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監護者わいせつ罪で逮捕

2019-12-08

監護者わいせつ罪で逮捕

監護者わいせつ罪逮捕されてしまった場合について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~事例~

兵庫県三木市にある福祉施設で働く職員Aは,福祉施設に入所していた女性V(15歳)に対し,わいせつな行為を行った。
Vが同施設の他の職員および警察に相談したことにより上記事実が発覚した。
兵庫県三木警察署の警察官は,Aを監護者わいせつ罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は,性犯罪事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~監護者わいせつ罪とは~

刑法は,179条において「18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第176条の例による」ことを規定しています。
これは,平成29年の刑法改正によって新設された性犯罪規定です。
上記条文が引用している176条とは,強制わいせつ罪を定めたものです。
もっとも,強制わいせつ罪(176条1項)については,被害者が13歳以上である場合,「暴行又は脅迫」を用いて「わいせつな行為」をすることが犯罪の成立要件になっています(13歳未満であるときは暴行・脅迫要件は不要・同2項)。
ここで,13歳以上である場合には,強制わいせつ罪の成立には暴行・脅迫要件が必要であるにもかかわらず,改正前の刑法では,特に18歳未満のまだ幼い子どもの場合には心理的に抵抗できずにわいせつ行為の被害にあうようなケースにおいて,いわば処罰の間隙が生じていました。
このようなケースは,特に親族間や同居者間で生じることが少なくないことから,「その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて」わいせつ行為を行った者は強制わいせつ罪と同様に処罰することにしたのです。
これが今般の改正によって新設された監護者わいせつ罪です(同時に監護者性交等罪も新設されています)。

179条では,暴行・脅迫要件が不要とされている代わりに,「現に監護する者」が,その「影響力があることに乗じて」わいせつ行為をおこなったことが必要となります。
「現に監護する者」とは,経済的・精神的な観点から依存関係や保護関係とその継続性が認められる者をいうと解されています。
本件Aは,Vの親族等ではありませんが,福祉施設の職員としてVに対する上記観点からの依存・保護関係があるといえれば「現に監護する者」に当たる可能性があると言えます。
仮にそうであれば,「影響力があることに乗じて」わいせつ行為を行ったと言える場合,監護者わいせつ罪の成立が認められると考えられます。

なお,上記平成29年改正により,いわゆる性犯罪全般が非親告罪となった,つまり被害者の告訴が起訴(検察官が事件を裁判にかけること)の要件でなくなったことにも注意が必要です。

~性犯罪事件における弁護活動~

強制わいせつ罪,旧・強姦罪(現・強制性交等罪)等の性犯罪においては,被害者と示談することが何よりもまず重要といえます。
しかし,監護者わいせつ(性交等)罪という特殊かつ新しい犯罪類型に関しては,必ずしも従来の性犯罪における弁護活動が妥当しない場面が生じてくると考えられます。
上述したように,監護者わいせつ(性交等)罪が典型的に想定する親族間におけるわいせつ行為(いわゆる性的虐待)の場合には,親族間での問題ということもあり,示談等の成立に向けては通常の性犯罪以上に機微を捉えた弁護活動が必要となってくることは間違いないでしょう。
また本件のように,監護施設の職員による犯行の場合,まだ被害者が幼いこと,被害者に身寄りがないこと等が考えられることから,どのように情状弁護活動を行っていくかは最新犯罪に対する知見と経験が不可欠です。

この点,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,監護者わいせつ罪を含む性犯罪事件などの刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
監護者わいせつ事件逮捕された方のご家族等は,年中無休の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までまずは一報していただくことをおすすめいたします。
(無料法律相談のご予約はこちら

公然わいせつ事件で不起訴処分を目指す

2019-12-03

公然わいせつ事件で不起訴処分を目指す

今回は、公然わいせつ事件における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

Aさんは、交際相手である女性A2と、深夜に京都府綾部市内の公園において性交をしました。
しかし、公園近くを通りかかった人に目撃されてしまい、警察に通報されてしまいました。
現場に駆け付けた京都府綾部警察署の警察官は、Aさんらを公然わいせつ罪現行犯として逮捕しました。(フィクションです)

~公然わいせつ罪について解説~

公然わいせつ罪は、その名の通り、公然とわいせつな行為をする犯罪です(刑法第174条)。
法定刑は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料となっています。

(公然性)
「公然」とは、わいせつな行為を不特定または多数人が認識し得る状態をいいます。
現実に不特定または多数人が認識したことは必要でなく、認識する可能性があれば足ります。

(わいせつな行為)
「わいせつな行為」とは、行為者又はその他の者の性欲を刺激興奮又は満足させる動作であって、普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するものをいいます。
わかりにくいですが、典型例として、公然と陰部を露出することが挙げられます。
ケースのような性交も、わいせつな行為と評価される可能性が高いと思われます。
ちなみに、公然わいせつ罪は秩序や風俗といった公共の利益に関わる罪であることから、「わいせつな行為」の範囲は強制わいせつ罪におけるそれと必ずしも一致しないと考えられています。
そうした差が表れる例として、公共の場で他人にキスをしたというケースが挙げられます。
こうした行為は、強制わいせつ罪における「わいせつな行為」に当たると考えられる一方、公然わいせつ罪における「わいせつな行為」に当たるとは考えられていません。

