Archive for the ‘事例紹介’ Category

【事例解説】強制わいせつ罪と迷惑行為防止条例違反(痴漢)

2023-04-11

【事例解説】強制わいせつ罪と迷惑行為防止条例違反(痴漢)

強制わいせつ罪迷惑行為防止条例違反痴漢)が成立する事例とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

<事例1>

福岡市在住の会社員男性A1は、深夜の路上で帰宅中の会社員女性V1の背後から腕をまわし、着衣の上から胸を複数回揉んだ。

<事例2>

福岡市在住の会社員男性A2は、深夜の路上で帰宅中の会社員女性V2の背後から追い抜きざまに、着衣の上からお尻を揉んだ。

(上記いずれの事例も登場人物はすべて成人で、すべてフィクションです。)

【強制わいせつ罪】

刑法176条で、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する、と定めています。

わいせつな行為」とは、「相手の意に反して性的羞恥心を害する行為」とされており、唇にキスしたり、胸や陰部を触る行為などが該当します。

また、「暴行又は脅迫を用いて」とありますが、暴行又は脅迫により被害者を抵抗不能の状態に陥れた後にわいせつ行為をする場合のみならず、わいせつ行為自体が「暴行」と評価される場合も成立します。
胸に触れるのみならず、複数回揉むような場合は、その行為自体が暴行と評価されます。

よって、事例1のA1は、暴行を用いてわいせつな行為をしたとして、強制わいせつ罪が成立します。

【迷惑行為防止条例違反(痴漢)】

福岡県の迷惑行為防止条例(第6条、第11条)では、(1)公共の場所で、(2)正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、(3)他人の身体に衣服の上から触れた場合、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する、と定めています。

事例2でのA2の行為は、上記要件(1)から(3)を満たすとして、福岡県迷惑行為防止条例違反痴漢)が成立することは明らかですが、お尻を揉んだ行為の態様次第では、その行為自体が暴行と評価されて強制わいせつ罪が成立する可能性も否定できません。

なお、被害者を押し倒したりや抱きしめた上で行為を行った場合は、暴行を手段としてわいせつ行為をしているため、強制わいせつ罪が明らかに成立します。

【強制わいせつ罪と迷惑行為防止条例違反(痴漢)の弁護活動】

迷惑行為防止条例違反痴漢)にとどまる場合は罰金刑もあり得ますが、強制わいせつ罪の場合は、起訴されると執行猶予付きの判決とならなければ懲役刑となります。
そのため、不起訴処分を得るためには、起訴される前に、被害者との示談を早期に成立させることが重要です。

特に性犯罪刑事事件では、加害者が被害者から連絡先を教えてもらい自ら示談交渉を行うことは事実上不可能です。
弁護士であれば被害者も話を聞いてもよいと連絡を教えてくれる余地があり、特に刑事事件示談交渉に経験豊富な弁護士であれば、条件の良い示談がまとまる可能性が見込まれます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、強制わいせつ罪迷惑行為防止条例違反痴漢)での示談成立による不起訴処分を獲得した実績が多数あります。

強制わいせつ罪迷惑行為防止条例違反痴漢)で自身やご家族が事件を起こし不安を抱える方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

【報道解説】母親が実娘のわいせつ画像を販売して児童ポルノ製造罪で逮捕

2023-02-04

【報道解説】母親が実娘のわいせつ画像を販売して児童ポルノ製造罪で逮捕

10歳の実の娘を裸にさせたわいせつ画像を撮って販売したとして、母親が強制わいせつ罪児童買春・児童ポルノ禁止法違反逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「10歳の実娘を裸にし、わいせつな画像を撮って販売したなどとして、愛知県警が40代の女を強制わいせつ児童買春・児童ポルノ禁止法違反逮捕していたことがわかった。
認否は明らかになっていない。
捜査関係者によると、女は10月20日に児童買春・児童ポルノ禁止法違反(提供)の疑いで逮捕され、11月9日には同法違反(不特定多数への提供目的所持)と強制わいせつの疑いで再逮捕された。
『1年ほど前から、不特定多数の人に娘の裸の画像を1千~3千円程度で売った』などと供述しているという。」

(令和4年11月28日に朝日新聞DIGITALで配信された報道より一部抜粋して引用)

【実の娘の裸にした画像を製造して販売すると】

児童ポルノ製造関係で警察が男性を逮捕したというニュースを見たことがあるかと思います。
その多くは、男性が女子トイレや女湯の更衣室での女児を盗撮したり、男性がSNSで知り合った未成年の女児との性行為の様子を撮影したり、裸の自撮り画像を送ってもらったりといったものかと思います。

