつ罪に問われる可能性があるということが分かります。
では,この2つの罪を分ける違いとは何でしょうか。
【痴漢に成立する罪】
痴漢行為は,人の性的自由を侵害する行為です。
性的自由とは,誰といつどこで性的関係を持つのかといった自由を意味します。
この性的自由の侵害の程度が大きければ強制わいせつ罪になりやすく,比較的軽ければ迷惑防止条例違反となりやすい傾向にあります。
というのも,強制わいせつ罪の成立に際しては,暴行又は脅迫があることが要件となっています。
強制わいせつ罪にいう暴行とは,人の身体に対する有形力(物理的な力)の行使であり,かつ相手方の反抗を抑圧するに足る程度の強さのものを意味します。
また,脅迫の場合とは,暴行と同様に相手方の反抗を抑圧するに足る程度の畏怖心を惹き起こすものでなければなりません。
つまり,強制わいせつ罪の場合,暴行や脅迫によって相手方の反抗を押さえつけた上での犯行となるため,性的自由の侵害の程度が大きくなりがちなのです。
男性から女性に対する有形力の行使は,多くの場合女性が肉体的にも精神的にも反抗できないものが多く,同意のない有形力の行使であれば強制わいせつ罪にいう暴行にあたると判断される場合が多いです。
強制わいせつ罪の場合,「暴行」と「わいせつな行為」が同じである場合もあります(例えば抱き着く行為等)。
今回のAさんは,電車内という密室で女性の体を引き寄せており,これは強制わいせつ罪にいう暴行に当たりそうです。
さらにスカートの上からお尻を触り,また直接陰部をもてあそんでいますので,強制わいせつ罪の容疑で捜査される可能性が高そうです。
【弁護活動の方針】
痴漢による強制わいせつ事件等,性犯罪の場合は,被害者と示談することによって起訴を回避できる場合も多いです。
捜査機関に発覚する前であれば,被害届の提出や告訴を回避することも期待できます。
Aさんのように逮捕されてしまった場合でも,早めに弁護士に依頼することによって被害者感情を逆なですることなく適正な価格で円滑に示談を進められれば,不起訴処分を得られる可能性を高めることが出来ます。
ご家族やご友人が痴漢行為で逮捕されてしまった方,警視庁渋谷警察署で取調べを受けることになり困っている方は,性犯罪に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお早めにご相談ください。
初回法律相談:無料
警視庁渋谷警察署までの初回接見費用:34,900円