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ストーカー事件で警告と禁止命令
ストーカー事件で警告と禁止命令
大阪府大阪市旭区に住むAさんは、元交際相手のVさん宅付近でVさんを待ち伏せしたり、うろついたり、ときには住居に押し掛けたりしていました。そうしたところ、大阪府旭警察署から、これ以上、Vさん宅付近でVさんを待ち伏せたり、うろついたり、住居に押し掛けるなどのつきまとい等をしてはならない旨の警告を文書で受けました。それにもかかわらず、Aさんは、執拗に上記ストーカー行為を繰り返したため、今度は、大阪府公安委員会から更につきまとい等をしてはならないこと、更に反復して当該行為が行われることを防止するために必要な事項の禁止命令等を文書で受けました。Aさんは、今後のことが不安になって、ストーカー事件に詳しい弁護士に無料相談を申込みました。
(フィクションです)
~ ストーカー規制法と警告 ~
ストーカー規制法4条では、
1 被害者等の身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるつきまとい等があって
2 上記つきまとい等をした者が、さらに反復して当該つきまとい等をするおそれがあると認められ
3 警察が、被害者等(被害者の配偶者、親族等を含む)から当該つきまとい等に係る警告の申し出を受けた
場合に、警察本部長等は、当該つきまとい等をした者に対し「警告」することができると定めています。
警告に反したこと自体に罰則規定はありません。しかし、つきまとい等を繰り返すと「ストーカー行為」とみなされ、さらに「ストーカー行為」をした者に対しては罰則規定が設けられています(ストーカー規制法18条)。
被害者等の申し出は、被害者等が「警告申出書」に記入する方法によるとされています(口頭の申し出の場合は、警察職員が同申出書に代筆)。警告の方法は、原則、警告書を交付して行われますが、警告書を交付するいとまがないと認められるときは口頭で行われる場合もあります。
なお、さきほどから出てきている「つきまとい等」とは、以下の要件を満たす行為をいいます。
(目的)
・特定の者(Vさん)に対する恋愛感情その他の好意の感情を充足する目的
・上記が満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的
(相手)
・特定の人(Vさん)
・その人の配偶者(Vさんの夫)、直系若しくは同居の親族(Vさんの親など)
・その人と社会生活において密接な関係を有する者(Vさんの交際相手、友人など)
(行為)
・ストーカー規制法2条1項1号から8号に掲げられた行為(例:つきまとい、待ち伏せ、住居等に押し掛けなどは1号に該当)
~ ストーカー規制法と禁止命令等 ~
ストーカー規制法5条1項では、
・被害者等の身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるつきまとい等があって
・上記つきまとい等をした者が、さらに反復して当該つきまとい等をするおそれがあると認められるとき
・都道府県公安委員会が、被害者等からの申出、又は職権で
①更に反復して当該行為をしてはならないこと
②更に反復して当該行為が行われることを防止するための必要な事項
を当該つきまとい等をした者に対して命じる(禁止命令等)ことができると定めています。
禁止命令等は、上記の警告を経なくても発することができます。
また、警告と異なり、被害者等の申し出によらず、職権(公安委員会の判断)で発することも可能とされています。
禁止命令等の効力は、禁止命令等をした日から起算して1年ですが、期間を延長されることがあります。
禁止命令等は行政処分の一種ですから、禁止命令等が発せられるにあたって聴聞の機会が与えられますが、緊急の場合には聴聞又は弁明の機会を与えなくてもよいとされています。
なお、警告の場合と異なり、
・禁止命令等に違反してストーカー行為をした場合は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金
・禁止命令等に違反してつきまとい等をすることにより、ストーカー行為をした場合は、上記同様
・禁止命令等に違反した場合は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金
に処せられるおそれがあることから注意が必要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。
準強制わいせつ罪で自首
準強制わいせつ罪で自首
~ケース~
Aさんは、深夜、兵庫県西宮市内にあるタクシーの待合所において、泥酔して眠っている女性Vを見つけ、わいせつな行為をしようと考えました。
そこで、Vに近づき、Vの上着の下から手を入れ、胸を弄んだり、スカートの中に手をいれ、陰部を弄んでしまいました。
待合所内に監視カメラがあることに気付き、Aさんは慌てて逃走しましたが、顔がカメラに写ってしまった以上、警察がいつ自宅に来るか不安なので、自首することを検討しています。相談を受けた弁護士は、準強制わいせつ罪が成立する可能性が高いこと、既に甲子園警察署が捜査している可能性があることを指摘し、自首について説明しました。(フィクションです)
~準強制わいせつ罪について解説~
準強制わいせつ罪とは、人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をする犯罪です。
法定刑は、強制わいせつ罪と同様、6月以上10年以下の懲役となります。
「心神喪失」とは、意識喪失(睡眠・泥酔など)、高度の精神障害などによって性的行為につき正常な判断ができない状態にあることをいいます。
「抗拒不能」とは、心理的又は物理的に抵抗ができない状態をいいます。
「心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ」とは、犯人の行為と無関係に存在する抵抗不能状態を利用する場合を指します。
