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強制性交等罪(旧強姦罪)で逮捕

2019-10-24

強制性交等罪(旧強姦罪)で逮捕

強制性交等罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例:Aは,京都府京田辺市内所在のホテル内で,V(20歳)と性行為を行った。
これに対し,Vは「上記性行為は,AがVに乱暴をはたらき無理矢理行ったものである」と主張している。
Vの主張を受け捜査を行った京都府田辺警察署の警察官は,Aを強制性交等罪の疑いで逮捕した。
Aは,警察の取調べに対して,Vに対して無理矢理性行為を強制した事実はない旨否認している。
Aの家族は,性犯罪事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実を基にしたフィクションです。)。

~強制性交等罪(旧強姦罪)の構造~

昨今,いわゆる旧強姦罪(現在は強制性交等罪)やそれに関連する性犯罪事件に関し,無罪判決が相次いだこともあり,大きな議論を呼んでいます。
上記判決(まだ下級審レベルではありますが)については,その肯否を含め議論されている段階です。
そこでもう一度,現在の強制性交等罪(旧強姦罪)の規定とその一般的な解釈について,通説実務の考え方を確認しておく必要があるでしょう。

刑法177条前段は,「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する」と規定し,典型的には旧強姦罪のように,「暴行」や「脅迫」を用いて性行為を行うことを処罰する規定になっています。
つまり,まず強制性交等罪(旧強姦罪)の客観的要件として,加害者の行為が,「暴行」や「脅迫」を用いた性行為であるといえる必要があります。
原則として刑法は,「暴行」や「脅迫」を手段とする性行為を,強制的な性行為であるとして処罰する旨定めているのです。

では,どの程度の「暴行」や「脅迫」を加えた場合に,性行為を強制したといえるのでしょうか。
この点,通説実務によると,強制性交等罪(旧強姦罪)における「暴行又は脅迫」とは,被害者の反抗を抑圧するまでのものである必要はないが,被害者の反抗を著しく困難にする程度のものである必要があるとしています。
したがって,逮捕されてしまった被疑者や弁護士としては,被害者が反抗可能な状態にあったことを主張することも考えられるでしょう。
ちなみに,177条後段は「13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする(注:上記177条前段と同様とするという意味)」としており,13歳未満への「性交等」は,「暴行」「脅迫」要件を不要としている点にも注意が必要です。

また,実務上争いになることが多いのが,犯罪の主観面つまり故意(刑法38条1項本文)に関する争いです。
強制性交等罪(旧強姦罪)は,真意に基づく同意があるときは成立されないとされており,この同意の有無が争点になることがあります。
また,真実として同意がなかったとしても,加害者が被害者に真意に基づく同意があると誤信していた場合にも,違法な行為についての責任は問うことができないと考えられており,こちらも争点になることがあります。
もっとも,このような主観面の認定は上記の暴行・脅迫要件という客観面と一種の相関関係が認められ,弁護士としてもこれらの連関を注意深く検討することが必要となるでしょう。
たとえば、相手方をしこたま殴って性行為に至っているという事実があるのに,真意の同意があると誤信していたと主張することは,事実認定上かなり無理のある主張ということになり兼ねません。
「同意があると思っていた」と供述したからといって、その主張が直ちに認められるわけでということです。
したがって,否認事件においてどのような主張を行うかについても,十分に事実関係を整理した上で,弁護士と協議していくことが重要となってくるのです。

~性犯罪の非親告罪化~

また,昨今の実務に少なくない影響を与えたと考えられているのが,性犯罪の非親告罪化です。
かつて刑法は,180条において,本件のような強制性交等罪(旧強姦罪)を含む多くの性犯罪を,告訴を起訴するための条件とする「
親告罪」としていました。
しかし,「強姦罪」を「強制性交等罪」とするなど性犯罪の全面的改正をおこなった平成29年の刑法改正によって,上記親告罪規定を削除し,起訴の条件として被害者の告訴は不要となったのです。
これは,精神的にも大きなダメージを受けた性犯罪被害者にさらに告訴するかどうかを委ねることは,むしろ被害者にとって酷であることなどを理由としたものです。
もっとも,性犯罪が,被害者の心情等に特に配慮する必要がある犯罪であること自体は変わらないことから,事件を起訴するかどうかを含め,検察官や捜査機関には慎重な対応が求められることには変わりがないと言われています。
とはいえ,本件のように被害者の処罰意識が高いと思われる事件については,起訴される可能性を早い段階から意識した弁護活動が求められることになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,強制性交等罪を含む性犯罪事件を多数扱った実績を持つ,刑事事件専門の法律事務所です。
強制性交等罪(旧強姦罪)で逮捕された方のご家族(あるいはお知り合いの方等)は,年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)に今すぐお問い合わせください。
否認事件に関する弁護活動経験も豊富な弁護士が,弁護活動をうけたまわります。
(無料法律相談のご予約はこちら

