【報道解説】母親が実娘のわいせつ画像を販売して児童ポルノ製造罪で逮捕

2023-02-04

【報道解説】母親が実娘のわいせつ画像を販売して児童ポルノ製造罪で逮捕

10歳の実の娘を裸にさせたわいせつ画像を撮って販売したとして、母親が強制わいせつ罪児童買春・児童ポルノ禁止法違反逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「10歳の実娘を裸にし、わいせつな画像を撮って販売したなどとして、愛知県警が40代の女を強制わいせつ児童買春・児童ポルノ禁止法違反逮捕していたことがわかった。
認否は明らかになっていない。
捜査関係者によると、女は10月20日に児童買春・児童ポルノ禁止法違反(提供)の疑いで逮捕され、11月9日には同法違反(不特定多数への提供目的所持)と強制わいせつの疑いで再逮捕された。
『1年ほど前から、不特定多数の人に娘の裸の画像を1千~3千円程度で売った』などと供述しているという。」

(令和4年11月28日に朝日新聞DIGITALで配信された報道より一部抜粋して引用)

【実の娘の裸にした画像を製造して販売すると】

児童ポルノ製造関係で警察が男性を逮捕したというニュースを見たことがあるかと思います。
その多くは、男性が女子トイレや女湯の更衣室での女児を盗撮したり、男性がSNSで知り合った未成年の女児との性行為の様子を撮影したり、裸の自撮り画像を送ってもらったりといったものかと思います。

今回取り上げた報道は、前述の事例とは異なり、母親が10歳の実の娘の裸にして写真を撮ったとして児童ポルノ製造等の疑いで逮捕されたケースです。
児童ポルノ製造すると児童買春・児童ポルノ禁止法7条3項に違反して3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
また、児童ポルノをSNSなどを使って不特定もしくは多数の人に提供する目的で所持すると児童買春・児童ポルノ禁止法7条7項に違反して5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金が科されるか、この両方が科される可能性があります。

他にも、10歳の実の娘を裸にさせる行為は、「わいせつな行為」として刑法176条の強制わいせつ罪が別途成立する可能性があります。
強制わいせつ罪の法定刑は、6月以上10年以下の懲役となっています。

【自分の子どもの裸を撮影した画像は全て「児童ポルノ」になるのか?】

児童買春・児童ポルノ禁止法7条において刑事罰の対象になるのは「児童ポルノ」に関して、同条各項に掲げられた行為をした場合です。
そもそも「児童ポルノ」とは、18歳未満の児童の次にあげる①〜③のいずれかの姿を撮影した画像や動画のことをいいます(児童買春・児童ポルノ禁止法2条3項参照)。
児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態(同項1号)
②他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの(同項2号)
③衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの(同項3号)
取り上げた報道では、逮捕された母親が10歳の実の娘を裸にして撮影したとのことですので、こうした画像は③の児童ポルノに当たると考えられます。

このように説明すると、自分の子どもが裸でいる状態を撮影した場合に全ての画像が児童ポルノに当たると判断される方がいるかと思いますがそうではありません。
たとえば、自分の3歳の子どもが自宅の庭で全裸で水遊びしている様子を子どもの成長の思い出として写真に撮った場合があるかと思いますが、これは③の「衣服の全部…を着けない児童の姿態」には当たりますが、水遊びの自然な様子を撮影したのあれば通常、「殊更に児童の性的な部位…が露出され又は強調されているもの」には当たらないと考えられます。
そのため、成長を記録するために親が子供の裸の画像を撮影した場合は、通常は児童ポルノに当たるとは考えられていません。
今回取り上げた報道では、逮捕された母親は撮影した実の娘の裸の画像を不特定多数の人に販売していたということですので、撮影した裸の画像が「殊更に児童の性的な部位…が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」であったために児童ポルノに当たると判断されたものと考えられます。

【ご家族が児童ポルノ製造などの疑いで逮捕されたら?】

ご家族が児童ポルノ製造などの疑いで逮捕されたことを知った場合は、いち早く弁護士に初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
逮捕期間中は家族であっても逮捕された本人と面会することができませんし、土日祝日も警察の留置場などは休みのためご家族が逮捕された本人と面会することができません。
しかし、弁護士であればこうした制限や警察官の立ち合いなく自由に接見(面会)することができますので、逮捕された本人から事件について話を伺って、事件の見通しや今後の手続の流れといったことを逮捕された本人や、そのご家族の方に説明することができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族が児童ポルノ製造などの疑いで逮捕された方がいてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。