強制わいせつ事件で接見

2019-12-23

強制わいせつ事件で接見

強制わいせつ罪接見について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~事例~

Aは夜中,神奈川県川崎市内の人通りの少ない路地で,かねてから目星をつけていた帰宅途中の女性V(20歳)に対して,いきなり服の下から手を入れて胸部を直接触るなどの行為をした。
Vが大きな声を挙げたので,犯行が発覚するのを恐れたAはその場から逃走した。
神奈川県多摩警察署の警察官は,Aを強制わいせつ罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は,性犯罪事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~強制わいせつ罪の構造~

刑法176条は,「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者」および「13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者」を強制わいせつ罪に該当する旨を規定しています。
ここで,まずポイントなのは,被害者が13歳未満か否かで「暴行」「脅迫」要件の有無が異なることです。
本件では,被害者Vは20歳であることから,176条前段が適用されることになり,「わいせつな行為」の手段として「暴行」または「脅迫」が用いられることが必要になります。
そして,ここでいう「暴行」「脅迫」は,相手方の抵抗を著しく困難にする程度のものであると考える見解が支配的です。
ただ、裁判例の中には,被害者の意思に反してわいせつな行為を行うに足りる程度で十分だとするものもあります。

さらに,「わいせつな行為」に関しては,近年判例変更が行われたことに注意が必要です。
最大判平成29年11月29日は,「わいせつな行為」に当たるかは,「その時代の性的な被害に係る犯罪に対する社会の一般的な受け止め方を考慮しつつ客観的に判断されるべき事柄であると考えられる」とし,かつては判例上必要とされていた性的意図の存在は必ずしも必要ない旨を判示しました。
本件のAは,いきなり女性であるVの服の下に手を入れ,胸部等に直接触っています。
このような行為は,客観的に見て「わいせつな行為」と言え,主観的意図を考慮するまでもなく,「わいせつな行為」に当たることになるでしょう。

このように,刑事事件に関しては,条文を見ただけでは必ずしも明らかではない専門知識を要する場面が多々あります。
そのため,適切な判断を下すうえで,専門家である弁護士のサポートが非常に重要となってきます。

~弁護士の弁護活動の端緒たる接見(面会)~

刑事訴訟法39条1項は,憲法34条前段を受けて,「身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者……と立会人なくして接見……することができる」と規定しています。
これが弁護士と被疑者(被告人)の秘密交通権(弁護士と立会人なしで接見する権利)について定めた条文です。
その一方で,39条3項は,「検察官、検察事務官又は司法警察職員」は「捜査のため必要があるときは、公訴の提起前に限り、第1項の接見……に関し、その日時、場所及び時間を指定することができる」と定めています。
これは弁護士による接見を一定の範囲で制限するものであり,かつてはこの接見指定によって,被疑者(被告人)の接見が実質的な妨害にあってきました。
しかし,弁護士による国を相手方として訴訟を提起したりしたことにより,憲法上の権利に由来する秘密交通権(接見)の重要性が確認されるに至ります。
現在では,上述のような実質的な妨害事例はほとんど見られなくなったといわれています。
このような弁護士の不断の努力により,現在では,逮捕段階から弁護士によるスムーズな接見が可能になっています。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,強制わいせつ事件を含む性犯罪などの刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
弊所では民事を扱わず,刑事事件に注力することで,機動的かつ専門的な刑事弁護を実現することを可能としています。
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