監護者わいせつ罪と接見禁止解除

2019-09-09

監護者わいせつ罪と接見禁止解除 

京都府京都市北区に住むAさん(41歳)はBさん(40歳)とクラブで知り合い交際を始めました。そのうち、Aさんは、Bさんから、3年前に夫と離婚したこと、娘Vさん(15歳)が一人いることなどを打ち明けられました。しかし、AさんはBさんに対する好意を捨てきれず、Bさんに対し経済的援助を行ってBさんの家計を支え、ついにはBさん宅に同居するようになりました。そうしたところ、Aさんは、Bさんが自宅を留守にしている間、Vさんに対しわいせつな行為を繰り返すようになりました。そして、Aさんは、京都府北警察署監護者わいせつ罪逮捕されました。その後、Aさんは勾留され、接見禁止決定を受けました。Aさんは、現在のところ、弁護士以外の者との接見が制限されていることから、弁護士接見禁止の解除を依頼しました。
(フィクションです)

~ 監護者わいせつ罪 ~

監護者わいせつ罪と監護者性交等罪については刑法179条に規定があります。

179条
1項 18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第176条の例による。

1項の「第176条の例による」との「第176条」とは「強制わいせつ罪」を指し、「例による」とは法定刑を強制わいせつ罪と同様「6月以上10年以下の懲役」とするという意味です。

「その者を現に監護する者(=監護者)」は、法律上の監護権(民法820条)に基づかなくても、事実上現に18歳未満の者を監督し保護する者であれば「監護者」に当たります。反対に、法律上の監護権を有していても、実際に監護している実態がなければ現に監護する者に当たりません。現に監護している実態があるかどうかは、同居の有無や居住状況、指導や身の回りの世話などの生活状況、生活費の負担などの経済的状況、未成年者に対する諸手続の状況などを考慮して判断されます。

「影響力があることに乗じて」の「影響力」とは、監護者が被監護者の生活全般にわたり、衣食住などの経済的な観点や生活上の指導・監督などの精神的な観点から、現に被監督者を監督し、保護することによる生じる影響力とされています。「あることに乗じて」とは、当該影響力が一般的に存在し、当該行為時においてもその影響力を及ぼしている状態でわいせつ行為・性交等をすることをいいます。
わいせつ行為・性交等をする場面で、特定の影響力が生じるための具体的な行為を行う必要はありません。影響力を及ぼしている状態でわいせつ行為・性交等を行ったことで「影響力があることに乗じて」に当たります。

「わいせつな行為」とは、判例によれば、行為者又はその他の者の性欲を刺激興奮又は満足させる行為であって、普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するものをいうとされています。

~ 被疑者段階における接見禁止 ~

被疑者段階(逮捕から起訴まで)における接見禁止とは、原則として検察官の請求を受けた裁判官が、被疑者が逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると認めた場合に、勾留されている被疑者と弁護人又は弁護人となろうとする者以外の者との接見を禁じることをいいます。裁判官が「公訴の提起があるときまで」と接見禁止の期間を決めて禁じることが通常のようです。接見禁止決定が出てしまうと、弁護人以外の方との接見が禁じられてしまいます。

~ 接見禁止を解除したい場合は弁護人に依頼 ~

接見禁止を解除したい場合は、弁護士接見禁止の解除の申し立てをしてもらいましょう。
この申し立ては、あくまで裁判官の職権発動を促す契機となるものにすぎませんが、申し立てをしないでいると起訴されるまで接見禁止は継続してしまいます。仮に、全部の解除が難しくても、たとえば「〇〇さんとの接見(面会)のみ許す」というふうに、一部の解除だけ認められる場合もあります。まずは、弁護士に相談しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、監護者わいせつ罪や監護者性交等罪をはじめとする刑事事件少年事件専門の法律事務所です。お困りの方は、フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。