18歳未満の女子を風俗店で働かせて刑事事件化

2020-12-30

18歳未満の女子を風俗店で働かせて刑事事件化

東京都新宿区キャバクラ店を営むAさんらは、18歳未満である女子であることにも関わらず、若い女子を従業員とした方が客足が伸びるという理由で自身のキャバクラ店で雇用し働かせていたところ、第三者の刑事告発によって警視庁新宿警察署に任意の取調べを受けました。
Aさんは事実を認め、警察はAさんら被疑者が、これまでに高校生ら18歳未満の少女7人ほどを時給2千円程度で雇っていたと証拠が発見されたため、Aさんを風俗営業法違反年少者雇用)の疑いで逮捕し、その後検察官送致しました。
(フィクションです。)

上記刑事事件例は、18歳未満の少女をキャバクラ店の従業員として雇って接客させたとして、令和2年12月15日、埼玉県警が埼玉県加須市のキャバクラ店の経営者の男女を風俗営業法違反年少者雇用)の疑いで追送検した事実をモデルにしています。
埼玉県警は同12月、この店を無許可営業したとして風俗営業法違反無許可営業)の疑いで2人を逮捕していました。
警察調べに対して2人は容疑を認め、逮捕された18歳の女は「(共犯の)被疑者男性に誘われて店を始めた」などと供述している模様です。
追送検容疑は、同年11月下旬ごろ、埼玉県加須市のキャバクラ店18歳未満女子1人を雇って客の接待をさせたというもので、被疑者男性は「若い子を雇えば客が入ると思った」などと述べています。
被疑者らは、令和元年10月ごろに店を始め、不定期に営業し、女が店を切り盛りして従業員の給与計算などを担い、男は売り上げの管理をし、これまでに高校生ら18歳未満女子5人ほどを時給2千円程度で雇い、今年11月までに少なくとも1700万円以上を売り上げていたとされています。

【風俗営業法の規制】

風俗営業法は、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため、風俗営業及び性風俗関連特殊営業等について、営業時間、営業区域等を制限し、及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに、風俗営業の健全化に資するため、その業務の適正化を促進する等の措置を講ずることを目的としています。

風俗営業法で規制対象となる「風俗営業」は、風俗営業法第2条に定義されていますが、大まかに言えば「客の接待をして客に遊興または飲食をさせる営業」がメインであり、他にも照明の暗さや客室の密閉性、客の射幸心をあおる遊戯をさせる設備の有無などが関係してきます。

風俗営業にあたっては、種別ごとに都道府県公安委員会の営業許可が必要であり(風俗営業法第3条)、風俗営業無許可営業した場合、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、また併科が科されます。

また、風俗営業においては、経営者が従業員に対して人権侵害を行ったり、不当な雇用条件を押し付けたりすることがないよう一定の規制が盛り込まれており、風俗営業法第22条の中に、風俗営業を営む者は、営業所で18歳未満の者に客の接待をさせてはならないとしています。
この年少者雇用の規定に違反した場合、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、また併科が科されることになります。

このような風俗営業法違反刑事事件では、口裏合わせや雇用契約書等の破棄などによる証拠隠滅の可能性が疑われ、捜査機関が逮捕勾留に踏み切ることが多く予想されます。
また、「対象従業員が18歳未満だと認識がなかった」として故意を否認するケースも多いところ、確かに、営業者がその年齢を知らなかったことに過失がないときは処罰を免れるとものの、そのようなケースは、本人のみならず、紹介者、保護者とも会い、戸籍謄本などの公的資料などの証明力の高い資料や、運転免許証、身分証明書などの資料を確認した上で、18歳未満の者ではないと認識したという事情がある場合を言い、実際に18歳未満の認識が無いケースは稀です。

このような風俗営業法違反性犯罪刑事事件では、事実を認めるか否認するかのメリットとデメリットを刑事事件に強い弁護士に助言を受け、弁護士を通じて適切な捜査対応や情状主張を行うことにより、執行猶予つき判決などの軽い処分を求めていくことが大切です。

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