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強制性交等罪事案と同意の有無

2020-09-09

強制性交等罪事案と同意の有無

強制性交等罪などの性犯罪で多く問題となる、被害者との同意の有無の主張について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

<事例1>
東京都内の大学でテニスサークルに所属するAさんは、同サークルの女子Vさんと個人的に夕食を共にして、Vさんが酔ったところをホテルに誘い、Vさんが「いや」などの拒否を示したにも関わらず性行為に及びました。
後日、警視庁三田警察署がAさん宅を訪れ、Aさんに強制性交等罪の疑いがあるとして逮捕しました。
警察の調べに対し、AさんはVさんとの性行為についてVさんから強い拒否や抵抗を受けることはなく、夜遅くまで二人きりで飲むことは暗に性行為の同意があったと主張し、強制性交等罪の事実を否認しています。

<事例2>
東京都三田市在住の会社員Aさんは、マッサージの派遣サービスを利用して、施術者の女性Vさんを自宅に招き、施術の終了後、お互いの合意のもとで性行為に至りました。
後日、警視庁三田警察署からAさんに連絡があり、先日Aさんが利用した派遣マッサージを行ったVさんがAさんに無理矢理肉体関係を迫られたと被害を訴えているとして、強制性交等罪の疑いで事情聴取のために警察署に出頭するよう要請されました。
Aさんは、Vさんとの性行為につき確実に合意があったと主張したい反面、少しでも刑事責任を負う危険性を負うことも回避したいと思い、強制性交等罪を含む性犯罪刑事事件に強い弁護士事務所に法律相談することにしました。
(フィクションです。)

13歳以上の者に対し、暴行または脅迫を用いて、性交・肛門性交・口腔性交を行うことを「強制性交等」と呼び、これに違反した者は、5年以上の有期懲役が科せられます。
また、13歳未満の者に対しては、年少者の保護の観点から、暴行や脅迫がされていない場合であっても、性交・肛門性交・口腔性交を行ったことで強制性交等罪が成立するとされています。

上記のとおり、13歳以上の者に対する強制性交等罪の成立にあたっては、暴行・脅迫が要件とされているため、何の暴行や脅迫もなく、ただ当事者の片方が気乗りしなかったとか不満があった等の理由では強制性交等罪は成立しません。

一方、強制性交等罪における暴行とは、例えば、相手の同意がないにも関わらず無理矢理キスをすること、腕を押さえつけて性行為を強いること、馬乗りになること等を含むとされており、当事者間の性行為にあたって同意があったのか、または、被疑者が同意があったと誤信してもやむを得ない客観的事情があったのかが重要なポイントとなります。

被害者の主張する事実は誤りで、確かに当該性行為について合意はあったと終始一貫して主張し、強制性交等罪の成立を否認しつづけることも一つの選択肢ではあります。
しかし、この場合、検察官によって起訴され、公開の刑事裁判となり、時間や金銭面で多くの労力や不安を抱えることになるでしょう。

他方で、被害者(と主張する者)に対して、刑事責任の追及という問題へ発展させないよう、事前に当事者間で和解(示談)を行い、一定の条件や謝罪金(示談金)の提供により刑事事件化を未然に防ぐというアプローチも考えられます。

特に、事例2のように、性風俗的なニュアンスのあるサービスにおける強制性交等罪では、捜査機関も当事者間の和解(示談)で解決してくれることを期待する傾向もあり、性犯罪刑事事件に強い弁護士を介入させ、早期に事件解決を図ることが有効な場合もあります。

強制性交等罪刑事事件で同意の有無に問題があり、刑事事件化または逮捕でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所への初回無料の法律相談または初回接見サービスをご検討ください。

少年による性犯罪

2020-09-02

少年による性犯罪

満20歳に満たない者(少年)による性犯罪について、その法的責任と責任追及のための法的手続きの概要について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

<事例1>
東京都武蔵野市在住の高校生Aさん(17歳)は、市内のスーパーマーケットにおいて、上りエスカレーターの下から女性客のスカート下をスマートフォンのカメラ機能で撮影しようとしていたところを店員に発見され取り押さえられました。
Aさんは駆けつけた警視庁武蔵野警察署の警察官によって東京都迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕され、Aさんが逮捕されたと連絡を受けた家族は、Aさんがどのような処分を受けることになるのか不安となり、刑事事件に詳しい弁護士事務所に相談することにしました。