~逮捕後、Aさんはどうなるか?~

公然わいせつ罪の現行犯として逮捕された後は、警察署に引致され、取調べを受けることになります。
留置の必要が認められると、逮捕時から48時間以内に、検察庁へ送致されます。

検察庁においては、検察官が取調べを行い、身柄を受け取った時から24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内に、Aさんの勾留を請求するか、釈放するか、あるいは起訴するかを決めます。

検察官が行った勾留請求の当否を判断するのは裁判官です。
裁判官は、勾留の要件(罪証隠滅のおそれ、逃亡の恐れなど)を審査し、勾留の要件を満たしていると考えた場合は、勾留決定を出します。
勾留の要件を満たさないと判断した場合は、勾留請求を却下します。
勾留請求が却下された場合は、釈放されます。

勾留決定が出ると、10日間勾留されます。
やむを得ない事由があると認められると、さらに最長10日間勾留が延長されます。

検察官は、勾留の満期日までにAさんを起訴するか、あるいは不起訴にするか、または、処分を保留して釈放するかを決めなければなりません。

~公然わいせつ罪で不起訴処分を目指す~

不起訴処分を目指すための手段として、被害者と示談交渉を行うことが考えられます。
ただ、公然わいせつ罪は社会的法益に対する罪なので、被害者は社会全体であり、傷害罪窃盗罪におけるような真の意味での被害者はいません。
そこで、目撃者を実質的な被害者と考え、示談交渉を行うことが考えられます。
もっとも、本来の被害者ではないため、そもそも示談に応じられないこともありますし、仮に示談に応じたとしても検察官がこれを重視しない可能性があります。

その場合は、弁護士会などの団体に対して寄付を行う「贖罪寄付」によって、反省の意思を示すことが考えられます。
示談交渉贖罪寄付の有効性については、接見にやってきた弁護士に相談することをおすすめします。

~弁護士に身柄解放活動を依頼~

今回は、共犯者であるA2が存在します。
この場合、捜査が複雑になることから、勾留の可能性が高まり身体拘束の期間が伸びる可能性があります。
身体拘束が長期化すると、Aさんの社会復帰に対して悪影響を与えます。
弁護士に依頼して、なるべく早く釈放されるよう活動してもらうことをおすすめします。
事件の内容が解明されている、AやA2に住居や職がある、事件解決までAとA2の間で連絡を取らないよう監督する身元引受人を用意することができる、などの条件が揃った場合には、早期の身柄解放を実現できる可能性が高まります。
是非、身柄解放活動のご依頼をご検討ください。

~不起訴処分を目指す~

上記の弁護活動が功を奏し、検察官が不起訴処分を行えば、Aさんは裁判にかけられずにすみます。
裁判にかけられない以上、有罪判決を言い渡されることはないので、前科が付かずにすみます。
弁護士のアドバイスを受けながら、不起訴処分の獲得を目指していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、公然わいせつ事件についてもご相談いただけます。
ご家族が公然わいせつ事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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強制性交等事件で示談

2019-11-28

強制性交等事件で示談

強制性交等罪示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

大学生のAさん(20歳)は、友人女性V宅(福岡県嘉麻市所在)へ遊びに行ったところ、Vを強姦しようと思い、座っているVの左肩を蹴りつけ、転倒させた後、AさんはVにのしかかり、むりやり性交してしまいました。
後日、Vの父親から連絡があり、「娘がレイプされたと言っている。嘉麻警察署に被害届を出すつもりだ。どうするつもりか考えろ」と告げられ、困っています。
Aさんは刑事事件に詳しい弁護士示談を依頼しようと考えています。(フィクションです)

~強制性交等罪について解説~

Aさんの行為は強制性交等罪を構成する可能性が極めて高いと思われます。

強制性交等罪とは、13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交をする犯罪です(刑法第177条前段)。
13歳未満の者に対しては、同意があっても、また、暴行又は脅迫によらなくても、性交、肛門性交、口腔性交をすれば強制性交等罪が成立します(刑法第177条後段)。
法定刑は、5年以上(20年以下)の有期懲役です。

「暴行」とは、身体に向けられた不法な有形力の行使をいい、「脅迫」とは、害悪の告知を意味します。
その程度は、被害者の反抗を著しく困難にする程度のもので足ります。
被害者の反抗を著しく困難にする程度であったか否かは、①暴行・脅迫の態様、②時間的・場所的状況、③被害者の年齢、④精神状態等の諸般の事情を考慮して客観的に判断されます。

Aさんが行った暴行は、座っているVの肩を蹴りつけ転倒させ、Vの上からのしかかるというものです。
上記の行為は、「被害者の反抗を著しく困難にさせる程度」の暴行と判断される可能性が高いと思われます。
これにより、AさんはVと強制的に性交することを遂げたのですから、Aさんに強制性交等罪が成立する可能性は極めて高いでしょう。