今回取り上げた報道は、前述の事例とは異なり、母親が10歳の実の娘の裸にして写真を撮ったとして児童ポルノ製造等の疑いで逮捕されたケースです。
児童ポルノ製造すると児童買春・児童ポルノ禁止法7条3項に違反して3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
また、児童ポルノをSNSなどを使って不特定もしくは多数の人に提供する目的で所持すると児童買春・児童ポルノ禁止法7条7項に違反して5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金が科されるか、この両方が科される可能性があります。

他にも、10歳の実の娘を裸にさせる行為は、「わいせつな行為」として刑法176条の強制わいせつ罪が別途成立する可能性があります。
強制わいせつ罪の法定刑は、6月以上10年以下の懲役となっています。

【自分の子どもの裸を撮影した画像は全て「児童ポルノ」になるのか?】

児童買春・児童ポルノ禁止法7条において刑事罰の対象になるのは「児童ポルノ」に関して、同条各項に掲げられた行為をした場合です。
そもそも「児童ポルノ」とは、18歳未満の児童の次にあげる①〜③のいずれかの姿を撮影した画像や動画のことをいいます(児童買春・児童ポルノ禁止法2条3項参照)。
児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態(同項1号)
②他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの(同項2号)
③衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの(同項3号)
取り上げた報道では、逮捕された母親が10歳の実の娘を裸にして撮影したとのことですので、こうした画像は③の児童ポルノに当たると考えられます。

このように説明すると、自分の子どもが裸でいる状態を撮影した場合に全ての画像が児童ポルノに当たると判断される方がいるかと思いますがそうではありません。
たとえば、自分の3歳の子どもが自宅の庭で全裸で水遊びしている様子を子どもの成長の思い出として写真に撮った場合があるかと思いますが、これは③の「衣服の全部…を着けない児童の姿態」には当たりますが、水遊びの自然な様子を撮影したのあれば通常、「殊更に児童の性的な部位…が露出され又は強調されているもの」には当たらないと考えられます。
そのため、成長を記録するために親が子供の裸の画像を撮影した場合は、通常は児童ポルノに当たるとは考えられていません。
今回取り上げた報道では、逮捕された母親は撮影した実の娘の裸の画像を不特定多数の人に販売していたということですので、撮影した裸の画像が「殊更に児童の性的な部位…が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」であったために児童ポルノに当たると判断されたものと考えられます。

【ご家族が児童ポルノ製造などの疑いで逮捕されたら?】

ご家族が児童ポルノ製造などの疑いで逮捕されたことを知った場合は、いち早く弁護士に初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
逮捕期間中は家族であっても逮捕された本人と面会することができませんし、土日祝日も警察の留置場などは休みのためご家族が逮捕された本人と面会することができません。
しかし、弁護士であればこうした制限や警察官の立ち合いなく自由に接見(面会)することができますので、逮捕された本人から事件について話を伺って、事件の見通しや今後の手続の流れといったことを逮捕された本人や、そのご家族の方に説明することができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族が児童ポルノ製造などの疑いで逮捕された方がいてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】AV新法で全国初摘発

2023-01-24

【報道解説】AV新法で全国初摘発

令和4年6月に施行されたAV新法違反で日本で初めて摘発された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「令和4年6月に施行されたアダルトビデオAV出演被害防止・救済法に違反したとする事例が、全国で初めて摘発された。
法律が義務づけた出演者への契約書の交付をしなかったとして、警視庁が映像制作会社経営の男(50)を同法違反容疑で逮捕し、6日発表した。
保安課によると、A容疑者は8~10月、自身が制作するAV7作品に出演した20~50代の女性3人に対し、撮影する性行為の内容などを明記した契約書を作品ごとに渡す義務があるのに渡さなかった疑いがある。
調べに、容疑を認めているという。」

(令和4年12月6日に朝日新聞DEGITALで配信された報道より匿名にして一部抜粋して引用)

【AV新法とは】

今回取り上げた報道は、「AV新法」違反で日本で初めて摘発されたケースです。
AV新法」はアダルトビデオAV)に出演したことによって生じた被害の防止などに対応するための法律で、正式には「性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律」と言います。
非常に長い法律名ですので、以下、「AV新法」という略称を用います。

【AV新法の処罰対象】

AV新法では「制作公表者」や「制作公表従事者」に様々な義務を課していますので、違反すると刑事罰の対象になっている義務を簡単に説明します。

そもそも義務の対象になっている「制作公表者」とは、AVの制作公表を行う者として、出演者との間で出演契約を締結し、又は締結しようとする者のことをいい(AV新法2条7項参照)、「制作公表従事者」とは制作公表者以外の者であって、制作公表者との間の雇用、請負、委任その他の契約に基づきAVの制作公表に従事する者のことをいいます(AV新法2条8項参照)。