<事例2>
東京都武蔵野市在住の高校生Aさん(18歳)は、市内の公衆トイレにおいて、盗撮用のカメラを設置するために女性用トイレに侵入しようとしたところを通行人に目撃され、通報を受けた警視庁武蔵野警察署の警察官はAさんの身元を特定したうえで、Aさんを建造物侵入罪の疑いで事情聴取する必要があるとして警察署への出頭を求めました。
この事実を知った家族は、Aさんが今後どのような処分を受けることになるのか不安となり、刑事事件に詳しい弁護士事務所に相談することにしました。
(フィクションです)

少年法上、満20歳に満たない者を「少年」と言い(女子も含みます)、少年が起こした犯罪、または今後起こすおそれのある犯罪を少年事件といいます。

本来、少年事件は、警察または検察庁から家庭裁判所に送られ、審判を受けるかどうかが決まります。
しかし、上記刑事事件例のように成人に達する期間が切迫している場合、たとえ行為時に少年であっても、その後捜査機関の捜査中において成人になった場合、具体的には、家庭裁判所の審判開始時点で少年ではない事件については、以後は刑事事件として扱われ、事件は検察庁に戻され、成人として刑事処分を受けることになります。

少年事件刑事事件では、その手続きの目的が大きく異なります。

少年事件では、罪を犯した事実の認定と並行して、少年の更生のための環境づくりが求められます。
他方、刑事事件では、罪を犯したかどうかを見極め、罪を犯したと認められる相当の理由がある者を処罰します。

結論から言うと、少年事件刑事事件ではどちらが被疑者にとって有利であるかとは一概には言えません。

少年事件としての扱いであれば、前科がつくというリスクは無くなりますが、家庭裁判所の判断によって更生措置を受けることがあり得ます。
特に、性犯罪少年事件においては、今の環境のままでは本人の性意識の更生が難しいと判断された場合には、少年院送致が決定される場合もあり得ます。
他方、刑事事件であれば、早期の示談成立等によって不起訴を勝ち取ることができれば、そのまま社会生活に戻ることができます。

このような複雑な事案では、弁護人は被疑者およびそのご家族の意向を斟酌し、依頼者にとって最善の方法で弁護活動を行います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件のみ扱う法律事務所であり、上記刑事事件例のような盗撮性犯罪を含めて、多くの刑事事件および少年事件で実績を挙げています。

少年による盗撮等の性犯罪刑事事件化または逮捕されてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回無料相談や初回接見サービスをご検討ください。

男性による男性に対する性犯罪

2020-08-26

男性による男性に対する性犯罪

男性による男性に対する性犯罪事案について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

<事例1>
東京都東大和市在住の会社員男性Aさんは、市内の大型スーパーの男子トイレにおいて、隣の個室トイレに男性Vさんが入ってきたことを見計らって、録画機能をつけた携帯電話を差し入れようとしたところをVさんに見とがめられて取り押さえられました。
Vさんは男子トイレを盗撮した者がいると警視庁東京都東大和警察署に被害を訴え、Aさんは駆けつけた警察官によって東京都迷惑行為防止条例違反の疑いで現行犯逮捕されました。
警察からAさんが逮捕されたとの連絡を受けたAさんの母は、働き盛りのAさんが身体拘束され、仕事に行けなくなったことで事件が職場に発覚し、Aさんが仕事を辞職せざるを得なくなるのではないかと不安になり、刑事事件を専門とする弁護士に警察署への接見を依頼することにしました。

<事例2>
東京都東大和市在住の公務員男性Aさんは、インターネット上の出会い系掲示板を通じて、市内に住む男子高校生Vさん(16歳)に対してお金を渡す約束をして、わいせつな行為をしました。
しかし、この出会い系掲示板を監視していた警察のサイバーパトロールが事件の可能性があると判断し、警視庁東大和警察署はAさんに事情聴取を求めたところ、Aさんが事実を認めたため、Aさんは児童買春・児童ポルノ規制法違反の疑いで逮捕されました。
警察からAさんが逮捕されたとの連絡を受けたAさんの父は、Aさんの立場上やってはいけないことをしてしまったと被害者の方に謝罪と賠償をしたいと考え、刑事事件を専門とする弁護士に事件を依頼することにしました。
(フィクションです)

