13歳未満との性交・強制性交等事件で逮捕

2020-02-05

13歳未満との性交によって強制性交等(旧強姦)で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~事例~

Aは、V(12歳)の同意を得た上で、Vが13歳未満であると知りながら性行為を行った。
埼玉県上尾警察署の警察官は、Aを強制性交等(旧強姦)の疑いで逮捕した。
Aの家族は、性犯罪事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~13歳未満に対する性交等の処罰~

刑法177条前段は、「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役」に処することを規定しています。
これは、かつて同条において「強姦罪」として規定されていたものを、「強制性交等罪」として新たに規定し直したものです(2017年刑法改正)。

改正後の「強制性交等罪」と、かつての「強姦罪」との具体的な相違としては、
・性別を問わず強制性交等罪の客体となるとした(旧強姦罪は女性のみを被害客体としていた)
・通常の性行為のみならず、肛門性交や口腔性交も処罰対象とした
・親告罪から非親告罪への変更
等が重要な改正点として挙げられます。

では、本件について具体的に検討していくことにしましょう。
本件では、Aは形式上はVの同意を得ており、上述の177条前段が定めるような「暴行又は脅迫」は行われていないと考えられ、そうすると原則として犯罪は成立しないことになります。
もっとも、刑法177条は、その後段において「13歳未満の者に対し、性交等をした者」も強制性交等罪として処罰する旨を定めていることに注意が必要です。
同条前段と比較すれば分かるとおり、「13歳未満の者」に対する「性交等」は、「13歳以上の者」に対する「性交等」のように「暴行又は脅迫」を手段とせずとも強制性交等罪が成立するとしている点に重大な相違があるのです。

そもそも強制性交等罪(旧強姦罪)とは、個人の意思に反する性行為を、犯罪として処罰する規定です。
つまり、当然ではありますが、同意のある(意思に反しない)性行為を処罰する趣旨に出たものではありません。
にもかかわらず、法は、13歳未満の個人は、自らの性的自由に関して自由な意思決定を行うことが困難であるとして、仮に形式的な同意があったとしてもこれを有効なものとはみなさずに処罰する旨を定めているのです。
したがって、本件のようにAが、Vが13歳未満と知りながら「性交等」を行った場合、そのことのみによって強制性交等罪が成立することになり、AはVの形式的な同意を得ていたとしても、強制性交等罪によって逮捕することが可能なのです。

~強制性交等罪(旧強姦罪)における弁護活動~

上述のように刑法改正によって、強制性交等罪(旧強姦罪)を含む性犯罪規定は、非親告罪となりました。
もっとも、改正後も検察官が起訴するかどうかを判断にあたっては、被害者の意思などを十分に尊重する必要があるとされています。
したがって、被害者(及びその家族)と示談の交渉等を行う重要性に変化はないと考えられています。
もっとも、特に本件のような13歳未満という幼い被害者に対する犯罪の場合、被害者家族の処罰感情も苛烈である可能性は否定できません。
そこで、示談交渉等の経験に長けた弁護士による対応が必要不可欠となるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強制性交等(旧強姦)事件などの性犯罪事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
強制性交等(旧強姦)事件で逮捕された方のご家族は、24時間365日対応のフリーダイヤル(0120-631-881)まで、まずはお問い合わせください。