~示談により事件をより良い方向へ~

当然ですが、VやVの父親はケースの件について大変怒っています。
放置すれば、事態を悪くする可能性こそあれ、好転する可能性はほとんどないでしょう。
VやVの父親の怒りをより激しくさせ、被害届を出されてしまう可能性が高まると思われます。
被害届を出されてしまい、刑事事件化すると、Aさんは「被疑者」という立場におかれます。
被疑者になると、捜査の対象として扱われます。
強制性交等罪の罪責が重いことから、逮捕される可能性も十分考えられます。
刑事事件化した結果、大学から退学処分などを言い渡されると、Aさんの将来に対しても多大な悪影響を与えます。
まずは、弁護士と相談し、Vと示談することを検討しましょう。

(示談を行うメリット)
示談が成立すれば、逮捕される可能性を低減させることができますし、刑事事件化してしまった場合であっても、検察官が不起訴処分を行う可能性が高まります。
刑事事件化せず事件が解決すれば、Aさんは今まで通り生活できます。
刑事事件化してしまった場合であっても、不起訴処分を獲得できれば、裁判にかけられることがないので、前科がつかずにすみます。

現在、Aさんは逮捕されていません。
逮捕されると、事件解決のために活動しようと考えても、留置場の外に出ることはできません。
また、Aさん一人の意思で誰かと連絡を取ることもできないので、行動に様々な制限がかかってしまいます。
逮捕されていない状況は、最大限生かさなければなりません。
一刻も早く弁護士と相談し、示談交渉について助言を受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、ケースの事件についても、初回無料で刑事事件専門の弁護士の相談を受けることができます。
強制性交等事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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強制わいせつ罪で逮捕

2019-11-23

強制わいせつ罪で逮捕

強制わいせつ罪逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~今回のケース~

東京都稲城市在住のAさん(40歳)は、市内で整骨院を経営しています。
ある日Aさんは、Aさんの整骨院に施術を受けに来ていた小学6年生のVさん(12歳)に対し、12歳と分かっていながら施術とは関係なく陰部を触るなどの行為をしました。
数日後、警視庁多摩中央警察署の警察官がAさんのもとへやってきて、強制わいせつ罪の疑いでAさんを逮捕してしまいました。
Aさんの奥さんは、今後の対応について刑事事件に強い弁護士事務所に相談することにしました。(フィクションです。)

~強制わいせつ罪の可能性~

刑法 第176条 強制わいせつ罪
13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

〇行為
①被害者が13歳以上である場合
被害者が13歳以上である場合、「わいせつな行為」の際に、「暴行又は脅迫」という手段を用いることが必要となります。

「暴行」とは「正当な理由なく被害者の意思に反してその身体に有形力を行使すること」とされています。
「脅迫」とは「害悪の告知」のことを言います。

そして、強制わいせつ罪における「暴行」や「脅迫」は「相手方の犯行を著しく困難にする程度のもの」であることが必要であるとされています。

②被害者が13歳未満である場合
一方、被害者が13歳未満(12歳以下)である場合は、暴行や脅迫といった手段が無かったとしても、「わいせつな行為」を行った時点で強制わいせつ罪が成立することになります。

〇わいせつ
判例によると、「わいせつ」という言葉の定義は、公然わいせつ罪(刑法174条)、わいせつ物頒布等罪(刑法175条)と同様に「性欲を刺激、興奮又は満足させ、かつ、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為」をいうとされています。
しかし、強制わいせつ罪は、公衆の性的風俗ではなく、個人の性的自由を保護するために制定されているため、他の犯罪よりも、「わいせつな行為」として認められる範囲は広くなると考えられています。

〇性的意図
これまで、強制わいせつ罪においては、「性的意図(自己の性欲を刺激・興奮させ、又は満足させる意図)」が必要か否かについて議論されてきました。
しかし、平成29年の最高裁判所の判例では、「性的意図は必須の要件ではない」と判断されました。
そのため、性的意図が無く、単に相手に嫌がらせをするためにしたわいせつな行為であったとしても、強制わいせつ罪が成立する可能性があります。

〇今回のケース
被害者であるVさんは12歳であり、②被害者が13歳未満である場合、に該当します。
そのため、Aさんは、手段を問わず「わいせつな行為」を行った時点で強制わいせつ罪が成立するということになります。
そして、施術と関係なく下半身を触る行為は「わいせつな行為」にあたると判断される可能性が高いです。
そうすると、Aさんには強制わいせつ罪が成立すると考えられます。
ちなみに、仮に今回のようなケースでVさんが13歳以上だったとしても、施術中にわいせつな行為を行っていれば準強制わいせつ罪に当たる可能性があります。

~強制わいせつ事件における弁護士の対応~

強制わいせつ罪の法定刑は、6月以上10年以下の懲役となっており、法定刑の中でも重い方に位置します。
そのため、一般的に逮捕勾留される可能性が高いと言えるでしょう。

