未成年に対する誘拐事件の弁護活動

2019-12-13

未成年に対する誘拐事件の弁護活動

今回は、未成年者をわいせつ目的で誘拐、監禁し、わいせつな行為をするなどした場合に成立する犯罪及びこれに対する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

大阪府吹田市に住むAさんは、自宅近くの通学路において、V(8歳女子児童)に対し、「家に来てゲームやおもちゃで遊ばないか」などと甘言を弄し、自家用車に乗せたあと、自宅に連れ帰って、わいせつな行為をするなどしました。
AさんはVを帰宅させず、3日ほど外から施錠した部屋に監禁するなどしていたところ、Vは隙を見て110番通報し、Vは大阪府吹田警察署の警察官に保護されました。
Aさんは外出中でしたが、警察官はAさんの帰宅を待ち、わいせつ目的誘拐罪などの疑いで逮捕しました。(フィクションです)

~ケースの場合に成立する犯罪~

ケースの犯罪は極めて悪質なケースと評価されるでしょう。
テレビ、新聞やインターネットにおいて、繰り返し報道されることが予想されます。
また、逮捕勾留が長引き、再逮捕再勾留もされ、起訴される可能性も高いです。
ケースの場合にはどのような犯罪が成立しうるのでしょうか。

(甘言を弄してVを自家用車に乗せる行為)
わいせつ目的誘拐罪(刑法第225条)が成立する可能性があります。
Aさんは、Vにわいせつな行為を行う目的で、甘言を弄し、Vを連れ去っています。
「誘拐」とは、他人をその生活環境から不法に離脱させ、自己又は第三者の事実的支配下に置く行為のうち、偽計・誘惑を手段とするなど人に誤った判断をさせて行う場合をいいます。

Aさんは、Vにわいせつな行為を行うことを隠して、甘言を用いて誘惑し、Vを車に連れ込んでいます。
この行為はわいせつ目的誘拐罪を構成する可能性が高いでしょう。

また、Aさんが走らせる車に乗せ続ける行為も、別に監禁罪を構成する可能性があります。

(Vに対するわいせつな行為)
強制わいせつ罪が成立する可能性があります。
13歳未満の者に対しわいせつな行為を行った場合は、暴行・脅迫、被害者の同意の有無を問わず、強制わいせつ罪が成立します(刑法第176条後段)。

(部屋への監禁)
Vを3日ほど外から施錠した部屋に閉じ込める行為は、監禁罪を構成する可能性があります。
「監禁」とは、人が一定の区域から出ることを不可能又は著しく困難にしてその行動を奪うことをいいます。
外から施錠した部屋に3日もの間、Vを閉じ込めておく行為は「監禁」に該当する可能性が高いと思われます。

~Aさんに想定される弁護活動~

(公判請求を踏まえた弁護活動)
前述の通り、Aさんに対する被疑事実はかなり悪質なもので、成否が検討される犯罪類型も、罪の重いものがほとんどです。
Aさんの犯行を立証できる限り、検察官が不起訴処分を行う可能性は低いと考えられます。
また、いずれの罪も懲役刑しかないため、罰金・科料の言渡しを前提として簡便に手続を終了させる「略式手続」をとる可能性も考えられません。
検察官は、懲役刑の求刑を前提として、「公判請求」という形で起訴してくるものと思われます。
そのため、捜査段階から、起訴・公判を視野に入れた弁護活動が重要です。

(執行猶予判決の獲得を目指す)
Aさんに懲役刑などが言い渡される場合であっても、Aさんに前科がなく、言い渡された懲役刑が3年以下であった場合は、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予される場合があります。
ただし、上記に検討したすべての罪につき起訴されてしまった場合において、執行猶予付判決を獲得するためには、被害者との示談はほとんど不可欠と思われます。
もしV(実際にはVの法定代理人)と示談を成立させることができなければ、実刑判決が十分予想されます。
Aさんの弁護士は、Vとの示談交渉を尽くし、より軽い量刑による判決の獲得を目指すことになるでしょう。

また、Aさんの日頃の行動を監督できる人物(家族など)がいれば、責任をもってAさんを監督する旨法廷で証言してもらうことも考えられます。

さらに、性犯罪を再び起こすことが無いよう、治療に努めることも重要です。

以上のように、世間の耳目を集める重大事件であっても、Aさんのためにできる弁護活動があります。
まずは弁護士と相談し、事件解決に向けたアドバイスを受けましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族がわいせつ目的誘拐、強制わいせつ、監禁事件を起こしてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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