【報道解説】他人の下着に体液をつけて器物損壊罪で逮捕
【報道解説】他人の下着に体液をつけて器物損壊罪で逮捕
ベランダに干していた女性用下着に体液をつけたとして、器物損壊罪で逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「2020年に愛知県岡崎市のアパートのベランダに干していた女性用の下着に体液をつけたとして、31歳の男が逮捕されました。
逮捕されたのは、西尾市の会社員・A容疑者(31)です。
A容疑者は2020年1月、岡崎市内のアパートの1階のベランダに干してあった女性のパンツ1枚に体液をつけ、さらに同年12月、市内の別のアパートのベランダに干してあった女性のパンツ2枚に体液をつけた器物破損の疑いが持たれています。
女性から被害届が出され、警察が捜査したところA容疑者を特定したということです。
調べに対し、A容疑者は、『場所までは覚えてませんが、やった覚えがあります』と容疑を認めていて、警察は余罪や動機を詳しく調べています。」
(令和2年7月7日に東海テレビで配信された報道より一部匿名にして引用)
【モノを汚しただけでも器物損壊罪!?】
刑法261条では「他人の物を損壊」した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処するとしています。
この「損壊」という言葉は、物理的に壊すことのみを意味するかと思われますが、それよりも広く物の効用を喪失させる一切の行為を意味すると考えられています。
過去の判例には食器に放尿するといった、物の使用を心理的に不能にする行為も物の効用を害する行為として「損壊」に当たると判断されています。
報道について説明すると、下着がズタズタに割かれるといった物理的な破壊はありませんが、下着に他人の体液をつけられた被害者の方からすれば、その後下着を綺麗に洗濯をしたとしても、見知らぬ人の体液が付いた下着を今後も使用することはためらわれるでしょうし、そのような下着は処分してしまうのが一般的であると思われます。
そのため、他人の下着に体液をつけて汚損する行為は、下着の使用を心理的に不能にする行為といえ、「損壊」に当たることになるでしょう。
なお、報道には記載されていないので詳細は不明ですが、他人が住むアパートのベランダに立ち入る行為は、刑法130条前段が定める住居侵入罪に当たる可能性が高いといえる行為です。
住居侵入罪の法定刑は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金刑となっています。
【器物損壊罪の疑いで警察から捜査を受けてお困りの方は】
器物損壊罪は、告訴がなければ起訴することができない親告罪とよばれる犯罪です(刑法264条参照)。
告訴とは、犯罪の被害に遭われた方などが、警察官や検察官に対して、犯罪の事実を申告して、犯人の処罰を求める意思の表示のことを言います。
従って、器物損壊罪の事件の場合、検察官が起訴の決定をするまでに告訴を取り下げてもらうことができれば、検察官は起訴をすることはできませんので不起訴となります。
告訴を取り下げてもらうためには、被害者の方と示談を締結することが非常に有効な手段となります。
そのため、告訴を取り下げてもらいたいとお考えの方は、被害者の方との示談交渉を弁護士に依頼されることをお勧めします。
「示談」とひとことで言っても、どういった方法で示談交渉を進めるか、どのような内容の示談書を交わすのかといったことについては、事件によって異なってきます。
被害者の方との示談交渉をお考えの方は、様々な事件について示談交渉を経験してきた経験豊富な弁護士をお探しになるのが良いでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
他人の下着に体液をつけたことにより器物損壊罪の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。