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強制わいせつ罪で逮捕
強制わいせつ罪で逮捕
強制わいせつ罪で逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~今回のケース~
東京都稲城市在住のAさん(40歳)は、市内で整骨院を経営しています。
ある日Aさんは、Aさんの整骨院に施術を受けに来ていた小学6年生のVさん(12歳)に対し、12歳と分かっていながら施術とは関係なく陰部を触るなどの行為をしました。
数日後、警視庁多摩中央警察署の警察官がAさんのもとへやってきて、強制わいせつ罪の疑いでAさんを逮捕してしまいました。
Aさんの奥さんは、今後の対応について刑事事件に強い弁護士事務所に相談することにしました。(フィクションです。)
~強制わいせつ罪の可能性~
刑法 第176条 強制わいせつ罪
13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
〇行為
①被害者が13歳以上である場合
被害者が13歳以上である場合、「わいせつな行為」の際に、「暴行又は脅迫」という手段を用いることが必要となります。
「暴行」とは「正当な理由なく被害者の意思に反してその身体に有形力を行使すること」とされています。
「脅迫」とは「害悪の告知」のことを言います。
そして、強制わいせつ罪における「暴行」や「脅迫」は「相手方の犯行を著しく困難にする程度のもの」であることが必要であるとされています。
②被害者が13歳未満である場合
一方、被害者が13歳未満(12歳以下)である場合は、暴行や脅迫といった手段が無かったとしても、「わいせつな行為」を行った時点で強制わいせつ罪が成立することになります。
〇わいせつ
判例によると、「わいせつ」という言葉の定義は、公然わいせつ罪(刑法174条)、わいせつ物頒布等罪(刑法175条)と同様に「性欲を刺激、興奮又は満足させ、かつ、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為」をいうとされています。
しかし、強制わいせつ罪は、公衆の性的風俗ではなく、個人の性的自由を保護するために制定されているため、他の犯罪よりも、「わいせつな行為」として認められる範囲は広くなると考えられています。
〇性的意図
これまで、強制わいせつ罪においては、「性的意図(自己の性欲を刺激・興奮させ、又は満足させる意図)」が必要か否かについて議論されてきました。
しかし、平成29年の最高裁判所の判例では、「性的意図は必須の要件ではない」と判断されました。
そのため、性的意図が無く、単に相手に嫌がらせをするためにしたわいせつな行為であったとしても、強制わいせつ罪が成立する可能性があります。
〇今回のケース
被害者であるVさんは12歳であり、②被害者が13歳未満である場合、に該当します。
そのため、Aさんは、手段を問わず「わいせつな行為」を行った時点で強制わいせつ罪が成立するということになります。
そして、施術と関係なく下半身を触る行為は「わいせつな行為」にあたると判断される可能性が高いです。
そうすると、Aさんには強制わいせつ罪が成立すると考えられます。
ちなみに、仮に今回のようなケースでVさんが13歳以上だったとしても、施術中にわいせつな行為を行っていれば準強制わいせつ罪に当たる可能性があります。
~強制わいせつ事件における弁護士の対応~
強制わいせつ罪の法定刑は、6月以上10年以下の懲役となっており、法定刑の中でも重い方に位置します。
そのため、一般的に逮捕・勾留される可能性が高いと言えるでしょう。
そこで、ご家族の方は、刑事事件に強い弁護士に、接見を依頼することをおすすめします。
接見とは、弁護士が留置施設まで行き、身体拘束されている方と面会することを言います。
弁護士は、身体拘束されている方に今後の見通しや取調べの対応方法等をアドバイスすることができます。
また、弁護士は身体拘束されている方の早期釈放を目指した活動や、被害者との示談交渉による刑事処分の軽減を目指す活動を行うことが出来ます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が無料法律相談や初回接見サービスをおこなっております。
無料法律相談や初回接見サービスの予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、東京都稲城市の強制わいせつ事件でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。
わいせつ電磁的記録媒体陳列罪で逮捕
わいせつ電磁的記録媒体陳列罪で逮捕
わいせつ電磁的記録媒体公然陳列罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ ケース ~
Aさん(女性)は、自分の性器を撮影したわいせつな動画ファイルを、インターネット上の動画サイトのサーバーコンピューターに送信し、動画サイト利用者が閲覧可能な状態にしたとして、警視庁富坂警察署の警察官によりわいせつ電磁的記録媒体陳列罪の容疑で逮捕されました。
逮捕されたAさんの身を案じたAさんの家族は、刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼することにしました。
(事実を基にしたフィクションです。)
~ わいせつ電磁的記録媒体陳列罪 ~
わいせつ電磁的記録媒体陳列罪は刑法175条1項に規定されています。
刑法175条1項
わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
「文書」とは本など文字によって表示されるもの、「図画」とは写真、絵画など象形的方法によって表示されるものをいいます。