典型例として、すでに何者かによって手足を縛られている者や、第三者の暴行により気絶している被害者に対してわいせつな行為を行う場合が挙げられるでしょう。
ケースにおけるAさんの犯行も、これに該当する可能性が高いと思われます。
「心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて」とは、犯人が暴行・脅迫以外の手段で抵抗不能状態を惹起する場合と、暴行・脅迫時にはわいせつの故意がなかった場合があります。
典型例として、犯人が被害者に睡眠薬を飲ませ、睡眠状態に陥った被害者に対しわいせつな行為を行う場合、うっぷん晴らしに被害者を暴行した後、抗拒不能となった同人にわいせつな行為を行うことを企図し、わいせつな行為を行う場合が挙げられます。
~自首をするメリット、デメリット~
ケースのAさんは、まだ警察に逮捕されたり、あるいは任意で取調べを求められている状態にはありません。
しかし、カメラにAさんの顔が写ってしまった以上、警察が捜査を重ね、Aさんが被疑者として浮上する可能性は十分考えられます。
そこで、「自首」をすることにより、逮捕されるリスクを低減させたり、Aさんになされる処分を軽くする可能性を高めることができます。
刑法第42条1項は、「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる」としています。
「減軽することができる」という規定なので、必ず減軽の効果を受けられるというわけではないのですが、刑の減軽の効力(刑の期間や金額が2分の1になる)からするとやはり重要なものと言えるでしょう。
また、捜査機関に自ら犯罪を犯したことを申し出ているので、逃亡や証拠隠滅に及ぶ可能性が低いとして逮捕されずに済む可能性もあります。
上記のようなメリットがありますが、いくつか注意しなければならない点やデメリットがあります。
まず、刑法42条1項が定める法律上の「自首」は、その成立要件が比較的厳しいものとなっています。
上記「自首」の要件は、
①自発的に自己の犯罪事実を申告すること
②自己の訴追を含む処分を求めること
③捜査機関(検察官又は司法警察員)に対する申告であること
④捜査機関に発覚する前の申告であること
が必要です。
ケースの場合、④を満たすか否かが重要となるでしょう。
「発覚」とは、犯罪事実及び犯人の発覚をいいます。
防犯カメラの映像などを手掛かりに、犯罪事実(準強制わいせつ行為)、犯人(Aさん)の情報が捜査機関において判明した場合には、たとえ逮捕や呼び出しがなくとも④の要件を満たさなくなります。
また、上記の要件を満たして「自首」が成立しても、捜査機関に事件を知られてしまう以上、被疑者として通常どおり捜査は進められます。
逮捕に関しても、結局のところ捜査機関に委ねられているので、自首したからといって必ず逮捕されないというわけではない点も注意が必要です。
もっとも、法律上の「自首」が成立しなかったとしても、反省し処分に服しようとしているとして処分が軽くなる可能性もあります。
弁護士と相談し、上記のメリット、デメリットを検討した上で、自首をすることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所であり、準強制わいせつ罪などの様々な性犯罪について初回無料でご相談いただけます。
準強制わいせつ事件を起こし、自首の要否についてお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
監護者わいせつ罪と接見禁止解除
監護者わいせつ罪と接見禁止解除
京都府京都市北区に住むAさん(41歳)はBさん(40歳)とクラブで知り合い交際を始めました。そのうち、Aさんは、Bさんから、3年前に夫と離婚したこと、娘Vさん(15歳)が一人いることなどを打ち明けられました。しかし、AさんはBさんに対する好意を捨てきれず、Bさんに対し経済的援助を行ってBさんの家計を支え、ついにはBさん宅に同居するようになりました。そうしたところ、Aさんは、Bさんが自宅を留守にしている間、Vさんに対しわいせつな行為を繰り返すようになりました。そして、Aさんは、京都府北警察署に監護者わいせつ罪で逮捕されました。その後、Aさんは勾留され、接見禁止決定を受けました。Aさんは、現在のところ、弁護士以外の者との接見が制限されていることから、弁護士に接見禁止の解除を依頼しました。
(フィクションです)
~ 監護者わいせつ罪 ~
監護者わいせつ罪と監護者性交等罪については刑法179条に規定があります。
179条
1項 18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第176条の例による。
1項の「第176条の例による」との「第176条」とは「強制わいせつ罪」を指し、「例による」とは法定刑を強制わいせつ罪と同様「6月以上10年以下の懲役」とするという意味です。
「その者を現に監護する者(=監護者)」は、法律上の監護権(民法820条)に基づかなくても、事実上現に18歳未満の者を監督し保護する者であれば「監護者」に当たります。反対に、法律上の監護権を有していても、実際に監護している実態がなければ現に監護する者に当たりません。現に監護している実態があるかどうかは、同居の有無や居住状況、指導や身の回りの世話などの生活状況、生活費の負担などの経済的状況、未成年者に対する諸手続の状況などを考慮して判断されます。
「影響力があることに乗じて」の「影響力」とは、監護者が被監護者の生活全般にわたり、衣食住などの経済的な観点や生活上の指導・監督などの精神的な観点から、現に被監督者を監督し、保護することによる生じる影響力とされています。「あることに乗じて」とは、当該影響力が一般的に存在し、当該行為時においてもその影響力を及ぼしている状態でわいせつ行為・性交等をすることをいいます。
わいせつ行為・性交等をする場面で、特定の影響力が生じるための具体的な行為を行う必要はありません。影響力を及ぼしている状態でわいせつ行為・性交等を行ったことで「影響力があることに乗じて」に当たります。