上記刑事事件例は、東京都内の中高一貫校の男性教師が、16歳の男子高校生にお金を渡す約束をして、わいせつな行為をした疑いで逮捕された事案をモデルにしています。
男性被疑者は、今年2月、都内のレンタルルームで、神奈川県内の当時高校1年の男子生徒に1万円を渡す約束をして、わいせつな行為をした疑いが持たれており、男子生徒がSNSに書き込んだ援助交際を求めた内容を、警察がサイバーパトロールで見つけ、事件が発覚したと言われています。
警察の調べに対し、被疑者は「欲求からしてしまった」などと供述しているようです。

昨今では同性愛等の性的マイノリティに対するメディアの取り扱いも増加しており、LGBTに対する配慮を求める機運が高まっています。

しかし、たとえ少数派のセクシャリティであっても性犯罪として罰則の規定がある行為に触れた場合には当然男女の区別なく処罰されることになり、特に平成29年に刑法の性犯罪規定の改定により、例えば強姦罪の被害者は女性に限らず、広く男性に対する強制的な性交類似行為を処罰するようになりました(刑法第177条、強制性交等罪)。

上記刑事事件例のように、盗撮等による東京都迷惑行為防止条例違反の事例や、児童買春の事例においても、犯罪の成立要件に被害者の性別は含まれていないため、構成要件に該当する場合にはそれぞれの罪が成立することになります。

性犯罪に関する刑事事件の一般的な傾向として、現行犯逮捕の場合は勿論のこと、被害者に対する身体的な違法行為(児童買春淫行など)が伴うものは比較的法定刑が重い事案であり、捜査機関は逮捕に踏み切る場合が多いように思われます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所でも、性犯罪逮捕事案を数件受任させていただく機会があり、被疑者のご家族の全面的な協力の上で、被疑者の方が被害者の方に二度と近づけない環境づくりを行い、逮捕後の勾留を阻止した事案がございます。

被害者が男性の場合の性犯罪事案であっても、被害者の被疑者に対する嫌悪感や恐怖感は女性同様であり、刑事事件の示談に経験豊富な弁護士が仲介し、示談締結に向けて動くことが不起訴処分を勝ち取るための最も効果的な方法と言えるでしょう。

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女性の服を故意に汚して暴行罪で逮捕

2020-08-19

女性の服を故意に汚して暴行罪で逮捕

女性の服に自分の体液などをつけて汚損する性犯罪において生じる刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

東京都八王子市在住の無職Aさんは、スーツ姿でリクルート活動を行っている女性に対して、ビンに保管していた自分の体液をわざと浴びせかけ、衣服を汚す等の被害を繰り返し行っていました。
被害にあった女性Vさんが犯行現場の管轄である警視庁高尾警察署に被害を訴えたところ、同様の被害の訴えが寄せられていたため、報告のあった犯行現場付近での警戒を強化していたところ、Vさんの報告にあった犯人の人相に似たAさんを発見し、任意の事情聴取を求めたところ、故意に女性の服に対して体液を浴びせかけた事実を認めたため、暴行罪の疑いで逮捕されました。
警察の調べに対し、「Aさんは将来のこと等でストレスや不満が溜まっており、憂さ晴らしのためにやった」と逮捕事実を認めています。
(フィクションです。)

上記刑事事件例は、今年の成人式に出席する振り袖の女性にソースをかけたとして、令和元年1月14日、埼玉県蕨市在住の無職男性が暴行罪の疑いで逮捕されたケースをモデルにしています。
被疑者は逮捕事実を認め、「自分の将来に対して不安やストレスがあり、憂さ晴らしとして行った。1件では足りず、数回繰り返した」と供述しているようです。

警察によれば、逮捕事実は、振り袖姿の通行人に対して、小袋に入ったソースをかけた疑いがあり、現場付近では、振り袖姿の女性が同様の被害に遭う事件が3件起きており、警察が余罪を詳しく調べています。

故意に相手の服を汚す行為をもって暴行罪を適用することについて疑問に思われる方もいると思いますが、刑法第208条は、「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料を科すとしています。

