12歳の男性への強制性交等致傷事件

2019-11-13

12歳の男性への強制性交等致傷事件

12歳の男性への強制性交等致傷事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事件】
Aさんは神奈川県川崎市にある人通りの少ない通りに面した公園で,夜半,Vさん(当時12歳)の肛門に陰茎を挿入し射精しました。
この事件でVさんは肛門裂傷を負いました。
帰宅したVさんから事件を聞いたVさんの両親は,神奈川県川崎警察署告訴しました。
数日の捜査活動の後,Aさんは強制性交等致傷罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです)

【強制性交等致傷罪】

強制性交等罪(旧称:強姦罪)については,刑法第177条に規定があります。

刑法第177条
13歳以上の者に対し,暴行又は脅迫を用いて性交,肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は,強制性交等の罪とし,5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し,性交等をした者も,同様とする。

以前は暴行・脅迫を用いて性交することのみが強姦罪として処罰対象となっていましたが,2017年の改正により肛門性交や口腔性交を行った場合も強制性交等罪として処罰されるようになりました。

一般に,強制性交等罪での暴行・脅迫は,相手方の反抗を抑圧する程度のものでなければならないとされています。
「反抗を抑圧する」とは,物理的・精神的に反抗できない状態にすることを意味します。
そうすると,強制性交等罪の要件である暴行・脅迫は,少なくとも被害者の反抗を著しく困難ならしめる程度の強度が必要であるように思われます。
ですが,実際は相手方の意思に反するという事実が認められれば,暴行・脅迫があった場合,それは相手の反抗を抑圧する暴行・脅迫であると扱われる傾向が強いです。
ですので,暴行・脅迫の程度が必ずしも強制性交等罪の成否の分水嶺となるわけではない点に注意が必要です。

ここで,相手に対する強制があった場合で,容易に抵抗できたと考えられるのに現実には抵抗がされなかったという理由で,強制性交等罪が要求する程度の暴行・脅迫がなかったと無罪を言い渡されたり訴追されなかったりするという意見があります。
たしかに過去にそのような判断が下されたこともありました(最判平成23・7・25判タ1358号79頁など)が,性犯罪被害者が被害に遭った際に容易には抵抗できない心理状態にあることなど種々の事情から当該被害者にとって抵抗が困難であると認められた際には,比較的軽微な暴行・脅迫しかなかったとしても反抗を抑圧する程度のものであったと認められるケースも存在します。

しかしながら今回の事件では,被害者が12歳であるため暴行・脅迫の要件は必要とされません。
AさんはVさんの肛門に陰茎を挿入しており性交等の行為が認められるため,刑法第177条後段の規定により強制性交等罪が成立するものと考えられます。
そして,強制性交等罪に当たる行為に伴って相手に傷害や死亡結果を発生させてしまった場合,強制性交等致死傷罪に問われる可能性があります。

刑法第181条第2項
第177条,第178条第2項若しくは第179条第2項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し,よって人を死傷させた者は,無期又は6年以上の懲役に処する。

Aさんは性交等を行うにあたって,Vさんに肛門裂傷の傷害を負わせていますので,強制性交等罪ではなく強制性交等致傷罪に問われる可能性が高いといえます。

【強制性交等致傷事件の弁護方針】

強制性交等罪および強制性交等致傷罪の被疑者から事件の依頼を受けた弁護士は,不起訴執行猶予の獲得や刑罰の減軽を目指すことになるでしょう。
被疑者が逮捕勾留されている場合は,被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがないことなどを主張し,勾留の決定や継続の阻止を図ることも考えられます。

これらのための活動としては,被害者と示談を成立させるために示談交渉していくことが挙げられます。
ただし,強制性交等罪のような性犯罪の場合,加害者が被害者(またはその保護者)に謝罪をしようとしても接触を拒まれることが非常に多いです。
そのため,加害者やそのご家族が直接示談交渉することも非常に困難を伴います。
示談交渉に時間を取られてしまうと,その間に刑事手続が進んでしまい,依頼者にとって不利益な結果につながる可能性が高くなってしまいます。
特に今回の事件のように,被害者が未成年であった場合は交渉のテーブルにつくことすらままならないことも多いです。

もし強制性交等罪などの性犯罪の被疑者となってしまった場合は,早急に刑事事件に強い弁護士に事件を依頼することを強くお勧めします。
弁護士が間に入ることで話を聞いてくれる被害者の方も少なくありません。
さらに,強制性交等致傷事件は非常に刑罰が重いため,起訴されてしまえば執行猶予を獲得することも困難なうえ,裁判員裁判の対象にもなります。
弁護士に相談し,どういった処分が見込まれ,どういった活動が有効なのかを聞いてから,迅速に対応を決めていくことが求められることになるでしょう。

強制性交等罪強制性交等致傷罪の被疑者となってしまった方,ご家族やご友人が神奈川県川崎警察署逮捕されてお困りの方は,刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお早めにご相談ください。

初回法律相談:無料