「わいせつな行為」とは、判例によれば、行為者又はその他の者の性欲を刺激興奮又は満足させる行為であって、普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するものをいうとされています。
~ 被疑者段階における接見禁止 ~
被疑者段階(逮捕から起訴まで)における接見禁止とは、原則として検察官の請求を受けた裁判官が、被疑者が逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると認めた場合に、勾留されている被疑者と弁護人又は弁護人となろうとする者以外の者との接見を禁じることをいいます。裁判官が「公訴の提起があるときまで」と接見禁止の期間を決めて禁じることが通常のようです。接見禁止決定が出てしまうと、弁護人以外の方との接見が禁じられてしまいます。
~ 接見禁止を解除したい場合は弁護人に依頼 ~
接見禁止を解除したい場合は、弁護士に接見禁止の解除の申し立てをしてもらいましょう。
この申し立ては、あくまで裁判官の職権発動を促す契機となるものにすぎませんが、申し立てをしないでいると起訴されるまで接見禁止は継続してしまいます。仮に、全部の解除が難しくても、たとえば「〇〇さんとの接見(面会)のみ許す」というふうに、一部の解除だけ認められる場合もあります。まずは、弁護士に相談しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、監護者わいせつ罪や監護者性交等罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。お困りの方は、フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。
強制性交等罪と住居侵入罪
強制性交等罪と住居侵入罪
福岡県北九州市に住む会社員男性のAさん(28歳)は、長年交際していたVさん(27歳)から突然別れ話を切り出されました。これに納得がいかなかったAさんは、Vさんを説得しようとVさんから断られていたにもかかわらずVさんアパートに押し掛けました。そして、Aさんは、玄関ドア越しに「お前の裸の写真を持っている。」「ドアを開けなければ写真をネット上にばらまくぞ。」と言って脅してVさんに玄関ドアを開けさせ、いきなりVさんをその場に押し倒してVさんに性交しました。その後、Aさんは、福岡県小倉南警察署に住居侵入罪と強制性交等罪で通常逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~ 強制性交等罪とは ~
強制性交等罪は刑法177条に規定されています。
刑法177条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有機懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
= 13歳以上の者とは =
改正前の刑法177条は
「13歳以上の『女子』を姦淫した者は」
と規定されていました。しかし、改正後は「13歳以上の『者』」と改められ、男子も保護の対象となりました。したがって、女子による男子への、および男子による男子への性交等も処罰の対象となります。
= 暴行・脅迫 =
一般に、「暴行」とは人の身体に対する有形力の行使、「脅迫」とは人を畏怖させるに足りる害悪の告知のことをいいます。そして、強制性交等罪の暴行・脅迫の程度は
相手方(被害者)の反抗を著しく困難しらしめる程度
であることが必要とされています。
具体的には、相手方を殴る、蹴る、叩く、武器を使用して殴る・叩く、馬乗りになる、羽交い絞めにする、縄などで縛る、その場に押し倒すなどの行為は「暴行」に当たるでしょう。
= 性交等とは =
性交の他に、肛門性交(アナルセックス)、口腔性交(オーラルセックス)も含まれます。性交とは膣内に陰茎を入れる行為、肛門性交とは肛門内に陰茎を入れる行為、口腔性交とは口腔内に陰茎を入れる行為をいいます。
行為者が自己又は第三者の陰茎を被害者の膣内、肛門内、口腔内に入れる行為(加害者:男性、被害者:女性又は男性)だけでなく、自己又は第三者の膣内、肛門内、口腔内に被害者の陰茎を入れる行為(加害者:女性又は男性、被害者:男性)も含まれます。
~ 住居侵入罪とは ~
住居侵入罪は刑法130条前段に規定されています。
刑法130条前段
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物(略)に侵入し(略)た者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
「侵入」とは管理者、本件の場合、Vさんの意思に反する立入り行為をいうとされています。AさんがいくらかつてVさんと交際していたとはいえ、行為時には、Vさんから別れを切り出されている上、Vさんから自宅アパートに来ないよう断られてたことなどからすれば、Aさんの立ち入り行為が「侵入」に当たることは明らかでしょう。
なお、住居侵入罪と強制性交等罪の双方が成立し、双方が手段と結果の関係にある場合は、刑の重い強制性交等罪で処罰されます。
~ 今後の流れ ~
強制性交等罪を疑われれば、逮捕、勾留される可能性が高いといえます。まず、強制性交等罪は刑自体が重いことから、被疑者が逃亡や証拠隠滅を図りやすいと評価される傾向にあります。その上、強制性交等罪の立証においては、被害者の供述(話)が重要な証拠となりうるところ、加害者を釈放してしまえば、何らかの形で被害者に接触して被害者に被害届を取下げさせたり、被害者の供述を自分に有利な供述に変えるなどの「罪証隠滅行為」に出るおそれが高いとも考えられます。こうした事情から、逮捕、勾留がされやすくなっているのです。
また、起訴され、刑事裁判で「有罪」と認定されれば、高い確率で「実刑」となるおそれがあり、その裁判が確定した後は、刑務所に服役しなければならなくなります。執行猶予付き判決を受けるには、裁判で「3年以下の懲役」の言い渡しを受ける必要がある(刑法25条1項)ところ、強制性交等罪は最低が「懲役5年」だからです。ただし、示談などの有利な事情があれば、刑の減軽によって3年以下の懲役が言い渡され、執行猶予が付される可能性があります。