そこで、ご家族の方は、刑事事件に強い弁護士に、接見を依頼することをおすすめします。
接見とは、弁護士が留置施設まで行き、身体拘束されている方と面会することを言います。
弁護士は、身体拘束されている方に今後の見通しや取調べの対応方法等をアドバイスすることができます。
また、弁護士は身体拘束されている方の早期釈放を目指した活動や、被害者との示談交渉による刑事処分の軽減を目指す活動を行うことが出来ます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士無料法律相談初回接見サービスをおこなっております。
無料法律相談や初回接見サービスの予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、東京都稲城市強制わいせつ事件でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

わいせつ電磁的記録媒体陳列罪で逮捕

2019-11-18

わいせつ電磁的記録媒体陳列罪で逮捕

わいせつ電磁的記録媒体公然陳列罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ ケース ~

Aさん(女性)は、自分の性器を撮影したわいせつな動画ファイルを、インターネット上の動画サイトのサーバーコンピューターに送信し、動画サイト利用者が閲覧可能な状態にしたとして、警視庁富坂警察署の警察官によりわいせつ電磁的記録媒体陳列罪の容疑で逮捕されました。
逮捕されたAさんの身を案じたAさんの家族は、刑事事件に強い弁護士初回接見を依頼することにしました。
(事実を基にしたフィクションです。)

~ わいせつ電磁的記録媒体陳列罪 ~

わいせつ電磁的記録媒体陳列罪は刑法175条1項に規定されています。

刑法175条1項
 わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。

「文書」とは本など文字によって表示されるもの、「図画」とは写真、絵画など象形的方法によって表示されるものをいいます。
なお、かつては、わいせつな「文書、図画その他の物」だけが規定されていました。そこで、フロッピーディスクやコンピューターのハードディスクなどが「文書、図画その他の物」に含まれるのかどうかという点が問題となっていました。しかし、平成23年改正により、規定に「電磁的記録に係る記録媒体」と明記されこの問題は解消されました。
「電磁的記録に係る記録媒体」にはフロッピーディスクやコンピューターのハードディスクの他にも、BL・DVD・CD、USBメモリー、フラッシュメモリー、インターネット上のサーバー、ビデオカセットテープなどが含まれます。
「わいせつ」とは、徒らに性欲を興奮または刺せしめ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道徳観念に反するもの、をいいます。

したがって、刑法175条1項で禁止される行為は

・「わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物」を「頒布」、「公然と陳列した」こと
・「電気通信の送信により」「わいせつな電磁的記録その他の記録」を「頒布」したこと

となります。

「頒布」とは、不特定又は多数人に対して有償又は無償で交付することをいいます。
そのため、特定の人に対して1回限りで交付することは「頒布」には当たりません。
もっとも、特定の1人に対する1回限りの交付であっても、反復継続して交付する意思があれば、「頒布」に当たりうると判断した裁判例があります。
また、「頒布」と言えるためには、現実に交付・引き渡しがされることが必要であり、例えば、わいせつ物を郵送したが、配送途中の事故により相手方に到達しなかったという場合には、「頒布」には当たらないことになります。

「公然と陳列」とは、不特定又は多数の者が閲覧することができる状態に置くことをいいます。
そのため、特定少数人のみが閲覧できるという状態にすぎない場合には、原則として「公然と陳列」には当たらないことになります。
しかし、特定少数人のみが閲覧できる状態にすぎない場合であっても、これが不特定多数の者を勧誘した結果、たまたま特定少数人のみが閲覧しただけに過ぎないという場合(例えば、わいせつな映像を上映しようと思い、映画館に不特定多数の者を勧誘したが、結果として小数人しか来ず、小数人しか閲覧しなかったという場合)には、例外的に「公然と陳列」に当たりうると判断した裁判例があります。

本件では、サーバーコンピューターが「電磁的記録に係る記録媒体」に当たります。
また、そのサーバーに不特定又は多数の者がアクセス可能な状態であれば、「公然と陳列した」ことにも当たるでしょう。
そうすると、やはりAさんにはわいせつ電磁的記録媒体陳列罪が成立すると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、児童ポルノをはじめとする刑事事件少年事件専門の法律事務所です。ご家族が刑事事件で逮捕され、お困りの方は、0120-631-881までお気軽にお電話ください。土日・祝日を問わず、専門のスタッフが24時間、無料法律相談初回接見のご予約を承っております。

12歳の男性への強制性交等致傷事件

2019-11-13

12歳の男性への強制性交等致傷事件

12歳の男性への強制性交等致傷事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事件】
Aさんは神奈川県川崎市にある人通りの少ない通りに面した公園で,夜半,Vさん(当時12歳)の肛門に陰茎を挿入し射精しました。
この事件でVさんは肛門裂傷を負いました。
帰宅したVさんから事件を聞いたVさんの両親は,神奈川県川崎警察署告訴しました。
数日の捜査活動の後,Aさんは強制性交等致傷罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです)

