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【事例解説】盗撮事件で自首・出頭を検討(前編)

2025-04-20

今回は、盗撮事件を起こし、自首をするメリット及びデメリットにつき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

盗撮

事例

Aさんは職場の女子更衣室に用意した小型カメラをしかけ、着替えをする女性職員を盗撮しようと考えました。
小型カメラを購入し、職場の女子更衣室に入り、見つかりにくい場所に小型カメラを設置しました。
後日、カメラを回収するために再度女子更衣室に入ったところ、カメラがなくなっていることに気付き、自身の犯行が誰かに発覚してしまったことを悟り、不安に感じています。
Aさんは、今後の対応について、刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

Aさんに成立する犯罪

性的姿態等撮影罪について

以前は、各都道府県の迷惑行為防止条例違反として処罰されていた盗撮行為ですが、令和5年に施行された「性的姿態等撮影罪」(同法2条1項)により、全国で統一的に処罰されることになりました。
性的姿態等撮影罪の正式名称は、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」と言い、同法律の第2条1項に定められています。
法定刑は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金となっています。
「性的姿態等」の対象は
人の性的な部位
(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部)
人が身に着けている下着
(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)
のうち現に性的な部位を覆っている部分と規定されています。

建造物侵入罪(刑法第130条前段)について

盗撮目的で会社の社屋や女子更衣室に立ち入った行為により成立する可能性が高いと思われます。

迷惑防止条例違反及び軽犯罪法違反について

各都道府県の定める迷惑防止条例違反の罪
若しくは
軽犯罪法違反の罪(軽犯罪法第1条23号)
盗撮カメラを女子更衣室に設置するなどした行為により成立する可能性が高いと思われます。
迷惑防止条例は、「公共の場所」や、「公共の乗物」における盗撮行為を規制していることが多いですが、近年、そのような場所以外における盗撮行為をも規制する条例を制定する自治体が増えています。
反対に、そのような規定がない場合には、迷惑防止条例違反ではなく、軽犯罪法違反の嫌疑をかけられることになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
盗撮事件を起こしてしまい、自首・出頭を検討されている方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例解説】自身の養子と性交し、監護者性交等罪で逮捕(後編)

2025-04-13

自身の養子と性交し、監護者性交等罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
この後編では、被害者の供述等の証拠について争われた例を解説します。

事例

Aは、自身と同居している養女のV(16歳)と、今年の4月~5月ごろにかけて複数回性交をしました。
Vが母親に被害を告白したことをきっかけに、Vは児童相談所に保護され、Aは逮捕されました。
(フィクションです)

自身の養子と性交し、監護者性交等罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
この後編では、被害者の供述等の証拠について争われた例を解説します。

実行行為の存否について

今回の事例では、第三者による犯行の目撃等がなく、さらにAが性交の事実を否定しているとします。そのような場合は、被害者の供述や、客観証拠などによって犯罪の実行行為があったことを認定することになります。

ここで、被害者の供述の信用性などが争われた判例(福岡高判令和3・10・29)を紹介しながら、被害者の供述の信用性の判断のポイントを解説します。

なお、この判例の事案は、今回の事例に近いものですが、被害者(以下Vとする)が14歳であったことと、被害者が軽度知的障害段階(IQ77,精神年齢11歳4か月)であったことが今回の事例とは異なっています。

この判例では、被害者の供述の信用性を判断するうえで、

被害者の供述は客観的証拠によって裏付けられているか否か
被害者の供述に具体性・迫真性があるか否か
被害者の供述に不自然・不合理な点があるか否か
被害者に虚偽供述の動機があるか否か

が審理されました。

①まずVの供述を被害者の外陰部の損傷という客観的証拠によって裏付けることができるかどうかが争われました。

1審では、損傷は性交によらなくても起こり得ること、損傷の状態から挿入された物を同定することはむずかしいこと、もとより、Vの身体の損傷からそれを生じさせた者を推認することはできない、などの理由でVの供述が客観的証拠によって裏付けられているとは言えず、信用性を備えていないと結論付けました