セクハラと性犯罪

2019-10-19

セクハラと性犯罪

福岡県行橋市の会社で働いている部長Aさん(52歳)は、「新人歓迎会」の飲み会で、新人社員Vさん(19歳)に「初体験いつ?」などと性的な発言を繰り返しました。
そうしたところ、Vさんは翌日に会社に退職届を提出し、会社を辞めました。Aさんは、Vさんに福岡県行橋警察署に被害届を提出され、福岡県迷惑行為防止条例違反の被疑者として事情を聴かれることになりました。刑事処分を避けたいAさんは、弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです)

~ セクハラとは ~

セクシュアルハラスメントセクハラ)については、令和元年10月現在、法律に明確な定義はありません。
しかし、男女雇用機会均等法11条1項に参考となる規定が設けられています。

事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

これを受け、厚生労働省では、

・「性的な言動」であること
・性的な言動が「職場」において行われること
・「労働者」の意思に反すること

の要件を満たすものを「セクハラ」としてます。

なお「職場」とありますが、宴会、飲み会などの勤務時間外の場面でも、実質、職務の延長線上と考えられる場合は「職場」に当たるとされています。
職務の延長線上か否かは、宴会・飲み会の趣旨・性質、職務との関連性、参加者の内容・数、参加が強制的か任意かといった事情を考慮して検討する必要があります。
「労働者」とは、正規社員に限らず、パート・派遣社員、アルバイトなど、会社に雇用されている全ての人が含まれます。

~ 「性的な言動」と性犯罪 ~

セクハラとなり得る行為は「言動」です。
したがって、ちょっとした声かけだけでも「性的な言動」に当たる可能性があります。
たとえば、相手に

・初体験いつ?
・どんなことされると感じる?
・これまで何人くらいと経験したの?

などと尋ねる行為は「性的な言動」に当たる可能性が高いでしょう。また、各都道府県が定める迷惑行為防止条例の「卑わいな言動」に当たる可能性もあります。「卑わいな言動」とは、社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作をいうと解されています。大雑把にいえば、一般的に相手が「不快だな」と思うことが見込まれる言動は「卑わいな言動」に当たる可能性があるということです。「卑わいな言動」に対する罰則は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」、常習性が認められる場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」とされていることが多いです。

さらに、

・メール、電話などの執拗な要求
・食事やデートへの執拗な誘い

強要罪(刑法223条)として「3年以下の懲役」に、身体的接触では

・痴漢
・強制わいせつ罪(刑法176条)
・準強制わいせつ罪(刑法178条1項)
・強制性行等罪(刑法177条)
・準強制性行等罪(刑法178条2項)

が挙げられ、痴漢は先の条例で「6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金」または「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」とされていることが多く、強制わいせつ罪準強制わいせつ罪は「6月以上10年以下の懲役」、強制性交等罪準強制性交等罪は「5年以上の有期懲役(上限20年)」です。
なお、「性交等」とは性交、肛門性行、口腔性交の3種類です。また、セクハラでは、相手を酒に酔わせてからのわいせつ行為、性行等、相手が酒に酔った状態を利用してのわいせつ行為、性交等の事案も多く、その場合は準強制わいせつ罪準強制性交等罪に問われます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。刑事事件少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見無料法律相談の予約を受け付けております。

準強制性交等罪と同意

2019-10-14

準強制性交等罪と同意

東京都新宿区に住むAさん(40歳)は、SNSで連絡を取り合っていたVさん(19歳)のことが気になり、実際に会ってみることにしました。そして、AさんはVさんとともにカラオケ店に入り、歌を歌ったり、お酒を飲むなどして楽しみました。そうしたところ、Vさんが酔いつぶれてその場に寝込んでしまいました。Aさんは、このVさんの様子を見て、「オレに気を許しているのではないか」などと思い、Vさんの下着を脱がして性交しました。
ところが、Aさんが行為をした後Vさんの意識が目覚め、カラオケ店の店員を通じて警視庁四谷警察署に通報され、準強制性交等罪逮捕されてしまいました。Aさんは警察官に「Vさんの同意があるものと思っていた。」などと話しています。
(フィクションです)

~ 準強制性交等罪(Aさんの罪) ~ 

Aさんの行為は、準強制性交等罪に当たる可能性が高いでしょう。準強制性交等罪は刑法178条2項に規定されています。

刑法178条2項
 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心身を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。
刑法177条
 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

