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【報道解説】児童に対しわいせつ画像要求して児童ポルノ製造で逮捕
【報道解説】児童に対しわいせつ画像要求して児童ポルノ製造で逮捕
わいせつ画像を送信させる児童ポルノ製造事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
神奈川県警少年捜査課と神奈川県大磯警察署は、令和4年11月9日に、児童買春・ポルノ禁止法違反(児童ポルノ製造、自己性的目的所持)と、貸金業法違反(無登録営業)の疑いで、会社員の男性(34歳)を逮捕した。
逮捕容疑は、令和2年10月26日、神奈川県小田原市に住む高校2年の女子生徒(当時15歳)に、携帯電話のカメラで衣服を着ていない状態で自らの姿を撮影させた上、画像データ3点を交流サイト(SNS)で送信させたほか、令和3年10月15日、自宅敷地内で児童ポルノの画像データ10点を保存した携帯電話を所持した、としている。
大磯警察署によると、令和3年4月に署がサイバーパトロールで生徒のSNS上の書き込みを見つけ、本件被害が発覚した。
(令和4年11月9日に配信された「神奈川新聞」より抜粋)
【交流サイト(SNS)等を利用した児童ポルノ製造事件とは】
交流サイト(SNS)等を利用して、18歳未満の児童の裸や下着姿の画像データ・動画データ等を送信させた場合には、「児童ポルノ製造罪」や「児童ポルノ所持罪」に該当して、刑事処罰を受ける可能性があります。
児童にわいせつな画像や動画を撮影させて、データを送信させた場合の、「児童ポルノ製造罪」の刑罰の法定刑は、「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」とされています。
他方で、児童ポルノ画像や動画を所持していた場合の、「児童ポルノ所持罪」の刑罰の法定刑は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」とされています。
交流サイト(SNS)等を利用してわいせつ画像等を送信させる犯罪行為は、何らかの経緯により、警察へと発覚することにより、刑事事件としての捜査が始まります。
警察発覚の経緯で、よくあるケースとしては、相手方児童の保護者が気付いて、警察に通報するケースや、相手方児童が他の人に対しても、わいせつ画像送付等をしていて警察に発覚し、交流サイトの過去のチャット履歴から本人とのやりとりも警察に辿られるケース等が挙げられます。
【児童ポルノ製造事件の弁護活動】
児童ポルノ製造事件が警察に発覚し、警察から取調べの呼び出し連絡が来た場合には、できれば警察取調べに行く前のタイミングで、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要となります。
最初の警察取調べで、事件を認める方向で話すのか、やっていないと否認する方向で話すのか、どういう事実があったと話すかという供述内容は、その後の刑事事件の方針を決定付けることになるからです。
また、被害者児童や保護者との示談交渉を行い、謝罪や慰謝料支払いの意思を伝えて、被害者側の許しを得られるような示談を成立させることも、重要な弁護活動となります。
児童ポルノ事件では、加害者側と被害者側の直接の示談交渉は認められないケースが多く、弁護士を依頼して被害者との間を仲介することで、示談成立に向けた弁護活動を行うことができます。
まずは、児童ポルノ製造事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。
児童ポルノ製造事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
【報道解説】女性に卑わいな言葉をかけて逮捕
【報道解説】女性に卑わいな言葉をかけて逮捕
コンビニの店員に卑わいな言葉をかけたとして迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「コンビニエンスストアの女性店長に卑猥な言葉をかけた疑いで警察は10月24日、福岡市の中学校教諭・A容疑者を逮捕しました。
調べによりますとA容疑者は去年10月、2度に渡り、福岡市中央区のコンビニエンスストアでコンドームを購入後、『自慰行為をしたいのでトイレ借りてもいいですか』などと告げた疑いがもたれています。
去年12月にも福岡市のドラッグストアで卑猥な言動をした疑いが持たれていて、A容疑者はこれら3件の容疑を認めています。」
(令和4年10月24日にで配信された報道より一部匿名にして引用)
【痴漢や盗撮でなくても罪になる?】
各都道府県では、正確な名称はそれぞれの地域によって異なりますが、いわゆる迷惑行為防止条例という条例を規定しています。
毎日のニュースで報道されている痴漢や盗撮といった行為については、各都道府県が定める迷惑行為防止条例が罰則をもって禁止していますが、迷惑行為防止条例の中には、痴漢や盗撮行為以外にも、「卑わいな言動」を行った場合の罰則が定められています。