 これに対し、控訴審では、性暴力や虐待事案に関する生体鑑定の法医学の専門的知見をもつ医師の供述から、むしろ損傷はVの供述を裏付ける客観証拠と認められる可能性が高いとしました。

②次に、Vの供述が実際に体験しなければ供述できないほどの具体性・迫真性があるかどうかについては、未成年であることや軽度知的障害であることを考慮すると、具体性・迫真性に欠けるからといって直ちに架空の被害を創作した合理的疑いが生じると推認するのは適当ではない、としたうえで、Vの供述のほぼすべてが検察官の誘導尋問によって引き出されたものであるともいえない、としました。

③さらに、1審では、AやVと同居している他の家族が、犯行に一切気付かなかったというのは不自然・不合理である、としましたが、控訴審では、VはAを恐れて抵抗せず、起きていることがAにばれないようにしていたと供述していることや、Aにおいても発覚を防ぐため細心の注意を払っていたとみるのが自然であり、他の家族が気付かなかったとしても不自然・不合理であるとはいえないとしました。

④最後に、虚偽供述の動機があるか、については、VがAに悪感情を抱いていたことから、ストレス源であるAを悪者にしようと考え虚偽の供述をしたという可能性について、それなりに合理性があるというのが1審の判断でした。
しかし、控訴審ではVの被害申告の経緯には特に作為的なものがうかがわれず、むしろ慎重で真摯なものであったとみる余地が十分にあるとして、さらに審理を尽くすべきとしました。

この事案では、最終的にVの供述の信用性が認められ、Aは懲役7年の実刑となりました。

(参考図書:『裁判例に学ぶ刑法各論Ⅰ 個人的法益編』)

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が警察に逮捕されてしまった方や、ご心配なことがある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。
逮捕され身柄が拘束されている場合には、最短当日に弁護士を警察署まで派遣する「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。
まずは、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。

【事例解説】自身の養子と性交し、監護者性交等罪で逮捕(前編)

2025-04-06

自身の養子と性交し、監護者性交等罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
この前編では監護者性交等罪の成立要件や罰則などについて解説します。

事例

Aは、自身と同居している養女のV(16歳)と、今年の4月~5月ごろにかけて複数回性交をしました。
Vが母親に被害を告白したことをきっかけに、Vは児童相談所に保護され、Aは逮捕されました。(フィクションです)

監護者性交等罪について

刑法179条2項(監護者性交等罪)は、18歳未満の者に対し、「その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等を」する行為を罰しています。

第百七十九条
(省略)
2十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条第一項の例による。

監護者性交等罪は2017年に新設された犯罪で、罰則は5年以上の有期拘禁刑です。
それまでは同種の事案では、青少年保護条例や児童福祉法が適用されることが多かったのですが、それらに比べて罪が重くなっています。
罰金刑もないため、起訴されると、公開での裁判が開かれることになります。

監護者性交等罪の成立要件について

監護者性交等罪の構成要件は以下の4つです。

監護者であること
相手が18歳未満の者であること
監護者であることによる影響力に乗じたこと
性交等を行ったこと

監護者とは、親などのように、生活全般にわたって保護する者のことです。
 同居の有無や、身の回りの世話をしているかどうか、生活費の支出をしているかどうかなどの事情から、監護者かどうかが判断されます。そのため、親権者であっても「監護者」にはあたらない場合もありますし、反対に、親権者ではなくても「監護者」にあたる場合もあります。
 たとえば、親から子供を預かって実際に養育している親類や、同居している親の交際相手などは監護者に該当する可能性があります。
 一方、学校や塾の教師、習い事のコーチ、バイト先の教育係などは、子供の生活全般にわたって世話をしているとまでは言えないため、基本的に監護者にはあたらないでしょう。