判例によれば、暴行罪における「暴行」とは、人の身体に対する不法な攻撃方法の一切を言うとされ、必ずしも攻撃が相手の身体に接触する必要はないとされています。

判例で「暴行」と認定された例として、着衣をつかみ引っ張る行為、毛髪の切断、人の数歩手前を狙って投石する行為、人の身辺で太鼓や鐘を鳴らす行為、狭い室内で抜身の日本刀を振り回す行為、他人の身体にお清めと称して塩を振りかける行為等があり、上記のとおりソース、または何らかの液体を人にかける行為も暴行罪暴行と認定されることは間違いないと考えられます。

なお、相手の衣服のみに対して不法な攻撃を加えて当該衣服を損壊・傷害した場合には、器物損壊罪(刑法第261条)が成立する可能性もありますが、上記事案においては、衣服を身に着けている身体に対する不法な暴行という観点から暴行罪の適用となったと考えらえます。

このような事案では被害者に対する示談をまとめることが刑事弁護上最も重要なポイントとなり、被害者から刑事処罰までは求めない許しの言葉をいただいたり、被害届や刑事告訴の取下げに成功した場合には、不起訴処分を獲得できる見込みが高いと思われます。

女性の服を体液などで故意に汚して暴行罪器物損壊罪等により刑事事件化または逮捕されてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所への初回無料の法律相談または初回接見サービスをご検討ください。

強制わいせつ罪と暴行罪

2020-08-12

強制わいせつ罪と暴行罪

<刑事事件例1>
会社員のAさんは、東京都東村山市を営業で巡回中、通行人の女性Vさんに抱きついたうえ胸や下腹部を触る等のわいせつ行為を行ったとして、目撃者からの通報を受けた警視庁東村山警察署の警察官によって、強制わいせつ罪の疑いで逮捕されました。

<事例2>
会社員のAさんは、東京都東村山市の飲み屋帰り、酔った勢いで通行人の女性Vさんに抱きついたところ、他の通行人に止められ、駆けつけた警視庁東村山警察署の警察官によって暴行罪の疑いで警察署で取調べを受けました。
(※上記いずれもフィクションです。)

【女性に抱きついて刑事事件化~わいせつな行為とは?~】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、路上や電車内、公共の建物等において、女性に抱きついたり、それ以上のわいせつ行為をしてしまい性犯罪の疑いで悩んでいるとご相談が寄せられます。

例えば、「女性に抱きつく」という犯罪態様についても、その具体的な行為によって、強制わいせつ罪(刑法176条)や暴行罪(刑法208条)それぞれが成立する場合があり、それによって法定刑が異なることは勿論、逮捕勾留の可能性や不起訴処分の可能性も異なり得るため、注意が必要です。

強制わいせつ罪では「暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者」と定めており、暴行罪暴行に加えて「わいせつな行為」が必要であるとしています。

わいせつな行為とは、判例の定義によれば、性欲を刺激、興奮または満足させ、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為を言います。

具体的な刑事事件の判例として、陰部に触れること、女性の胸に触れること、キスをすることはわいせつな行為に当たると判断されています。

他方、単なる抱擁(抱きつき)をわいせつ行為と判断した事例は少なく、抱きついた上で胸やお尻を触る等の行為がなければ、人の身体に対する有形力の行使として暴行罪で処罰されるに留まるでしょう。

また、被疑者の意図としては胸や尻に触るわいせつ行為をするつもりであったところ、例えば路上でのすれ違い際に触ろうとしたため、狙いを外したり、相手の身体を押すような形になったため、わいせつな行為の認定が難しい場合には、暴行罪での立件となる例も見受けられます。

ただし、暴行罪強制わいせつ罪に比べれば法定刑は軽いですが、繁華街で酔って抱きついた場合など、人目のある場所での暴行罪現行犯逮捕のリスクが高いですので、十分に気を付けてください。

女性に抱きついてしまい、暴行罪強制わいせつ罪刑事事件化してお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回無料の法律相談または初回接見サービスをご利用ください。