例えば、福岡県迷惑行為防止条例6条1項2号では、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で「卑わいな言動」をすることを禁止しています。
卑わいな「言動」とありますので、下品でみだらな「言葉」を公共の場所や乗物において発してしまうと、卑わいな言動として、福岡県迷惑行為防止条例6条1項2号違反になる可能性があります。
どのような言葉を発すると卑わいな言動に当たってしまうのかということについては、具体的な状況次第によるところもありますが、例えば、通行中の女性にナンパ目的で「エッチしようよ」と声をかける行為は卑わいな言動に当たると考えられます。
今回取り上げた報道では、逮捕された男性は、コンビニの女性店長に対して「自慰行為をしたいのでトイレ借りてもいいですか」と申し向けたとのことです。
おそらく、「自慰行為をしたい」という部分の発言が、「卑わいな言動」に当たると警察が判断したために、福岡県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されたのだと考えられます。
なお、仮に卑わいな言動をしたとして起訴されて有罪となってしまうと、福岡県迷惑行為防止条例11条1項によって、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
また、常習として卑わいな言動をしていた場合には、福岡県迷惑行為防止条例12条1項により、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられる可能性もあります。
【迷惑行為防止条例違反の前科を付けたくない方は】
逮捕された男性は中学校の教師との報道がなされていますが、仮に公立の中学校の正規の教師ということであれば、その身分は地方公務員ということになります。
地方公務員の身分を有する人が刑事事件を起こし、有罪となって禁錮以上の刑が科せられてしまうと、執行猶予が付いたとしても、地方公務員の身分を失うことになります(地方公務員法28条4項、同法16条1号)。
そのため、地方公務員の身分を有する方が刑事事件を起こしてしまった場合は、弁護士に事件について相談されることをお勧めします。
今回取り上げた報道のように、卑わいな言動によって迷惑行為防止条例違反の疑いで警察の捜査を受けられているという場合には、弁護士を通して被害者の方と示談を締結することができれば、起訴されることを回避することも可能になるかもしれません。
起訴されないということは、裁判が開かれないということですから、前科が付くこともありませんので、地方公務員の身分への影響を最小限に抑えることができると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
迷惑行為防止条例違反で前科が付くことを回避したいとお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】全裸で駅前を歩いて公然わいせつ罪で逮捕
【報道解説】全裸で駅前を歩いて公然わいせつ罪で逮捕
駅前の繫華街を全裸で歩いたとして公然わいせつ罪で逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「JR新潟駅前の繁華街を全裸で歩いていたとして男が逮捕されました。
公然わいせつの疑いで逮捕されたのは、自称・兵庫県芦屋市の26歳会社員の男です。
男は23日午前8時半ごろ、新潟市中央区東大通の路上を全裸で歩いていたということです。
通行人から通報を受けた警察官が男を発見し逮捕しました。
警察によりますと、男は『裸で歩いていたことは間違いない』と容疑を認めていますが、『どうして裸で歩いていたかは分からない』と話しているということです。」
(令和4年10月23日にBSB新潟放送で配信された報道より引用)
【公然わいせつ罪とは】
刑法174条では、「公然とわいせつな行為をした者」に公然わいせつ罪が成立するとしています。
「公然と」とは、不特定又は多数の人が認識することができる状態をいいます。
現実に不特定又は多数の人が認識する必要はなく、その認識の可能性があれば「公然と」と言えると考えられています。
今回、逮捕された男性が全裸で歩いていたとされる場所は、新潟駅前の繁華街とのことですが、駅前の繫華街は普段人通りの多い場所であると考えられますので、そのような場所でした露出行為は「公然と」行ったものと言うことができると考えられます。
公然わいせつ罪が成立するためには、「公然と」の用件に加えて、行った行為が「わいせつな行為」である必要があります。
「わいせつな行為」とは、性欲を刺激、又は満足させる行為であり、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為を意味すると考えられています。
「わいせつな行為」の定義を一読しただけでは、どのような行為が「わいせつな行為」であるかが分からないかと思いますが、一般的に、他人に見せるための性行為や、他人に性器を露出する行為は、「わいせつな行為」に当たると考えられています。
