大学生の強制性交等事件で退学を回避

2020-01-26

今回は、大学生のAさんが強制性交等事件を起こした場合において、退学などの不利益な処分の回避を目指す弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

大阪府阪南市に住む大学生のAさん(21歳)は、アパートで一人暮らしをしています。
Aさんは同じアパートに住む女性Vと性交したいと考えていました。
ある日Aさんは、Vが部屋に1人で居るところを見計らい、部屋に侵入し、Vを床に押し倒して強制的に性交してしまいました。
後日Aさんの部屋に大阪府泉南警察署の警察官が現れ、強制性交等罪の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~Aさんに成立する犯罪について解説~

Aさんには「強制性交等罪」(刑法第177条)、「住居侵入罪」(刑法第130条前段)が成立する可能性が高いと思われます。

(強制性交等罪)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交をする犯罪です。
13歳未満の者に対して性交、肛門性交、口腔性交を行った場合は、暴行・脅迫によらなくても、また、被害者の同意があったとしても、強制性交等罪が成立します。

強制性交等罪における「暴行」とは、身体に向けられた不法な有形力の行使をいい、「脅迫」とは、害悪の告知をいいます。
「暴行」「脅迫」の程度は、被害者の反抗を著しく困難にする程度のもので足り、反抗を抑圧する程度に達する必要はありません。

Aさんは、Vを床に押し倒すなどしていますが、男性のAさんが女性のVを押し倒し、上からのしかかるなどした場合、Vの反抗を著しく困難にするものと考えられます。
したがって、Aさんの行為が上記「暴行」に該当すると判断される可能性は高いと思われます。
上記暴行によりAさんはVと性交をしたものと考えられるので、Aさんに強制性交等罪が成立する可能性は高いでしょう。

(住居侵入罪)
正当な理由がないのに、人の住居に侵入する犯罪です。
住居侵入罪にいう「侵入」とは、「管理権者の意思に反する立入り」を意味します。
ケースにおける「管理権者」はVです。
VはAさんが自身と強制的に性交する目的で自宅に立ち入ることを容認していないと考えられるので、Aさんに住居侵入罪が成立する可能性は高いと思われます。

~今後の弁護活動~

Aさんが逮捕されてしまったことや、起訴されてしまったことを大学に知られてしまった場合、退学処分等を回避することは難しいかもしれません。
ですが、大学生が起こした強制性交等事件の全てが大学に知られてしまうわけではありません。
もし事件を起こしたことが知られていなければ、事件を起こしたことを知られる前に適切な弁護活動を行い、不利益な処分を回避できる可能性があります。

(早期に示談交渉に着手する)
早期に示談交渉に着手し、有利な条件で示談がまとまれば、釈放される可能性が高まります。
釈放されれば、今まで通りに大学へ登校することができます。
示談を成立させる際に、AV間において、事件につき秘密保持義務を設定することがあります。
Aさんだけでなく、Vも秘密保持義務を順守することにより、事件が発覚することを防ぎます。
大学に事件が知られないようにすることにより、退学処分などの回避を目指します。

また、捜査の最終段階において、検察官がAさんを裁判にかけるか否かを判断しますが、検察官の裁量により不起訴処分を獲得できる場合があります。
Aさんを起訴するかどうかが検討される際には、Aさんの性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況が考慮されます。
示談が成立していることは、Aさんにとって有利な「犯罪後の情況」として考慮されることが期待できます。
示談を成立させたことが評価され、不起訴処分(この場合は「起訴猶予処分」)を獲得することができれば、裁判にかけられることがないので、前科を付けずに事件を解決することができます。
まずは接見にやってきた弁護士から、示談交渉についてアドバイスを受けましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が強制性交等事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。