痴漢で冤罪を主張したい

2020-08-05

痴漢で冤罪を主張したい

東京都八王子市在住の会社員Aさんは、市内のフィットネスジムにおいて、女性会員Vとすれ違った際にお尻を触られたと言われ、Vが警備員に痴漢被害を訴えたため、駆けつけた警視庁八王子警察署の警察官によって東京都迷惑行為防止条例違反の疑いで任意の事情聴取を求められました。
AさんはVと接触した可能性はあるかもしれないが、それは故意によるものではなく、痴漢の意図があったわけでは無いと痴漢冤罪を主張したいと思っていましたが、警察官の取調べを前にして適切に主張する手段も分からず、意図的にVの尻に触った旨の供述をしてしまい、住所や連絡先を調べられたうえで警察署から帰されました。
AさんはVに対して謝罪する気持ちはあるものの、痴漢行為という刑事責任を負うほどのことはしたつもりはないと冤罪を主張したいと思い、刑事事件を専門とする弁護士に法律相談をすることにしました。
(※フィクションです)

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に寄せられる迷惑行為防止条例違反痴漢事案の法律相談の中で、痴漢の事実を否認したい、冤罪であると主張したいとお悩みの方がしばしばいらっしゃいます。

原則的に、刑法では、罪を犯す意思が無い行為は罰しないとされています(刑法第38条第1項)。

刑法学では、刑事上の責任が生ずるには、犯罪の構成要件に該当すること、その行為が違法であること、その行為者に責任があることの3要素が必要であると解されており、罪を犯す意思(故意)が無い場合は、行為者に責任が無いと解されるのが一般的です。
※犯罪の構成要件において罪を犯す意思(故意)を要件としている犯罪もいくつかあります。

東京都迷惑行為防止条例で規定される痴漢処罰の規定(第5条第1項)では、「何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れではならない。」としており、この規定違反で処罰するためには、少なくとも、他人の身体に直接もしくは衣服に触れることについての故意が必要であると解されます。

この点、痴漢の故意を否認する方、冤罪を主張したい方の言い分として、「意図せず触れてしまった」「持ち物が被害者の身体に触れてしまった」等の主張が多く見られます。

確かに、混雑した電車内やバス内など、他人と体が密着してしまう状況では痴漢冤罪が発生しやすい状況にあると言え、弊所さいたま支部で受任となった埼玉県迷惑行為防止条例違反痴漢事案において、示談なしに被害者の方が被害届を取り下げるに至った事案がありました。

他方で、他人の身体に触れたか否か認識が明確ではない方も多く存在し、そのような方が痴漢冤罪を主張したいと言う一方で、早急な事案の解決のために示談したいとの意向を持つことが多く見受けられます。
この点、原則として、示談とは、被疑事実を認めた前提で、事実を謝罪し被害弁償を申し出ることが前提であるため、今一度自分の立場と主張を考えていただくこと場面もままあります。

様々な要素を検討し、自分の最善と思える方向へ進むためにも、痴漢刑事事件では、刑事事件を専門とする経験豊富な弁護士に相談し、必要であれば示談等を早急に対応してもらうことを強くお勧め致します。

冤罪も含む痴漢刑事事件化でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所への初回無料の法律相談または初回接見サービスをご検討ください。

刃物で脅してわいせつ行為

2020-07-29

刃物で脅してわいせつ行為

ある晩、東京都調布市の道路において会社員女性Vさんが一人で夜道を歩いているところ、後ろから来た無職Aさんが走ってきて、後方からVさんの頬に刃物をつきつけ、「大声を出すな。大人しくしていろ」と命令し、Vさんの胸や股間を触る等のわいせつ行為を行いました。
途中で別の通行人が来たため、AさんはVさんを解放して走り去った後、Vさんは110番通報をしたため、警視庁調布警察署が捜査に乗り出しました。
後日、犯行現場付近の防犯カメラら近隣住人の目撃証言等によりAさんの身元の特定に至り、警察は強制わいせつ罪および銃刀法違反の疑いでAさんを逮捕しました。
警察の調べに対し、Aさんは被疑事実を認めており、逮捕から2日後、Aさんに対して10日間の勾留が決定しました。
(※フィクションです)

