公然わいせつ事件で不起訴処分を目指す

2019-12-03

公然わいせつ事件で不起訴処分を目指す

今回は、公然わいせつ事件における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

Aさんは、交際相手である女性A2と、深夜に京都府綾部市内の公園において性交をしました。
しかし、公園近くを通りかかった人に目撃されてしまい、警察に通報されてしまいました。
現場に駆け付けた京都府綾部警察署の警察官は、Aさんらを公然わいせつ罪現行犯として逮捕しました。(フィクションです)

~公然わいせつ罪について解説~

公然わいせつ罪は、その名の通り、公然とわいせつな行為をする犯罪です(刑法第174条)。
法定刑は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料となっています。

(公然性)
「公然」とは、わいせつな行為を不特定または多数人が認識し得る状態をいいます。
現実に不特定または多数人が認識したことは必要でなく、認識する可能性があれば足ります。

(わいせつな行為)
「わいせつな行為」とは、行為者又はその他の者の性欲を刺激興奮又は満足させる動作であって、普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するものをいいます。
わかりにくいですが、典型例として、公然と陰部を露出することが挙げられます。
ケースのような性交も、わいせつな行為と評価される可能性が高いと思われます。
ちなみに、公然わいせつ罪は秩序や風俗といった公共の利益に関わる罪であることから、「わいせつな行為」の範囲は強制わいせつ罪におけるそれと必ずしも一致しないと考えられています。
そうした差が表れる例として、公共の場で他人にキスをしたというケースが挙げられます。
こうした行為は、強制わいせつ罪における「わいせつな行為」に当たると考えられる一方、公然わいせつ罪における「わいせつな行為」に当たるとは考えられていません。

~逮捕後、Aさんはどうなるか?~

公然わいせつ罪の現行犯として逮捕された後は、警察署に引致され、取調べを受けることになります。
留置の必要が認められると、逮捕時から48時間以内に、検察庁へ送致されます。

検察庁においては、検察官が取調べを行い、身柄を受け取った時から24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内に、Aさんの勾留を請求するか、釈放するか、あるいは起訴するかを決めます。

検察官が行った勾留請求の当否を判断するのは裁判官です。
裁判官は、勾留の要件(罪証隠滅のおそれ、逃亡の恐れなど)を審査し、勾留の要件を満たしていると考えた場合は、勾留決定を出します。
勾留の要件を満たさないと判断した場合は、勾留請求を却下します。
勾留請求が却下された場合は、釈放されます。

勾留決定が出ると、10日間勾留されます。
やむを得ない事由があると認められると、さらに最長10日間勾留が延長されます。

検察官は、勾留の満期日までにAさんを起訴するか、あるいは不起訴にするか、または、処分を保留して釈放するかを決めなければなりません。

~公然わいせつ罪で不起訴処分を目指す~

不起訴処分を目指すための手段として、被害者と示談交渉を行うことが考えられます。
ただ、公然わいせつ罪は社会的法益に対する罪なので、被害者は社会全体であり、傷害罪窃盗罪におけるような真の意味での被害者はいません。
そこで、目撃者を実質的な被害者と考え、示談交渉を行うことが考えられます。
もっとも、本来の被害者ではないため、そもそも示談に応じられないこともありますし、仮に示談に応じたとしても検察官がこれを重視しない可能性があります。

その場合は、弁護士会などの団体に対して寄付を行う「贖罪寄付」によって、反省の意思を示すことが考えられます。
示談交渉贖罪寄付の有効性については、接見にやってきた弁護士に相談することをおすすめします。

~弁護士に身柄解放活動を依頼~

今回は、共犯者であるA2が存在します。
この場合、捜査が複雑になることから、勾留の可能性が高まり身体拘束の期間が伸びる可能性があります。
身体拘束が長期化すると、Aさんの社会復帰に対して悪影響を与えます。
弁護士に依頼して、なるべく早く釈放されるよう活動してもらうことをおすすめします。
事件の内容が解明されている、AやA2に住居や職がある、事件解決までAとA2の間で連絡を取らないよう監督する身元引受人を用意することができる、などの条件が揃った場合には、早期の身柄解放を実現できる可能性が高まります。
是非、身柄解放活動のご依頼をご検討ください。

~不起訴処分を目指す~

上記の弁護活動が功を奏し、検察官が不起訴処分を行えば、Aさんは裁判にかけられずにすみます。
裁判にかけられない以上、有罪判決を言い渡されることはないので、前科が付かずにすみます。
弁護士のアドバイスを受けながら、不起訴処分の獲得を目指していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、公然わいせつ事件についてもご相談いただけます。
ご家族が公然わいせつ事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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