③「監護者であることの影響力に乗じ」とは、生活を保護することによって生じている影響力を利用することをいいます。
 衣食住など生活全般について、被害者が自己に一定程度依存している関係にあることを認識しながらわいせつな行為に誘導する場合などが該当するでしょう。

④「性交等」とは、

性交:陰茎を膣内に挿入する行為
肛門性交:陰茎を肛門に挿入する行為
口腔性交:陰茎を口腔内に挿入する行為

のことを意味します。

今回の事例で、Aは、自己と同居しているVの養親でありながら、Vと性交をしており、監護者であることの影響力がないとされるような特段の事情がない限り、監護者性交等罪が成立する可能性があります

後編では、被害者の供述などの証拠の信用性の判断について、それが争われた判例を紹介しながら解説します。

弁護活動

監護者性交等罪は懲役刑のみで罰金刑はありませんので、起訴されることはすなわち公開裁判が開かれることを意味します。また、有罪になれば、執行猶予付き判決を得ない限り刑務所に収監されます。

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【事例解説】デリヘルでサービスの様子を無断でライブ配信(後編)

2025-03-29

デリヘルでサービスを受けている様子を無断でライブ配信したとして、性的姿態等送信罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

盗撮

事例

Aさんは、デリヘルを利用してサービスを受けている様子を、設置したカメラでライブ配信していました。 
被害者が、カメラが設置されていることに気付き店のスタッフを呼びました
店のスタッフに問い詰められたAさんは、ライブ配信していたことを認めたため、警察を呼ばれる事態になりました。 
Aさんは臨場した警察官に警察署まで連れていかれて、そのまま逮捕されるに至りました
警察からAさんを逮捕した旨連絡を受けた、Aさんの両親は、事件の詳細を知るために弁護士に初回接見を依頼しました
(フィクションです。)

性的姿態等送信罪の前科が付くことを回避するには

性的姿態等送信罪前科を付けたくないとお考えの方は、まずはいち早く弁護士に盗撮事件について相談して、事件の見通しや今後の対応といったことについてアドバイスを貰われることをお勧めします。
今回の事例において、まずは、早期の身体解放を目指します。具体的には、逮捕後に勾留手続に進まないよう、逮捕後直ちに、弁護士が逮捕された者と面会して直接事件の内容を聴取することで、今後の事件の見通しを示し、取調べへの対応を検討します。
逮捕は、最長72時間の時間制限があり、その後に検察官が行う勾留請求によって裁判所が勾留決定を出せば、10日間から20日間も身体拘束が続くことになるため、もしも拘束された場合には日常生活に大きな支障が出る可能性が高いです。そこでこれを阻止するために、弁護士は、検察官や裁判官と交渉し、逮捕後の勾留を阻止するための主張を行う、勾留決定に対して準抗告を行うなど、釈放に向けた働きかけを行います。
また、盗撮事件を起こしてしまった場合、被害者方との示談交渉を行い、示談を締結することが、最終的な処分の軽減を図る上で重要になります。
示談交渉に際しては、被害者方と盗撮事件を起こした本人の当事者間で直接に示談交渉を行うことも不可能ではありません。
しかし、被害者方からすれば、直接盗撮事件の犯人と交渉を行うのは避けたいと思うのが通常であると考えられます。また、充分な法的知識を持たない当事者同士による示談の場合、示談の条件等に不備がある場合も少なくなく、示談締結後になって再度トラブルが発生するといったことも想定されます。
そのため、性的姿態等撮影罪の前科がつくことを避けるために被害者の方との示談をしたいと考えている方は、法律の専門家である弁護士に示談交渉を依頼し示談を締結されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が性的姿態等送信罪で逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例解説】デリヘルでサービスの様子を無断でライブ配信(前編)

2025-03-21

デリヘルでサービスを受けている様子を無断でライブ配信したとして、性的姿態等送信罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