上記刑事事件例は、令和元年6月17日午後7時半ごろ、横浜市保土ケ谷区内を走行していた路線バス車内で、席に座っていた高校1年の女子生徒の背後から顔付近にカッターナイフを突きつけ、わいせつな行為をしようとしたとして、強制わいせつ未遂罪銃刀法違反の疑いで、横浜市の会社員男性が逮捕された事案をモデルにしています。
被害者である女子生徒が乗客に助けを求め、運転手が110番通報し、駆け付けた警察官が被疑者を警察署に任意同行し、事情を聴いたうえで逮捕に至ったとのことで、被疑者は事実を認めている模様です。

強制わいせつ罪を定める刑法第176条によれば、13歳以上の者に対し、暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をした場合、6月以上10年以下の懲役を科しています。

判例によれば、「暴行」とは、正当な理由なく、他人の意思に反して、その身体に力を加えることを言い、その力の大小強弱は問わないとされています。

具体的には、殴る蹴る等の肉体的な暴力は勿論のこと、被害者が承諾することを予期する事情が無いにも関わらず、相手の感情を無視してキスしたり胸や股間等を触ること自体も「暴行」とされており(判例)、つまり、場合によっては、わいせつ行為自体が「暴行」を含む行為として認定されることがあることに注意が必要です。

また、上記事例のように、暴行または脅迫の手段として、相手に通常所持することが許されない刃物を突き付ける場合には、別途、銃刀法違反などの特別法が成立して罪が重くなることもあります。

上記刑事事件のような刃物を使った強制わいせつ罪刑事事件では、犯行態様の違法性が高く、被害者への更なる加害行為や罪証隠滅を強要する恐れが高いと判断され、極めて高い確率で長期間の身体拘束が決定されることが予想されます。
刑事訴訟法上では、逮捕で最大3日間、勾留の延長を含めて最大で20日間、被疑者の身体を拘束することが可能であり、約1月も社会から切り離されること自体が被疑者に対する一種の制裁の性質を帯びると言えます。

また、犯行対応の悪質性や法定刑の重さからして、検察官によって起訴される可能性が非常に高く、実刑判決が下される可能性も十分考えられます。

このような事案に対する弁護活動としては、被害者に対する示談の申し出が非常に重要です。
早期の身柄解放や、少しでも予想される刑を軽くしたいのであれば、示談相場よりも多めの示談金を提示したり、被害者に対する再犯防止や接触禁止の誓約やその違約罰を示談に盛り込むなどして、少しでも示談に応じていただけるよう、刑事事件専門の弁護士の力を借りることがとても大切になります。

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卑わいな言動で逮捕

2020-07-22

卑わいな言動で逮捕

他人に対する直接的なわいせつ行為でなくとも、卑わいな言動を行って人を不安にさせて刑事責任が生じうるケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

<刑事事件例1>
埼玉県越谷市在住の会社員Aさんは、小学校・中学校の児童が多く通学する道路において、女子児童に対して「胸が大きいね」「毛は生えたの」等の卑わいな言動を繰り返し行っていました。
これに対して恐怖や不安を抱いた女子児童の学校への報告が複数寄せられるようになったため、学校はPTOと埼玉県越谷警察署に協力を要請して、児童の登下校時の見回りを強化しました。
後日、Aさんが女子児童に対して同様の卑わいな言動をしているところを、警戒していた児童の保護者が取り押さえ、Aさんは埼玉県迷惑行為防止条例違反卑わいな言動)の疑いで現行犯逮捕されました。

<刑事事件例2>
埼玉県越谷市在住の会社員Aさんは、夜間、若い女性が一人で出歩いているのを見つけては、男性器を模した玩具を使用して、あたかも下半身を露出したかのように見せかける悪質で卑わいな言動を繰り返していました。
埼玉県警越谷警察署に対して被害にあった女性からの通報が複数寄せられたため、警察は警戒を強化したところ、後日、不審な様子で夜道を徘徊しているAさんを発見し、職務質問をしたところAさんが男性器を模した玩具を所持しており、女性に対して卑わいな言動をしていたことを認める趣旨の発言をしたことから、Aさんを埼玉県迷惑行為防止条例違反卑わいな言動)の疑いで警察署に連行し、詳しく事情を聞くことにしました。
(※上記いずれもフィクションです)

埼玉県迷惑行為防止条例第2条第4項では「何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人に対し、身体に直接若しくは衣服の上から触れ、衣服で隠されている下着等を無断で撮影する等人を著しく羞(しゆう)恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。」としています。

