監護者わいせつ罪で逮捕

2019-12-08

監護者わいせつ罪で逮捕

監護者わいせつ罪逮捕されてしまった場合について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~事例~

兵庫県三木市にある福祉施設で働く職員Aは,福祉施設に入所していた女性V(15歳)に対し,わいせつな行為を行った。
Vが同施設の他の職員および警察に相談したことにより上記事実が発覚した。
兵庫県三木警察署の警察官は,Aを監護者わいせつ罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は,性犯罪事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~監護者わいせつ罪とは~

刑法は,179条において「18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第176条の例による」ことを規定しています。
これは,平成29年の刑法改正によって新設された性犯罪規定です。
上記条文が引用している176条とは,強制わいせつ罪を定めたものです。
もっとも,強制わいせつ罪(176条1項)については,被害者が13歳以上である場合,「暴行又は脅迫」を用いて「わいせつな行為」をすることが犯罪の成立要件になっています(13歳未満であるときは暴行・脅迫要件は不要・同2項)。
ここで,13歳以上である場合には,強制わいせつ罪の成立には暴行・脅迫要件が必要であるにもかかわらず,改正前の刑法では,特に18歳未満のまだ幼い子どもの場合には心理的に抵抗できずにわいせつ行為の被害にあうようなケースにおいて,いわば処罰の間隙が生じていました。
このようなケースは,特に親族間や同居者間で生じることが少なくないことから,「その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて」わいせつ行為を行った者は強制わいせつ罪と同様に処罰することにしたのです。
これが今般の改正によって新設された監護者わいせつ罪です(同時に監護者性交等罪も新設されています)。

179条では,暴行・脅迫要件が不要とされている代わりに,「現に監護する者」が,その「影響力があることに乗じて」わいせつ行為をおこなったことが必要となります。
「現に監護する者」とは,経済的・精神的な観点から依存関係や保護関係とその継続性が認められる者をいうと解されています。
本件Aは,Vの親族等ではありませんが,福祉施設の職員としてVに対する上記観点からの依存・保護関係があるといえれば「現に監護する者」に当たる可能性があると言えます。
仮にそうであれば,「影響力があることに乗じて」わいせつ行為を行ったと言える場合,監護者わいせつ罪の成立が認められると考えられます。

なお,上記平成29年改正により,いわゆる性犯罪全般が非親告罪となった,つまり被害者の告訴が起訴(検察官が事件を裁判にかけること)の要件でなくなったことにも注意が必要です。

~性犯罪事件における弁護活動~

強制わいせつ罪,旧・強姦罪(現・強制性交等罪)等の性犯罪においては,被害者と示談することが何よりもまず重要といえます。
しかし,監護者わいせつ(性交等)罪という特殊かつ新しい犯罪類型に関しては,必ずしも従来の性犯罪における弁護活動が妥当しない場面が生じてくると考えられます。
上述したように,監護者わいせつ(性交等)罪が典型的に想定する親族間におけるわいせつ行為(いわゆる性的虐待)の場合には,親族間での問題ということもあり,示談等の成立に向けては通常の性犯罪以上に機微を捉えた弁護活動が必要となってくることは間違いないでしょう。
また本件のように,監護施設の職員による犯行の場合,まだ被害者が幼いこと,被害者に身寄りがないこと等が考えられることから,どのように情状弁護活動を行っていくかは最新犯罪に対する知見と経験が不可欠です。

この点,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,監護者わいせつ罪を含む性犯罪事件などの刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
監護者わいせつ事件逮捕された方のご家族等は,年中無休の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までまずは一報していただくことをおすすめいたします。
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