【報道解説】女性に卑わいな言葉をかけて逮捕
【報道解説】女性に卑わいな言葉をかけて逮捕
コンビニの店員に卑わいな言葉をかけたとして迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「コンビニエンスストアの女性店長に卑猥な言葉をかけた疑いで警察は10月24日、福岡市の中学校教諭・A容疑者を逮捕しました。
調べによりますとA容疑者は去年10月、2度に渡り、福岡市中央区のコンビニエンスストアでコンドームを購入後、『自慰行為をしたいのでトイレ借りてもいいですか』などと告げた疑いがもたれています。
去年12月にも福岡市のドラッグストアで卑猥な言動をした疑いが持たれていて、A容疑者はこれら3件の容疑を認めています。」
(令和4年10月24日にで配信された報道より一部匿名にして引用)
【痴漢や盗撮でなくても罪になる?】
各都道府県では、正確な名称はそれぞれの地域によって異なりますが、いわゆる迷惑行為防止条例という条例を規定しています。
毎日のニュースで報道されている痴漢や盗撮といった行為については、各都道府県が定める迷惑行為防止条例が罰則をもって禁止していますが、迷惑行為防止条例の中には、痴漢や盗撮行為以外にも、「卑わいな言動」を行った場合の罰則が定められています。
例えば、福岡県迷惑行為防止条例6条1項2号では、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で「卑わいな言動」をすることを禁止しています。
卑わいな「言動」とありますので、下品でみだらな「言葉」を公共の場所や乗物において発してしまうと、卑わいな言動として、福岡県迷惑行為防止条例6条1項2号違反になる可能性があります。
どのような言葉を発すると卑わいな言動に当たってしまうのかということについては、具体的な状況次第によるところもありますが、例えば、通行中の女性にナンパ目的で「エッチしようよ」と声をかける行為は卑わいな言動に当たると考えられます。
今回取り上げた報道では、逮捕された男性は、コンビニの女性店長に対して「自慰行為をしたいのでトイレ借りてもいいですか」と申し向けたとのことです。
おそらく、「自慰行為をしたい」という部分の発言が、「卑わいな言動」に当たると警察が判断したために、福岡県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されたのだと考えられます。
なお、仮に卑わいな言動をしたとして起訴されて有罪となってしまうと、福岡県迷惑行為防止条例11条1項によって、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
また、常習として卑わいな言動をしていた場合には、福岡県迷惑行為防止条例12条1項により、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられる可能性もあります。
【迷惑行為防止条例違反の前科を付けたくない方は】
逮捕された男性は中学校の教師との報道がなされていますが、仮に公立の中学校の正規の教師ということであれば、その身分は地方公務員ということになります。
地方公務員の身分を有する人が刑事事件を起こし、有罪となって禁錮以上の刑が科せられてしまうと、執行猶予が付いたとしても、地方公務員の身分を失うことになります(地方公務員法28条4項、同法16条1号)。
そのため、地方公務員の身分を有する方が刑事事件を起こしてしまった場合は、弁護士に事件について相談されることをお勧めします。
今回取り上げた報道のように、卑わいな言動によって迷惑行為防止条例違反の疑いで警察の捜査を受けられているという場合には、弁護士を通して被害者の方と示談を締結することができれば、起訴されることを回避することも可能になるかもしれません。
起訴されないということは、裁判が開かれないということですから、前科が付くこともありませんので、地方公務員の身分への影響を最小限に抑えることができると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
迷惑行為防止条例違反で前科が付くことを回避したいとお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。