そして、AV新法5条1項では、AVの「制作公表者」には、AVの出演者との間でAVの出演契約を締結しようとするときには、AV作品ごとに撮影予定の性行為の内容などの事項を書面を交付して説明する義務があります。
このAV新法5条1項の義務に違反すると6カ月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金が科されるか、この両方が科される可能性があります(AV新法21条1号)。

また、AV新法6条では、AVの「制作公表者」は出演契約事項が記載された出演契約書をAV出演者に対して交付・提供しなければならない義務を負っています。
このAV新法の義務に違反して契約書を交付・提供しなかった場合には、先ほどの場合と同様に6カ月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金が科されるか、この両方が科される可能性があります(AV新法21条2号)。

これらに加えて、AV出演契約の解除に関しても罰則が設けられています。
AV新法13条1項では、AVの出演者はAVが公開されてから1年経過するまで(法律の施行後2年間は経過措置として公開から2年経過するまで)はAVの出演契約の申込みを撤回したり、既にAV出演契約がされている場合はAV出演契約を解除したりできます(以下では、この2つをまとめて「AV出演契約の任意解除等」と表現します)。
そして、AV新法13条5項では、「制作公表者」や「制作公表従事者」が、AV出演契約の任意解除等をAV出演者が行使することを妨げるために、AV出演契約の任意解除等に関する事項や出演契約そのものに関する事項で重要なものについて、真実でないこと(不実のこと)を告げてはならないとしています。
また、AV新法13条6項によって、「制作公表者」や「制作公表従事者」には、AV出演契約の任意解除等を妨げるために、AV出演者を威迫して困惑させてはならないという義務も負っています。
こうした義務に違反して、AV出演契約の任意解除等の行使を妨げるために、AV出演者に不実のことを告げたり、威迫して困惑させたりすると、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金が科されるか、又はこの両方が科される可能性があります。

取り上げた報道では、逮捕された男性は、AVの出演契約書を出演者に渡さなかった疑いがあるとのことですので、AV新法21条2号による刑事罰の対象になる可能性があります。

【AV新法違反でお悩みの方は】

AV新法の適用されるのはAVメーカーが制作しているAVにしか限られないと思われている方がいるかもしれませんが、AV新法上、その適用を法人が業務として制作しているAVに限定しているという訳ではありません。
そのため、例えば副業として、個人で出演者を募集・交渉したうえで自分との性行為を撮影することでAVを制作して、そのAVを動画配信プラットフォームで配信しているといった場合にもAV新法が適用されることになります。
出演者に契約書を交付せずにこうしたAVの製作・配信の副業を行っていた場合、出演者からの相談などをきっかけに警察の捜査の対象になる場合があり得ます。

ある日突然、警察から話をききたいと警察署まで呼び出しの連絡が来たら、まずは、弁護士に相談して、取調べの対応を含めた今後の対応についてご相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
AV新法違反の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】パパ活の勧誘を装った性的暴行で強制性交等罪で逮捕

2023-01-13

【報道解説】パパ活の勧誘を装った性的暴行で強制性交等罪で逮捕

パパ活の勧誘で声をかけた女性に性的暴行を加えたとして強制性交等罪逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「女性に『パパ活しない?』などと声をかけ、性的暴行を加えるなどした疑いで、名古屋市中区栄の41歳の会社員の男が逮捕・送検されました。
警察の調べによりますと、容疑者は令和4年10月16日の午後8時半ごろ、名古屋市中区の駐車場で、21歳の女性に性的暴行を加えた強制性交等などの疑いが持たれています。
警察によりますと、容疑者は歩いていた女性に『パパ活しない?』『お小遣いあげるからごはん行こう』などと声をかけ、現金1000円を無理矢理渡して駐車場に連れ込んだということです。
取り調べに対してA容疑者は『性欲を満たすため』と話し、『おおむね間違いありません』と容疑を認めているということで、警察は余罪などについて詳しく調べる方針です。」

(令和4年11月18日にCBCテレビで配信された報道より一部匿名にして引用)

【強制性交等罪はどのような犯罪か】

今回取り上げた報道は、逮捕された男性が路上を歩いていた21歳の女性を駐車場に連れ込んで性的暴行を加えたとして強制性交等罪の疑いで逮捕されたケースです。
強制性交等罪は刑法177条に規定されていて、13歳以上の者に対して、被害者の反抗を著しく困難にする程度の暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交を行うことで成立する犯罪です。
強制性交等罪の法定刑は5年以上の有期懲役となっていますので、仮に強制性交等罪で実刑の有罪判決が出てしまうと最低でも5年は刑務所に収監されることになります。

なお、強制性交等の機会に被害者に怪我を負わせた場合は、刑法181条2項の強制性交等致傷罪が成立することになります。
例えば、強制性交等の際に、抵抗する被害者の身体を強く押さえつけたことで皮下溢血の傷害を負わせた場合や、人気のない場所に被害者を移動させるために被害者を引きずったことで擦り傷の傷害を負わせた場合には強制性交等罪致傷罪が成立することになるでしょう。
強制性交等罪致傷罪の法定刑は無期又は6年以上の懲役刑となり、強制性交等罪の場合よりも重くなっています。