「心神喪失」とは、精神の障害によって正常な判断能力を失っている状態をいいます。例えば、熟睡、泥酔・麻酔状態・高度の精神病などがこれに当たります。
「抗拒不能」とは、心神喪失以外の理由によって心理的・物理的に抵抗することが不可能又は著しく困難な状態をいいます。恐怖、驚愕、錯誤などによって行動の自由を失っている場合などはこれに当たります。
「(心身喪失・抗拒不能に)乗じる」とは既存の当該状態を利用することをいいます。「心神喪失・抗拒不能にさせる」手段には制限はありません。麻酔薬、睡眠薬の投与・使用、催眠術の施用、欺罔などはいずれもその手段となり得るでしょう。ただし、暴行または脅迫によった場合は、準強制性交等罪ではなく強制性交等罪に当たると考えられます。
「前条の例よる」の「前条」とは177条のことを指します。「例による」とは、法定刑を177条と同様、「5年以上の有期懲役」とするという意味です。

~ 準強制性交等罪と同意 ~

ところで、準強制性交等罪は「被害者の性的自由」を保護する(保護法益とする)罪ですから、被害者自身がその保護法益を自ら放棄する場合はもはやその被害者を法で保護する必要はありません。このように、法益の帰属主体たる被害者が、自分にとって処分可能な法益を放棄し、その侵害に同意又は承諾を与えることを被害者の「同意」とか「承諾」といいます。被害者の同意がある場合は、その行為に「違法性がない」とされ、行為者(犯人、被疑者、被告人)が罪に問われることはありません。
また、仮に被害者の同意がなかったとしても、行為者(Aさん)においてそう信じるにつき合理的な理由がある場合は「罪を犯す故意がない」とされ、準強制性交等罪は成立しません。

~ 故意がないと主張するには? ~

ただし、いくら故意がない、認識がないといっても捜査機関、裁判所は簡単には信じてくれないでしょう。
あなたは「同意があった」、被害者は「同意はなかった」といっているわけですから、どちらの話がより信用できるのか慎重に検討する必要があります。具体的には、あなたと被害者の関係、犯行に至るまでの経緯、犯行現場とされる現場の状況、犯行態様などをできる限り客観的な証拠(メールのやり取りなど)で精査していく必要があります。
その結果、被害者の話が信用できないということになれば、不起訴(嫌疑不十分)、無罪となる可能性が高くなるでしょう。
もっとも、こうした主張をする場合、反対に「反省していない」ともみなされかねませんから、弁護士とよく相談して慎重に検討していく必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。刑事事件少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見無料法律相談の予約を受け付けております。

公然わいせつ罪と共犯

2019-10-09

公然わいせつ罪と共犯

~今回の問題~
東京都国立市在住の男性A(20歳)と女性B(20歳)は動画配信サイトを使って金儲けをしようと考えました。
その動画サイトでは、動画の閲覧時間に応じて、サイト側が売り上げを渡す、という仕組みでした。
そこで、Bさんが自慰行為をしている様子をAさんがライブ中継したところ、ライブ中継の数か月後に警視庁立川警察署の警察官が2人のところへやってきて、公然わいせつ罪の疑いで2人を逮捕しました。
(これはフィクションです。)

~公然わいせつ罪~

公然わいせつ罪は、刑法174条に規定されています。

刑法第174条
公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

〇公然と
「公然と」とは、不特定又は多数人が認識し得る状態のことをいいます。
実際に不特定又は多数人が認識している必要はなく、認識する可能性があれば「公然の」にあたるとされています。

〇わいせつ
「わいせつ」の定義は、判例によれば、「いたずらに性欲を興奮又は刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する」もののことを指しています。

今回の事件では、動画配信サイトのライブ中継を使えば、不特定多数の視聴者が閲覧できるので、「公然と」にあたると考えられます。
また、他人に自慰行為を見せることは、一般人から見て「わいせつ」なものだと言えるでしょう。
そのためAさんとBさんには公然わいせつ罪が成立すると言えます。

~共同正犯~

共同正犯については、刑法60条に規定されています。

刑法 第60条
2人以上共同して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。

共同正犯とは、「2人以上が共同して犯罪を実行する」ことを言います。

共同正犯に当たるか、つまり、2人が「共同して」いたかどうかは①共同実行の意思と②共同実行の事実があるかによって判断されます。
①共同実行の意思
共同実行の意思とは、2人以上の者が共同して犯罪を実行する意思のことをいいます。
今回の事件では、AさんとBさんが2人で金儲けをしようと犯行を計画していたことから、共同実行の意思はあると判断されるでしょう。

②共同実行の事実
共同実行の事実とは、2人以上の者が共同して実行行為を行うことをいいます。
わいせつな動画に出演するBさんの行為も、それを撮影して配信するAさんの行為も「公然とわいせつな行為をした」ことにあたるので、共同実行の事実があると判断されるでしょう。

したがって、AさんとBさんは共同正犯として、2人ともが公然わいせつ罪の刑罰を科されることが見込まれます。

~幇助犯にはならないか~

Aさんの「動画を配信する」という行為だけ切り取ると、AさんはBさんの犯罪をただ手助けしているだけであり、刑事責任は比較的軽いように思えます。
そうだとすると、Aさんの行為は「幇助」(62条)にあたり、「正犯」ではなく「従犯」であるとして刑が減軽される(刑法62条、63条)ことも考えられます。

