強制わいせつ事件で示談

2020-01-07

強制わいせつ事件で示談

今回は、強制わいせつ行為が事件化する前に示談を行う効果について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

大学生のAさん(20歳)は、同じ大学に通う女子学生Vと一緒に福岡県筑後市内のカラオケ店に行きました。
AさんとVは同じ部屋で交互に歌うなどして遊んでいましたが、Aさんはある時、Vに対して劣情を催し、Vの胸に手を入れ、また、陰部に触れるなどしてしまいました。
Vは抵抗しましたが、特に通報するようなことはありませんでした。
Vと別れた後、Aさんは事件化する可能性を不安に感じ、弁護士と相談することにしました。(フィクションです)

~Aさんに成立する犯罪~

強制わいせつ罪が成立する可能性が極めて高いと思われます。

強制わいせつ罪とは、13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をする犯罪です。
13歳未満の者に対しては、暴行・脅迫を行わなくても、また、同意があったとしても、わいせつな行為を行えば、強制わいせつ罪が成立します(刑法第176条)。

(暴行)
身体に対する不法な有形力の行使をいい、被害者の意思に反してわいせつ行為を行うに足りる程度の暴行であれば足ります。
したがって、被害者を殴打、足蹴してわいせつな行為を行う場合はもちろん、着衣を引っ張ったりしてわいせつな行為を行う場合にも、強制わいせつ罪が成立する可能性があります。

また、不意に被害者の胸に手を入れるなど、暴行自体がわいせつな行為にあたる場合であっても該当することがあります。

(脅迫)
脅迫とは、害悪の告知を意味します。
「静かにしないと殺す」「抵抗したら裸の写真をばらまく」などがこれに当たる可能性があります。

(わいせつな行為)
わいせつな行為の典型例として、陰部に手を触れたりすること、自己の陰部を押し当てること、女性の乳房を弄ぶことなどがあげられます。
Aさんの行った「Vの胸に手を入れる行為」、「Vの陰部に触れる行為」は「わいせつな行為」に該当する可能性が極めて高いでしょう。

今回のAさんは、それ自体暴行と評価されうる「Vの胸に手を入れる行為」により「わいせつな行為」をしたものということができます。
したがって、Aさんは、Vに対し、強いてわいせつな行為をしたものと考えられるので、強制わいせつ罪が成立する可能性は極めて高いと思われます。

~現在のAさんができること~

結局被害者であるVに通報されず、刑事事件化していないという場合であっても、Aさんにできることはあります。
Aさんは事件化することを危惧しているので、事件化しないように弁護活動を展開する必要があります。

そのためには、Vと示談をすることが考えられます。
示談とは事件に関する当事者の合意であり、被害者に対する金銭の支払いや謝罪が本質的な要素と言えます。
強制わいせつ事件における示談金はいくらか、という点は、事例によって異なると言わざるを得ません。
弁護士に事件の詳細を伝え、おおよそ妥当と考えられる金額についてアドバイスを受けるのが賢明です。

示談する場合の条件として、告訴をしない、被害届を取り下げる、などの条項を盛り込むこともできます。
このような条件を盛り込めるかどうかは、交渉の巧拙や被害者の人格などにより大きく異なります。
もし上記のような条項を盛り込むことができれば、刑事事件化して逮捕されるなどの不利益を被るリスクをなくせる可能性があります。

示談交渉はAさん自身でも行うことができますが、可能な限り弁護士をVとの間に立たせて交渉を行うことをおすすめします。
なぜなら、Vと接触することにより、Vの気分を害するなど事態を悪化させてしまう、不当に高い示談金を要求されてしまう、示談として意味のない合意をしてしまうなどのリスクがあるからです。
また、そもそも加害者であるAさんとは一切接触しないことも考えられます。

一方、第三者であり、法律、示談交渉のプロである弁護士を間に立たせれば、上記の様なリスクを低減させることができます。
Aさんのような事件を起こしてしまい、お困りの方は、より有利に示談を成立させることを目指すために、是非、弁護士に依頼することをご検討ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ケースのように、警察が介入するなどして事件化する前の段階であっても、事件解決に向けて行動できることがあります。
強制わいせつ事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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