~ 弁護活動 ~
強制性交等罪の弁護活動としては、まず、上記の「罪証隠滅行為」や「逃亡」のおそれを払拭して身柄を拘束された方の釈放を目指します。
= 事実を認める場合 =
上記に加え、被害者との示談交渉に入ります。上記のとおり、強制性交等罪で起訴されると高い確率で「実刑」となりますから、まずは起訴そのものを回避する弁護活動を行うべきです。
= 事実を認めない場合 =
この場合、被害者の供述の信用性が争点となりますから、被害者の供述の信用性に疑いを挟む事実・証拠を収集するなどして、まずは処分を決める検察官に意見書などを提出して不起訴獲得を目指します。仮に、裁判になった場合は、被害者の供述の信用性を争い、無罪獲得を目指します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずは、0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの受け付けを行っております。
東京都港区で強制性交等致傷罪
東京都港区で強制性交等致傷罪
【事件】
Aさんは、かねてより交際を希望していたVさん(当時21歳)と東京都港区内の自宅に2人でいました。
AさんはVさんに交際を申し入れましたが、Vさんは拒否する姿勢を見せました。
それでもなおも強く迫ったものの、Vさんの姿勢は崩れないので,カッとなったAさんはVさんをそのまま押し倒し,Vさんを姦淫しました。
その際、Vさんの抵抗を押さえつけるために手首を強く握ったことから,Vさんは全治5日の怪我を負いました。
Vさんからの通報を受けた警視庁三田警察署の警察官によって,Aさんは強制性交等致傷罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです)
【強制性交等致傷罪】
強制性交等致傷罪(刑法第181条第2項)は,強制性交等罪(刑法第177条)が成立することを前提に,その機会に相手に傷害結果が生じた場合に成立する罪です。
強制性交等致傷罪の法定刑は無期または6年以上の懲役(ただし、死亡した場合も兼ねる)です。
強制性交等罪は平成29年の刑法改正で新設された罪で,以前は強姦罪等があったもののその客体(被害者)が女性に限定されていました。
それに対して、強制性交等罪は①女子だけでなく男子も対象となり,なおかつ②処罰の対象となる行為が姦淫だけに限られない犯罪となりました。
強制性交等罪が成立するための要件をより詳しくみていきましょう。
強制性交等罪は,13歳以上の者に対し,暴行または脅迫を用いて,性交,肛門性交または口腔性交(以下,これらをまとめて「性交等」といいます)をした場合に成立します。
また,暴行や脅迫がなくとも,13歳未満の者に性交等のみを行った場合も強制性交等罪が成立します。
強制性交等罪の法定刑は5年以上の有期懲役(上限20年)となっています。
ここでの暴行・脅迫とは,相手方の反抗を抑圧する程度のものでなければならないとされています。
「反抗を抑圧する」とは,物理的・精神的に反抗できない状態にすることを意味します。
したがって、強制性交等罪の要件である暴行・脅迫は少なくとも被害者の反抗を著しく困難ならしめる程度の強度が必要であるように思われます。
ですが,実際は相手方の意思に反するという事実が認められれば,さほど強度な暴行・脅迫でなくとも相手の反抗を抑圧するものと扱われる傾向が強いです。
ここで,相手に対する強制があった場合で,容易に抵抗できたと考えられるのに現実には抵抗がされなかったという理由で,強制性交等罪が要求する程度の暴行・脅迫がなかったと無罪を言い渡されたり訴追されなかったりするという意見があります。
たしかに、過去にそのような判断が下されたこともありました(最判平成23・7・25判タ1358号79頁など)。
ですが,性犯罪被害者が被害に遭った際に容易には抵抗できない心理状態にあることなど種々の事情から、当該被害者にとって抵抗が困難であると認められた際には,比較的軽微な暴行・脅迫しかなかったとしても反抗を抑圧する程度のものであったと認められるケースも少なからず見られます。
特に、性被害に対する昨今の問題意識の高まりから、今後は上記のような方向性の認定がより頻繁に見られるようになっても不思議ではないでしょう。
そして,無理やり性交等に及んだ際、相手に「傷害」を負わせてしまった場合、強制性交等致傷罪が成立する余地が出てきます。
傷害とは,生理機能を侵害することを言い、出血や骨折などにとどまらない様々な心身の不調が含まれる可能性があります。
強制性交等致傷罪は、専門用語で「結果的加重犯」と呼ばれる類型に属します。
結果的加重犯とは、ある犯罪(基本犯)の成立を前提に、その犯罪によって特別な結果(加重結果)を生じさせた場合をさらに重く処罰する犯罪類型のことです。
結果的加重犯の特徴は、たとえ最終的に生じた結果を意図していなかったとしても、故意がなかったとしてその責任を免れることができない点です。
強制性交等致傷罪に当てはめると、無理やり性交等に及んで相手方が怪我などを負った以上、そのつもりではなかったと主張して怪我などの責任を回避することはできないということです。
強制性交等致傷罪は,性交等に至らずとも性交等をしようとした際に傷害結果を発生させた場合にも成立し得ます。
したがって、相手の抵抗などにより性交等に失敗した場合でも、その機会に怪我などが生じていれば強制性交等致傷罪に当たることになります。
強制性交等罪のような性犯罪の場合,加害者が被害者に謝罪をしようとしても接触を拒まれることが非常に多いです。
また、加害者やそのご家族などによる示談交渉も非常に困難を伴います。
もし強制性交等罪などの性犯罪の被疑者となってしまった場合は,早急に刑事事件に強い弁護士に事件を依頼することを強くお勧めします。
刑事事件に強い弁護士であれば、謝罪や示談交渉を依頼者様の利益になる内容で円滑に進めることができます。
示談内容によっては不起訴処分や執行猶予を得られる可能性を高めることもできます。