【ご家族が強制性交等の疑いで逮捕されてお困りの方は】

警察からの連絡などでご家族が強制性交等の疑いで逮捕されたことを知ったものの、何をしたら良いのか分からずお困りの方は、まずは弁護士に初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
この初回接見では、逮捕された本人が拘束されている警察の留置場などに弁護士が出向いて、逮捕された本人から弁護士が直接事件についてお話を伺うことができますので、まずは本人に事件の見通しや今後の手続きについて説明することができます。
また、逮捕された方のご家族の方に対しましても、接見に向かった弁護士から接見の報告をさせて頂きますので、なぜ本人が逮捕されたのか、今後どのような手続で事件が進んでいくのか、弁護士刑事弁護活動を依頼することのメリット、予想される結果などについて知ることができるでしょう。

強制性交等事件で容疑を認めている場合は、弁護士を通じて被害者の方と示談することが重要になります。
強制性交等罪は数ある性犯罪の中で罪が重い犯罪と言えますので、示談金の相場も他の性犯罪示談金よりも高い傾向にありますが、強制性交等罪の被害者の方に真摯な謝罪と反省の意思を示して示談を締結することができれば、不起訴処分となる場合もあり得るでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族が強制性交等の疑いで逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

【報道解説】下着を無理やり脱がせて傷害を負わせ強制わいせつ致傷で逮捕

2023-01-02

【報道解説】下着を無理やり脱がせて傷害を負わせ強制わいせつ致傷で逮捕

男性の同僚の下着を無理やり脱がせた際に傷害を負わせたとして男らが強制わいせつ致傷罪で逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「警視庁葛飾署は9日、『アート引越センター』社員(27)(東京都江戸川区)、同社アルバイト(52)(葛飾区)ら男4人を強制わいせつ致傷容疑で逮捕した。
葛飾署幹部によると、4人は4月30日未明、社員の男の自宅マンションで同僚の20歳代男性の体を押さえつけて無理やり下着を脱がせ、腹部に全治約3週間の傷害を負わせた疑い。いずれも容疑を認めている。
男性が5月に葛飾署に相談して発覚した。」

(令和4年11月14日に読売新聞オンラインで配信された報道より引用)

【強制わいせつ致傷罪とは】

刑法176条では、13歳以上の者に対して暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした場合に強制わいせつ罪が成立するとしており、さらに強制わいせつ罪によって人を傷させた場合には刑法181条1項のわいせつ致傷罪が、死亡させた場合には同じく刑法181条1項の強制わいせつ致死罪(あわせて「強制わいせつ致死傷罪」と言うことがあります)が成立することになります。

今回取り上げた報道では、逮捕された男性らは、被疑者の男性の身体を押さえつけるという暴行を用いて、下着を無理脱がせるというわいせつな行為をし、この時、被害者の男性に腹部に全治約3週間の傷害を負わせた疑いがあるとのことですので、仮にこれが事実であれば、強制わいせつ致傷罪が成立することになるでしょう。

【いじめ目的で下着を脱がせることも「わいせつ」?】

ところで、強制わいせつ罪が成立するためには、昭和45年1月29日に出された最高裁判所の判例によって、「犯人の性欲を刺激興奮させまたは満足させる」という性的意図(わいせつ目的)が必要であるとされてきました。
強制わいせつ罪の成立の要件としてわいせつ目的が必要であるとすると、今回取り上げた報道のように、いじめ目的で自分と同じ性別の被害者の下着を無理やり脱がせたという場合はわいせつ目的が存在しないとして強制わいせつ罪が成立しない可能性が高いといえます。
しかし、わいせつ目的を一律に強制わいせつ罪の成立要件とする昭和45年の最高裁判所の判例は、平成29年11月29日に出された最高裁判所の判例によって変更されました。
この平成29年の判例によると、被害者の下着を無理やり脱がすという行為それ自体が性的な意味合いが強い行為を行った場合には、犯人の意図にかかわらず強制わいせつ罪が成立することになると考えられています。
そのため、この平成29年の判例が出された現在では、わいせつ目的で下着を脱がせた場合はもちろん、いじめ目的で下着を脱がせた場合であっても強制わいせつ罪が成立することになるでしょう。

【ご家族が強制わいせつ(致傷)罪で逮捕されたら】

ご家族が強制わいせつ罪強制わいせつ致傷罪の疑いで逮捕されたことを知った場合は、まずは弁護士に依頼して初回接見にいってもらうことをお勧めします。
この初回接見によって、弁護士が直接逮捕された方から事件について話を聞くことができますので、事件の見通しや今後の手続きの流れなどを知ることができます。