しかし、過去の共犯事件の裁判例からして、「幇助」と判断される可能性は極めて低く、今回のようなケースは共同正犯として扱われることが予想されます。
なぜなら、共犯事件は報酬を折半する約束があったり各自の役割が重要だったりすることが多く、責任の重さが共同「正犯」に値すると判断されやすいからです。
今回の事例でも、Aさんにつき①金儲けを2人で企んでいることからして犯罪の利益を受ける意思がある、②ライブ中継という公然わいせつ罪の要件を満たすうえで不可欠の行為を行っている、という事情が存在します。
そうすると、「幇助」にはとどまらず共同正犯の責任が科される可能性が高いでしょう。

共犯者がいる事件は複雑になりがちです。
そこで専門的な判断が可能な刑事事件専門の弁護士に一度相談することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件に強い弁護士無料法律相談初回接見サービスをおこなっております。
無料法律相談や初回接見サービスの予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、東京都国立市公然わいせつ事件でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

売人の逮捕で児童ポルノ所持が発覚

2019-10-04

児童ポルノ所持が発覚

~ケース~

東京都新宿区在住の会社員Aさんは、インターネットを介してXと名乗る業者から17歳の少女の性行為の描写を含むDVDを購入した。
購入の経緯としては、Aさんが、自己の性的欲求を満たす目的で、インターネット上で「児童ポルノ動画」などのキーワードで検索を行ったところ、ポルノ動画の販売を専門に扱う業者Xのホームページを発見し、同ホームページ上で児童ポルノを含むDVDの購入手続きを行ったというものである。
Aさんは、自分が購入したDVDは児童ポルノにあたることは十分認識していたが、そのDVDを他人に譲渡したり販売したりする意図は有していなかったため、単にDVDを所持するだけの行為が犯罪となるとは思っていなかった。
警視庁牛込警察署は、児童ポルノを提供した容疑で業者Xを逮捕したところ、Xの販売先リストからXがAさんに児童ポルノを販売したことが発覚した。
(上記の事例はフィクションです)

~児童ポルノ規制について~

児童ポルノの所持については、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、児童ポルノ規制法とする)7条1項において禁止されており、違反した場合には一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処せられるおそれがあります。

そもそも、「児童ポルノ」とは、児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態(規制法2条3項1号)や、他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの(同項2号)、衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの(同項3号)を描写した写真やデータなどのことを指します。
また、ここでいう「児童」とは、18歳に満たない者をいうとされています(同法2条1項)。

上記の事例において、Aさんが購入したDVDには17歳の少女による性行為の描写が含まれていることから、「児童による性交に係る児童の姿態」を描写したデータであるといえ、「児童ポルノ」に該当します。

児童ポルノ規制法7条1項は、「自己の性的好奇心を満たす目的」での児童ポルノの所持を処罰しています。
さらに、同条により児童ポルノの単純所持が犯罪となるためには、児童ポルノを「自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る」とされています。
このように、同条が犯罪の成立範囲を限定しているのは、他人から知らない内に児童ポルノを送りつけられていた場合や、購入した動画にたまたま児童ポルノに該当するような描写があった場合に犯罪を成立させないようにするためであるといえます。

もっとも、上記事例のAさんは、自己の性的欲求を満たす目的で業者XからDVDを購入しており、児童ポルノの所持にあたって「自己の性的好奇心を満たす目的」が認められます。
また、Aさんは、業者Xの運営するサイトにおいて販売されているDVDが児童ポルノにあたることを認識しつつ、自ら購入の申し込みを行っており、Xの販売先リスト内にAさんの名前が含まれていることから、Aさんは児童ポルノを「自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ当該者であることが明らかに認められる」といえます。

よって、Aさんには、児童ポルノの単純所持の罪が成立することになります。

なお、仮にAさんが購入したのがDVDではなく同内容の動画データであった場合であっても、児童ポルノ規制法7条1項後段より、同様に児童ポルノの単純所持の罪が成立することになります。

児童ポルノの単純所持については、よほど大量に児童ポルノを所持していたり、同種前科があるなどの事情がない限り、逮捕勾留といった身柄拘束がなされる可能性は低いといえます。
しかし、児童ポルノの単純所持であっても、書類送検(事件書類を検察に送り、事件として捜査すること)や家宅捜索がなされたり、場合によっては起訴されてしまうこともあり得ます。
そのため、児童ポルノの単純所持の容疑で警察から聴取等を受けた場合には、出来る限り早期の段階で刑事事件に強い弁護士に相談をすることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、児童ポルノ規制法などの特殊な犯罪類型にも精通した刑事事件専門の弁護士が多数在籍しております。
弊所では、24時間、無料相談のご予約、初回接見サービスを受け付けておりますので、刑事事件についてお悩みの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。