なお、かつては、わいせつな「文書、図画その他の物」だけが規定されていました。そこで、フロッピーディスクやコンピューターのハードディスクなどが「文書、図画その他の物」に含まれるのかどうかという点が問題となっていました。しかし、平成23年改正により、規定に「電磁的記録に係る記録媒体」と明記されこの問題は解消されました。
「電磁的記録に係る記録媒体」にはフロッピーディスクやコンピューターのハードディスクの他にも、BL・DVD・CD、USBメモリー、フラッシュメモリー、インターネット上のサーバー、ビデオカセットテープなどが含まれます。
「わいせつ」とは、徒らに性欲を興奮または刺せしめ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道徳観念に反するもの、をいいます。
したがって、刑法175条1項で禁止される行為は
・「わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物」を「頒布」、「公然と陳列した」こと
・「電気通信の送信により」「わいせつな電磁的記録その他の記録」を「頒布」したこと
となります。
「頒布」とは、不特定又は多数人に対して有償又は無償で交付することをいいます。
そのため、特定の人に対して1回限りで交付することは「頒布」には当たりません。
もっとも、特定の1人に対する1回限りの交付であっても、反復継続して交付する意思があれば、「頒布」に当たりうると判断した裁判例があります。
また、「頒布」と言えるためには、現実に交付・引き渡しがされることが必要であり、例えば、わいせつ物を郵送したが、配送途中の事故により相手方に到達しなかったという場合には、「頒布」には当たらないことになります。
「公然と陳列」とは、不特定又は多数の者が閲覧することができる状態に置くことをいいます。
そのため、特定少数人のみが閲覧できるという状態にすぎない場合には、原則として「公然と陳列」には当たらないことになります。
しかし、特定少数人のみが閲覧できる状態にすぎない場合であっても、これが不特定多数の者を勧誘した結果、たまたま特定少数人のみが閲覧しただけに過ぎないという場合(例えば、わいせつな映像を上映しようと思い、映画館に不特定多数の者を勧誘したが、結果として小数人しか来ず、小数人しか閲覧しなかったという場合)には、例外的に「公然と陳列」に当たりうると判断した裁判例があります。
本件では、サーバーコンピューターが「電磁的記録に係る記録媒体」に当たります。
また、そのサーバーに不特定又は多数の者がアクセス可能な状態であれば、「公然と陳列した」ことにも当たるでしょう。
そうすると、やはりAさんにはわいせつ電磁的記録媒体陳列罪が成立すると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、児童ポルノをはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。ご家族が刑事事件で逮捕され、お困りの方は、0120-631-881までお気軽にお電話ください。土日・祝日を問わず、専門のスタッフが24時間、無料法律相談、初回接見のご予約を承っております。
12歳の男性への強制性交等致傷事件
12歳の男性への強制性交等致傷事件
12歳の男性への強制性交等致傷事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事件】
Aさんは神奈川県川崎市にある人通りの少ない通りに面した公園で,夜半,Vさん(当時12歳)の肛門に陰茎を挿入し射精しました。
この事件でVさんは肛門裂傷を負いました。
帰宅したVさんから事件を聞いたVさんの両親は,神奈川県川崎警察署に告訴しました。
数日の捜査活動の後,Aさんは強制性交等致傷罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです)
【強制性交等致傷罪】
強制性交等罪(旧称:強姦罪)については,刑法第177条に規定があります。
刑法第177条
13歳以上の者に対し,暴行又は脅迫を用いて性交,肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は,強制性交等の罪とし,5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し,性交等をした者も,同様とする。
以前は暴行・脅迫を用いて性交することのみが強姦罪として処罰対象となっていましたが,2017年の改正により肛門性交や口腔性交を行った場合も強制性交等罪として処罰されるようになりました。
一般に,強制性交等罪での暴行・脅迫は,相手方の反抗を抑圧する程度のものでなければならないとされています。
「反抗を抑圧する」とは,物理的・精神的に反抗できない状態にすることを意味します。
そうすると,強制性交等罪の要件である暴行・脅迫は,少なくとも被害者の反抗を著しく困難ならしめる程度の強度が必要であるように思われます。
ですが,実際は相手方の意思に反するという事実が認められれば,暴行・脅迫があった場合,それは相手の反抗を抑圧する暴行・脅迫であると扱われる傾向が強いです。
ですので,暴行・脅迫の程度が必ずしも強制性交等罪の成否の分水嶺となるわけではない点に注意が必要です。
ここで,相手に対する強制があった場合で,容易に抵抗できたと考えられるのに現実には抵抗がされなかったという理由で,強制性交等罪が要求する程度の暴行・脅迫がなかったと無罪を言い渡されたり訴追されなかったりするという意見があります。
たしかに過去にそのような判断が下されたこともありました(最判平成23・7・25判タ1358号79頁など)が,性犯罪被害者が被害に遭った際に容易には抵抗できない心理状態にあることなど種々の事情から当該被害者にとって抵抗が困難であると認められた際には,比較的軽微な暴行・脅迫しかなかったとしても反抗を抑圧する程度のものであったと認められるケースも存在します。