報道では、男性の様子が詳しくは明らかではありませんが、全裸で歩いていたということであれば、当然、性器も露出していたと考えられますので、そうであれば「わいせつな行為」に当たると言えるでしょう。
このように成立した公然わいせつ罪の法定刑は、6か月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料となっています(拘留とは1日以上30日未満の間、刑事施設に拘置する刑罰で、科料とは1000円以上1万円未満の範囲でお金を納付する刑罰です)。
【性器を露出しなければ罪に問われない?】
路上で性器を露出すれば公然わいせつ罪に問われ得るということを説明しましたが、性器を露出しなければ露出行為が罪に問われないかというとそうではありません。
露出した箇所や露出の方法などによっては、公然わいせつ罪以外の犯罪が成立する可能性があります。
たとえば、軽犯罪法1条20号では「公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者」を拘留又は科料に処するとしています。
そのため、性器を隠し、お尻や太ももといった体の一部の露出であっても、露出の態様次第によっては罰則が科される可能性があります。
また、他に成立する可能性がある犯罪としては、各都道府県が定める迷惑行為防止条例違反となる可能性があります。
各都道府県が定める迷惑行為防止条例には、公衆の場所や乗り物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような「卑わいな言動」を行うことを禁止していますが、露出の方法や露出した際の具体的な状況によっては、この「卑わいな言動」に当たることになるでしょう。
以前にも、兵庫県で通りがかった女性に、素肌にブラジャーを付けた上半身を露出した男性が兵庫県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されていますが、これは男性の露出行為が「卑わいな言動」に当たるとして、逮捕されたものだと考えられます。
【露出行為で刑事事件化したら】
公道を全裸で歩いたとして公然わいせつ罪の前科が付くことを避けたいとお考えの方は、弁護士に今後の対応について相談されることをお勧めします。
露出行為の目撃者がいる場合は、弁護士を通して目撃者と示談することが大事になってきますし、目撃者がいない場合でも弁護士を通して贖罪寄付を行うなどをして、事件について反省している姿勢を示すことが重要になってきます。
また、犯罪にならないと思って行った露出行為について、軽犯罪法違反や迷惑行為防止条例違反の疑いで警察の捜査を受けられている方も弁護士にご相談されることをお勧めします。
弁護士に相談することで、今後どのような捜査が予想されるのか、最終的に事件がどのような結果となるのか今後の見通しなどについて、アドバイスを得ることが出来るでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
露出行為で警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】商業施設で痴漢行為 強制わいせつ罪で逮捕
【報道解説】商業施設で痴漢行為 強制わいせつ罪で逮捕
強制わいせつ罪と痴漢罪の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道事例】
千葉県浦安警察署は令和4年10月19日に、強制わいせつ罪の疑いで、千葉県浦安市に住む自称アルバイトの男性(25歳)を逮捕した。
逮捕容疑は、9月7日午後5時55分頃に、千葉県内の複合商業施設内で、当時12歳だった女児に背後から抱きつき、体を触るなどした疑い。
浦安警察署によると、男性と被害者女児に面識はなかったとみられる。
現場周辺の防犯カメラの映像などから容疑者男性が浮上し、男性は容疑を認めている。
(令和4年10月20日に配信された「千葉日報オンライン」より抜粋)
【強制わいせつ罪とは】
被害者の身体を同意無しに触る等した場合には、刑法の「強制わいせつ罪」や、各都道府県の制定する「迷惑防止条例違反の痴漢罪」に当たるとして、刑事処罰を受ける可能性が考えられます。
被害者の身体を触った際に、被害者の反抗を抑圧する程度の「暴行又は脅迫」を用いて、わいせつ行為をした場合には、刑法の「強制わいせつ罪」に当たるとして処罰されます。
上記の事例では、「被害者に背後から抱きついたこと」が、「反抗を抑圧する程度の暴行」を用いたことに当たると、捜査機関により判断されたと考えられます。
強制わいせつ罪の法定刑は、「6月以上10年以下の懲役」とされています。
・刑法 176条
「十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。」
【迷惑防止条例違反の痴漢罪とは】
各都道府県の制定する迷惑防止条例違反の痴漢罪は、「公共の場所または公共の乗物」において被害者の身体を触る行為を、刑事処罰の対象としています。
上記の事例では、「複合商業施設内での痴漢事件」であることから、千葉県迷惑防止条例違反の痴漢罪にも該当しますが、より刑事処罰の重い「強制わいせつ罪」の容疑がかけられているものと考えられます。
