【報道解説】わいせつな行為を見せたとして強制わいせつで逮捕
【報道解説】わいせつな行為を見せたとして強制わいせつで逮捕
小学生の女の子にわいせつな行為を見せたことにより強制わいせつの疑いで逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「滋賀県草津市で、学童クラブに勤務する男が、自宅で小学生の女の子にわいせつな行為を見せつけたとして、逮捕されました。
強制わいせつ罪の疑いで逮捕されたのは、草津市内の放課後児童クラブに勤務する放課後児童支援員のA容疑者(35)です。
警察によりますと、A容疑者は今年5月ごろ、自宅で下半身を出し、小学生の女の子に対してわいせつな行為を複数回にわたり見せつけた疑いです。
A容疑者は自宅を子どもたちの遊び場として無償で提供していて、女の子はA容疑者の自宅に定期的に通っていたということです。
今月上旬ごろ、被害にあった女の子と保護者が警察に被害届を出して発覚。
調べに対し、A容疑者は容疑を否認しているということです。
(7月25日に読売テレビで報道されたニュースより一部匿名にして引用)
【身体に触れていなくても強制わいせつ罪になる?】
刑法176条は強制わいせつ罪について規定しています。
その内容は、13歳以上の者に対して暴行・脅迫を用いてわいせつな行為をした場合や、13歳未満の者に対してわいせつな行為をした場合には、強制わいせつ罪が成立するとしています。
このような強制わいせつ罪を犯した疑いで逮捕されたというニュースについては、各種報道で目にする機会が多いでしょうが、その内容は、胸やお尻といった被害者の身体を触ったことによるものが多いかと思います。
そのため、今回取り上げた報道では、被害者の身体に触れていないにもかかわらず強制わいせつ罪の疑いで逮捕されたということで、驚かれた方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、強制わいせつ罪が成立するための「わいせつな行為」とは、「性欲を刺激、興奮又は満足させ、かつ、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為」をいうと考えられていますので、身体的な接触がなくとも「わいせつな行為」に当たる場合が当然あり得ます。
例えば、名古屋地方裁判所平成28年4月25日判決は、エレベーターの中という狭く逃げの場ない空間において、17歳の被害者の面前で、自身の陰茎を露出して自慰行為を行い射精した行為を、被害者の性的羞恥心を害し,その性的自由を侵害するため,「わいせつな行為」に当たると判断して、強制わいせつ罪の成立を認めました。
報道では、Aさんは否認していますが、小学生の女の子の前で自身の陰茎を露出してわいせつな行為をした疑いがあるとのことです。
Aさんに疑いがかかっているわいせつな行為が、どのような行為であるかについては明らかではありませんが、仮に小学生の目の前で自慰行為をしたということであれば、先ほど言及した裁判例もありますので、強制わいせつ罪が成立する可能性が高いと言えるでしょう。
なお、報道では、被害に遭われた方が小学生の女の子ということで、その年齢は13歳未満であると考えられますので、暴行・脅迫を用いなくとも、単にわいせつな行為をすれば、強制わいせつ罪が成立することになります。
【強制わいせつ罪でご不安の方は】
このように強制わいせつ罪は、被害者の身体に触れなくても成立する可能性がある犯罪です。
強制わいせつ罪の法定刑は6か月以上10年以下の懲役刑となっており、罰金刑が定められていませんので、検察官に起訴された場合は略式手続によることができず、必ず公開の裁判が開かれることになります。
このような点で強制わいせつ罪は決して軽い犯罪とは言えませんので、強制わいせつ罪に当たる行為をしてしまった場合はいち早く弁護士に相談して、今後の対応などについてアドバイスを貰われることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
強制わいせつ罪に当たる行為をしてしまいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。