しかしながら今回の事件では,被害者が12歳であるため暴行・脅迫の要件は必要とされません。
AさんはVさんの肛門に陰茎を挿入しており性交等の行為が認められるため,刑法第177条後段の規定により強制性交等罪が成立するものと考えられます。
そして,強制性交等罪に当たる行為に伴って相手に傷害や死亡結果を発生させてしまった場合,強制性交等致死傷罪に問われる可能性があります。
刑法第181条第2項
第177条,第178条第2項若しくは第179条第2項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し,よって人を死傷させた者は,無期又は6年以上の懲役に処する。
Aさんは性交等を行うにあたって,Vさんに肛門裂傷の傷害を負わせていますので,強制性交等罪ではなく強制性交等致傷罪に問われる可能性が高いといえます。
【強制性交等致傷事件の弁護方針】
強制性交等罪および強制性交等致傷罪の被疑者から事件の依頼を受けた弁護士は,不起訴や執行猶予の獲得や刑罰の減軽を目指すことになるでしょう。
被疑者が逮捕・勾留されている場合は,被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがないことなどを主張し,勾留の決定や継続の阻止を図ることも考えられます。
これらのための活動としては,被害者と示談を成立させるために示談交渉していくことが挙げられます。
ただし,強制性交等罪のような性犯罪の場合,加害者が被害者(またはその保護者)に謝罪をしようとしても接触を拒まれることが非常に多いです。
そのため,加害者やそのご家族が直接示談交渉することも非常に困難を伴います。
示談交渉に時間を取られてしまうと,その間に刑事手続が進んでしまい,依頼者にとって不利益な結果につながる可能性が高くなってしまいます。
特に今回の事件のように,被害者が未成年であった場合は交渉のテーブルにつくことすらままならないことも多いです。
もし強制性交等罪などの性犯罪の被疑者となってしまった場合は,早急に刑事事件に強い弁護士に事件を依頼することを強くお勧めします。
弁護士が間に入ることで話を聞いてくれる被害者の方も少なくありません。
さらに,強制性交等致傷事件は非常に刑罰が重いため,起訴されてしまえば執行猶予を獲得することも困難なうえ,裁判員裁判の対象にもなります。
弁護士に相談し,どういった処分が見込まれ,どういった活動が有効なのかを聞いてから,迅速に対応を決めていくことが求められることになるでしょう。
強制性交等罪や強制性交等致傷罪の被疑者となってしまった方,ご家族やご友人が神奈川県川崎警察署に逮捕されてお困りの方は,刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお早めにご相談ください。
初回法律相談:無料
リベンジポルノで告訴取り下げ
リベンジポルノで告訴取り下げ
リベンジポルノと告訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ ケース ~
埼玉県熊谷市在住のAさんは、ある日突然、交際していたVさんから別れ話を切り出されました。これに納得のいかなかったAさんは、何とかしてVさんに恥をかかせてやりたいと思い、Vさんと交際していた際に同意のもとで撮影したVさんの全裸の写真を、インターネット上にアップしました。ところが、Aさんは、埼玉県熊谷警察署の警察官によって家宅捜索を受け、そのままリベンジポルノ被害防止法違反の容疑で逮捕されてしまいました。インターネット上にVさんの写真がアップされていることを友人から聞かされたVさんが、熊谷警察署に通報・相談し、告訴状を提出したようです。突然の逮捕に驚いたAさんの家族は、刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです)
~ リベンジポルノ被害防止法とは ~
リベンジポルノ被害防止法は、正式名称「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(以下、法律)」といいます。
交際中に撮影した元交際相手や元配偶者の裸などの性的画像を撮影された人の同意なく、インターネット上に公表する(いわゆるリベンジポルノ)などの嫌がらせ行為により、被害者が長期にわたり多大な精神的苦痛を受ける事件が増えています。
この法律が施行されたのは2014年で、東京都三鷹市で起きた「三鷹ストーカー殺人事件」という事件がきっかけとなって作られました。
~ 私事性的画像(リベンジポルノ)とは? ~
法律では、リベンジポルノのことを私事性的画像(記録あるいは記録物)、と呼んでいます。
「私事性的画像」とは、
撮影された人が第三者に見られることを認識せずに撮影された
①性交・性交類似行為
②他人が撮影対象者の性器等を触る行為又は撮影対象者が他人の性器等を触る行為で、性欲を興奮、刺激するもの
③衣服の全部又は一部を着けない姿態で、殊更に性的な部位が露出され又は強調されているもので、かつ、性欲を興奮、刺激するもの
を指します。
~ どんな行為が処罰されるの? ~
法律3条に規定されています。
= 公表罪(法律3条1項、2項) =
行為:第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、私事性的画像を不特定又は多数の者に提供すること
→「第三者が撮影対象者を特定することができる方法」での提供が必要ですので、たとえば「顔が写っていないなどの理由で撮影対象者本人にしか被写体がわからない」というケースでは、公表罪は成立しないと考えられます。また、「提供」とありますが、その概念は広く、LINEグループに送信する、FacebookやTwitterなどのSNSに投稿する行為も「提供」に当たります。