児童に対する性犯罪

2019-09-29

児童に対する性犯罪

神奈川県横浜市に住むAさん(40歳)は、近所の公園で、ランドセルを背負って一人でブランコに乗って遊んでいた小学生の女児Vちゃん(当時11歳)に近づき、「おじさんの言うことを聞けば、好きなお菓子を買ってあげるよ」などと言って、Vちゃんを人目につかない公園内の公衆トイレに連れ込みました。
そして、Aさんは下着を脱ぎ、勃起した自己の陰茎をVちゃんの口に含ませたところ、公園を散歩していた人に見つかりその場から逃走しました。しかし、Aさんは通報により駆け付けた神奈川県都築警察署の警察官にわいせつ目的誘拐罪強制性交等罪で逮捕されました。
(フィクションです。)

~ 児童に対する性犯罪は重罪 ~

性犯罪については様々な法令で禁止されており、特に児童に対する性犯罪は重い罰則が設けられています。
比較的無抵抗な児童を性的対象する行為の悪質さはもちろん、児童の将来や心に与える影響も無視することはできません。また、児童を性的対象とするっ社会的風潮も許されることではありません。

※児童=18歳未満の者

~ 児童に対する性犯罪 ~

児童に対する性犯罪は、刑法のほか、児童買春処罰法(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)、児童福祉法、売春防止法、青少年健全育成条例などがあります。

~ 刑法に規定される性犯罪 ~

刑法には

強制わいせつ罪(刑法176条):6月以上10年以下の懲役:暴行、脅迫(13歳未満に対しては不要)+わいせつな行為
強制性交等罪(刑法177条) :5年以上の有期懲役:暴行、脅迫(13歳未満に対しては不要)+性交等
準強制わいせつ罪(刑法178条1項):6月以上10年以下の懲役:心身喪失、抗拒不能+わいせつな行為
準強制性行等罪(刑法178条2項):5年以上の有期懲役:心身喪失、抗拒不能+性交等
監護者わいせつ罪(刑法179条1項):6月以上10年以下の懲役:監護者であることによる影響力+わいせつな行為
監護者性交等罪(刑法179条2項):5年以上の有期懲役:監護者であることによる影響力+性行等

などのほか、
未成年者略取誘拐罪(刑法224条):3月以上7年以下の懲役:略取、誘拐 ※未成年者=20歳未満の者
わいせつ目的略取、誘拐罪(刑法225条):1年以上10年以下の懲役

などが規定されています。

~ 児童買春処罰法に規定される性犯罪 ~

児童買春処罰法には

児童買春の罪5年以下の懲役又は300万円以下の罰金:対償の供与、又は約束+性交等
児童ポルノの罪(所持、保管、提供、製造):1年以下の懲役又は100万円以下の罰金~5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又は併科

などが規定されています。

~ 児童福祉法に規定される性犯罪 ~

児童福祉法には

児童に淫行をさせる罪:10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又は併科:児童に淫行をさせること

が規定されています。

~ 売春防止法に規定される罪 ~

売春防止法には、

困惑による売春の罪3年以下の懲役又は10万円以下の罰金:欺罔、困惑+売春をさせる
暴行、脅迫による売春の罪3年以下の懲役及び10万円以下の金:暴行、脅迫+売春をさせる

が規定されています。

~ 青少年健全育成条例に規定される罪 ~

青少年健全育成条例には

淫行の罪2年以下の懲役又は100万円以下の罰金:淫行、みだらな行為、わいせつな行為など

※青少年=18歳未満の者

以上のほかにも、風営法などにも児童に対する性犯罪の規定が設けられています。 

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。刑事事件少年事件でお悩みの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが、24時間体制で、無料法律相談初回接見サービスを受け付けております。

リベンジポルノで告訴

2019-09-24

リベンジポルノで告訴

~ケース~
埼玉県東松山市在住のAさんは、自らの浮気が原因となって妻Vさん(24歳)から離婚を切り出されてしまいました。
AさんはVさんとの離婚を強く拒んでいましたが、Vさんの離婚の意思が非常に固いものであったことから、やむを得ず離婚することになりました。
Aさんは、Vさんが自分を裏切ったと思い、復讐のつもりでVさんの裸の画像をインターネット上にアップロードしました。
後にそのことがVさんに判明し、AさんはVさんから「警察に告訴をする」との連絡を受けました。
Aさんは、自分のしてしまったことを反省し、出来ればVさんと示談することで告訴を取り下げてもらいたいと考えている。
しかし、VさんはAさんと直接会うことを拒否しており、直接示談交渉を行うことができない状況になってしまっていることから、Aさんは刑事事件を専門に扱っている法律事務所に相談することにした。
(上記の事例はフィクションです)

