【事例解説】未成年者と交際 淫行条例違反で取調べ(真剣な交際関係だったと主張する架空の事例に基づく解説)

2023-11-30

 

 この記事では、福岡県青少年健全育成条例違反(淫行)の架空の事例を基に、いわゆる淫行条例違反とその弁護活動について解説します。

事例紹介:従業員の未成年者と性行為を行った事件

 福岡市の飲食店店長の男性Aさん(27歳)は、アルバイト従業員の女子高校生Vさん(17歳)と交際関係になり、同市内のAさんの自宅やホテルで性行為を複数回行いました。
 事実を知って憤慨したVさんの両親から警察に通報があり、Aさんは福岡県青少年健全育成条例違反(淫行)の容疑で警察の呼び出しを受け、取調べを受けることとなりました。
(事例はフィクションです。)

福岡県青少年健全育成条例違反(淫行)とは

 福岡県青少年健全育成条例第31条は、青少年(18歳未満の者)に対し、淫行又はわいせつな行為をしてはならない、と定めています。

 判例によると、「淫行」とは、(ア)青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交等、又は(イ)青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交等、と解釈されています。

 福岡県青少年健全育成条例違反(淫行)で有罪となった場合、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

真剣な交際関係であったことの主張

 事例のAさんは、Vさんと真剣な交際関係であったとして、行った性行為は、上記(ア)又は(イ)に該当する性交等ではなく、福岡県青少年健全育成条例違反(淫行)は成立しないと主張することが考えられます。

 本件で、Vさんの両親は交際を認知しておらず、事実を知った後すぐに警察に通報していることは、真剣な交際関係であったかの判断において不利な事情になると考えられます。

 また、過去の裁判例から、当事者の年齢、知り合った際の当事者間の立場の違い、知り合ってから交際するまでの経緯と期間、交際内容、交際してから性行為するまでの期間、性行為してからの交際内容、など様々な要素を勘案して判断されることが予想されます。

淫行条例違反の弁護活動

 真剣な交際関係にあったことを主張して罪の成立を争うことは容易でないと思われるため、被害者との示談を成立させ不起訴処分を目指すことも、現実的な選択肢の一つとなります。

 被害者が未成年者のため、通常、示談交渉は両親等の保護者と行うこととなりますが、本件のように、保護者が子の被害に憤慨するなど感情的になり、被害者本人との示談交渉の場合よりも難航するおそれがあるため、刑事事件に強く、示談交渉の経験の豊富な弁護士への相談をお勧めします。

 示談金の支払いと併せて、子と今後一切接触しないことを誓約することにより、示談書に「刑事処罰を求めない」旨の宥恕条項を入れてもらうことで、不起訴処分を得られる可能性を高めることが期待できます。

淫行条例違反事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、全国各都道府県の淫行条例違反事件において、示談成立による不起訴処分などを獲得している実績があります。

 淫行条例違反で自身やご家族が警察の取調べを受けるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。