【報道解説】18歳の少年が強制性交等罪で起訴

2022-07-21

【報道解説】18歳の少年が強制性交等罪で起訴

18歳の少年強制性交等罪起訴された場合の法的責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「友人の少女を脅迫して乱暴したとして、高知県いの町に住む漁師の男(18)が、家庭裁判所が刑事処分が相当として検察官送致する『逆送』の決定を受け、強制性交罪で高知地検に起訴されていたことがわかった。
4月施行の改正少年法は、事件を起こした18、19歳を『特定少年』と位置付け。
この年齢の逆送対象は原則、殺人などの『故意に人を死亡させた事件』から、強盗強制性交などの『死刑、無期または1年以上の懲役・禁錮の犯罪』に拡大された。
起訴後は実名報道も可能としている。
起訴状では、男は4月14日未明、土佐市内の漁港に停車中の車内で当時10歳代の少女を『殺すぞ』『動け』などと言って脅迫
頭を手でつかみ乱暴したとされる。
(令和4年7月12日に読売新聞オンラインで配信された報道より引用)

【18歳の少年が事件を起してしまうと…?】

今年の4月1日から民法が改正されて成人年齢が20歳から18歳へと引き下げられました。
成人年齢が18歳となったことから、18歳、19歳のときに何かしらの事件を起して警察の捜査の対象になっているという場合は、少年法が適用されずに通常の刑事手続で事件が進められていくと思われている方がいるかもしれませんが、成人年齢が18歳に引き下げられた現在においても、18歳、19歳の少年についてはこれまで通り少年法が適用されます。

そのため、18歳、19歳の少年が事件を起こした場合は、通常の刑事手続とは異なり、警察から検察、検察から家庭裁判所へと事件が送致されることになります。
そして、事件の送致を受けた家庭裁判所審判を行い、少年に対する最終的な処分を決定するというのが少年事件の基本的な流れになります。

【成人年齢引き下げにに伴う少年法改正について】

このように、18歳、19歳の少年については、これまで通り少年法の対象となるのですが、成人年齢が18歳へと引き下げられたことに伴い少年法も一部法律が改正されました。
そのひとつに、18歳、19歳の少年を、少年法において「特定少年」という新たな位カテゴリーに分類して、「逆送」の対象となる事件を拡大したという改正点があります。

逆送」とは、検察から事件の送致を受けた家庭裁判所から、事件を送ってきた検察に事件を送り返す(逆に送致する)ということです。
逆送」がなされると、少年が起こした事件であっても通常の刑事手続によって進められることになりますので、刑事裁判が開かれて有罪となれば刑事罰が科されることになります。

法律上、原則として「逆送」の対象となる事件について、これまでは、犯行時に16歳以上の少年が、殺人罪傷害致死罪といった故意の犯罪行為により被害者を死亡させた場合だけでしたが、これに加えて、犯行時に18歳以上の少年が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯した場合にも原則として「逆送」となることとなりました。
「死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪」に当たる犯罪としては、現住建造物等放火罪強盗罪などがあります。

そして、報道で取り上げられている強制性交等罪の法定刑は5年以上の有期懲役刑となっており、「短期1年以上の懲役刑」にあたることになります。
そのため、18歳以上の特定少年強制性交等罪に当たる行為をしてしまうと、原則として「逆送」の対象になってしまいますので、「逆送」した結果、起訴されて刑事罰が科される可能性があります。

【18歳以上の特定少年が逆送の対象となる事件を起してしまった場合は】

ご家族の中に、原則として逆送の対象となる事件を起した方がいらっしゃる場合、いち早く弁護士にご相談されることをお勧めします。
18歳以上の特定少年殺人罪傷害致死罪現住建造物等放火罪強盗罪強制性交等罪などの犯罪に当たる行為をした場合は、原則として逆送の対象となりますが、例外的に、家庭裁判所の調査の結果、刑事罰を科すことが相当ではないと認められる場合は、逆送を回避することができます。
弁護士付添人に選任することで、弁護士を通じて、家庭裁判所に対して事件を起こした少年には刑事罰ではなく保護が必要であるということを説得するといった、逆送を回避するための措置をとることが可能になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件のみならず、少年事件も専門に取り扱う法律事務所です
18歳以上の特定少年にあたるお子さんが逆送対象事件を起してしまいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。