~リベンジポルノ防止法~

リベンジポルノ防止法3条1項 第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

リベンジポルノ防止法3条2項 前項の方法で、私事性的画像記録物を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者も、同項と同様とする。

Aさんが、Vさんの裸の画像をインターネット上にアップロードした行為については、いわゆるリベンジポルノ防止法(正式名称は「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」といいます)に違反する可能性があります。

リベンジポルノ防止法における「私事性的画像記録」に該当するのは、性交又は性交類似行為を行う姿、性器等を触る姿、衣服を着けない人の姿であって性的部位が露出又は強調されているもので性欲を興奮させ又は刺激するもの等を記録した画像や動画をいい(リベンジポルノ法2条1項)、そのような画像が記録された写真やUSBメモリといった記録媒体その他の物のことを私事性的画像記録物といいます(リベンジポルノ防止法2条2項)。
ただし、撮影対象者(上記事例のVさん)が第三者が閲覧することを認識し、任意に撮影を承諾したような画像については除かれています。

上記の事例において、Aさんがインターネット上にアップロードしたVさんの裸の画像については、「衣服を着けない人の姿」となり、性的な部位も露出されていて性欲を興奮させ又は刺激するものとして私事性的画像記録に該当すると考えられます。
また、インターネット上に当該画像をアップロードする行為については、不特定又は多数の者が認識しうる状態においたといえることから、不特定又は多数の物に提供(公表)した行為に当たるでしょう。
したがって、Aさんの行為については、リベンジポルノ防止法3条1項に違反する行為といえます。
なお、仮にインターネット上にアップロードされた画像を閲覧した者が一人もいない場合であっても、アップロードをした時点で不特定又は多数の者が認識しうる状態におかれたことになるため、上記の犯罪は成立することになります。

上記の罪については、親告罪といわれる被害者側の告訴がなければ起訴されることのない犯罪です。
そのため、弁護士の活動としては、被害者と示談交渉をすることで、告訴を思いとどまってもらったり、すでになされた告訴を取り下げてもらうことになります。
このような示談交渉を当事者同士で行うことは難しく、専門的な知識や経験も必要となることから、リベンジポルノの加害者となってしまった場合にはできる限り早期に弁護人を選任することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、刑事事件における示談交渉に精通した弁護士が多数在籍しておりますので、リベンジポルノの加害者となってしまった場合には、お気軽に弊所にお電話ください。
弊所では24時間、無料相談及び初回接見のご依頼を受け付けておりますので、0120-631-881までお気軽にお電話ください。

ストーカー事件で警告と禁止命令

2019-09-19

ストーカー事件で警告と禁止命令

大阪府大阪市旭区に住むAさんは、元交際相手のVさん宅付近でVさんを待ち伏せしたり、うろついたり、ときには住居に押し掛けたりしていました。そうしたところ、大阪府旭警察署から、これ以上、Vさん宅付近でVさんを待ち伏せたり、うろついたり、住居に押し掛けるなどのつきまとい等をしてはならない旨の警告を文書で受けました。それにもかかわらず、Aさんは、執拗に上記ストーカー行為を繰り返したため、今度は、大阪府公安委員会から更につきまとい等をしてはならないこと、更に反復して当該行為が行われることを防止するために必要な事項の禁止命令等を文書で受けました。Aさんは、今後のことが不安になって、ストーカー事件に詳しい弁護士に無料相談を申込みました。
(フィクションです)

~ ストーカー規制法と警告 ~

ストーカー規制法4条では、

1 被害者等の身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるつきまとい等があって
2 上記つきまとい等をした者が、さらに反復して当該つきまとい等をするおそれがあると認められ
3 警察が、被害者等(被害者の配偶者、親族等を含む)から当該つきまとい等に係る警告の申し出を受けた

場合に、警察本部長等は、当該つきまとい等をした者に対し「警告」することができると定めています。
警告に反したこと自体に罰則規定はありません。しかし、つきまとい等を繰り返すと「ストーカー行為」とみなされ、さらに「ストーカー行為」をした者に対しては罰則規定が設けられています(ストーカー規制法18条)。

被害者等の申し出は、被害者等が「警告申出書」に記入する方法によるとされています(口頭の申し出の場合は、警察職員が同申出書に代筆)。警告の方法は、原則、警告書を交付して行われますが、警告書を交付するいとまがないと認められるときは口頭で行われる場合もあります。

なお、さきほどから出てきている「つきまとい等」とは、以下の要件を満たす行為をいいます。

(目的)
・特定の者(Vさん)に対する恋愛感情その他の好意の感情を充足する目的
・上記が満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的

(相手)
・特定の人(Vさん)
・その人の配偶者(Vさんの夫)、直系若しくは同居の親族(Vさんの親など)
・その人と社会生活において密接な関係を有する者(Vさんの交際相手、友人など)