【強制性交等致傷罪】

強制性交等罪(旧称:強姦罪)については,刑法第177条に規定があります。

刑法第177条
13歳以上の者に対し,暴行又は脅迫を用いて性交,肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は,強制性交等の罪とし,5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し,性交等をした者も,同様とする。

以前は暴行・脅迫を用いて性交することのみが強姦罪として処罰対象となっていましたが,2017年の改正により肛門性交や口腔性交を行った場合も強制性交等罪として処罰されるようになりました。

一般に,強制性交等罪での暴行・脅迫は,相手方の反抗を抑圧する程度のものでなければならないとされています。
「反抗を抑圧する」とは,物理的・精神的に反抗できない状態にすることを意味します。
そうすると,強制性交等罪の要件である暴行・脅迫は,少なくとも被害者の反抗を著しく困難ならしめる程度の強度が必要であるように思われます。
ですが,実際は相手方の意思に反するという事実が認められれば,暴行・脅迫があった場合,それは相手の反抗を抑圧する暴行・脅迫であると扱われる傾向が強いです。
ですので,暴行・脅迫の程度が必ずしも強制性交等罪の成否の分水嶺となるわけではない点に注意が必要です。

ここで,相手に対する強制があった場合で,容易に抵抗できたと考えられるのに現実には抵抗がされなかったという理由で,強制性交等罪が要求する程度の暴行・脅迫がなかったと無罪を言い渡されたり訴追されなかったりするという意見があります。
たしかに過去にそのような判断が下されたこともありました(最判平成23・7・25判タ1358号79頁など)が,性犯罪被害者が被害に遭った際に容易には抵抗できない心理状態にあることなど種々の事情から当該被害者にとって抵抗が困難であると認められた際には,比較的軽微な暴行・脅迫しかなかったとしても反抗を抑圧する程度のものであったと認められるケースも存在します。

しかしながら今回の事件では,被害者が12歳であるため暴行・脅迫の要件は必要とされません。
AさんはVさんの肛門に陰茎を挿入しており性交等の行為が認められるため,刑法第177条後段の規定により強制性交等罪が成立するものと考えられます。
そして,強制性交等罪に当たる行為に伴って相手に傷害や死亡結果を発生させてしまった場合,強制性交等致死傷罪に問われる可能性があります。

刑法第181条第2項
第177条,第178条第2項若しくは第179条第2項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し,よって人を死傷させた者は,無期又は6年以上の懲役に処する。

Aさんは性交等を行うにあたって,Vさんに肛門裂傷の傷害を負わせていますので,強制性交等罪ではなく強制性交等致傷罪に問われる可能性が高いといえます。

【強制性交等致傷事件の弁護方針】

強制性交等罪および強制性交等致傷罪の被疑者から事件の依頼を受けた弁護士は,不起訴執行猶予の獲得や刑罰の減軽を目指すことになるでしょう。
被疑者が逮捕勾留されている場合は,被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがないことなどを主張し,勾留の決定や継続の阻止を図ることも考えられます。

これらのための活動としては,被害者と示談を成立させるために示談交渉していくことが挙げられます。
ただし,強制性交等罪のような性犯罪の場合,加害者が被害者(またはその保護者)に謝罪をしようとしても接触を拒まれることが非常に多いです。
そのため,加害者やそのご家族が直接示談交渉することも非常に困難を伴います。
示談交渉に時間を取られてしまうと,その間に刑事手続が進んでしまい,依頼者にとって不利益な結果につながる可能性が高くなってしまいます。
特に今回の事件のように,被害者が未成年であった場合は交渉のテーブルにつくことすらままならないことも多いです。

もし強制性交等罪などの性犯罪の被疑者となってしまった場合は,早急に刑事事件に強い弁護士に事件を依頼することを強くお勧めします。
弁護士が間に入ることで話を聞いてくれる被害者の方も少なくありません。
さらに,強制性交等致傷事件は非常に刑罰が重いため,起訴されてしまえば執行猶予を獲得することも困難なうえ,裁判員裁判の対象にもなります。
弁護士に相談し,どういった処分が見込まれ,どういった活動が有効なのかを聞いてから,迅速に対応を決めていくことが求められることになるでしょう。

強制性交等罪強制性交等致傷罪の被疑者となってしまった方,ご家族やご友人が神奈川県川崎警察署逮捕されてお困りの方は,刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお早めにご相談ください。

初回法律相談:無料

リベンジポルノで告訴取り下げ

2019-11-08

リベンジポルノで告訴取り下げ

リベンジポルノ告訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ ケース ~

埼玉県熊谷市在住のAさんは、ある日突然、交際していたVさんから別れ話を切り出されました。これに納得のいかなかったAさんは、何とかしてVさんに恥をかかせてやりたいと思い、Vさんと交際していた際に同意のもとで撮影したVさんの全裸の写真を、インターネット上にアップしました。ところが、Aさんは、埼玉県熊谷警察署の警察官によって家宅捜索を受け、そのままリベンジポルノ被害防止法違反の容疑で逮捕されてしまいました。インターネット上にVさんの写真がアップされていることを友人から聞かされたVさんが、熊谷警察署に通報・相談し、告訴状を提出したようです。突然の逮捕に驚いたAさんの家族は、刑事事件に強い弁護士初回接見を依頼しました。
(フィクションです)