罰則:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
= 公表目的提供罪(法律3条3項) =
行為:法律3条1項、2高の行為をさせる目的で、私事性的画像(リベンジポルノ)を提供すること
→たとえば、知人に拡散させる目的で、その知人に私事性的画像記録(リベンジポルノ)をLINEなどで送信することなどがあります。上記と異なり、「不特定又は多数の者」との文言がありませんから、本項では特定人から特定人への「提供」行為が処罰の対象となります。
罰則:1年以下の懲役又は30万円以下の罰金
~ 告訴取り下げなら ~
公表罪も公表目的提供罪も、被害者の告訴がなければ公訴を提起できない(起訴できない)親告罪です。したがって、既に捜査機関に告訴状が提出されている場合でも、被害者が公訴提起前に告訴を取り消せば、刑事処分は必然的に「不起訴」となります(仮に起訴すれば違法です)。被害者に告訴を取り消していただくには、まずは真摯に謝罪し、示談交渉をはじめることが有用です。また、既に拡散してしまった画像データをどう消去するのかなどといった点も大切となるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、リベンジポルノ事案をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。お困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までご連絡ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。
準強制わいせつ事件で示談
準強制わいせつ事件で示談
準強制わいせつ罪と示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ ケース ~
大阪府大阪市に住む会社員のAさんは、市内にある公園に通りかかった際、公園のベンチで横たわっている女性Vさんを見つけました。AさんはVさんの様子が気になってVさんに近づくと、明らかにVさんから酒臭がし、Vさんの全身が真っ赤に火照っていたことから、Vさんが酒に酔っているのだろうということが分かりました。ところが、Aさんは、Vさんの胸元が開いており、今にもVさんの乳房が見えそうだったことから劣情を催し、周囲に人もいなさそうだったことから右手をVさんの上着の中に入れ、Vさんの胸を触りました。そうしたところ、Aさんは、偶然近くを通りかかった付近を巡回中の大阪府住吉東警察署の警察官にその行為の一部を見られ、事情を話したところ、準強制わいせつ罪で現行犯逮捕されてしまいました。Aさんの逮捕の通知を受けた妻が、弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです。)
~ 準強制わいせつ罪 ~
準強制わいせつ罪は刑法178条1項に規定されています。
刑法178条1項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
「176条」は強制わいせつ罪の規定です。「例による」とは、法定刑をその罪と同様とする、という意味です。ですから、「第176条の例による」とは、法定刑を強制わいせつ罪と同様、6月以上10年以下の懲役とする、ということになります。「準」とついていますから、一見すると強制わいせつ罪よりも刑の重さが軽そうですが、実は変わりませんから注意が必要です。
「心神喪失」とは、精神上の障害によって正常な判断を失っている状態をいいます。具体的には、熟睡、泥酔・麻酔状態・高度の精神病などがこれに当たります。責任能力における心神喪失(刑法39条1項)とは若干意味が異なります。
「抗拒不能」とは、心神喪失以外の理由によって心理的・物理的に抵抗することが不可能又は著しく困難な状態をいいます。睡眠中、泥酔中、麻酔中、催眠状態など、心神喪失以外の理由でわいせつな行為をされていることを認識していない場合がこれに当たります。
「(心身喪失・抗拒不能に)乗じる」とは既存の当該状態を利用することをいいます。当該状態を作出した者とわいせつ行為をした者が同一であることは必要ではありません。ただし、この場合、本罪が成立するには、わいせつ行為をした者が、被害者が当該状態にあることを認識しておく必要があるでしょう。本件では、AさんがVさんを泥酔状態にさせたわけではありませんが、Vさんが当該状態にあることを認識しつつわいせつ行為に及んでいることが認められますから、Aさんの行為は、心神喪失に乗じ、わいせつな行為をしたことに当たる可能性が高いでしょう。
「(心神喪失・抗拒不能)にさせる」手段には制限はありません。麻酔薬、睡眠薬の投与・使用、催眠術の施用、欺罔などはいずれもその手段となり得るでしょう。
~ 準強制わいせつ罪と示談 ~
罪を認める場合は、一刻も早く被害者と示談交渉を進めることが肝要です。
示談交渉を進めているということは、基本的に罪を認めていることが前提で、その結果罪証隠滅のおそれはないと判断され、早期釈放に繋がりやすくなります。
また、示談が成立すれば、被疑者に有利な情状として考慮され、不起訴獲得の可能性が高くなります。被害者様から「被疑者を処罰しないで欲しい」などという宥恕条項を獲得できれば、その可能性はさらに上がることとなるでしょう。
示談交渉は弁護士にお任せください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが、24時間体制で、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。
アイドルに対するストーカー行為
