【報道解説】全裸で駅前を歩いて公然わいせつ罪で逮捕

2022-11-30

【報道解説】全裸で駅前を歩いて公然わいせつ罪で逮捕

駅前の繫華街を全裸で歩いたとして公然わいせつ罪逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「JR新潟駅前の繁華街を全裸で歩いていたとして男が逮捕されました。
公然わいせつの疑いで逮捕されたのは、自称・兵庫県芦屋市の26歳会社員の男です。
男は23日午前8時半ごろ、新潟市中央区東大通の路上を全裸で歩いていたということです。
通行人から通報を受けた警察官が男を発見し逮捕しました。
警察によりますと、男は『裸で歩いていたことは間違いない』と容疑を認めていますが、『どうして裸で歩いていたかは分からない』と話しているということです。」

(令和4年10月23日にBSB新潟放送で配信された報道より引用)

【公然わいせつ罪とは】

刑法174条では、「公然わいせつな行為をした者」に公然わいせつ罪が成立するとしています。

公然と」とは、不特定又は多数の人が認識することができる状態をいいます。
現実に不特定又は多数の人が認識する必要はなく、その認識の可能性があれば「公然と」と言えると考えられています。

今回、逮捕された男性が全裸で歩いていたとされる場所は、新潟駅前の繁華街とのことですが、駅前の繫華街は普段人通りの多い場所であると考えられますので、そのような場所でした露出行為は「公然と」行ったものと言うことができると考えられます。

公然わいせつ罪が成立するためには、「公然と」の用件に加えて、行った行為が「わいせつな行為」である必要があります。

わいせつな行為」とは、性欲を刺激、又は満足させる行為であり、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為を意味すると考えられています。
わいせつな行為」の定義を一読しただけでは、どのような行為が「わいせつな行為」であるかが分からないかと思いますが、一般的に、他人に見せるための性行為や、他人に性器を露出する行為は、「わいせつな行為」に当たると考えられています。

報道では、男性の様子が詳しくは明らかではありませんが、全裸で歩いていたということであれば、当然、性器も露出していたと考えられますので、そうであれば「わいせつな行為」に当たると言えるでしょう。

このように成立した公然わいせつ罪の法定刑は、6か月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料となっています(拘留とは1日以上30日未満の間、刑事施設に拘置する刑罰で、科料とは1000円以上1万円未満の範囲でお金を納付する刑罰です)。

【性器を露出しなければ罪に問われない?】

路上で性器露出すれば公然わいせつ罪に問われ得るということを説明しましたが、性器露出しなければ露出行為が罪に問われないかというとそうではありません。
露出した箇所や露出の方法などによっては、公然わいせつ罪以外の犯罪が成立する可能性があります。

たとえば、軽犯罪法1条20号では「公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者」を拘留又は科料に処するとしています。
そのため、性器を隠し、お尻や太ももといった体の一部の露出であっても、露出の態様次第によっては罰則が科される可能性があります。

また、他に成立する可能性がある犯罪としては、各都道府県が定める迷惑行為防止条例違反となる可能性があります。

各都道府県が定める迷惑行為防止条例には、公衆の場所や乗り物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような「卑わいな言動」を行うことを禁止していますが、露出の方法や露出した際の具体的な状況によっては、この「卑わいな言動」に当たることになるでしょう。

以前にも、兵庫県で通りがかった女性に、素肌にブラジャーを付けた上半身を露出した男性が兵庫県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されていますが、これは男性の露出行為が「卑わいな言動」に当たるとして、逮捕されたものだと考えられます。

【露出行為で刑事事件化したら】

公道を全裸で歩いたとして公然わいせつ罪の前科が付くことを避けたいとお考えの方は、弁護士に今後の対応について相談されることをお勧めします。
露出行為の目撃者がいる場合は、弁護士を通して目撃者と示談することが大事になってきますし、目撃者がいない場合でも弁護士を通して贖罪寄付を行うなどをして、事件について反省している姿勢を示すことが重要になってきます。

また、犯罪にならないと思って行った露出行為について、軽犯罪法違反迷惑行為防止条例違反の疑いで警察の捜査を受けられている方も弁護士にご相談されることをお勧めします。
弁護士に相談することで、今後どのような捜査が予想されるのか、最終的に事件がどのような結果となるのか今後の見通しなどについて、アドバイスを得ることが出来るでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
露出行為で警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。