また、強制わいせつ罪の法定刑は6月以上10年以下の懲役刑で、強制わいせつ致傷罪の法定刑は無期又は3年以上の懲役刑となっていて、罰金刑が定められていないことから両者の法定刑は比較的重いといえます。
ただ、このように比較的刑が重い強制わいせつ罪強制わいせつ致傷罪であっても、行ったわいせつ行為の態様や、被害者の方の傷害の程度などによっては、被害者の方と示談を締結することができれば起訴を回避することも可能になる場合があります。
そのためには、弁護士が初回接見をきっかけに事件に早期に関与して、示談を検察官が起訴を決定するまでにまとめることが必須となってくるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族が強制わいせつ罪強制わいせつ致傷罪の疑いで逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】いじめ目的で下着を無理やり脱がせて傷害を負わせ強制わいせつ致傷で逮捕

2022-12-25

【報道解説】いじめ目的で下着を無理やり脱がせて傷害を負わせ強制わいせつ致傷で逮捕

男性の同僚の下着を無理やり脱がせた際に傷害を負わせたとして男らが強制わいせつ致傷罪逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「警視庁葛飾署は9日、『アート引越センター』社員(27)(東京都江戸川区)、同社アルバイト(52)(葛飾区)ら男4人を強制わいせつ致傷容疑で逮捕した。
葛飾署幹部によると、4人は4月30日未明、社員の男の自宅マンションで同僚の20歳代男性の体を押さえつけて無理やり下着を脱がせ、腹部に全治約3週間の傷害を負わせた疑い。いずれも容疑を認めている。
酒に酔った男が服を脱ぐよう迫り、スマートフォンでその様子を撮影していたという。男性が5月に葛飾署に相談して発覚した。」

(令和4年11月14日に読売新聞オンラインで配信された報道より引用)

【強制わいせつ致傷罪とは】

刑法176条では、13歳以上の者に対して暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした場合に強制わいせつ罪が成立するとしており、さらに強制わいせつ罪によって人を傷害させた場合には刑法181条1項のわいせつ致傷罪が、死亡させた場合には同じく刑法181条1項の強制わいせつ致死罪(あわせて「強制わいせつ致死傷罪」と言います)が成立します。

今回取り上げた報道では、逮捕された男性らは、日常的ないじめとして、被疑者の男性の身体を押さえつけるという暴行を用いて、下着を無理脱がせるというわいせつ行為をし、この時、被害者の男性に腹部に全治約3週間の傷害を負わせた疑いがあるとのことですので、仮にこれが事実であれば、強制わいせつ致傷罪が成立することになるでしょう。

【いじめ目的で下着を脱がせることも「わいせつ」?】

ところで、強制わいせつ罪が成立するためには、昭和45年1月29日に出された最高裁判所の判例によって、「犯人の性欲を刺激興奮させまたは満足させる」という性的意図(わいせつ目的)が必要であるとされてきました。
強制わいせつ罪の成立の要件としてわいせつ目的が必要であるとすると、今回取り上げた報道のように、いじめ目的で自分と同じ性別の被害者の下着を無理やり脱がせたという場合は、わいせつ目的が存在しないとして強制わいせつ罪が成立しない可能性が高いといえます。
しかし、わいせつ目的を一律に強制わいせつ罪の成立要件とする昭和45年の最高裁判所の判例は、平成29年11月29日に出された最高裁判所の判例によって変更されました。
この平成29年の判例によると、被害者の下着を無理やり脱がすという行為それ自体が性的な意味合いが強い行為を行った場合には、犯人の意図にかかわらず強制わいせつ罪が成立することになると考えられています。
そのため、この平成29年の判例が出された現在では、わいせつ目的で下着を脱がせた場合はもちろん、いじめ目的で下着を脱がせた場合であっても強制わいせつ罪が成立することになるでしょう。

【ご家族が強制わいせつ(致傷)罪で逮捕されたら】

ご家族が強制わいせつ罪強制わいせつ致傷罪の疑いで逮捕されたことを知った場合は、まずは弁護士に依頼して初回接見にいってもらうことをお勧めします。
この初回接見によって、弁護士が直接逮捕された方から事件について話を聞くことができますので、事件の見通しや今後の手続きの流れなどを知ることができます。

また、強制わいせつ罪の法定刑は6月以上10年以下の懲役刑で、強制わいせつ致傷罪の法定刑は無期又は3年以上の懲役刑となっていて、罰金刑が定められていないことから両者の法定刑は比較的重いといえます。
ただ、このように比較的刑が重い強制わいせつ罪強制わいせつ致傷罪であっても、行ったわいせつ行為の態様や、被害者の方の怪我の程度などによっては、被害者の方と示談を締結することができれば起訴を回避することも可能になる場合があります。
そのためには、弁護士初回接見をきっかけに事件に早期に関与して、示談を検察官が起訴を決定するまでにまとめることが必須となってくるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族が強制わいせつ罪強制わいせつ致傷罪の疑いで逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】児童に対しわいせつ画像要求して児童ポルノ製造で逮捕