~ リベンジポルノ被害防止法とは ~

リベンジポルノ被害防止法は、正式名称「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(以下、法律)」といいます。

交際中に撮影した元交際相手や元配偶者の裸などの性的画像を撮影された人の同意なく、インターネット上に公表する(いわゆるリベンジポルノ)などの嫌がらせ行為により、被害者が長期にわたり多大な精神的苦痛を受ける事件が増えています。

この法律が施行されたのは2014年で、東京都三鷹市で起きた「三鷹ストーカー殺人事件」という事件がきっかけとなって作られました。

~ 私事性的画像(リベンジポルノ)とは? ~

法律では、リベンジポルノのことを私事性的画像(記録あるいは記録物)、と呼んでいます。

「私事性的画像」とは、
撮影された人が第三者に見られることを認識せずに撮影された
①性交・性交類似行為
②他人が撮影対象者の性器等を触る行為又は撮影対象者が他人の性器等を触る行為で、性欲を興奮、刺激するもの
③衣服の全部又は一部を着けない姿態で、殊更に性的な部位が露出され又は強調されているもので、かつ、性欲を興奮、刺激するもの
を指します。

~ どんな行為が処罰されるの? ~

法律3条に規定されています。

= 公表罪(法律3条1項、2項) =

行為:第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、私事性的画像を不特定又は多数の者に提供すること
→「第三者が撮影対象者を特定することができる方法」での提供が必要ですので、たとえば「顔が写っていないなどの理由で撮影対象者本人にしか被写体がわからない」というケースでは、公表罪は成立しないと考えられます。また、「提供」とありますが、その概念は広く、LINEグループに送信する、FacebookやTwitterなどのSNSに投稿する行為も「提供」に当たります。
罰則:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金

= 公表目的提供罪(法律3条3項) =

行為:法律3条1項、2高の行為をさせる目的で、私事性的画像(リベンジポルノ)を提供すること
→たとえば、知人に拡散させる目的で、その知人に私事性的画像記録(リベンジポルノ)をLINEなどで送信することなどがあります。上記と異なり、「不特定又は多数の者」との文言がありませんから、本項では特定人から特定人への「提供」行為が処罰の対象となります。
罰則:1年以下の懲役又は30万円以下の罰金

~ 告訴取り下げなら ~

公表罪も公表目的提供罪も、被害者の告訴がなければ公訴を提起できない(起訴できない)親告罪です。したがって、既に捜査機関に告訴状が提出されている場合でも、被害者が公訴提起前に告訴を取り消せば、刑事処分は必然的に「不起訴」となります(仮に起訴すれば違法です)。被害者に告訴を取り消していただくには、まずは真摯に謝罪し、示談交渉をはじめることが有用です。また、既に拡散してしまった画像データをどう消去するのかなどといった点も大切となるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、リベンジポルノ事案をはじめとする刑事事件少年事件専門の法律事務所です。お困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までご連絡ください。24時間、無料法律相談初回接見サービスを受け付けております。

準強制わいせつ事件で示談

2019-11-03

準強制わいせつ事件で示談

準強制わいせつ罪と示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ ケース ~

大阪府大阪市に住む会社員のAさんは、市内にある公園に通りかかった際、公園のベンチで横たわっている女性Vさんを見つけました。AさんはVさんの様子が気になってVさんに近づくと、明らかにVさんから酒臭がし、Vさんの全身が真っ赤に火照っていたことから、Vさんが酒に酔っているのだろうということが分かりました。ところが、Aさんは、Vさんの胸元が開いており、今にもVさんの乳房が見えそうだったことから劣情を催し、周囲に人もいなさそうだったことから右手をVさんの上着の中に入れ、Vさんの胸を触りました。そうしたところ、Aさんは、偶然近くを通りかかった付近を巡回中の大阪府住吉東警察署の警察官にその行為の一部を見られ、事情を話したところ、準強制わいせつ罪で現行犯逮捕されてしまいました。Aさんの逮捕の通知を受けた妻が、弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです。)

~ 準強制わいせつ罪 ~

準強制わいせつ罪は刑法178条1項に規定されています。

刑法178条1項
 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。

「176条」は強制わいせつ罪の規定です。「例による」とは、法定刑をその罪と同様とする、という意味です。ですから、「第176条の例による」とは、法定刑を強制わいせつ罪と同様、6月以上10年以下の懲役とする、ということになります。「準」とついていますから、一見すると強制わいせつ罪よりも刑の重さが軽そうですが、実は変わりませんから注意が必要です。