アイドルに対するストーカー行為
アイドルに対するストーカー事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ケース~
兵庫県三田市に在住する無職のAさん(32歳)は、亀岡市を中心に活動している現役高校生アイドルBの大ファンであり、アイドルBが出演するライブやトークショーに欠かさず参加し、Bのファンクラブにも所属していた。
アイドルBは高校2年生のデビュー当時から、清純派アイドルとして売り出しており、ライブやトークショーでもファンたちに対し、「今までに彼氏はいたことがない」と公言していた。
しかし、週刊誌の報道によりアイドルBに長年付き合っている19歳の交際相手がいたことが発覚した。
Aさんは、Bが自分たちファンを裏切ったのだと絶望し、Bに対し復讐してやろうと決意した。
Aさんは、仕事終わりのBのあとをつけて自宅を特定し、BのSNSの投稿からBが通っている高校を特定した。その後Aさんは、Bの自宅や高校周辺でBを待ち伏せしBのあとをつけるといったストーキング行為を繰り返し行い、BのSNS上のコメント欄に「いつもお前を見ている」などの書き込みを頻繁に行った。
Aさんの行為がエスカレートするのを恐れたBが被害を兵庫県三田警察署に相談したところ、警察は、Aさんの行為態様が悪質であると判断しAさんをストーカー規制法違反で逮捕した。
~ストーカー規制法~
ストーカー規制法(正式名称は「ストーカー行為等の規制等に関する法律」)は、一定の行為を「つきまとい等」として規制しています。
そして、そのような行為を反復して行うと「ストーカー行為」に該当して罰せられる可能性があります。。
つきまとい等とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨感情を充足する目的で、当該特定の者やその家族など対し、住居や通っている学校などの付近をみだりにうろついたり(法2条1項1号)、その行動を監視していると思わせるような事項を告げたり(同項2号)、拒まれたにもかかわらず、連続した電話をかけたり、メールを送信したりすること(同項5号)などをいいます。
上記の事例のAさんは、アイドルBに長年付き合っている交際相手がいたという週刊誌報道をきっかけとして、Bへの復讐目的でストーキング行為等を行っています。
そのため、Aさんは、アイドルBという特定の者に対する好意の感情が満たされなかったことに対する怨恨感情を充足する目的を有しているといえます。
また、Bの自宅や通っている高校を特定してBを待ち伏せたりBのあとをつけるといった行為は、法2条1項1号の「住居等の見張り」や「つきまとい」行為にあたります。
さらに、同項2号におけるその行動を監視していると思わせるような事項を告げる行為については、口頭や文書だけでなく、電子メール送信といった方法も含むと考えられています。
そのため、AさんがBのSNS上のコメント欄に「いつもお前を見ている」という書き込みを行ったことについても、行動を監視していると思わせるような事項を告げる行為にあたると判断されるおそれがあります。
したがって、AさんのアイドルBに対する一連の行為は「つきまとい等」にあたるといえ、Aさんはこれらの行為を繰り返し行っていることから「ストーカー行為をした者」として、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処せられる可能性があります(法18条)。
このように、現在のストーカー規制法においては、様々な行為が規制の対象となっています。
そのため、犯罪を行っているという自覚のない人であっても、いきなり逮捕されてしまうというケースもあり、刑事事件に精通した弁護士を早期に選任し、適切な弁護活動を行っていくことが重要であるといえます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,ストーカー規制法等の性犯罪事件の加害者となってしまった方のための無料法律相談・初回接見サービスを24時間受け付けています。
まずはフリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。
強制性交等罪(旧強姦罪)で逮捕
強制性交等罪(旧強姦罪)で逮捕
強制性交等罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例:Aは,京都府京田辺市内所在のホテル内で,V(20歳)と性行為を行った。
これに対し,Vは「上記性行為は,AがVに乱暴をはたらき無理矢理行ったものである」と主張している。
Vの主張を受け捜査を行った京都府田辺警察署の警察官は,Aを強制性交等罪の疑いで逮捕した。
Aは,警察の取調べに対して,Vに対して無理矢理性行為を強制した事実はない旨否認している。
Aの家族は,性犯罪事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実を基にしたフィクションです。)。
~強制性交等罪(旧強姦罪)の構造~
昨今,いわゆる旧強姦罪(現在は強制性交等罪)やそれに関連する性犯罪事件に関し,無罪判決が相次いだこともあり,大きな議論を呼んでいます。
上記判決(まだ下級審レベルではありますが)については,その肯否を含め議論されている段階です。
そこでもう一度,現在の強制性交等罪(旧強姦罪)の規定とその一般的な解釈について,通説実務の考え方を確認しておく必要があるでしょう。
刑法177条前段は,「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する」と規定し,典型的には旧強姦罪のように,「暴行」や「脅迫」を用いて性行為を行うことを処罰する規定になっています。
つまり,まず強制性交等罪(旧強姦罪)の客観的要件として,加害者の行為が,「暴行」や「脅迫」を用いた性行為であるといえる必要があります。