条文の理解としては、公共の場所において、「痴漢行為」、「盗撮行為」の他に、具体的に列挙することができない「人を著しく羞恥させたり不安を覚えさせる卑わいな言動」を総括して、処罰対象を不当に制限しないように解釈の余地を残していると解釈されています。

迷惑行為防止条例は、各都道府県が独自に定めており、例えば「公共の場所」要件等について若干の差異があるものの、基本的な処罰根拠は共通しています。

迷惑行為防止条例における「卑わいな言動」に関する有名な判例として、北海道旭川市のショッピングセンター内で、女性客に対して約5分間、およそ40メートルにわたってカメラ付き携帯電話を相手の臀部あたりに狙って追い回して撮影したという事案において、たとえ女性の服の上から臀部を撮影する行為についても、本件の撮影行為全体を見た時に、社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな動作であることは明らかであり、これを被害者が知った時に被害者を著しく羞恥させ、被害者を不安にさせるものと言えると判断し、有罪判断を下しています。

つまり、強制わいせつ罪や公然わいせつ罪等に該当しない、他人を不愉快にさせる可能性が高い卑わいな言動について、迷惑行為防止条例違反として広く処罰される可能性が残されているため、スキンシップ目的や悪戯目的であっても刑事事件化の可能性があることに注意が必要です。

このような事案で刑事事件化した場合には、刑事事件に強い弁護士を介して、被害者に対して謝罪や賠償を申し出ることで被害者の処罰感情を和らげる努力をすることが効果的です。

卑わいな言動刑事事件化または逮捕されてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回無料相談や初回接見サービスをご検討ください。

女性につきまとい暴行とわいせつ行為

2020-07-08

女性につきまとい暴行とわいせつ行為

女性につきまといわいせつ行為暴行等を行った場合の刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

<刑事事件例>

東京都文京区在住の無職Aさんは、文京区内の道路にて、好みの女性Vさんを見つけ、Vさんの後をつけまわしたうえで、Vさんが人通りの少ない場所に出たところで、Vさんのスカートをめくり下半身を触る等のわいせつ行為をした上で、Vさんを押し倒してVさんの顔や胸を殴る等の暴行を加え、Vさんを負傷させました。
この犯行を通りがかった会社員に目撃されたため、Aさんはすぐに逃走しましたが、間もなく警視庁駒込警察署によって身元を特定され、強制わいせつ致傷罪の疑いで逮捕されました。
警察の調べに対し、Aさんは概ね被疑事実を認めています。
(フィクションです。)

強制わいせつ罪(刑法第176条)は、13歳以上の者に対して、暴行または脅迫を用いてわいせつ行為をすること、および13歳未満の者に対してわいせつ行為をすることにより成立し、6月以上10年以下の懲役が科せられます。

つまり、わいせつ行為の前提またはその経過において、「暴行」または「脅迫」が行われることが要件となっていますが、ここで言う「暴行」とは、正当な理由もなく、他人の意思に反して、その身体に力を加えることを言い、その力の大小強弱は問わないとされています(判例)。
ゆえに、暴行罪における「暴行」が、人の身体に対する不法な攻撃方法を意味することと異なり、強制わいせつ罪における「暴行」については、たとえ攻撃的な力の加え方でなくても、例えば、了承も無いにも関わらず女子の陰部を触ること自体も「暴行」に該当します。

このように、強制わいせつ罪が成立する要件としての「暴行」は、それほど暴力的な手段でなくとも暴行として認定されるところですが、しかし、実際の刑事事件では、被疑者によるわいせつ行為を拒否したり抵抗するために被害者が大声をあげたり暴れたり反撃をすることも決して珍しいことではなく、このような被害者の抵抗を排除してわいせつ行為を遂行するために、被疑者がさらに暴力的な方法で被害者に対して暴行を加えることがあります。

そして、このようにわいせつ行為に伴う暴行で人を負傷させたり、死亡させた場合には、その極めて悪質な態様に対して厳しく処罰するため、強制わいせつ致死傷罪(刑法第181条第1項)が成立し、無期または3年以上の懲役という非常に重い刑罰が科されることになります。