「心神喪失」とは、精神上の障害によって正常な判断を失っている状態をいいます。具体的には、熟睡、泥酔・麻酔状態・高度の精神病などがこれに当たります。責任能力における心神喪失(刑法39条1項)とは若干意味が異なります。
「抗拒不能」とは、心神喪失以外の理由によって心理的・物理的に抵抗することが不可能又は著しく困難な状態をいいます。睡眠中、泥酔中、麻酔中、催眠状態など、心神喪失以外の理由でわいせつな行為をされていることを認識していない場合がこれに当たります。
「(心身喪失・抗拒不能に)乗じる」とは既存の当該状態を利用することをいいます。当該状態を作出した者とわいせつ行為をした者が同一であることは必要ではありません。ただし、この場合、本罪が成立するには、わいせつ行為をした者が、被害者が当該状態にあることを認識しておく必要があるでしょう。本件では、AさんがVさんを泥酔状態にさせたわけではありませんが、Vさんが当該状態にあることを認識しつつわいせつ行為に及んでいることが認められますから、Aさんの行為は、心神喪失に乗じ、わいせつな行為をしたことに当たる可能性が高いでしょう。
「(心神喪失・抗拒不能)にさせる」手段には制限はありません。麻酔薬、睡眠薬の投与・使用、催眠術の施用、欺罔などはいずれもその手段となり得るでしょう。

~ 準強制わいせつ罪と示談 ~

罪を認める場合は、一刻も早く被害者と示談交渉を進めることが肝要です。
示談交渉を進めているということは、基本的に罪を認めていることが前提で、その結果罪証隠滅のおそれはないと判断され、早期釈放に繋がりやすくなります。
また、示談が成立すれば、被疑者に有利な情状として考慮され、不起訴獲得の可能性が高くなります。被害者様から「被疑者を処罰しないで欲しい」などという宥恕条項を獲得できれば、その可能性はさらに上がることとなるでしょう。

示談交渉は弁護士にお任せください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが、24時間体制で、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。

アイドルに対するストーカー行為

2019-10-29

アイドルに対するストーカー行為

アイドルに対するストーカー事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

兵庫県三田市に在住する無職のAさん(32歳)は、亀岡市を中心に活動している現役高校生アイドルBの大ファンであり、アイドルBが出演するライブやトークショーに欠かさず参加し、Bのファンクラブにも所属していた。
アイドルBは高校2年生のデビュー当時から、清純派アイドルとして売り出しており、ライブやトークショーでもファンたちに対し、「今までに彼氏はいたことがない」と公言していた。
しかし、週刊誌の報道によりアイドルBに長年付き合っている19歳の交際相手がいたことが発覚した。
Aさんは、Bが自分たちファンを裏切ったのだと絶望し、Bに対し復讐してやろうと決意した。
Aさんは、仕事終わりのBのあとをつけて自宅を特定し、BのSNSの投稿からBが通っている高校を特定した。その後Aさんは、Bの自宅や高校周辺でBを待ち伏せしBのあとをつけるといったストーキング行為を繰り返し行い、BのSNS上のコメント欄に「いつもお前を見ている」などの書き込みを頻繁に行った。
Aさんの行為がエスカレートするのを恐れたBが被害を兵庫県三田警察署に相談したところ、警察は、Aさんの行為態様が悪質であると判断しAさんをストーカー規制法違反逮捕した。

~ストーカー規制法~

ストーカー規制法(正式名称は「ストーカー行為等の規制等に関する法律」)は、一定の行為を「つきまとい等」として規制しています。
そして、そのような行為を反復して行うと「ストーカー行為」に該当して罰せられる可能性があります。。

つきまとい等とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨感情を充足する目的で、当該特定の者やその家族など対し、住居や通っている学校などの付近をみだりにうろついたり(法2条1項1号)、その行動を監視していると思わせるような事項を告げたり(同項2号)、拒まれたにもかかわらず、連続した電話をかけたり、メールを送信したりすること(同項5号)などをいいます。

上記の事例のAさんは、アイドルBに長年付き合っている交際相手がいたという週刊誌報道をきっかけとして、Bへの復讐目的でストーキング行為等を行っています。
そのため、Aさんは、アイドルBという特定の者に対する好意の感情が満たされなかったことに対する怨恨感情を充足する目的を有しているといえます。

また、Bの自宅や通っている高校を特定してBを待ち伏せたりBのあとをつけるといった行為は、法2条1項1号の「住居等の見張り」や「つきまとい」行為にあたります。
さらに、同項2号におけるその行動を監視していると思わせるような事項を告げる行為については、口頭や文書だけでなく、電子メール送信といった方法も含むと考えられています。
そのため、AさんがBのSNS上のコメント欄に「いつもお前を見ている」という書き込みを行ったことについても、行動を監視していると思わせるような事項を告げる行為にあたると判断されるおそれがあります。

したがって、AさんのアイドルBに対する一連の行為は「つきまとい等」にあたるといえ、Aさんはこれらの行為を繰り返し行っていることから「ストーカー行為をした者」として、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処せられる可能性があります(法18条)。

このように、現在のストーカー規制法においては、様々な行為が規制の対象となっています。
そのため、犯罪を行っているという自覚のない人であっても、いきなり逮捕されてしまうというケースもあり、刑事事件に精通した弁護士を早期に選任し、適切な弁護活動を行っていくことが重要であるといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,ストーカー規制法等の性犯罪事件の加害者となってしまった方のための無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けています。
まずはフリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。

