リベンジポルノで告訴取り下げ

2019-11-08

リベンジポルノで告訴取り下げ

リベンジポルノ告訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ ケース ~

埼玉県熊谷市在住のAさんは、ある日突然、交際していたVさんから別れ話を切り出されました。これに納得のいかなかったAさんは、何とかしてVさんに恥をかかせてやりたいと思い、Vさんと交際していた際に同意のもとで撮影したVさんの全裸の写真を、インターネット上にアップしました。ところが、Aさんは、埼玉県熊谷警察署の警察官によって家宅捜索を受け、そのままリベンジポルノ被害防止法違反の容疑で逮捕されてしまいました。インターネット上にVさんの写真がアップされていることを友人から聞かされたVさんが、熊谷警察署に通報・相談し、告訴状を提出したようです。突然の逮捕に驚いたAさんの家族は、刑事事件に強い弁護士初回接見を依頼しました。
(フィクションです)

~ リベンジポルノ被害防止法とは ~

リベンジポルノ被害防止法は、正式名称「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(以下、法律)」といいます。

交際中に撮影した元交際相手や元配偶者の裸などの性的画像を撮影された人の同意なく、インターネット上に公表する(いわゆるリベンジポルノ)などの嫌がらせ行為により、被害者が長期にわたり多大な精神的苦痛を受ける事件が増えています。

この法律が施行されたのは2014年で、東京都三鷹市で起きた「三鷹ストーカー殺人事件」という事件がきっかけとなって作られました。

~ 私事性的画像(リベンジポルノ)とは? ~

法律では、リベンジポルノのことを私事性的画像(記録あるいは記録物)、と呼んでいます。

「私事性的画像」とは、
撮影された人が第三者に見られることを認識せずに撮影された
①性交・性交類似行為
②他人が撮影対象者の性器等を触る行為又は撮影対象者が他人の性器等を触る行為で、性欲を興奮、刺激するもの
③衣服の全部又は一部を着けない姿態で、殊更に性的な部位が露出され又は強調されているもので、かつ、性欲を興奮、刺激するもの
を指します。

~ どんな行為が処罰されるの? ~

法律3条に規定されています。

= 公表罪(法律3条1項、2項) =

行為:第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、私事性的画像を不特定又は多数の者に提供すること
→「第三者が撮影対象者を特定することができる方法」での提供が必要ですので、たとえば「顔が写っていないなどの理由で撮影対象者本人にしか被写体がわからない」というケースでは、公表罪は成立しないと考えられます。また、「提供」とありますが、その概念は広く、LINEグループに送信する、FacebookやTwitterなどのSNSに投稿する行為も「提供」に当たります。
罰則:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金

= 公表目的提供罪(法律3条3項) =

行為:法律3条1項、2高の行為をさせる目的で、私事性的画像(リベンジポルノ)を提供すること
→たとえば、知人に拡散させる目的で、その知人に私事性的画像記録(リベンジポルノ)をLINEなどで送信することなどがあります。上記と異なり、「不特定又は多数の者」との文言がありませんから、本項では特定人から特定人への「提供」行為が処罰の対象となります。
罰則:1年以下の懲役又は30万円以下の罰金

~ 告訴取り下げなら ~

公表罪も公表目的提供罪も、被害者の告訴がなければ公訴を提起できない(起訴できない)親告罪です。したがって、既に捜査機関に告訴状が提出されている場合でも、被害者が公訴提起前に告訴を取り消せば、刑事処分は必然的に「不起訴」となります(仮に起訴すれば違法です)。被害者に告訴を取り消していただくには、まずは真摯に謝罪し、示談交渉をはじめることが有用です。また、既に拡散してしまった画像データをどう消去するのかなどといった点も大切となるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、リベンジポルノ事案をはじめとする刑事事件少年事件専門の法律事務所です。お困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までご連絡ください。24時間、無料法律相談初回接見サービスを受け付けております。