2022-12-22

【報道解説】児童に対しわいせつ画像要求して児童ポルノ製造で逮捕

わいせつ画像を送信させる児童ポルノ製造事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

神奈川県警少年捜査課と神奈川県大磯警察署は、令和4年11月9日に、児童買春・ポルノ禁止法違反児童ポルノ製造、自己性的目的所持)と、貸金業法違反(無登録営業)の疑いで、会社員の男性(34歳)を逮捕した。
逮捕容疑は、令和2年10月26日、神奈川県小田原市に住む高校2年の女子生徒(当時15歳)に、携帯電話のカメラで衣服を着ていない状態で自らの姿を撮影させた上、画像データ3点を交流サイト(SNS)で送信させたほか、令和3年10月15日、自宅敷地内で児童ポルノの画像データ10点を保存した携帯電話を所持した、としている。
大磯警察署によると、令和3年4月に署がサイバーパトロールで生徒のSNS上の書き込みを見つけ、本件被害が発覚した。
(令和4年11月9日に配信された「神奈川新聞」より抜粋)

【交流サイト(SNS)等を利用した児童ポルノ製造事件とは】

交流サイト(SNS)等を利用して、18歳未満の児童の裸や下着姿の画像データ・動画データ等を送信させた場合には、「児童ポルノ製造罪」や「児童ポルノ所持罪」に該当して、刑事処罰を受ける可能性があります。

児童わいせつな画像や動画を撮影させて、データを送信させた場合の、「児童ポルノ製造罪」の刑罰の法定刑は、「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」とされています。
他方で、児童ポルノ画像や動画を所持していた場合の、「児童ポルノ所持罪」の刑罰の法定刑は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」とされています。

交流サイト(SNS)等を利用してわいせつ画像等を送信させる犯罪行為は、何らかの経緯により、警察へと発覚することにより、刑事事件としての捜査が始まります。
警察発覚の経緯で、よくあるケースとしては、相手方児童の保護者が気付いて、警察に通報するケースや、相手方児童が他の人に対しても、わいせつ画像送付等をしていて警察に発覚し、交流サイトの過去のチャット履歴から本人とのやりとりも警察に辿られるケース等が挙げられます。

【児童ポルノ製造事件の弁護活動】

児童ポルノ製造事件が警察に発覚し、警察から取調べの呼び出し連絡が来た場合には、できれば警察取調べに行く前のタイミングで、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要となります。
最初の警察取調べで、事件を認める方向で話すのか、やっていないと否認する方向で話すのか、どういう事実があったと話すかという供述内容は、その後の刑事事件の方針を決定付けることになるからです。

また、被害者児童や保護者との示談交渉を行い、謝罪や慰謝料支払いの意思を伝えて、被害者側の許しを得られるような示談を成立させることも、重要な弁護活動となります。
児童ポルノ事件では、加害者側と被害者側の直接の示談交渉は認められないケースが多く、弁護士を依頼して被害者との間を仲介することで、示談成立に向けた弁護活動を行うことができます。

まずは、児童ポルノ製造事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

児童ポルノ製造事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【報道解説】女性に卑わいな言葉をかけて逮捕

2022-12-11

【報道解説】女性に卑わいな言葉をかけて逮捕

コンビニの店員に卑わいな言葉をかけたとして迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「コンビニエンスストアの女性店長に卑猥な言葉をかけた疑いで警察は10月24日、福岡市の中学校教諭・A容疑者を逮捕しました。
調べによりますとA容疑者は去年10月、2度に渡り、福岡市中央区のコンビニエンスストアでコンドームを購入後、『自慰行為をしたいのでトイレ借りてもいいですか』などと告げた疑いがもたれています。
去年12月にも福岡市のドラッグストアで卑猥な言動をした疑いが持たれていて、A容疑者はこれら3件の容疑を認めています。」

(令和4年10月24日にで配信された報道より一部匿名にして引用)

【痴漢や盗撮でなくても罪になる?】

各都道府県では、正確な名称はそれぞれの地域によって異なりますが、いわゆる迷惑行為防止条例という条例を規定しています。
毎日のニュースで報道されている痴漢盗撮といった行為については、各都道府県が定める迷惑行為防止条例が罰則をもって禁止していますが、迷惑行為防止条例の中には、痴漢盗撮行為以外にも、「卑わいな言動」を行った場合の罰則が定められています。

例えば、福岡県迷惑行為防止条例6条1項2号では、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で「卑わいな言動」をすることを禁止しています。