強制性交等罪(旧強姦罪)で逮捕

2019-10-24

強制性交等罪(旧強姦罪)で逮捕

強制性交等罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例:Aは,京都府京田辺市内所在のホテル内で,V(20歳)と性行為を行った。
これに対し,Vは「上記性行為は,AがVに乱暴をはたらき無理矢理行ったものである」と主張している。
Vの主張を受け捜査を行った京都府田辺警察署の警察官は,Aを強制性交等罪の疑いで逮捕した。
Aは,警察の取調べに対して,Vに対して無理矢理性行為を強制した事実はない旨否認している。
Aの家族は,性犯罪事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実を基にしたフィクションです。)。

~強制性交等罪(旧強姦罪)の構造~

昨今,いわゆる旧強姦罪(現在は強制性交等罪)やそれに関連する性犯罪事件に関し,無罪判決が相次いだこともあり,大きな議論を呼んでいます。
上記判決(まだ下級審レベルではありますが)については,その肯否を含め議論されている段階です。
そこでもう一度,現在の強制性交等罪(旧強姦罪)の規定とその一般的な解釈について,通説実務の考え方を確認しておく必要があるでしょう。

刑法177条前段は,「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する」と規定し,典型的には旧強姦罪のように,「暴行」や「脅迫」を用いて性行為を行うことを処罰する規定になっています。
つまり,まず強制性交等罪(旧強姦罪)の客観的要件として,加害者の行為が,「暴行」や「脅迫」を用いた性行為であるといえる必要があります。
原則として刑法は,「暴行」や「脅迫」を手段とする性行為を,強制的な性行為であるとして処罰する旨定めているのです。

では,どの程度の「暴行」や「脅迫」を加えた場合に,性行為を強制したといえるのでしょうか。
この点,通説実務によると,強制性交等罪(旧強姦罪)における「暴行又は脅迫」とは,被害者の反抗を抑圧するまでのものである必要はないが,被害者の反抗を著しく困難にする程度のものである必要があるとしています。
したがって,逮捕されてしまった被疑者や弁護士としては,被害者が反抗可能な状態にあったことを主張することも考えられるでしょう。
ちなみに,177条後段は「13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする(注:上記177条前段と同様とするという意味)」としており,13歳未満への「性交等」は,「暴行」「脅迫」要件を不要としている点にも注意が必要です。

また,実務上争いになることが多いのが,犯罪の主観面つまり故意(刑法38条1項本文)に関する争いです。
強制性交等罪(旧強姦罪)は,真意に基づく同意があるときは成立されないとされており,この同意の有無が争点になることがあります。
また,真実として同意がなかったとしても,加害者が被害者に真意に基づく同意があると誤信していた場合にも,違法な行為についての責任は問うことができないと考えられており,こちらも争点になることがあります。
もっとも,このような主観面の認定は上記の暴行・脅迫要件という客観面と一種の相関関係が認められ,弁護士としてもこれらの連関を注意深く検討することが必要となるでしょう。
たとえば、相手方をしこたま殴って性行為に至っているという事実があるのに,真意の同意があると誤信していたと主張することは,事実認定上かなり無理のある主張ということになり兼ねません。
「同意があると思っていた」と供述したからといって、その主張が直ちに認められるわけでということです。
したがって,否認事件においてどのような主張を行うかについても,十分に事実関係を整理した上で,弁護士と協議していくことが重要となってくるのです。

~性犯罪の非親告罪化~

また,昨今の実務に少なくない影響を与えたと考えられているのが,性犯罪の非親告罪化です。
かつて刑法は,180条において,本件のような強制性交等罪(旧強姦罪)を含む多くの性犯罪を,告訴を起訴するための条件とする「
親告罪」としていました。
しかし,「強姦罪」を「強制性交等罪」とするなど性犯罪の全面的改正をおこなった平成29年の刑法改正によって,上記親告罪規定を削除し,起訴の条件として被害者の告訴は不要となったのです。
これは,精神的にも大きなダメージを受けた性犯罪被害者にさらに告訴するかどうかを委ねることは,むしろ被害者にとって酷であることなどを理由としたものです。
もっとも,性犯罪が,被害者の心情等に特に配慮する必要がある犯罪であること自体は変わらないことから,事件を起訴するかどうかを含め,検察官や捜査機関には慎重な対応が求められることには変わりがないと言われています。
とはいえ,本件のように被害者の処罰意識が高いと思われる事件については,起訴される可能性を早い段階から意識した弁護活動が求められることになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,強制性交等罪を含む性犯罪事件を多数扱った実績を持つ,刑事事件専門の法律事務所です。
強制性交等罪(旧強姦罪)で逮捕された方のご家族(あるいはお知り合いの方等)は,年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)に今すぐお問い合わせください。
否認事件に関する弁護活動経験も豊富な弁護士が,弁護活動をうけたまわります。
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