女子高生に児童ポルノを送信させ取り調べ
今回は、児童ポルノを被害児童に送信させてしまった場合に成立する犯罪、及びその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
東京都八王子市に住むAさんは、SNSで知り合った17歳の女子高生Vに対し、裸の写真を送るよう要求し、これに応じたVから、同女の裸の画像を受け取りました。
後日、Aさんの自宅に警察官が現れ、警視庁八王子警察署に出頭を求められました。
出頭後、取り調べを受け、携帯電話などを押収されました。
Aさんはどうなるのでしょうか。(フィクションです)
~Aさんに成立する犯罪~
児童ポルノの単純所持罪が成立することになります。
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第7条1項は、
「自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。」
としています。
※「第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態」
①児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
②他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
③衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
が上記に該当します。
ケースの経緯からは、Aさんに児童ポルノの単純所持罪が成立する可能性が極めて高いと思われます。
児童ポルノの単純所持罪の法定刑は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となっています。
~今後の手続~
Aさんが警察署で取り調べを受けた後、帰宅することができれば、在宅で事件が進行する可能性が高いと思われます。
反対に、取り調べ後に逮捕状が執行されてしまう場合もあります。
Aさんが取り調べで嘘をついたり、余罪が多数疑われる場合は、逮捕される可能性が高くなるでしょう。
在宅で事件が進行する場合は、何度か警察の出頭要請に応じて出頭し、取り調べを受けることになります。
警察での捜査が熟すると、事件が検察に送致されます。
検察での取り調べを受けた後、検察官がAさんを起訴するか、あるいは不起訴にするかを決定します。
捜査機関が他の身柄事件の処理をしている場合、身柄事件には厳格なタイムリミットがある関係で、在宅事件の処理は後回しになりがちです。
そのため、検察官による処分が決まるまで、数か月かかる場合もあります。
~Vと示談をする~
ケースのように被害児童が誰なのか明らかな場合は、被害児童(実際に交渉するのは児童の保護者になります)との示談を目指しましょう。
在宅事件であれば、比較的時間の余裕があるので、充実した示談交渉を行うことができるでしょう。
よい条件で示談が成立すれば、Aさんになされる処分が軽くなる可能性が高まります。
児童ポルノの単純所持につき起訴されてしまう可能性は、残念ながら比較的高いと言わざるを得ないのですが、示談を成立させることにより、不起訴処分を獲得できる可能性を高めることができます。
まずは、弁護士と相談し、被害者との示談交渉についてアドバイスを受けましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
児童ポルノ単純所持事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。