原則として刑法は,「暴行」や「脅迫」を手段とする性行為を,強制的な性行為であるとして処罰する旨定めているのです。
では,どの程度の「暴行」や「脅迫」を加えた場合に,性行為を強制したといえるのでしょうか。
この点,通説実務によると,強制性交等罪(旧強姦罪)における「暴行又は脅迫」とは,被害者の反抗を抑圧するまでのものである必要はないが,被害者の反抗を著しく困難にする程度のものである必要があるとしています。
したがって,逮捕されてしまった被疑者や弁護士としては,被害者が反抗可能な状態にあったことを主張することも考えられるでしょう。
ちなみに,177条後段は「13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする(注:上記177条前段と同様とするという意味)」としており,13歳未満への「性交等」は,「暴行」「脅迫」要件を不要としている点にも注意が必要です。
また,実務上争いになることが多いのが,犯罪の主観面つまり故意(刑法38条1項本文)に関する争いです。
強制性交等罪(旧強姦罪)は,真意に基づく同意があるときは成立されないとされており,この同意の有無が争点になることがあります。
また,真実として同意がなかったとしても,加害者が被害者に真意に基づく同意があると誤信していた場合にも,違法な行為についての責任は問うことができないと考えられており,こちらも争点になることがあります。
もっとも,このような主観面の認定は上記の暴行・脅迫要件という客観面と一種の相関関係が認められ,弁護士としてもこれらの連関を注意深く検討することが必要となるでしょう。
たとえば、相手方をしこたま殴って性行為に至っているという事実があるのに,真意の同意があると誤信していたと主張することは,事実認定上かなり無理のある主張ということになり兼ねません。
「同意があると思っていた」と供述したからといって、その主張が直ちに認められるわけでということです。
したがって,否認事件においてどのような主張を行うかについても,十分に事実関係を整理した上で,弁護士と協議していくことが重要となってくるのです。
~性犯罪の非親告罪化~
また,昨今の実務に少なくない影響を与えたと考えられているのが,性犯罪の非親告罪化です。
かつて刑法は,180条において,本件のような強制性交等罪(旧強姦罪)を含む多くの性犯罪を,告訴を起訴するための条件とする「
親告罪」としていました。
しかし,「強姦罪」を「強制性交等罪」とするなど性犯罪の全面的改正をおこなった平成29年の刑法改正によって,上記親告罪規定を削除し,起訴の条件として被害者の告訴は不要となったのです。
これは,精神的にも大きなダメージを受けた性犯罪被害者にさらに告訴するかどうかを委ねることは,むしろ被害者にとって酷であることなどを理由としたものです。
もっとも,性犯罪が,被害者の心情等に特に配慮する必要がある犯罪であること自体は変わらないことから,事件を起訴するかどうかを含め,検察官や捜査機関には慎重な対応が求められることには変わりがないと言われています。
とはいえ,本件のように被害者の処罰意識が高いと思われる事件については,起訴される可能性を早い段階から意識した弁護活動が求められることになるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,強制性交等罪を含む性犯罪事件を多数扱った実績を持つ,刑事事件専門の法律事務所です。
強制性交等罪(旧強姦罪)で逮捕された方のご家族(あるいはお知り合いの方等)は,年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)に今すぐお問い合わせください。
否認事件に関する弁護活動経験も豊富な弁護士が,弁護活動をうけたまわります。
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セクハラと性犯罪
セクハラと性犯罪
福岡県行橋市の会社で働いている部長Aさん(52歳)は、「新人歓迎会」の飲み会で、新人社員Vさん(19歳)に「初体験いつ?」などと性的な発言を繰り返しました。
そうしたところ、Vさんは翌日に会社に退職届を提出し、会社を辞めました。Aさんは、Vさんに福岡県行橋警察署に被害届を提出され、福岡県迷惑行為防止条例違反の被疑者として事情を聴かれることになりました。刑事処分を避けたいAさんは、弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです)
~ セクハラとは ~
セクシュアルハラスメント(セクハラ)については、令和元年10月現在、法律に明確な定義はありません。
しかし、男女雇用機会均等法11条1項に参考となる規定が設けられています。
事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
これを受け、厚生労働省では、
・「性的な言動」であること
・性的な言動が「職場」において行われること
・「労働者」の意思に反すること
の要件を満たすものを「セクハラ」としてます。
なお「職場」とありますが、宴会、飲み会などの勤務時間外の場面でも、実質、職務の延長線上と考えられる場合は「職場」に当たるとされています。
職務の延長線上か否かは、宴会・飲み会の趣旨・性質、職務との関連性、参加者の内容・数、参加が強制的か任意かといった事情を考慮して検討する必要があります。
「労働者」とは、正規社員に限らず、パート・派遣社員、アルバイトなど、会社に雇用されている全ての人が含まれます。
~ 「性的な言動」と性犯罪 ~
セクハラとなり得る行為は「言動」です。
したがって、ちょっとした声かけだけでも「性的な言動」に当たる可能性があります。
たとえば、相手に
・初体験いつ?
