京都府京都市左京区で監護者わいせつ罪

2019-06-26

京都府京都市左京区で監護者わいせつ罪 

京都府京都市左京区に住む会社員のAさんは,妻、長女Vさん(12歳)、次女の4人家族です。Aさんは長女Vさんに対し、日頃から性的虐待を繰り返していたと認められたことから、Vさんは児童相談所に一時保護されました。そして、Aさんは、Vさんに対してわいせつ行為に及んだとして監護者わいせつ罪京都府下鴨警察署逮捕されてしまいました。Aさんの妻は、突然のことに驚き、Aさんとの接見弁護士に依頼しました。
(フィクションです)

~ 監護者わいせつ罪 ~

監護者わいせつ罪は刑法179条に規定されています。

179条
1項 18歳未満の者に対し,その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は,第176条の例による。

「第176条の例による」との「第176条」とは「強制わいせつ罪」を指し,「例による」とは法定刑を強制わいせつ罪と同様

6月以上10年以下の懲役

とするという意味です。

= その者を現に監護する者(=監護者) =

「監護者」は法律上の監護権(民法820条)に基づかなくても,事実上現に18歳未満の者を監督し保護する者であれば「監護者」に当たります。反対に,法律上の監護権を有していても,実際に監護している実態がなければ現に監護する者に当たりません。現に監護している実態があるかどうかは,同居の有無や居住状況,指導や身の回りの世話などの生活状況,生活費の負担などの経済的状況,未成年者に対する諸手続の状況などを考慮して判断されます。

(例)
・同居して子供の寝食の世話をして指導・監督している親
・単身赴任して平日は子供との関わりは少ないが,配偶者を介したり電話やメールで指導等をしたり,休日に帰宅して指導等をしている親
・親の再婚相手で,養子縁組している者
・養子縁組していない者であっても,同居し子供の寝食の世話し指導・監督している者

= 影響力があることに乗じて =

「影響力」とは,監護者が被監護者の生活全般にわたり,衣食住などの経済的な観点や生活上の指導・監督などの精神的な観点から,現に被監督者を監督し,保護することによる生じる影響力とされています。「あることに乗じて」とは,当該影響力が一般的に存在し,当該行為時においてもその影響力を及ぼしている状態でわいせつ行為・性交等をすることをいいます。わいせつ行為をする場面で,特定の影響力が生じるための具体的な行為を行う必要はありません。影響力を及ぼしている状態でわいせつ行為を行ったことで「影響力があることに乗じて」に当たります。

* 「影響力があることに乗じて」といえない場合 *
「影響力があることに乗じて」といえなければ監護者わいせつ罪は成立しませんが、暴行または脅迫を手段としてわいせつな行為に及んでいれば「強制わいせつ罪」に当たる可能性が出てきます。
更に、13歳未満の者に対するわいせつ行為は、暴行・脅迫などがなくとも「強制わいせつ罪」に当たります。

= わいせつな行為(1項) =

判例によれば,「わいせつな行為」とは,行為者又はその他の者の性欲を刺激興奮又は満足させる行為であって,普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するものをいうとされています。

(例)
・乳房を触る,揉む,舐める
・性器を触る,舐める
・自己の陰茎を性器に押し当てる
※挿入した場合は監護者性交等罪または強制性交等罪が問題となります

~ 監護者わいせつ罪は非親告罪 ~

監護者わいせつ罪は、身内の犯罪であるが故に、

・許してくれるだろう
・告訴はされないだろう

と考えていると大きな間違いです。監護者わいせつ罪非親告罪であり、被害者の告訴を必要としません(強制わいせつ罪も同様です)。つまり、

被害者(身内)の意思に関係なく起訴され処罰される可能性がある

ということだけはぜひ覚えていただきたいものです。

~ 少女の証言は慎重な吟味を ~

未成年者(特に、年齢が低ければ低いほど)は成人に比べ、一般的に、記憶力、言語・理解能力が乏しいと考えられます。したがって、本件においてもVさんの供述がどこまで信用できるのか慎重に見極める必要があります。なお、平成31年3月28日、静岡地裁では、12歳の少女に対する強姦罪(現強制性交等罪)に問われた男性に対し、少女の証言が信用できないとして、無罪判決を言い渡されています(控訴中)。

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