(行為)
・ストーカー規制法2条1項1号から8号に掲げられた行為(例:つきまとい、待ち伏せ、住居等に押し掛けなどは1号に該当)

~ ストーカー規制法と禁止命令等 ~

ストーカー規制法5条1項では、

・被害者等の身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるつきまとい等があって
・上記つきまとい等をした者が、さらに反復して当該つきまとい等をするおそれがあると認められるとき
・都道府県公安委員会が、被害者等からの申出、又は職権で
①更に反復して当該行為をしてはならないこと
②更に反復して当該行為が行われることを防止するための必要な事項

を当該つきまとい等をした者に対して命じる(禁止命令等)ことができると定めています。

禁止命令等は、上記の警告を経なくても発することができます。
また、警告と異なり、被害者等の申し出によらず、職権(公安委員会の判断)で発することも可能とされています。
禁止命令等の効力は、禁止命令等をした日から起算して1年ですが、期間を延長されることがあります。
禁止命令等は行政処分の一種ですから、禁止命令等が発せられるにあたって聴聞の機会が与えられますが、緊急の場合には聴聞又は弁明の機会を与えなくてもよいとされています。

なお、警告の場合と異なり、

・禁止命令等に違反してストーカー行為をした場合は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金
・禁止命令等に違反してつきまとい等をすることにより、ストーカー行為をした場合は、上記同様
・禁止命令等に違反した場合は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金

に処せられるおそれがあることから注意が必要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。刑事事件少年事件逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見無料法律相談の予約を受け付けております。

準強制わいせつ罪で自首

2019-09-14

準強制わいせつ罪で自首

~ケース~
Aさんは、深夜、兵庫県西宮市内にあるタクシーの待合所において、泥酔して眠っている女性Vを見つけ、わいせつな行為をしようと考えました。
そこで、Vに近づき、Vの上着の下から手を入れ、胸を弄んだり、スカートの中に手をいれ、陰部を弄んでしまいました。
待合所内に監視カメラがあることに気付き、Aさんは慌てて逃走しましたが、顔がカメラに写ってしまった以上、警察がいつ自宅に来るか不安なので、自首することを検討しています。相談を受けた弁護士は、準強制わいせつ罪が成立する可能性が高いこと、既に甲子園警察署が捜査している可能性があることを指摘し、自首について説明しました。(フィクションです)

~準強制わいせつ罪について解説~

準強制わいせつ罪とは、人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をする犯罪です。
法定刑は、強制わいせつ罪と同様6月以上10年以下の懲役となります。
「心神喪失」とは、意識喪失(睡眠・泥酔など)、高度の精神障害などによって性的行為につき正常な判断ができない状態にあることをいいます。
「抗拒不能」とは、心理的又は物理的に抵抗ができない状態をいいます。

「心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ」とは、犯人の行為と無関係に存在する抵抗不能状態を利用する場合を指します。
典型例として、すでに何者かによって手足を縛られている者や、第三者の暴行により気絶している被害者に対してわいせつな行為を行う場合が挙げられるでしょう。
ケースにおけるAさんの犯行も、これに該当する可能性が高いと思われます。

「心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて」とは、犯人が暴行・脅迫以外の手段で抵抗不能状態を惹起する場合と、暴行・脅迫時にはわいせつの故意がなかった場合があります。
典型例として、犯人が被害者に睡眠薬を飲ませ、睡眠状態に陥った被害者に対しわいせつな行為を行う場合、うっぷん晴らしに被害者を暴行した後、抗拒不能となった同人にわいせつな行為を行うことを企図し、わいせつな行為を行う場合が挙げられます。

~自首をするメリット、デメリット~

ケースのAさんは、まだ警察に逮捕されたり、あるいは任意で取調べを求められている状態にはありません。
しかし、カメラにAさんの顔が写ってしまった以上、警察が捜査を重ね、Aさんが被疑者として浮上する可能性は十分考えられます。
そこで、「自首」をすることにより、逮捕されるリスクを低減させたり、Aさんになされる処分を軽くする可能性を高めることができます。

刑法第42条1項は、「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる」としています。
「減軽することができる」という規定なので、必ず減軽の効果を受けられるというわけではないのですが、刑の減軽の効力(刑の期間や金額が2分の1になる)からするとやはり重要なものと言えるでしょう。
また、捜査機関に自ら犯罪を犯したことを申し出ているので、逃亡や証拠隠滅に及ぶ可能性が低いとして逮捕されずに済む可能性もあります。

上記のようなメリットがありますが、いくつか注意しなければならない点やデメリットがあります。
まず、刑法42条1項が定める法律上の「自首」は、その成立要件が比較的厳しいものとなっています。
上記「自首」の要件は、
①自発的に自己の犯罪事実を申告すること
②自己の訴追を含む処分を求めること
③捜査機関(検察官又は司法警察員)に対する申告であること
④捜査機関に発覚する前の申告であること
が必要です。
ケースの場合、④を満たすか否かが重要となるでしょう。
「発覚」とは、犯罪事実及び犯人の発覚をいいます。
防犯カメラの映像などを手掛かりに、犯罪事実(準強制わいせつ行為)、犯人(Aさん)の情報が捜査機関において判明した場合には、たとえ逮捕や呼び出しがなくとも④の要件を満たさなくなります。