・どんなことされると感じる?
・これまで何人くらいと経験したの?
などと尋ねる行為は「性的な言動」に当たる可能性が高いでしょう。また、各都道府県が定める迷惑行為防止条例の「卑わいな言動」に当たる可能性もあります。「卑わいな言動」とは、社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作をいうと解されています。大雑把にいえば、一般的に相手が「不快だな」と思うことが見込まれる言動は「卑わいな言動」に当たる可能性があるということです。「卑わいな言動」に対する罰則は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」、常習性が認められる場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」とされていることが多いです。
さらに、
・メール、電話などの執拗な要求
・食事やデートへの執拗な誘い
は強要罪(刑法223条)として「3年以下の懲役」に、身体的接触では
・痴漢
・強制わいせつ罪(刑法176条)
・準強制わいせつ罪(刑法178条1項)
・強制性行等罪(刑法177条)
・準強制性行等罪(刑法178条2項)
が挙げられ、痴漢は先の条例で「6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金」または「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」とされていることが多く、強制わいせつ罪、準強制わいせつ罪は「6月以上10年以下の懲役」、強制性交等罪、準強制性交等罪は「5年以上の有期懲役(上限20年)」です。
なお、「性交等」とは性交、肛門性行、口腔性交の3種類です。また、セクハラでは、相手を酒に酔わせてからのわいせつ行為、性行等、相手が酒に酔った状態を利用してのわいせつ行為、性交等の事案も多く、その場合は準強制わいせつ罪、準強制性交等罪に問われます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。
準強制性交等罪と同意
準強制性交等罪と同意
東京都新宿区に住むAさん(40歳)は、SNSで連絡を取り合っていたVさん(19歳)のことが気になり、実際に会ってみることにしました。そして、AさんはVさんとともにカラオケ店に入り、歌を歌ったり、お酒を飲むなどして楽しみました。そうしたところ、Vさんが酔いつぶれてその場に寝込んでしまいました。Aさんは、このVさんの様子を見て、「オレに気を許しているのではないか」などと思い、Vさんの下着を脱がして性交しました。
ところが、Aさんが行為をした後Vさんの意識が目覚め、カラオケ店の店員を通じて警視庁四谷警察署に通報され、準強制性交等罪で逮捕されてしまいました。Aさんは警察官に「Vさんの同意があるものと思っていた。」などと話しています。
(フィクションです)
~ 準強制性交等罪(Aさんの罪) ~
Aさんの行為は、準強制性交等罪に当たる可能性が高いでしょう。準強制性交等罪は刑法178条2項に規定されています。
刑法178条2項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心身を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。
刑法177条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
「心神喪失」とは、精神の障害によって正常な判断能力を失っている状態をいいます。例えば、熟睡、泥酔・麻酔状態・高度の精神病などがこれに当たります。
「抗拒不能」とは、心神喪失以外の理由によって心理的・物理的に抵抗することが不可能又は著しく困難な状態をいいます。恐怖、驚愕、錯誤などによって行動の自由を失っている場合などはこれに当たります。
「(心身喪失・抗拒不能に)乗じる」とは既存の当該状態を利用することをいいます。「心神喪失・抗拒不能にさせる」手段には制限はありません。麻酔薬、睡眠薬の投与・使用、催眠術の施用、欺罔などはいずれもその手段となり得るでしょう。ただし、暴行または脅迫によった場合は、準強制性交等罪ではなく強制性交等罪に当たると考えられます。
「前条の例よる」の「前条」とは177条のことを指します。「例による」とは、法定刑を177条と同様、「5年以上の有期懲役」とするという意味です。
~ 準強制性交等罪と同意 ~
ところで、準強制性交等罪は「被害者の性的自由」を保護する(保護法益とする)罪ですから、被害者自身がその保護法益を自ら放棄する場合はもはやその被害者を法で保護する必要はありません。このように、法益の帰属主体たる被害者が、自分にとって処分可能な法益を放棄し、その侵害に同意又は承諾を与えることを被害者の「同意」とか「承諾」といいます。被害者の同意がある場合は、その行為に「違法性がない」とされ、行為者(犯人、被疑者、被告人)が罪に問われることはありません。
また、仮に被害者の同意がなかったとしても、行為者(Aさん)においてそう信じるにつき合理的な理由がある場合は「罪を犯す故意がない」とされ、準強制性交等罪は成立しません。
~ 故意がないと主張するには? ~
