【報道解説】車で女子中学生を連れ回してわいせつ行為で逮捕

2022-06-29

【報道解説】車で女子中学生を連れ回してわいせつ行為で逮捕

女子中学生に声をかけ、車で連れ回した上でわいせつ行為をして逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「女子中学生を車で連れ回しわいせつな行為をしたとして、群馬県の介護福祉士の男が逮捕されました。
警察によりますと、逮捕されたAは今年3月、群馬県内の公立体育館の敷地内で、女子中学生に声をかけて乗用車に乗せて連れ去り、公園の駐車場で抱き締めるなどの暴行を加え、わいせつな行為をした疑いがもたれています。
Aは、夕方ひとりで散歩していた女子中学生にアニメの話などを持ちかけて声をかけ、『寒いから車に乗ろう』などと誘い、犯行に及んだということです。
調べに対し、Aは容疑を一部否認しているということです。」
(令和4年5月25日の日テレNEWSより一部匿名にして引用)

【わいせつ目的誘拐罪とは】

報道では、女子中学生に声を掛けて乗用車に乗せて連れ去り、その後わいせつな行為をしたとありますが、このような行為はどのような罪に問われる可能性があるのでしょうか。
まず考えられるのは、「わいせつ目的」で人を「誘拐」した場合に成立する、わいせつ目的誘拐罪(刑法225条)です。

わいせつ目的誘拐罪が成立するためには、「わいせつ目的」で人を誘拐する必要があります。
わいせつ目的」とは、誘拐した人が誘拐された人に対してわいせつ行為をする目的や、誘拐された人にわいせつ行為をさせる目的を言います。
報道では、Aさんが「わいせつ目的」で女子中学生を誘拐したかについての記載がありませんが、結果としてAさんが実際に女子中学生にわいせつ行為をしたことから、「わいせつ目的」があったと判断されたのだと考えられます。

わいせつ目的誘拐罪の「誘拐」とは、偽計・誘惑といった手段により他人に誤った判断をさせて他人を現在の生活環境から自身又は第三者の支配下に置く行為をいいます。
報道では、女子中学生に対して、アニメの話などで声をかけて「寒いから車に乗ろう」などの誘い文句を用いて自身の支配下である車に乗せた疑いがあるとのことですので、「誘拐」にあたることになるでしょう。

従って、Aさんにはわいせつ目的誘拐罪が成立する可能性があります。
わいせつ目的誘拐罪の法定刑は、1年以上10年以下の懲役刑となっています。

なお、被害者は女子中学生と未成年者ですが、わいせつ目的などがあれば本条で処罰され、別に未成年者略取誘拐罪(刑法224条)では処罰されません。

【強制わいせつ罪とは】

被疑者の方の意思に反してわいせつ行為を行うのに必要な程度の暴行を加えてわいせつ行為をした場合には、強制わいせつ罪(刑法176条)が成立します。

報道では、女子中学生に対して抱き締めるなどの暴行を加え、わいせつな行為をした疑いがあるとの記載があります。
抱きしめるという行為は、被疑者の方の意思に反してわいせつ行為を行うのに必要な、反抗を著しく困難にする程度の暴行に当たると考えられますので、そのような暴行を加えた上でわいせつ行為をしたという事実が認められれば、Aさんには強制わいせつ罪も成立する可能性があります。

強制わいせつ罪の法定刑は、6ヶ月以上10年以下の懲役刑となっています。

【わいせつ目的誘拐罪と強制わいせつ罪の関係】

わいせつ目的誘拐罪強制わいせつ罪が成立した場合、わいせつ目的誘拐罪は、強制わいせつ罪を行うための手段であると考えることができますので、両罪は刑法54条1項後段が定める牽連犯の関係になります。
わいせつ目的誘拐罪強制わいせつ罪が牽連犯の関係になると、両者のうち重い方の刑によって処罰されることになります。

わいせつ目的誘拐罪の法定刑は1年以上10年以下の懲役刑であるのに対して、強制わいせつ罪の法定刑は6ヶ月以上10年以下の懲役刑となっています。
両罪の法定刑を比較すると、刑の上限はいずれも懲役10年と同じですが、刑の下限が懲役1年である点でわいせつ目的誘拐罪の法定刑の方が重いと言えます。
そのため、わいせつ目的誘拐罪強制わいせつ罪の両罪が成立した場合は、わいせつ目的誘拐罪の刑によって処罰されることになるでしょう。

【わいせつ目的誘拐罪・強制わいせつ罪の刑事弁護活動】

わいせつ目的誘拐罪強制わいせつ罪を犯してしまい警察からの捜査を受けてお困りの方は、事件の見通しや今後の事件の流れなどについて弁護士に相談するのが良いでしょう。
本当に罪に問われるのか、罪に問われた場合にどのような刑が科されるのか、今後の対応などについて、弁護士から、専門的な知見に基づいたアドバイスを得ることが期待できます。

また、ご家族の中に、わいせつ目的誘拐罪強制わいせつ罪の疑いで逮捕された方がいて、お困りの方は、弁護士に初回接見を依頼して、弁護士を現在逮捕されているご家族の方の元へと派遣されることをお勧めします。
この初回接見によって、逮捕されたご本人やご依頼頂いたご家族に対しまして、事件の見通しや今後の流れについてアドバイスをさせて頂きます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う事務所です。
わいせつ目的誘拐罪強制わいせつ罪を犯してしまいお困りの方、ご家族の中に逮捕された方がいてお困りの方は、一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで御相談下さい。