強制性交等致傷罪の被疑者となってしまった方,三田警察署で取調べを受けることになってしまった方は,お早めに,刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
準強制性交等罪で起訴
準強制性交等罪で起訴
東京都町田市に住むAさんは、女性Vさんにに酒を飲ませた上でVさん性交した準強制性交等罪の疑いで警視庁町田警察署に逮捕されてしまいました。そして、Aさんは検察官により準強制性交等罪で起訴されてしまいました。起訴後に刑事事件専門の弁護士がAさんと接見しました。
(フィクションです)
~ 起訴とは ~
起訴とは,検察官が特定の刑事事件について裁判所の審判(刑事裁判)を求める意思表示を言います。この起訴の権限は,一部の場合を除いて検察官のみにしか与えられていません(起訴独占主義)。
この検察官の意思表示は「起訴状」という書類に現れています。起訴状は、起訴状謄本などとともにに裁判所に提出されます。起訴状謄本は、裁判所を通じてあなたの元へ送達されます。こうしてあなたは起訴された事実を知ることになり、その事実について裁判で争うか、争わないか、どういう主張をし、どういう証拠を提出するか決める準備をするのです。
刑事訴訟法247条(国家訴追主義)
公訴は,検察官がこれを行う。
~ 不起訴とは ~
他方、不起訴とは文字通り,起訴しないという意味です。起訴権限が検察官に認められているわけですから,起訴するか不起訴にするかの判断も検察官に委ねられています(起訴便宜主義)。不起訴となれば、刑事裁判を受ける必要はありませんし,もちろん刑罰を科されることもありません。また,前科もつきません(前歴は残ります)。たとえ裁判において有罪立証の見込みがあっても、示談締結などの事情を考慮し、起訴猶予(後述)の判断が下されることもあります。
刑事訴訟法248条(起訴裁量(便宜)主義)
犯人の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは,公訴をしないことができる。
= 不起訴の理由は? =
検察官が不起訴と判断するに至った理由の「題名」のことを「裁定主文」といいます。裁定主文でよく目にするのが,「嫌疑不十分」と「起訴猶予」ではないでしょうか?
「嫌疑不十分」とは,検察官が起訴するに足りる証拠が集まっていないと判断したときに裁定するものです。
「起訴猶予」とは,検察官が,証拠から犯罪であることは明らかであるが,犯人の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況から起訴する必要がないと判断したときに裁定するものです。
本件でいうと、AさんがVさんに対して性交したことを裏付ける証拠がなかった、あるいは証拠の証明力が弱いなどという場合は「嫌疑不十分」となる可能性があったと考えられます。他方、AさんがVさんに対して性交したことは明らかであるが、Vさんと示談するなどしてVさんがAさんに対して処罰を求めていないなどという場合は「起訴猶予」となる可能性があったと考えられます。
= いつ決めるの? =
上記のとおり,起訴するか,不起訴にするかの判断は検察官に委ねられていますから,その判断の時期も
検察官の判断(裁量)
に委ねられます。
検察官は,捜査の過程で収集した証拠に基づいて終局処分を決めますが,その証拠の収集には一定程度時間を要しますから,終局処分の判断までにも一定の時間を要します。ただし,身柄事件(逮捕・勾留による身柄拘束を伴う事件のこと)の場合は時間的制約がありますから,在宅事件に比べて証拠収集のスピードがあがり,その分,終局処分を下す時期も早くなります。
= 何を基準に決めるの? =
検察官が収集した証拠
に基づき判断します。そして,検察官は,起訴するだけの証拠が集まったか否かを見極めます。
本件のような性犯罪では、Vさんの供述(証拠)が直接証拠ですから、Vさんの供述の信用性が最も重要となるでしょう。
~ 今後,逮捕,起訴されることはないの? ~
裁判と違って,不起訴処分には,それ以上事件を蒸し返してはいけないという決まりはありません。したがって,不起訴となったからといって,逮捕,起訴されないという保証はありません。
証拠が足りなくて不起訴となったものの(嫌疑不十分),処分後に新たな証拠が出てきた場合や,起訴猶予で不起訴となったものの,処分後に再犯を犯し情状が悪くなった場合などは,再度,逮捕,起訴されることがあります。前者のケースは少ないと思われますが,後者のケースは十分にあり得ることです。したがって,起訴猶予で不起訴となった場合は,それだけで安心せず,その後の生活態度には十分気を付ける必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが、24時間体制で、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。
ヌード撮影で公然わいせつ罪
ヌード撮影で公然わいせつ罪
神奈川県横浜市旭区に住むAさんは、カメラを趣味にしています。
同区に住むBさんは、フリーのモデルで、ヌード撮影をすることもあります。
AさんとBさんは、同市内のホテルでヌード撮影をすることにしました。
ところが撮影中、部屋の窓際で、カーテンを閉めずに撮影していた時間帯があり、外部からBさんの裸が見える状態でした。
目撃者からの通報により、神奈川県旭警察署の警察官が到着し、AさんとBさんは事情聴取されました。
(フィクションです)
~成立する犯罪~
今回のように外から見える状態でヌード撮影をした場合、積極的に外の人に見せようとしていたわけではなくても、見られるかもしれないとの認識さえしていれば、公然わいせつ罪が成立する可能性があります。
刑法第174条
公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
「公然と」とは、不特定または多数人が認識できる状態にあることを指します。
そのため、たとえ行為自体が私的な空間で行われていても、周囲が視認できるような状況であれば公然わいせつ罪に当たる可能性があります。