千葉県迷惑防止条例違反の痴漢罪の法定刑は、「6月以下の懲役又は50万円以下」とされています。
・千葉県迷惑防止条例 3条の2
「何人も、みだりに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次の各号に掲げるものをしてはならない。」
2号「公共の場所又は公共の乗物において、人の胸部、臀でん部、陰部、大腿部その他の身体の一部に直接又は衣服その他の身に着ける物の上から触れること。」
【強制わいせつ事件の弁護活動】
強制わいせつ事件や、迷惑防止条例違反の痴漢事件で、刑事弁護の依頼を受けた弁護士は、早期釈放や刑事処罰軽減に向けて、まずは警察取調べに対する供述対応を、逮捕された本人とともに、綿密に検討したします。
また、被害者やその家族との示談交渉を弁護士が行い、謝罪の意思や、慰謝料支払の意思を示すことで、被害者の許しを得られるような示談を成立させることが、早期釈放や不起訴処分獲得に向けて、重要な弁護活動となります。
まずは、強制わいせつ事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。
強制わいせつ事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
【報道解説】女児に対する強制わいせつで逮捕
【報道解説】女児に対する強制わいせつで逮捕
6歳女児の下半身を触るなどの行為をしたとして強制わいせつの疑いで逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「神奈川県警港北署は16日、強制わいせつの疑いで、自称横浜市港北区新横浜1丁目、会社員の男(57)を逮捕した。
逮捕容疑は、15日午後5時35分ごろ、同市港北区新横浜2丁目の商業施設で、同区の小学1年女児(6)の下半身を触るなどわいせつな行為をした、としている。
容疑を認めている。
署によると、女児は家族と離れて商品を見ていた時に被害に遭った。」
(令和4年10月16日にカナコロ(神奈川新聞)で配信された報道より引用)
【13歳未満の子供に対する強制わいせつ罪】
刑法176条では強制わいせつ罪を規定しています。
刑法176条は、被害者の年齢が13歳以上のときと13歳未満のときで強制わいせつ罪が成立する場合を分けて規定しています。
被害者の年齢が13歳以上のときは、被害者の反抗を著しく困難にする程度の暴行・脅迫を用いてわいせつな行為をした場合に強制わいせつ罪が成立します。
これに対して被害者の年齢が13歳未満のときは、暴行・脅迫を用いた場合はもちろんのこと、そのような暴行・脅迫を用いずにわいせつな行為をした場合は強制わいせつ罪が成立します。
取り上げた報道では具体的な事実関係が明らかではありませんが、商業施設を家族と一緒に訪れた6歳女児の下半身を触るといったわいせつな行為を行ったとあります。
そのため、下半身を触るまでに暴行・脅迫を用いたのか、誘惑的な手段を用いたのか明らかではありませんが、どのような手段を用いたにせよ、女児の下半身を触ったことで強制わいせつ罪が成立することになると考えられます。
なお、強制わいせつ罪の法定刑は、6カ月以上10年以下の懲役となっており、罰金刑が定められていない点で、比較的重い法定刑であると言えるでしょう。
【強制わいせつ罪で被害者の方との示談をしたい】
強制わいせつ事件を起こした際に、前科が付くことを避けたい場合は、検察官に事件を起訴される前に被害者の方と示談を締結することが重要になります。
というのも、起訴前に被害者の方と示談を締結したという事実は、検察官が起訴をするかどうかの判断に当たって起訴を回避する判断に傾く考慮要素となるからです。
示談交渉は通常、被害者本人と行うのですが、被害者の方が未成年である場合の示談交渉は被害者本人と行うのではなく、被害者の保護者の方と行うことになります。
保護者の方は自分の子供にわいせつな行為をされたということで、犯人を許せないという処罰感情が強く、示談については最初は断られる場合がありますが、粘り強く示談の条件などを交渉することで、最終的に示談を締結するということも全く不可能という訳でもありません。
示談交渉というものは必ずしも決まった方法があるというわけではなく、それぞれの弁護士の腕によるところがありますから、示談をお考えの方は示談交渉の経験が豊富な弁護士に依頼されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所で、示談交渉の経験が豊富な弁護士が在籍しております。
強制わいせつ事件で被害者の方との示談を考えている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】女性に抱きついて暴行で逮捕
【報道解説】女性に抱きついて暴行で逮捕
面識の無い女性に背後から抱きついたとして暴行の疑いで男性が逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「神奈川県茅ケ崎署は2日、暴行の疑いで、住所不定、無職の男(53)を逮捕した。