ただし、いくら故意がない、認識がないといっても捜査機関、裁判所は簡単には信じてくれないでしょう。
あなたは「同意があった」、被害者は「同意はなかった」といっているわけですから、どちらの話がより信用できるのか慎重に検討する必要があります。具体的には、あなたと被害者の関係、犯行に至るまでの経緯、犯行現場とされる現場の状況、犯行態様などをできる限り客観的な証拠(メールのやり取りなど)で精査していく必要があります。
その結果、被害者の話が信用できないということになれば、不起訴(嫌疑不十分)、無罪となる可能性が高くなるでしょう。
もっとも、こうした主張をする場合、反対に「反省していない」ともみなされかねませんから、弁護士とよく相談して慎重に検討していく必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。
公然わいせつ罪と共犯
公然わいせつ罪と共犯
~今回の問題~
東京都国立市在住の男性A(20歳)と女性B(20歳)は動画配信サイトを使って金儲けをしようと考えました。
その動画サイトでは、動画の閲覧時間に応じて、サイト側が売り上げを渡す、という仕組みでした。
そこで、Bさんが自慰行為をしている様子をAさんがライブ中継したところ、ライブ中継の数か月後に警視庁立川警察署の警察官が2人のところへやってきて、公然わいせつ罪の疑いで2人を逮捕しました。
(これはフィクションです。)
~公然わいせつ罪~
公然わいせつ罪は、刑法174条に規定されています。
刑法第174条
公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
〇公然と
「公然と」とは、不特定又は多数人が認識し得る状態のことをいいます。
実際に不特定又は多数人が認識している必要はなく、認識する可能性があれば「公然の」にあたるとされています。
〇わいせつ
「わいせつ」の定義は、判例によれば、「いたずらに性欲を興奮又は刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する」もののことを指しています。
今回の事件では、動画配信サイトのライブ中継を使えば、不特定多数の視聴者が閲覧できるので、「公然と」にあたると考えられます。
また、他人に自慰行為を見せることは、一般人から見て「わいせつ」なものだと言えるでしょう。
そのためAさんとBさんには公然わいせつ罪が成立すると言えます。
~共同正犯~
共同正犯については、刑法60条に規定されています。
刑法 第60条
2人以上共同して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
共同正犯とは、「2人以上が共同して犯罪を実行する」ことを言います。
共同正犯に当たるか、つまり、2人が「共同して」いたかどうかは①共同実行の意思と②共同実行の事実があるかによって判断されます。
①共同実行の意思
共同実行の意思とは、2人以上の者が共同して犯罪を実行する意思のことをいいます。
今回の事件では、AさんとBさんが2人で金儲けをしようと犯行を計画していたことから、共同実行の意思はあると判断されるでしょう。
②共同実行の事実
共同実行の事実とは、2人以上の者が共同して実行行為を行うことをいいます。
わいせつな動画に出演するBさんの行為も、それを撮影して配信するAさんの行為も「公然とわいせつな行為をした」ことにあたるので、共同実行の事実があると判断されるでしょう。
したがって、AさんとBさんは共同正犯として、2人ともが公然わいせつ罪の刑罰を科されることが見込まれます。
~幇助犯にはならないか~
Aさんの「動画を配信する」という行為だけ切り取ると、AさんはBさんの犯罪をただ手助けしているだけであり、刑事責任は比較的軽いように思えます。
そうだとすると、Aさんの行為は「幇助」(62条)にあたり、「正犯」ではなく「従犯」であるとして刑が減軽される(刑法62条、63条)ことも考えられます。
しかし、過去の共犯事件の裁判例からして、「幇助」と判断される可能性は極めて低く、今回のようなケースは共同正犯として扱われることが予想されます。
なぜなら、共犯事件は報酬を折半する約束があったり各自の役割が重要だったりすることが多く、責任の重さが共同「正犯」に値すると判断されやすいからです。
今回の事例でも、Aさんにつき①金儲けを2人で企んでいることからして犯罪の利益を受ける意思がある、②ライブ中継という公然わいせつ罪の要件を満たすうえで不可欠の行為を行っている、という事情が存在します。
そうすると、「幇助」にはとどまらず共同正犯の責任が科される可能性が高いでしょう。
共犯者がいる事件は複雑になりがちです。
そこで専門的な判断が可能な刑事事件専門の弁護士に一度相談することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見サービスをおこなっております。
無料法律相談や初回接見サービスの予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、東京都国立市の公然わいせつ事件でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。