盗撮

事例

Aさんは、デリヘルを利用してサービスを受けている様子を、設置したカメラでライブ配信していました。 
被害者が、カメラが設置されていることに気付き店のスタッフを呼びました
店のスタッフに問い詰められたAさんは、ライブ配信していたことを認めたため、警察を呼ばれる事態になりました。 
Aさんは臨場した警察官に警察署まで連れていかれて、そのまま逮捕されるに至りました
警察からAさんを逮捕した旨連絡を受けた、Aさんの両親は、事件の詳細を知るために弁護士に初回接見を依頼しました
(フィクションです。)

性的姿態等送信罪について

ライブストリーミングなどで不特定、多数人に被害者の性的姿態を送信した場合、性的姿態等送信罪が成立します。
性的姿態等送信罪は、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」の5条に定められています。

第五条 不特定又は多数の者に対し次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 正当な理由がないのに、送信されることの情を知らない者の対象性的姿態等の影像(性的影像記録に係るものを除く。次号及び第三号において同じ。)の影像送信(電気通信回線を通じて、影像を送ることをいう。以下同じ。)をする行為
二 刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等の影像の影像送信をする行為
三 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは不特定若しくは多数の者に送信されないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等の影像の影像送信をする行為
四 正当な理由がないのに、十三歳未満の者の性的姿態等の影像(性的影像記録に係るものを除く。以下この号において同じ。)の影像送信をし、又は十三歳以上十六歳未満の者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者が、当該十三歳以上十六歳未満の者の性的姿態等の影像の影像送信をする行為

2 情を知って、不特定又は多数の者に対し、前項各号のいずれかに掲げる行為により影像送信をされた影像の影像送信をした者も、同項と同様とする。

3 前二項の規定は、刑法第百七十六条及び第百七十九条第一項の規定の適用を妨げない。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が性的姿態等送信罪で逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

痴漢事件を起こし、被害者によって逮捕(後編)

2025-03-13

前回に引く続き、被害者自身によって痴漢事件の被疑者が逮捕された場合の刑事手続につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事例

Aさんは、名古屋市内を走る電車内において、乗客であるVさんの臀部を着衣越しに触る行為を行いました。
Vさんは、Aさんの犯行に気付き、自らAさんの腕を掴んで「痴漢しましたよね。次の駅で降りましょう。」と告げました。
Aさんは、駅員室や警察で少し怒られるくらいで済むと思い、Vさんのいう通りにしていたところ、駆け付けた警察官に「あなたはVさんによって逮捕されているから、しばらくは帰れないものと思っておいてほしい。」と告げられました。
Aさんは、まさか私人逮捕されているとは思っていませんでしたが、民間人であるVさんが自身を適法に逮捕し得るのかと疑問に感じています。
(事例はフィクションです。)

逮捕後の手続

検察官、検察事務官及び司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければなりません。
刑事訴訟法第214条)。
逮捕行為を行ったVさんがAさんを取り調べたり、どこかに留置することはできません。
仮にこのような行為をVさんが行った場合、Vさんが監禁罪に問われる可能性があります。
(東京高等裁判所昭和55年10月7日判決)
事例の場合は、駆け付けた警察官にAさんを引き渡したものと考えられるので、やはりこの点においても刑事手続は適法でしょう。

また、検察官、検察事務官又は司法警察職員が現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは、令状なく、
人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入り被疑者の捜索をすること
逮捕の現場で差押、捜索又は検証
をすることができます。
しかし、現行犯人を逮捕した私人は上記の処分を行うことができません
(刑事訴訟法第220条第1項1号~2号、第3項)

警察署に引致された後の弁護活動

Vさんによって逮捕されてしまった以上留置場に入らなければならない可能性は十分ありえると思われます。
反対に、留置の必要が認められなければ、直ちに釈放されることなります。
(刑事訴訟法第203条、216条)
身体拘束がなされた状態で事件解決を目指すよりも、釈放された状態でこれを目指す方が良いのは当然だと言えるでしょう。

