小学校の教員が教え子の児童にわいせつな行為をし逮捕

2020-02-10

今回は、小学校の教員が、児童にわいせつな行為をした疑いで逮捕されてしまった場合の弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

Aさんは横浜市内の小学校の教員をしています。
Aさんは小学3年生のクラスの担任であり、クラスの女子児童のVを気に入っていました。
ある日、用具室にVを呼出し、「成績がよくなるおまじない」などと称して、自身の男性器をなめさせるなどしました。
その時のVは特に気にしなかったのですが、Vがこのことを「学校での出来事」として、いつものように母親に話したところ、母親は激怒し、神奈川県加賀町警察署に相談しました。
Aさんが出勤するとき、逮捕状を携えた加賀町警察署の警察官が自宅に現れ、逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~強制わいせつ罪・強制性交等罪について解説~

強制わいせつ罪は、13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をし、または、13歳未満の者に対し、わいせつな行為をする犯罪です(刑法第176条)。
一方、性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」といいます)をした場合は、強制性交等の罪となります(刑法第177条)。

ケースのVは13歳未満であるので、暴行・脅迫によらなくても、また、Vの同意があったとしても、わいせつな行為や性交等をすれば、強制わいせつ罪又は強制性交等罪が成立することになります。

ケースにおける「自身の男性器をVになめさせる行為」は口腔性交に該当する可能性があります。
この場合、Aさんに強制性交等罪が成立します。
仮に強制性交等に該当しないとしても、Aさんの行為は「わいせつな行為」に該当する可能性が高いです。

~今後の手続~

Aさんはこの後、警察署に連れていかれた後、弁解を録取され、取調べを受けることになります。
この時に、当番弁護士を呼ぶこともできます。

取調べにおいては、黙秘することもできるので、弁護士と相談してから供述することもできます。
供述内容によっては、口腔性交と判断される可能性もあります。
供述するか、黙秘するか、弁護士とよく相談しましょう。

ケースの事件において、留置の必要が認められると、逮捕時から48時間以内にAさんを検察へ送致しなければなりません。

送致を受けた検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するかを決めなければなりません。

勾留請求は裁判官に対して行います。
裁判官が勾留の要件を審査し、勾留可能と判断した場合には、勾留決定が出されます。
勾留決定が出ると、10日間、留置場や拘置所に入らなければなりません。
さらにやむを得ない事由があると認められると、最長10日間、勾留が延長されます。

~報道の回避~

ケースの事件は、世間においても多くの注目を集める事件になるでしょう。
人々の興味を集める事件は、報道されやすい傾向にあるようです。
ケースの事件が実名で報道されると、Aさんの社会復帰が困難になることが予想されます。

ケースの事件が報道される場合は、警察がマスコミに事件を発表し、マスコミがこれを報道する、という流れになるかと思われます。
弁護士を通じて、警察に対し、マスコミに対して事件を発表しないよう働きかけていくことも重要です。

~Vとの示談交渉~

Vと示談を成立させることにより(実際にはVの親などの「法定代理人」と交渉します)、Aさんに対する処分が軽くなる可能性があります。
示談が成立すれば、当事者同士で事件が解決したものとして、逮捕・勾留中であっても、釈放される可能性が高まります。

釈放されない場合であっても、検察官が裁量により、Aさんを起訴猶予処分とする可能性も高まります。
起訴猶予処分を獲得できれば、裁判にかけられないので、前科をつけずに事件を解決することができます。

~起訴された場合~

ただし、ケースの事件は、小学生の性に対する思慮不足に付け込んだ悪質な性犯罪と評価される可能性が高いです。
したがって、起訴されてしまう可能性は十分あります。
起訴された場合であっても、示談を成立させることにより、示談をしない場合と比べて、より軽い量刑による判決が期待できます。
他にも、Aさんを監督する身元引受人を用意し、法廷で証言してもらうなどの活動が必要です。

弁護士のアドバイスを受けながら、事件解決を目指していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が強制わいせつ事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。