逮捕容疑は、1日午後2時40分ごろ、茅ケ崎市茅ケ崎3丁目の温浴施設内エレベーターで、同市内に住む従業員の女性(47)に背後から抱きついた、としている。
調べに対し『ハグしただけで暴行はしていない』と供述し、容疑を否認している。」
(令和4年10月2日にカナコロ:神奈川新聞社で配信された報道より引用)
【抱きつきは暴行罪になる?】
今回取りあげた報道では、逮捕された男性が警察の取り調べにおいて「ハグをしただけで暴行はしていない」と供述しているようです。
刑法208条が規定する暴行罪は、殴る蹴るなどの暴力行為をした場合に成立する犯罪だと思われている方がいるかもしれませんが、後ろから女性に抱きつく(ハグをする)行為は暴行罪に当たる行為になりますので、逮捕された男性には暴行罪が成立する可能性が高いと言えます。
ちなみに、暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金、又は拘留若しくは科料となっています。
【抱きつきは強制わいせつ罪になる?】
報道を読んだ方の中には、抱きつく(ハグをする)行為は刑法176条の強制わいせつ罪ではないのかと思われた方がいらっしゃるかもしれません。
確かに、見知らぬ女性に抱きつく(ハグをする)という行為は、場合によっては強制わいせつ罪や、その未遂罪が成立する可能性があります。
刑法176条では、13歳以上の者に対しては、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした場合に強制わいせつ罪が成立するとしています。
そのため、被害者の反抗を著しく困難にする程度に抱きついたという場合は刑法176条の強制わいせつ罪における「暴行」に当たることになりますので、そうして抱きついた上で、被害者の胸や下半身をまさぐったり、無理やりキスをしたりなどのわいせつな行為をした場合には、強制わいせつ罪が成立する可能性が高いと考えられます。
他にも、たとえば、後ろから抱きつくと同時に被害者の胸を揉んだというような暴行とわいせつ行為が一緒に行われた場合にも強制わいせつ罪が成立する可能性が高いと言えます。
また、わいせつな行為を実際には行わなかったものの、わいせつな行為を行う目的で抱きついたのであれば、強制わいせつ罪の未遂罪が成立する可能性もあります。
以上のように、抱きつき行為が具体的にどのような態様であったのか、抱きついた後に被害者に対して行った行為がどのようなものであったか、どのような目的で抱きついたのか等の事情によっては、強制わいせつ罪や強制わいせつ罪の未遂罪が成立する可能性があります。
このような強制わいせつ罪の法定刑は、6か月以上10年以下の懲役となっています。
【暴行の疑いで刑事事件化したら】
取り上げた報道では、男性は暴行の疑いで逮捕されていますが、男性が女性に背後から抱きついたという事件ですので、今後の捜査では、男性が女性にわいせつな目的で抱きついたのか、抱きついた際に女性の身体のどこを触ったのかなどの抱きつき行為をしたときの具体的な状況などが詳しく捜査されることが予想されます。
抱きつき行為の目的や、その具体的な状況次第によっては、暴行事件ではなく、強制わいせつ事件や強制わいせつ罪の未遂事件として手続きが進んでいく場合もあり得ます。
先ほど説明した暴行罪と強制わいせつ罪の法定刑を比べるとわかるように、強制わいせつ罪の法定刑には罰金が定められていませんので、仮に検察官が事件を強制わいせつ事件として起訴した場合に必ず正式な裁判が開かれることになります。
従って、暴行罪よりも強制わいせつ罪のほうが重い犯罪であるといえますので、事件が暴行事件として処理されるのか、強制わいせつ事件として処理されるのかはその後の手続が大きく異なる可能性があります。
そのため警察の取り調べにおいては、取り調べを担当する警察官の誘導に引っかかって、抱きつき行為が強制わいせつ罪に当たるようなものであったと虚偽の自白してしまわないよう、取調べには十分注意して臨む必要があります。
警察署の取調室という密室で、取調べのプロである警察官を相手に虚偽の自白を行わないようにするためには、事前に弁護士に相談して警察での取調べ等の対応についてアドバイスを得ておくことをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
女性に抱きついて暴行の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】ブラジャー姿の上半身を見せて逮捕
【報道解説】ブラジャー姿の上半身を見せて逮捕
路上にてブラジャーを付けた上半身を女性に見せつけた男性が、兵庫県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「路上で通行人に下着姿を見せたとして、兵庫県警尼崎南署は25日、県迷惑防止条例違反の疑いで同県尼崎市の会社員の男(52)を逮捕した。
逮捕容疑は9月10日午前2時半ごろ、尼崎市神田北通2の路上で、通りかかった女性(38)に向かって素肌にブラジャーを付けた上半身を露出した疑い。
容疑を認めているという。」
(令和4年9月25日に神戸新聞NEXTで配信された報道より引用)