卑わいな「言動」とありますので、下品でみだらな「言葉」を公共の場所や乗物において発してしまうと、卑わいな言動として、福岡県迷惑行為防止条例6条1項2号違反になる可能性があります。
どのような言葉を発すると卑わいな言動に当たってしまうのかということについては、具体的な状況次第によるところもありますが、例えば、通行中の女性にナンパ目的で「エッチしようよ」と声をかける行為は卑わいな言動に当たると考えられます。

今回取り上げた報道では、逮捕された男性は、コンビニの女性店長に対して「自慰行為をしたいのでトイレ借りてもいいですか」と申し向けたとのことです。
おそらく、「自慰行為をしたい」という部分の発言が、「卑わいな言動」に当たると警察が判断したために、福岡県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されたのだと考えられます。

なお、仮に卑わいな言動をしたとして起訴されて有罪となってしまうと、福岡県迷惑行為防止条例11条1項によって、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
また、常習として卑わいな言動をしていた場合には、福岡県迷惑行為防止条例12条1項により、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられる可能性もあります。

【迷惑行為防止条例違反の前科を付けたくない方は】

逮捕された男性は中学校の教師との報道がなされていますが、仮に公立の中学校の正規の教師ということであれば、その身分は地方公務員ということになります。
地方公務員の身分を有する人が刑事事件を起こし、有罪となって禁錮以上の刑が科せられてしまうと、執行猶予が付いたとしても、地方公務員の身分を失うことになります(地方公務員法28条4項、同法16条1号)。
そのため、地方公務員の身分を有する方が刑事事件を起こしてしまった場合は、弁護士に事件について相談されることをお勧めします。

今回取り上げた報道のように、卑わいな言動によって迷惑行為防止条例違反の疑いで警察の捜査を受けられているという場合には、弁護士を通して被害者の方と示談を締結することができれば、起訴されることを回避することも可能になるかもしれません。
起訴されないということは、裁判が開かれないということですから、前科が付くこともありませんので、地方公務員の身分への影響を最小限に抑えることができると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
迷惑行為防止条例違反前科が付くことを回避したいとお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】全裸で駅前を歩いて公然わいせつ罪で逮捕

2022-11-30

【報道解説】全裸で駅前を歩いて公然わいせつ罪で逮捕

駅前の繫華街を全裸で歩いたとして公然わいせつ罪逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「JR新潟駅前の繁華街を全裸で歩いていたとして男が逮捕されました。
公然わいせつの疑いで逮捕されたのは、自称・兵庫県芦屋市の26歳会社員の男です。
男は23日午前8時半ごろ、新潟市中央区東大通の路上を全裸で歩いていたということです。
通行人から通報を受けた警察官が男を発見し逮捕しました。
警察によりますと、男は『裸で歩いていたことは間違いない』と容疑を認めていますが、『どうして裸で歩いていたかは分からない』と話しているということです。」

(令和4年10月23日にBSB新潟放送で配信された報道より引用)

【公然わいせつ罪とは】

刑法174条では、「公然わいせつな行為をした者」に公然わいせつ罪が成立するとしています。

公然と」とは、不特定又は多数の人が認識することができる状態をいいます。
現実に不特定又は多数の人が認識する必要はなく、その認識の可能性があれば「公然と」と言えると考えられています。

今回、逮捕された男性が全裸で歩いていたとされる場所は、新潟駅前の繁華街とのことですが、駅前の繫華街は普段人通りの多い場所であると考えられますので、そのような場所でした露出行為は「公然と」行ったものと言うことができると考えられます。

公然わいせつ罪が成立するためには、「公然と」の用件に加えて、行った行為が「わいせつな行為」である必要があります。

わいせつな行為」とは、性欲を刺激、又は満足させる行為であり、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為を意味すると考えられています。
わいせつな行為」の定義を一読しただけでは、どのような行為が「わいせつな行為」であるかが分からないかと思いますが、一般的に、他人に見せるための性行為や、他人に性器を露出する行為は、「わいせつな行為」に当たると考えられています。

報道では、男性の様子が詳しくは明らかではありませんが、全裸で歩いていたということであれば、当然、性器も露出していたと考えられますので、そうであれば「わいせつな行為」に当たると言えるでしょう。

このように成立した公然わいせつ罪の法定刑は、6か月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料となっています(拘留とは1日以上30日未満の間、刑事施設に拘置する刑罰で、科料とは1000円以上1万円未満の範囲でお金を納付する刑罰です)。

【性器を露出しなければ罪に問われない?】

路上で性器露出すれば公然わいせつ罪に問われ得るということを説明しましたが、性器露出しなければ露出行為が罪に問われないかというとそうではありません。
露出した箇所や露出の方法などによっては、公然わいせつ罪以外の犯罪が成立する可能性があります。