事例のAさんが今回の痴漢行為が初犯で、AさんとVさんとの生活圏が相当程度離れており、信頼できる身元引受人を用意することができれば、比較的早期の釈放を実現することができるかもしれません。
まずは、早期に弁護士を依頼し、事件解決に向けたアドバイスを受けるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が痴漢の疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

痴漢事件を起こし、被害者によって逮捕(前編)

2025-03-05

今回は、被害者自身によって痴漢事件の被疑者が逮捕された場合の刑事手続につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事例

Aさんは、名古屋市内を走る電車内において、乗客であるVさんの臀部を着衣越しに触る行為を行いました。
Vさんは、Aさんの犯行に気付き、自らAさんの腕を掴んで「痴漢しましたよね。次の駅で降りましょう。」と告げました。
Aさんは、駅員室や警察で少し怒られるくらいで済むと思い、Vさんのいう通りにしていたところ、駆け付けた警察官に「あなたはVさんによって逮捕されているから、しばらくは帰れないものと思っておいてほしい。」と告げられました。
Aさんは、まさか私人逮捕されているとは思っていませんでしたが、民間人であるVさんが自身を適法に逮捕し得るのかと疑問に感じています。
(事例はフィクションです。)

現行犯逮捕について

現行犯逮捕は、民間人でも行うことができます
現行犯逮捕とは、「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる」とされています。
現行犯人」とは、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終った者」のことをいいます。
刑事訴訟法第212条1項)。

Aさんの行為は、迷惑防止条例違反行為又は不同意わいせつ罪に該当する可能性が高いでしょう。
そして、Vさんの臀部に触れている時、または、触れた直後のAさんは「現に罪を行い、又は現に罪を行い終った者」に該当することになると考えられます。

Vさんは、自身が痴漢被害を受け、現行犯人であるAさんの腕を掴むなどして、これを現行犯逮捕したものということができるでしょう。

愛知県の迷惑防止条例違反の場合、法定刑は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」、常習のときの法定刑は「2年以下の懲役又は200万円以下の罰金」等と定められています。
一方、不同意わいせつ罪(旧 強制わいせつ罪)の場合、「6月以上10年以下の懲役」と定められ、罰金刑は規定されていません

刑事事件は、スピードが大切です。

事件を否認している場合でも弁護士を介して被疑者に有利な証拠を保全することや、罪を認めている場合には早期に被害者と示談を成立させることで、起訴されることなく事件を解決することができる可能性があります。
そのためには、早期に刑事事件を専門に取り扱う弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所法律事務所では、刑事事件を専門に取り扱う弁護士が、無料相談、初回接見に出向きます。
痴漢事件を早期に解決したい方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所法律事務所(0120-631-881)にお電話ください。

【事例解説】酒酔い状態で痴漢した疑いで逮捕

2025-02-26

酒酔い状態で痴漢した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】

愛知県内の会社に勤めるAさんは、会社の忘年会帰りの電車にて、隣に座っていた女性Vさんの太ももなどを触りました
そうしたところ、Vさんが車掌に被害を訴えたため、Aさんは停車駅で取り押さえられ車掌の通報によって駆け付けた警察によって逮捕されることになりました。
翌日、帰りの遅いAさんを心配したAさんの妻が警察に相談したところ、警察から「詳細は言えないが、Aさんは逮捕されています」と伝えられたため、Aさんの妻は、弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです)

【痴漢をした場合は何罪に?】

忘年会・新年会シーズンを迎え、外で飲酒する機会が増える方も多いと思います。ですが、お酒を飲みすぎた状態で理性を失い痴漢行為をしてしまうと、刑事事件に発展し前科が付いてしまう可能性もあり、一度の過ちで人生を棒に振かねないため、注意が必要です。