また、明確な基準があるとはいえませんが、外から性器までは見えないような状態だったのであれば、軽犯罪法違反にすぎない場合もあります。
軽犯罪法
第1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
20号 公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者
第2条
前条の罪を犯した者に対しては、情状に因り、その刑を免除し、又は拘留及び科料を併科することができる。
ちなみに拘留とは1日以上30日未満、刑務所に入れられる刑罰をいい、科料とは千円以上一万円未満が徴収される刑罰をいいます。
また、外から見えるような方法で撮影する目的でホテルを利用することは、ホテル側も許容していないでしょう。
そこで、このような目的でホテルの入ったことは、ホテルの管理者の意思に反する立ち入りとして、建造物侵入罪が成立する可能性も否定はできません。
刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
~今後の事件の流れ~
あくまで制度上の話ですが、犯罪を行った場合には逮捕され、最大3日間の逮捕による身体拘束がされ、さらに勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束が最大20日間された後、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り身体拘束が続く可能性があります。
そこで、逮捕された場合、弁護士はまず勾留されずに釈放されるよう動いていくことになります。
しかし今回のケースでは、事案の性質から逃亡や証拠隠滅の可能性が低いと判断され、このまま逮捕されずに捜査が続くことも考えられます(在宅事件)。
一般的な在宅事件の場合、まずは警察が捜査をし、その後、捜査資料を検察官に送り(書類送検)、検察官が追加の捜査をした上で、被疑者を刑事裁判にかけると判断(起訴)すれば、刑事裁判がスタートします。
被疑者は自宅から警察署や検察庁、裁判所に出向いて、取調べや裁判を受けることになります。
~軽い処分を目指す~
警察としては必要な捜査を終えた後に書類送検するのが原則ですが、軽微な事件では書類送検せずに事件を終わらせることもあります。
これを微罪処分(びざいしょぶん)といい、刑罰を受けるわけではないため前科も付きません。
全ての事件を書類送検していると検察がパンクしてしまいますし、警察の取調べを受けている時点で被疑者が反省しており、さらに刑罰を科す必要はないという場合もあるので、微罪処分となることがあるのです。
微罪処分にするか否かは、犯行内容、被疑者の反省態度、被害者の処罰感情などを考慮して判断されます。
また、書類送検されても、比較的軽い事件では、検察官が起訴しないという判断(不起訴処分)をすれば、刑事手続はそこで終わり、前科も付きません。
また、検察官が起訴するとしても、簡易な手続で罰金刑にする略式起訴を選ぶ場合もあります。
AさんとBさんの場合も、ホテルや通報者にしっかりと反省態度を示して、微罪処分や不起訴処分、略式起訴を目指していくことが考えられます。
~弁護士に相談を~
警察から捜査を受けるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、逮捕されるのか、どのように刑事手続が進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらよいのかなど、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
事務所での法律相談を初回無料で行っております。
また、逮捕されている事件では、ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
法律相談や接見では、上記の不安点などにお答えいたします。
公然わいせつ罪などで捜査を受けたといった場合には、ぜひ一度無料相談や初回接見をご利用ください。
強制わいせつで逮捕
強制わいせつで逮捕
埼玉県川越市に住むAさん。
深夜、人通りが少なくなったアーケードを歩いていると、道の端に、泥酔して座り込んでいる女性を見つけました。
Aさんは、
「お姉さん大丈夫?」
などと声を掛けました。
返事がはっきりしない状態の女性を見たAさんは、
「これ幸い」
などと思い、女性の肩を抱いて、服の上から胸を揉むなどの行為に出ました。
後日、女性の供述や防犯カメラ映像などからAさんの犯行が発覚。
強制わいせつ罪の疑いで捜査が進み、Aさんは埼玉県川越警察署の警察官により逮捕されました。
(フィクションです)
~条例違反か強制わいせつか~
一般に、路上で体に触った場合、電車内での痴漢と同様、①各都道府県の条例違反になる場合と、より重い刑法の②強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪が成立する場合があります。
①と②のどちらに該当するかは、触り方などの犯行方法等によります。
たとえば、すれ違いざまに服の上からお尻を触ったというような場合は、①各都道府県の条例違反となる可能性が考えられます。
一方、服の中に手を入れて体に直接触ったような場合には、暴行を用いて「わいせつな行為」があったとして②強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪となる可能性が高いでしょう。
Aさんの行為は、場合によっては「わいせつな行為」に当たるのではないかと考えられます。
服の上から触っているだけではありますが、肩を抱いて胸を揉んだという方法は、ある程度強い態様での卑猥な行為をしたといえるので、②強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪となる可能性も十分考えられます。
なお②については、被害者が酒に酔うなどの状態により抵抗できないことに乗じて触ったような場合は準強制わいせつ罪に、暴行・脅迫を用いて無理やり行為に及んだ場合は強制わいせつ罪となります。
~罰則は?~
①と②両者の条文と罰則を確認しておきます。