【路上で裸を露出すると何罪になる?】
今回取りあげた報道では、路上で男性がブラジャーを付けて上半身裸になった姿を女性に見せつけたことで警察に迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されています。
記事の中には、兵庫県迷惑行為防止条例のどのような規定に違反したかは明記されていませんが、おそらく、路上で男性がブラジャーを付けて上半身裸になる行為は、兵庫県迷惑行為防止条例3条の2第1項1号で禁止されている、公共の場所や乗り物において人に対して不安を覚えさせるような卑わいな言動にあたると警察が判断したために今回逮捕に至ったものと考えられます。
路上で裸を露出したという場合は、露出した体の部分や露出の方法などによって成立する犯罪が異なります。
迷惑行為防止条例違反である卑わいな言動以外にも、刑法174条が定める公然わいせつ罪や軽犯罪法1条20号違反が成立する可能性があります。
【公然わいせつ罪とは】
公然わいせつ罪は、「公然とわいせつな行為をした」場合に成立する犯罪で、その法定刑は、6カ月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料となっています。
公然わいせつ罪における「公然と」とは、不特定又は多数の人が認識できる状態のことを意味し、「わいせつな行為」とは、性欲を刺激、又は満足させる行為であり、普通人の性的羞恥心を害し、善良な詩的道義観念に反する行為を意味すると考えられています。
「わいせつな行為」については、定義が抽象的で意味が分かりずらく、具体的にどのような行為をすれば公然わいせつ罪となるのかよく分からないと思いますが、路上で陰部を露出する行為は、公然わいせつ罪にあたる典型的な行為であると考えられています。
【軽犯罪法違反とは】
軽犯罪法1条20号は、「公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者」を拘留又は科料に処するとしていますので、お尻や太ももといった身体の一部分を露出した場合は、露出した場所や露出した方法によっては、軽犯罪法1条20号に違反する可能性があります。
【迷惑行為防止条例違反とは】
今回、路上でブラジャーを付けた状態の上半身裸を女性に見せつけた男性は、上記の公然わいせつ罪でも軽犯罪法違反でもなく、兵庫県迷惑行為防止条例3条の2第1項1号公共の場所において人に不安を覚えさせるような卑わいな言動にあたるとして逮捕されたと考えられます。
「卑わいな言動」とは、最高裁判所によれば、「社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作」のことをいいます(最高裁平成20年11月10日決定)。
「卑わいな言動」の定義についても、抽象的で分かりづらいものですが、「卑わいな言動」は、「わいせつな行為」よりも広いものと考えられていますので、「わいせつな行為」に当たらなくても「卑わいな言動」に当たる可能性があります。
男性が路上で素肌にブラジャーを付けた上半身を女性に見せつける行為は、公共の場所に置いて人に不安を覚えさせるような下品でみだらな動作に当たる可能性が高い行為であると言えるでしょう。
なお、卑わいな言動に当たるとして仮に起訴されて有罪になると、6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられる可能性があります(兵庫県迷惑行為防止条例15条1項)。
【路上で裸を露出したことで警察の捜査を受けてお困りの方は】
路上で裸を露出したことで警察の捜査を受けてお困りの方は、まずは弁護士にご相談されることをお勧めします。
特に、路上で見ず知らずの人に対して裸を露出したという事件で前科が付くことを避けたいという場合に、その事件について認めるのであれば、被害者の方との示談を行うことで事件について真摯に反省しているという姿勢を示すことが非常に重要になるでしょう。
名前も連絡先も知らない被害者の方と示談を望まれる場合は、弁護士を通して示談交渉を行うことをお勧めします。
弁護士であれば、被害者の方の同意を得た上で、警察や検察といった捜査機関から被害者の情報を開示してもらえる可能性がありますので、見ず知らずの被害者の方であっても示談交渉を行うことができるようになるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
卑わいな言動による迷惑行為防止条例違反の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】従業員に行き過ぎたセクハラによって強制わいせつ罪で逮捕
【報道解説】従業員に行き過ぎたセクハラによって強制わいせつ罪で逮捕
強制わいせつ事件の示談解決について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
東京都大田区で、パン屋を経営していた男性(68歳)が、アルバイトの女子高校生にわいせつな行為をしたとして、警視庁田園調布警察署で逮捕された。