今回の事例のような電車内での痴漢行為については2023年の刑法改正により新設された不同意わいせつ罪に問われる可能性が高いです。
不同意わいせつ罪とは、刑法176条に定められており、同176条所定の事由により、「同意しない意思を形成、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした」という犯罪です。また、その刑罰として「六月以上十年以下の拘禁刑」が定められています。
この罪は、これまでの強制わいせつ罪で処罰対象となっていた暴行や脅迫を用いたわいせつ行為だけでなく、被害者が行為に同意していない状況でのわいせつ行為も処罰対象としています。痴漢行為はまさしく被害者が行為に同意していない状況でのわいせつ行為の典型といえるため、今回の事例でも事件化した場合、不同意わいせつ罪で捜査が進む可能性が高いでしょう。

【痴漢で前科が付くことを回避するには】

今回の事例では、弁護士が初回接見に行っています。
この初回接見では、具体的には、弁護士が取り調べについてのアドバイスを行います
逮捕中には、捜査機関から取り調べをうけ、その内容が供述調書というかたちでまとめられ、それが裁判の証拠となります。
もしも自身に不利な供述調書が作成された場合、裁判で覆すことは非常に困難といえます。それゆえにそのような供述調書が作成されないように、取り調べに対してどのように対応するかを考えておく必要があります。
もっとも、どのような供述をすればよいかの判断を、法律の専門家でない方が行うことは非常に困難であるため、初回接見を利用することで弁護士からアドバイスをもらうことが得策です。
また、初回接見後に正式に弁護人として選任された場合、まずは早期の身体解放を目指します。逮捕は、最長72時間の時間制限があり、その後に検察官が行う勾留請求によって裁判所が勾留決定を出せば、10日間から20日間も身体拘束が続くことになるため、もしも拘束された場合には日常生活に大きな支障が出る可能性が高いです。そこで、これを阻止するために、弁護士は、検察官や裁判官と交渉し、逮捕後の勾留を阻止するための主張を行う、勾留決定に対して準抗告を行うなど、釈放に向けた働きかけを行います。
また、その後は、被害者との間での示談交渉を行い、宥恕条項つきの示談締結を目指します
早期に被害者との示談を成立することができれば、検察官による不起訴処分や裁判を経ても執行猶予判決を受ける可能性を高めうるといえます。
また、起訴され正式裁判となった場合であっても、被害者の方との示談が成立した場合はその事実を裁判所に主張し、これに加えて、被害弁償が済んでいること等を主張して、執行猶予判決の獲得を目指し、職を追われるリスクを少しでも軽減できるように努めます
刑事処分の軽減のためには、迅速かつ適切な弁護活動が不可欠ですので、お困りの場合は速やかに刑事事件に強い弁護士にご相談ください

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が警察に逮捕されてしまった方や、ご心配なことがある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。
逮捕され身柄が拘束されている場合には、最短当日に弁護士を警察署まで派遣する「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。
まずは、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。

 

【事例解説】養子にわいせつ行為をしてしまったら?

2025-02-17

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が、養子にわいせつ行為をしてしまった事例について解説します。

事例

Aは16歳の養子Vの養父です。これまで10年間以上同居し、寝食の世話をしてきました
ある日、大学受験のために塾に通わせてほしいというVに対し、Aは「胸を触らせてくれたらいいよ」などと持ち掛け、裸にさせたVの性器や胸を触りました
(フィクションです)

監護者わいせつについて

刑法には監護者わいせつ罪という犯罪があります。

第179条 18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、6か月以上10年以下の懲役に処す

・「そのものを現に監護する者」とは、親などのように、生活全般にわたって保護する者のことです。
同居の有無や、身の回りの世話をしているかどうか、生活費の支出をしているかどうかなどの事情から、監護者かどうかが判断されます。そのため、親権者であっても「監護者」にはあたらない場合もありますし反対に、親権者ではなくても監護者」にあたる場合もあります。
たとえば、親から子供を預かって実際に養育している親類や、同居している親の交際相手などは監護者に該当する可能性があります。
一方、学校や塾の教師、習い事のコーチ、バイト先の教育係などは、子供の生活全般にわたって世話をしているとまでは言えないため、基本的に監護者にはあたらないでしょう。

