準強制わいせつ事件で示談

2019-11-03

準強制わいせつ事件で示談

準強制わいせつ罪と示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ ケース ~

大阪府大阪市に住む会社員のAさんは、市内にある公園に通りかかった際、公園のベンチで横たわっている女性Vさんを見つけました。AさんはVさんの様子が気になってVさんに近づくと、明らかにVさんから酒臭がし、Vさんの全身が真っ赤に火照っていたことから、Vさんが酒に酔っているのだろうということが分かりました。ところが、Aさんは、Vさんの胸元が開いており、今にもVさんの乳房が見えそうだったことから劣情を催し、周囲に人もいなさそうだったことから右手をVさんの上着の中に入れ、Vさんの胸を触りました。そうしたところ、Aさんは、偶然近くを通りかかった付近を巡回中の大阪府住吉東警察署の警察官にその行為の一部を見られ、事情を話したところ、準強制わいせつ罪で現行犯逮捕されてしまいました。Aさんの逮捕の通知を受けた妻が、弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです。)

~ 準強制わいせつ罪 ~

準強制わいせつ罪は刑法178条1項に規定されています。

刑法178条1項
 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。

「176条」は強制わいせつ罪の規定です。「例による」とは、法定刑をその罪と同様とする、という意味です。ですから、「第176条の例による」とは、法定刑を強制わいせつ罪と同様、6月以上10年以下の懲役とする、ということになります。「準」とついていますから、一見すると強制わいせつ罪よりも刑の重さが軽そうですが、実は変わりませんから注意が必要です。

「心神喪失」とは、精神上の障害によって正常な判断を失っている状態をいいます。具体的には、熟睡、泥酔・麻酔状態・高度の精神病などがこれに当たります。責任能力における心神喪失(刑法39条1項)とは若干意味が異なります。
「抗拒不能」とは、心神喪失以外の理由によって心理的・物理的に抵抗することが不可能又は著しく困難な状態をいいます。睡眠中、泥酔中、麻酔中、催眠状態など、心神喪失以外の理由でわいせつな行為をされていることを認識していない場合がこれに当たります。
「(心身喪失・抗拒不能に)乗じる」とは既存の当該状態を利用することをいいます。当該状態を作出した者とわいせつ行為をした者が同一であることは必要ではありません。ただし、この場合、本罪が成立するには、わいせつ行為をした者が、被害者が当該状態にあることを認識しておく必要があるでしょう。本件では、AさんがVさんを泥酔状態にさせたわけではありませんが、Vさんが当該状態にあることを認識しつつわいせつ行為に及んでいることが認められますから、Aさんの行為は、心神喪失に乗じ、わいせつな行為をしたことに当たる可能性が高いでしょう。
「(心神喪失・抗拒不能)にさせる」手段には制限はありません。麻酔薬、睡眠薬の投与・使用、催眠術の施用、欺罔などはいずれもその手段となり得るでしょう。

~ 準強制わいせつ罪と示談 ~

罪を認める場合は、一刻も早く被害者と示談交渉を進めることが肝要です。
示談交渉を進めているということは、基本的に罪を認めていることが前提で、その結果罪証隠滅のおそれはないと判断され、早期釈放に繋がりやすくなります。
また、示談が成立すれば、被疑者に有利な情状として考慮され、不起訴獲得の可能性が高くなります。被害者様から「被疑者を処罰しないで欲しい」などという宥恕条項を獲得できれば、その可能性はさらに上がることとなるでしょう。

示談交渉は弁護士にお任せください。

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