男性は、令和4年6月4日に、店の厨房で皿を洗うなど閉店の準備をしていたアルバイトの女子高校生に対し、後ろから抱きつき、胸や尻を触るなどの、わいせつな行為をした疑いがもたれている。
男性は、警察の取調べに対して容疑を認め、「理性が抑えきれなかった」「他のアルバイトの女性の胸や尻も触った」と供述しているということで、警視庁は余罪があるとみて調べている。
(令和4年8月26日に配信された「TBS NEWS DIG」より抜粋)
【強制わいせつ事件の刑事処罰とは】
暴行又は脅迫を用いて、わいせつな行為をした場合には、刑法の「強制わいせつ罪」が成立します。
本件において、後ろから抱きついたという行為態様が、「被害者が抵抗するのを著しく困難にする程度の行為」といえる場合には、「暴行又は脅迫」があったと認定され、強制わいせつ罪に当たると判断される可能性があります。
・刑法 176条
「十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。」
【強制わいせつ事件の示談解決】
強制わいせつ事件で逮捕された場合には、逮捕から2、3日の間に、さらに10日間の勾留(身柄拘束)を続けるかどうかが判断されます。
逮捕後の勾留期間(身柄拘束)は、原則として10日間、延長されれば最大20日間とされており、勾留期間の終わるときに、刑事処罰の起訴・不起訴の判断がなされます。
刑事処罰の起訴・不起訴の判断があるまでの勾留期間に、弁護士を依頼して、警察の取調べ対応の検討や、被害者側との示談交渉をまとめることが、刑事処罰の軽減や、不起訴処分の獲得のための、重要な弁護活動となります。
被害者側は、加害者に対する恐怖心を持つことが多く、直接の加害者と被害者の示談交渉は困難となるため、刑事事件に強い弁護士を依頼して、弁護士を仲介することで、示談交渉をスムーズに進めることが必要となります。
また、被害者が未成年のケースにおいては、未成年者の保護者との示談交渉を行い、謝罪や慰謝料支払いの意思を伝えることで、加害者を許す意思を含むような示談成立を目指すことにより、後の刑事処罰の判断に有利に影響することが期待されます。
まずは、セクハラ強制わいせつ事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。
セクハラ、強制わいせつ事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
【事例解説】見ず知らずの人に対する強制わいせつ罪と示談
【事例解説】見ず知らずの人に対する強制わいせつ罪と示談
見ず知らずの人に対して突然後ろから抱き着いて胸を触ったという強制わいせつ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例紹介】
「Aさんは、仕事が終わって帰宅の際、最寄り駅から自宅までの道中で、大学生のVさんが歩いているのを見つけました。
AさんとVさんは全く面識がありませんでしたが、Vさんの容姿がAさんの好みのタイプであったため、AさんはVさんの跡を付け始めました。
Vさんが街灯が少なく人通りのない路地に入ったところで、AさんはVさんの後ろから抱き着いてVさんの胸を触りました。
Vさんが悲鳴をあげたことで、Aさんはその場から走り去りました。
後日、防犯カメラの映像からAさんを犯人だと特定した警察官が、Aさんを強制わいせつ罪の疑いで逮捕しました。」
(この事例はフィクションです)
【見ず知らずの被害者との示談】
事例のAさんのように、後ろから突然抱き着くという被害者の方の反抗を著しく困難にする程度の「暴行」を用いて、胸を触るという「わいせつな行為」をした場合は、刑法176条が定める強制わいせつ罪が成立することになるでしょう。
強制わいせつ罪の法定刑は6月以上10年以下の懲役刑となっており、罰金が定められていないことから、比較的罪が重い犯罪であると言えます。
強制わいせつ罪の重い刑罰を回避するためには、不起訴処分の獲得を目指すことが考えられますが、そのためには、被害者の方との示談を締結することが重要な要素となるでしょう。
示談を締結するためには被害者の方と示談交渉をする必要がありますが、交渉を始めるにあたっては、被害者の方の名前や連絡先を知っていることが前提にあります。
加害者と被害者の方との間で従前から面識があり名前や連絡先を知っているという場合には、特段問題なく示談交渉を開始することができます。
しかし、加害者と被害者の方が全くの面識がなく、加害者が被害者の方の名前や連絡先を知らないという場合は、まずは被害者の方の名前や連絡先の情報を知ることができなければそもそも示談交渉を開始することができません。
被害者の方の名前や連絡先の情報を知らない場合は、弁護士が捜査担当の検察官や警察官などに被害者の方の情報を教えてもらえないか打診することになるでしょう。
打診を受けた検察官や警察官が、なぜ弁護士が連絡を取ろうとしているのかについて被害者の方に説明した上で、弁護士に連絡先などの情報を教えて良いかの確認をとり、被害者の方が承諾すれば、被害者の方の情報が弁護士に開示されるというものが一般的な流れになります。