・「監護者であることの影響力に乗じ」とは、生活を保護することによって生じている影響力を利用することをいいます。
衣食住など生活全般について、被害者が自己に一定程度依存している関係にあることを認識しながらわいせつな行為に誘導する場合などが該当するでしょう。

・「わいせつな行為」とは、たとえば、被害者の胸や性器を触ったり、自己の陰茎を被害者の性器に押し当てるなどの行為がわいせつな行為にあたります
さらに、性器を触るにとどめず、指や陰茎を膣の中に入れたりすれば、不同意性交等罪が成立する可能性があります

また、監護者性交等罪が成立しない場合でも、青少年保護条例や児童福祉法の淫行罪に成立することがあり得ます。

弁護活動

監護者わいせつ罪は懲役刑のみで罰金刑はありませんので、起訴されることはすなわち公開裁判が開かれることを意味します。
また、有罪になれば、執行猶予付き判決を得ない限り刑務所に収監されます

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
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【事例解説】SNSを利用して、わいせつ目的で未成年を誘拐

2025-02-10

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が、わいせつ目的で未成年が誘拐された事例について解説します。

女子高校生

事例

Aは、SNSのアプリで、16歳の高校生だというVが「家出したい」と投稿しているのを見かけました
そこで、Aは、わいせつな行為をする目的で、Vを誘拐しようと考え、「~県だけど来る?」「交通費も出すし、車で迎えに行ってもいいよ」などと言って誘惑、駅前で合流したあと、4時間後に自宅に連れ込みました
その後は3日間ほど寝泊まりさせました
(フィクションです)

わいせつ目的誘拐罪について

刑法には、わいせつ目的誘拐罪という犯罪が定められています。

(営利目的等略取及び誘拐)

第二百二十五条  営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の懲役に処する

わいせつ目的誘拐罪が成立するためには、

わいせつの目的を有すること

わいせつ目的で、他人を誘拐すること

が必要です。

わいせつ目的」とは、不同意性交や不同意わいせつなどの性的行為をする目的のことです。第三者にわいせつ行為をさせる目的あるいは被誘拐者にわいせつ行為をさせる目的も含まれるため、例えば売春をさせる目的も、わいせつ目的に当たります。

誘拐」とは、欺罔・誘惑を手段として、他人をその生活環境から離脱させ自己または第三者の事実的支配下に置くことです。

本件では、Aは初めからわいせつな行為をする目的がありました

そして、家出願望のある少女に対して「車で迎えに行ってあげる」などと誘惑し、自己の支配下である自宅に連れて帰っています。

被害者は、一般的に社会経験や所持金などが乏しい16歳の高校生であり、加えて家出願望もあったことから、本件のような程度の誘惑でも家出を決意させるものとして十分と判断される可能性が高いでしょう。

また、もし仮に被害者の同意があったと認識していたとしても、保護者の監護権や親権も保護法益として考慮する必要があることから、違法性がないとは言えません。相手の同意があるから違法ではないと思った、という言い逃れは認められない可能性が高いでしょう。

したがって、Aが、わいせつ目的を有したうえで、誘惑を手段とし、Vを遠方の自宅に連れ帰った時点で、わいせつ目的誘拐罪が成立する可能性が高いでしょう。

なお、刑法では未成年誘拐罪も定められていますが、わいせつな目的がある場合は、より罪の重いこちらの犯罪が成立することになります。

また、誘拐に加えて、たとえばわいせつな行為や性交をすると、不同意わいせつ罪や不同意性交罪も成立し得ます

そのほか、たとえば、裸体や性行為時の姿を撮影し、その写真をインターネットで不特定多数の者が見える形でアップロードをするなどすれば、リベンジポルノ防止法3条にも違反します。こちらの法定刑は三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金です。

 

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所がわいせつ目的で未成年が誘拐された事例について解説致しました。

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