強制わいせつ致傷罪では、傷害の発生がわいせつ行為自体による場合だけでなく、強制わいせつの成立要件である暴行による場合にも成立するとされており(判例)、また、わいせつ行為を中止して逃走する際に被害者に対して暴行を加えて傷害を負わせた場合でも、わいせつ行為に随伴する暴行である以上、強制わいせつ致傷罪が成立するとされています(判例)。

強制わいせつ致傷罪刑事事件化した場合、極めて高い確率で検察官によって起訴され、実刑判決を求刑されることになるでしょう。
実際、過去の強制わいせつ致傷罪の裁判例では、ほとんどが性犯罪の前科がある被告人であり、少なくとも懲役2年の実刑判決が下されています。

ただ、初犯の強制わいせつ致傷罪で、かつ被害者との間で示談が成立している事案については、裁判所が執行猶予付き判決を下した例もあるため、たとえ強制わいせつ致傷罪という重大事件で刑事事件化した場合でも、最初から実刑判決と諦めるのではなく、被害者に対する謝罪や示談の申し出を進めることが重要となるでしょう。

女性につきまとい暴行わいせつ行為をして強制わいせつ致傷罪刑事事件化または逮捕されてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所への初回無料の法律相談または初回接見サービスをご検討ください。

青少年との淫行

2020-07-01

青少年との淫行

各都道府県における青少年健全育成条例における「青少年」との淫行わいせつ行為や性行為等)による刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

<刑事事件例>

埼玉県在住の会社員男性Aさんは、SNSを通じて知り合った女性Vさんが、18歳未満の青少年であることを知りながら交際するようになり、肉体関係を持ちました。
ある晩、AさんとVさんが夜に埼玉県熊谷市の繁華街でデートをしていると、夜間巡回中の埼玉県警熊谷警察署の警察官から、Vさんは青少年で、Aさんが連れまわしているのではないかと職務質問をされました。
職務質問によりVさんが青少年であり、AさんとVさんが交際していることが判明したため、Aさんは身分証明書の提出を求められ、近日中に青少年健全育成条例違反の疑いで警察署への出頭を要請すると言われ、いったん家に帰されました。
Aさんは、今後、青少年健全育成条例違反に疑いで逮捕されてしまうのか、また、刑事責任を問われた結果、実刑判決を受けることになるのか、前科がついて仕事に悪影響があるのかと不安になり、青少年との淫行に関する刑事事件で実績のある刑事事件弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

一般に、未成年者と性的関係を持つことを「淫行」と言い、身心の未発達な18歳未満の者(青少年)に対して淫行を行うことで、青少年健全な成長が阻害されるおそれがあるため、各都道府県は、「青少年健全育成条例」を定め(条例の名称は各都道府県により異なります)、青少年に対する淫行を行った者に罰則を与えることで、青少年健全育成環境を保護しています。

埼玉県青少年健全育成条例の場合、第19条において、「何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。」としており、これに違反した場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます(同法第28条)。

ここで言う「みだらな性行為又はわいせつな行為(淫行)」について、判例は、「青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為」としています。

青少年健全育成条例における「青少年」の定義において、たとえ18歳未満であっても婚姻により成年に達したとみなされる者は「青少年」には含まれず、したがって、18歳未満であっても将来の婚姻を真摯に誓いあった真剣な交際関係における性行為等については、「みだらな性行為又はわいせつな行為(淫行)」には該当しないと解釈されています。

この点、青少年との淫行について、青少年との同意があることをもって「真剣な交際関係があった」と主張し、淫行の事実を否認する主張が考えられますが、単に青少年との口頭での真摯な交際を約束したからと言って、淫行事実を否認できるとは限らないのが実務的な運用です。
実際には、青少年の両親から交際関係について認められている等の客観的な証拠が必要とされており、真剣交際の事実について主張が認められることは余り無いのが現実です。

このような場合、青少年との淫行に関する刑事事件の引受実績の多い弁護士を通じて、被害者の両親に対して示談を働きかけ、少しでも違法性が軽くなるよう弁護活動を行うことで、不起訴処分につながる可能性が高まります。

青少年との淫行刑事事件化または逮捕されてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所への初回無料の法律相談または初回接見サービスをご検討ください。

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