このような捜査機関を通じて被害者の方の情報を得るという方法は、加害者本人が申し出ても教えてもらえる可能性はほぼ皆無であり、弁護士しか採ることが出来ない方法と言ってよいでしょう。
なぜならば、捜査機関側としては、加害者本人が被害者と接することは証拠隠滅のおそれや加害者が被害者に更なる危害を加えるおそれがあると懸念して、加害者本人に被害者の情報を教えることは極めて慎重になるでしょうし、また、被害者の方の心情として、性犯罪の被害にあった恐怖心から、被害者が加害者本人と直接コンタクトを取ろうとは思わないと考えられるからです。
【強制わいせつ事件で示談をお望みの方は】
強制わいせつ事件で前科が付くことを避けるために被害者の方との示談交渉を望まれる場合は、弁護士に依頼されることをお勧めします。
前述の通り、見ず知らずの被害者の方との示談にあたっては、弁護士でなければ被害者の方の連絡先を知る方法が無いと言えますし、また、示談と一言で言っても、どのような条件で示談を締結するか、示談書は具体的にどのような内容にするか、示談締結後にその事実をどのように捜査機関側に伝えるかなどと、様々なことを考慮する必要がありますので、示談交渉の経験が豊富な弁護士に任せるのがよいと言えるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
強制わいせつ事件で前科が付くことを避けたいとお考えの方、被害者の方との示談をお考えの方は、一度ご相談ください。
【報道解説】下着を見せつけて迷惑行為防止条例違反で逮捕
【報道解説】下着を見せつけて迷惑行為防止条例違反で逮捕
コンビニでチャックを下ろして下着を見せつけたことにより、千葉県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「コンビニの店員にスラックスのチャックを下ろし下着を見せつけたとして、千葉県警千葉中央署は16日、千葉市若葉区、県立B高教諭、A容疑者(32)を県迷惑防止条例違反の疑いで逮捕した。
『自分がやったことで間違いない』と容疑を認めている。
逮捕容疑は6月6日午前7時20分ごろ、千葉市中央区内のコンビニで会計をする際、カウンター奥のレジにいたパートの女性(46)に対し、スラックスのチャックを全開にして下着を露出したとしている。」
(令和4年8月16日に産経新聞で配信された報道より一部匿名にして引用)
【コンビニで下着を見せつけると…?】
報道では、Aさんは、コンビニでズボンのチャックを下ろして下着を見せつけたために逮捕されたとあります。
不特定または多数人が認識することができる状況で、自身の陰部を露出したため事案において、公然わいせつ罪(刑法174条)の疑いで逮捕されたという事案はご存じの方もいらっしゃると思います。
報道では、Aさんは、迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されたとの記載があります。
事件が起きた千葉県が定める迷惑行為防止条例(正式には「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」)第3条の2第3号では、公共の場所や乗物における卑わいな言動を禁止しています(ただし、同条1号、2号でそれぞれ禁止されている盗撮や痴漢にあたるものを除きます)。
このような卑わいな言動は、みだりに人を著しく羞恥させ又は人に不安を覚えさせるような行為である必要があります。
報道では詳しい事実関係については明らかになっていませんが、Aさんがコンビニでズボンのチャックを下ろして下着を見せつけた行為が、たとえば単にトイレに行った後にズボンのチャックを上げ忘れたために下着がちょっと外部に出ていたというような状態を超えて、みだりに人を著しく羞恥させ又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動であると当局が判断したために、迷惑行為防止条例違反で逮捕されたと考えられます。
なお、仮に卑わいな言動をして有罪となってしまうと、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります(同条例13条の2第1項2号)。
【迷惑行為防止条例違反で逮捕されてお困りの方は】
ご家族の中に、迷惑行為防止条例違反で逮捕された方がいる場合は、いち早く弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
Aさんのように県立高校の教員という地方公務員の方が事件を起こした場合は、刑事処分に加えて、教育委員会の懲戒処分が科される可能性が非常に高いですが、この懲戒処分は、刑事処分が最終的にどのようなものであったかという点が少なからず影響すると考えられます。
そのため、その後の懲戒処分の影響も考慮すると、なるべく早期に弁護士に依頼して、刑事事件の解決を目指すことが非常に有用であると言えるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です
ご家族の方が、迷惑行為防止条例違反で逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。