また、上記の要件を満たして「自首」が成立しても、捜査機関に事件を知られてしまう以上、被疑者として通常どおり捜査は進められます。
逮捕に関しても、結局のところ捜査機関に委ねられているので、自首したからといって必ず逮捕されないというわけではない点も注意が必要です。

もっとも、法律上の「自首」が成立しなかったとしても、反省し処分に服しようとしているとして処分が軽くなる可能性もあります。
弁護士と相談し、上記のメリット、デメリットを検討した上で、自首をすることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、準強制わいせつ罪などの様々な性犯罪について初回無料でご相談いただけます。
準強制わいせつ事件を起こし、自首の要否についてお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

監護者わいせつ罪と接見禁止解除

2019-09-09

監護者わいせつ罪と接見禁止解除 

京都府京都市北区に住むAさん(41歳)はBさん(40歳)とクラブで知り合い交際を始めました。そのうち、Aさんは、Bさんから、3年前に夫と離婚したこと、娘Vさん(15歳)が一人いることなどを打ち明けられました。しかし、AさんはBさんに対する好意を捨てきれず、Bさんに対し経済的援助を行ってBさんの家計を支え、ついにはBさん宅に同居するようになりました。そうしたところ、Aさんは、Bさんが自宅を留守にしている間、Vさんに対しわいせつな行為を繰り返すようになりました。そして、Aさんは、京都府北警察署監護者わいせつ罪逮捕されました。その後、Aさんは勾留され、接見禁止決定を受けました。Aさんは、現在のところ、弁護士以外の者との接見が制限されていることから、弁護士接見禁止の解除を依頼しました。
(フィクションです)

~ 監護者わいせつ罪 ~

監護者わいせつ罪と監護者性交等罪については刑法179条に規定があります。

179条
1項 18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第176条の例による。

1項の「第176条の例による」との「第176条」とは「強制わいせつ罪」を指し、「例による」とは法定刑を強制わいせつ罪と同様「6月以上10年以下の懲役」とするという意味です。

「その者を現に監護する者(=監護者)」は、法律上の監護権(民法820条)に基づかなくても、事実上現に18歳未満の者を監督し保護する者であれば「監護者」に当たります。反対に、法律上の監護権を有していても、実際に監護している実態がなければ現に監護する者に当たりません。現に監護している実態があるかどうかは、同居の有無や居住状況、指導や身の回りの世話などの生活状況、生活費の負担などの経済的状況、未成年者に対する諸手続の状況などを考慮して判断されます。

「影響力があることに乗じて」の「影響力」とは、監護者が被監護者の生活全般にわたり、衣食住などの経済的な観点や生活上の指導・監督などの精神的な観点から、現に被監督者を監督し、保護することによる生じる影響力とされています。「あることに乗じて」とは、当該影響力が一般的に存在し、当該行為時においてもその影響力を及ぼしている状態でわいせつ行為・性交等をすることをいいます。
わいせつ行為・性交等をする場面で、特定の影響力が生じるための具体的な行為を行う必要はありません。影響力を及ぼしている状態でわいせつ行為・性交等を行ったことで「影響力があることに乗じて」に当たります。

「わいせつな行為」とは、判例によれば、行為者又はその他の者の性欲を刺激興奮又は満足させる行為であって、普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するものをいうとされています。

~ 被疑者段階における接見禁止 ~

被疑者段階(逮捕から起訴まで)における接見禁止とは、原則として検察官の請求を受けた裁判官が、被疑者が逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると認めた場合に、勾留されている被疑者と弁護人又は弁護人となろうとする者以外の者との接見を禁じることをいいます。裁判官が「公訴の提起があるときまで」と接見禁止の期間を決めて禁じることが通常のようです。接見禁止決定が出てしまうと、弁護人以外の方との接見が禁じられてしまいます。

~ 接見禁止を解除したい場合は弁護人に依頼 ~

接見禁止を解除したい場合は、弁護士接見禁止の解除の申し立てをしてもらいましょう。
この申し立ては、あくまで裁判官の職権発動を促す契機となるものにすぎませんが、申し立てをしないでいると起訴されるまで接見禁止は継続してしまいます。仮に、全部の解除が難しくても、たとえば「〇〇さんとの接見(面会)のみ許す」というふうに、一部の解除だけ認められる場合もあります。まずは、弁護士に相談しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、監護者わいせつ罪や監護者性交等罪をはじめとする刑事事件少年事件専門の法律事務所です。お困りの方は、フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。

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