たとえば、軽犯罪法1条20号では「公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者」を拘留又は科料に処するとしています。
そのため、性器を隠し、お尻や太ももといった体の一部の露出であっても、露出の態様次第によっては罰則が科される可能性があります。

また、他に成立する可能性がある犯罪としては、各都道府県が定める迷惑行為防止条例違反となる可能性があります。

各都道府県が定める迷惑行為防止条例には、公衆の場所や乗り物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような「卑わいな言動」を行うことを禁止していますが、露出の方法や露出した際の具体的な状況によっては、この「卑わいな言動」に当たることになるでしょう。

以前にも、兵庫県で通りがかった女性に、素肌にブラジャーを付けた上半身を露出した男性が兵庫県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されていますが、これは男性の露出行為が「卑わいな言動」に当たるとして、逮捕されたものだと考えられます。

【露出行為で刑事事件化したら】

公道を全裸で歩いたとして公然わいせつ罪の前科が付くことを避けたいとお考えの方は、弁護士に今後の対応について相談されることをお勧めします。
露出行為の目撃者がいる場合は、弁護士を通して目撃者と示談することが大事になってきますし、目撃者がいない場合でも弁護士を通して贖罪寄付を行うなどをして、事件について反省している姿勢を示すことが重要になってきます。

また、犯罪にならないと思って行った露出行為について、軽犯罪法違反迷惑行為防止条例違反の疑いで警察の捜査を受けられている方も弁護士にご相談されることをお勧めします。
弁護士に相談することで、今後どのような捜査が予想されるのか、最終的に事件がどのような結果となるのか今後の見通しなどについて、アドバイスを得ることが出来るでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
露出行為で警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】商業施設で痴漢行為 強制わいせつ罪で逮捕

2022-11-19

【報道解説】商業施設で痴漢行為 強制わいせつ罪で逮捕

強制わいせつ罪痴漢罪の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道事例】

千葉県浦安警察署は令和4年10月19日に、強制わいせつ罪の疑いで、千葉県浦安市に住む自称アルバイトの男性(25歳)を逮捕した。
逮捕容疑は、9月7日午後5時55分頃に、千葉県内の複合商業施設内で、当時12歳だった女児に背後から抱きつき、体を触るなどした疑い。
浦安警察署によると、男性と被害者女児に面識はなかったとみられる。
現場周辺の防犯カメラの映像などから容疑者男性が浮上し、男性は容疑を認めている。
(令和4年10月20日に配信された「千葉日報オンライン」より抜粋)

【強制わいせつ罪とは】

被害者の身体を同意無しに触る等した場合には、刑法の「強制わいせつ罪」や、各都道府県の制定する「迷惑防止条例違反痴漢罪」に当たるとして、刑事処罰を受ける可能性が考えられます。

被害者の身体を触った際に、被害者の反抗を抑圧する程度の「暴行又は脅迫」を用いて、わいせつ行為をした場合には、刑法の「強制わいせつ罪」に当たるとして処罰されます。
上記の事例では、「被害者に背後から抱きついたこと」が、「反抗を抑圧する程度の暴行」を用いたことに当たると、捜査機関により判断されたと考えられます。
強制わいせつ罪の法定刑は、「6月以上10年以下の懲役」とされています。

・刑法 176条
「十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。」

【迷惑防止条例違反の痴漢罪とは】

各都道府県の制定する迷惑防止条例違反痴漢罪は、「公共の場所または公共の乗物」において被害者の身体を触る行為を、刑事処罰の対象としています。
上記の事例では、「複合商業施設内での痴漢事件」であることから、千葉県迷惑防止条例違反痴漢罪にも該当しますが、より刑事処罰の重い「強制わいせつ罪」の容疑がかけられているものと考えられます。
千葉県迷惑防止条例違反痴漢罪の法定刑は、「6月以下の懲役又は50万円以下」とされています。

・千葉県迷惑防止条例 3条の2
「何人も、みだりに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次の各号に掲げるものをしてはならない。」
2号「公共の場所又は公共の乗物において、人の胸部、臀でん部、陰部、大腿部その他の身体の一部に直接又は衣服その他の身に着ける物の上から触れること。」

【強制わいせつ事件の弁護活動】

強制わいせつ事件や、迷惑防止条例違反痴漢事件で、刑事弁護の依頼を受けた弁護士は、早期釈放や刑事処罰軽減に向けて、まずは警察取調べに対する供述対応を、逮捕された本人とともに、綿密に検討したします。
また、被害者やその家族との示談交渉弁護士が行い、謝罪の意思や、慰謝料支払の意思を示すことで、被害者の許しを得られるような示談を成立させることが、早期釈放や不起訴処分獲得に向けて、重要な弁護活動となります。

まずは、強制わいせつ事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

強制わいせつ事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

« Older Entries Newer Entries »