まずは①の条例違反から見ていきます。
埼玉県迷惑行為防止条例(一部抜粋)
2条
4 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人に対し、身体に直接若しくは衣服の上から触れ、衣服で隠されている下着等を無断で撮影する等人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。
罰則は、常習犯ではない場合には、17条1項1号により、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金となります。
常習犯の場合、同条2項により、1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。
前科がある場合には、常習犯として処罰される可能性が上がるでしょう。
一方、②強制わいせつ罪と準強制わいせつ罪は以下のような規定になっており、定められている刑罰もより重くなっています。
刑法第176条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
第178条1項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
~今後の刑事手続きの流れと弁護活動~
逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束されます。
そしてもし検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートします。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。
なお、途中で釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて刑事裁判を受けるという流れになることが考えられます。
弁護士としては、検察官の勾留請求や裁判官の勾留決定を防ぎ、早期釈放を目指します。
また、検察官が起訴しないという判断(不起訴処分)をすれば、刑事手続はそこで終わり、釈放される上に前科も付かないので、被害者と示談を締結するなどして、不起訴処分を目指します。
~示談の重要性~
示談が成立しているか否かは、不起訴処分にするかどうかという検察官の判断などに大きく影響する可能性があります。
前科の有無などにもよりますが、被害者と示談が成立すれば、不起訴処分になることも十分考えられます。
また、犯罪の被害者の方はいつまでも事件にかかわりたくないものですし、損害賠償が受け取れるなら、早く事件を終結させた方が良いと考える方もいらっしゃいます。
そこで、すみやかに被害者の方に賠償し、示談を締結することが重要です。
~弁護士にご相談を~
しかし示談交渉をしようにも、加害者に直接会うことを嫌がる被害者の方もいらっしゃいます。
また、示談金額や示談書の内容をどうしたらよいのか、なんと言ってお願いすればよいのかなど、わからないことが多いと思います。
他にも、逮捕されるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。
条例違反や(準)強制わいせつ罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。
監護者性交等罪の弁護活動
監護者性交等罪の弁護活動
事例:V(18歳)は、実の父であるAと共に、大阪府大阪市浪速区に住んでいた。
Vは,小学校高学年のころから恒常的に,実親であるAにより支配された状態で,性行為を強要されていた。
Vの供述などから捜査を進めた大阪府浪速警察署の警察官は、Aを監護者性交等罪の疑いで逮捕した。
Aの逮捕を知ったAの知人は,性犯罪事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実を基にしたフィクションです。)。
~刑法における新たな性犯罪規定~
2017(平成29年)の刑法改正により,性犯罪規定が刷新され,さらに新たな犯罪類型が規定されるに至りました。
改正刑法第179条1項は,「18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第176条の例(注:強制わいせつ罪の規定。6月以上10年以下の懲役)による」として,監護者わいせつ罪を規定しました。
さらに同2項では,「18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第177条の例(注:強制性交等罪(旧強姦罪)の規定。5年以上の有期懲役)による」として,監護者性交等罪を規定しています。
これらは,暴行・脅迫等の手段を用いなくても,親子関係等の一種の支配関係を利用し性犯罪に及ぶという性的虐待を犯罪として処罰するために創設されたものです(すでに欧米等では立法例がありました。)。
本件では,後者の監護者性交等罪が問題となっています。
上述した改正刑法により、177条(旧強姦罪)の法定刑は,「3年以上の有期懲役」から「5年以上の有期懲役」に引き上げられました。
そのため、監護者性交等罪についても、新設規定ながら厳罰化の影響を受けていることに注意が必要です。
特に本罪のような新設規定に関しては,刑事事件専門でない弁護士は比較的経験が少ないと考えられ,刑事事件専門の弁護士の経験・知識が活かされる場面のひとつということができるでしょう。
監護者性交等罪に関しては,刑罰規定が施行されて間もないわけですが,現実に具体的事件に適用されるに当たって,はやくも「18歳未満」という要件は妥当であったのかなど,本罪を含む性犯罪規定のあり方が問われているところでもあります。
~監護者わいせつ・監護者性交等のおける弁護活動~
まず,これらの犯罪は家族間での性犯罪事件であることから,被害者感情などを含め非常に複雑かつ機微を捉えた弁護活動が必要になってきます。
この点,刑事事件のみを扱う弁護士は,本罪を含めた性犯罪の弁護活動の経験に長けており,十全な弁護活動を行うことが期待できます。
上述の刑法改正における性犯罪の非親告罪化もあり,法律上は告訴取下げがあったとしても,検察官は被疑者を起訴することが可能な状況にあります。
もっとも,性犯罪規定が本質的には被害者の性的自由の保護にある以上は,検察官も被害者感情には十分な配慮をせざるを得ません。
このように性犯罪の弁護活動は新局面を迎えており,ますます刑事事件の専門性が問われうる時代になったということができるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,監護者性交等罪を含む性犯罪の弁護経験を多く有する刑事事件専門の弁護士が所属する法律事務所です。
監護者性交等罪事件で逮捕された方のご知人等は,24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)にまずはお問い合わせください。
初回法律相談:無料
リベンジポルノで告訴
リベンジポルノで告訴
兵庫県神戸市垂水区に住むAさんは,Vさんと交際中、Vさんの承諾を得てVさんのバストが殊更強調された写真、Vさんが下着姿一枚となったVさんの股間部分が殊更強調された写真を撮っていました。そうしたところ、AさんはVさんから突然別れ話を切り出されました。Aさんは,Vさんとよりを戻そうとVさんに何度も説得を試みましたが,Vさんの気持ちが変わることはありませんでした。そこで,Aさんは,Vさんへの恨みを晴らそうと、自身のSNSに上記写真画像をアップしました。そうしたところ、Aさんは兵庫県垂水警察署からリベンジポルノ被害防止法違反で事情を聴きたいととの連絡を受けてしまいました。Vさんの写真画像を見たVさんの知人から事実を知らされたVさんが、垂水警察署に告訴状を提出したようです。Aさんとしては、SNSにアップした写真画像はVさんから承諾を得て撮影したものであったことから、リベンジポルノに当たらないのではないかと納得がいっていません。
(フィクションです)
~ リベンジポルノ被害防止法 ~
リベンジポルノ被害防止法は,正式には「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(以下,法律)」といいます。
リベンジポルノ被害防止法は、2013年10月8日に起きた「三鷹ストーカー殺人事件」をきかっけに制定された法律です。
この事件は、被害者が海外に留学することをきっかけに別れ話を切り出された犯人が、殺害前から被害女性の性的な画像や動画を海外に作成したサーバーを通じてインターネット上で公開していたことでも有名となりました。しかし、当時は、リベンジポルノ被害防止法はなく、当然、裁判では適用されませんでした。
もちろん、リベンジポルノ被害防止法が制定される以前も、リベンジポルノに関しては、名誉毀損罪(刑法230条)、脅迫罪(刑法222条)、わいせつ物電磁的記録媒体公然陳列罪(刑法175条1項)などで処罰されていました(三鷹ストーカー殺人事件でも、差し戻し審(東京地裁)で、わいせつ物電磁的記録媒体公然陳列罪により追起訴されています)。しかし、リベンジポルノ被害防止法の制定によって、改めて「リベンジポルノ」とは何たるかということを明確に定義し、これを拡散させる行為は違法だ、ということを社会に周知させようとしたのです。
~ リベンジポルノとは ~
リベンジポルノ被害防止法では、リベンジポルノを「私事性的画像記録」又は「私事性的画像記録物」と呼んでいます。
「私事性的画像記録(いわゆる写真画像や動画などの電子データ)」又は「私事性的画像記録物(写真、BD、DVD、USBなど)」は、以下に掲げる人の姿態が記録されたものとされています。
1 性交又は性交類似行為にかかる人の姿態
→異性間・同性間の性交行為、手淫・口淫行為など
2 他人が人の性器を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
→性器、肛門又は乳首を触る行為など
3 衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって,殊更に人の性的な部位が強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するもの
→全裸又は半裸の状態で扇情的なポーズをとらせているものなど
注意が必要なのは、
被害者(撮影対象者)が、第三者(撮影をした者、撮影対象者、撮影対象者から提供を受けた者以外の者)が閲覧することを認識した上で、任意に撮影を承諾し又は撮影したもの
は
リベンジポルノから除かれる
とされていることです。よって、被害者が撮影した人に承諾したとしても、それだけをもって「第三者に閲覧されることを認識した上で、任意に撮影を承諾した」とはいえませんから、Aさんはやはり処罰の対象となり得るのです。
~ どんな行為が処罰されるの?刑罰は? ~
リベンジポルノ被害防止法では、大きく「公表罪」と「提供罪」を規定しています。
「公表罪」は、不特定又は多数の者に「私事性的画像記録」又は「私事性的画像記録物」を提供する行為(私事性的画像記録物の場合は公然と陳列する行為も)を処罰する罪で、罰則は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。「提供罪」は、他人に公表させる目的で、「私事性的画像記録」又は「私事性的画像記録物」を提供する行為を処罰する罪で、罰則は「1年以下の懲役又は30万円以下の罰金」です。
いずれの罪も、告訴がなければ公訴を提起される(起訴される)ことがない親告罪です。告訴とは,犯人を処罰してほしいという被害者の意思表示のことをいいます。ですので,仮に示談を成立させるなどして被害者のお気持ちが緩和されれば,告訴を取り消していただく可能性も残されています。告訴が取り消されれば,裁判をするための要件に欠けることから,刑事処分は基本的に不起訴処分となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。
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