連れ子への監護者性交等罪

2020-02-20

連れ子への監護者性交等罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。

~事例~

東京都墨田区在住のAはB女と同棲し、Bの前夫の子であるV女(14歳)と共に暮らしていた。
Aは、同居している母親の同棲相手としての立場を利用し、V女と性交行為を行うなどしていた。
警視庁向島警察署の警察官に、監護者性交等罪の容疑で逮捕した。
Aの家族は、性犯罪事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)

~監護者性交等罪(監護者わいせつ罪)とは~

本件では、Aは同棲相手Bの娘であるVと性交したことによって、監護者性交等罪逮捕されています。
この点に関して刑法179条は、
・「18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第176条の例(注:6月以上10年以下の懲役に処する)による。」(同条1項)
・「18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第177条の例(注:5年以上の有期懲役に処する)による。」(同条2項)
と、1項において「監護者わいせつ罪」を、2項において「監護者性交等罪」を規定しています。
監護者わいせつ罪」は、監護者としての影響力を利用してわいせつ行為を行うという点で、強制わいせつ罪(刑法176条)に対応しており、「監護者性交等罪」は、同様の影響力を利用して性交等を行うという点で、強制性交等罪(旧強姦罪・刑法177条)に対応しています。

これらは、平成29年(2017年)改正・施行の改正刑法によって、新設された規定です。
これらの規定は、暴行・脅迫や抗拒不能を認定できないことから旧強制わいせつ罪や旧強姦罪などで処罰が難しかった事案に対応するために設けられるに至った規定です。
本罪は、「現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて」、わいせつ行為や性交等をした場合に犯罪の成立を認めることで、上記のような刑法上の立法の隙間を埋めるための処罰規定となっています。
なお、このような監護者としての影響力が認められない場合にも、児童福祉法等の特別刑法や条例違反に当たりうることに注意が必要です。

~改正刑法と弁護士による弁護活動~

まず、刑法犯に関する性犯罪事件については、その多くが親告罪とされていました。
親告罪とは、告訴がなければ公訴を提起(起訴)することができない犯罪をいいます。
その帰結として、被害者が告訴を取り下げれば、検察官は起訴をすることはできません。
その意味でも、弁護士による捜査段階での弁護(起訴前弁護)での示談が極めて重要であったことが分かるでしょう。
しかし、上述のように今般の改正により、親告罪が規定されていた旧180条が削除されることによって非親告罪となり、被害者による告訴は検察官による起訴の条件とはならなくなったのです。

もっとも、本罪や強制性交等罪(旧強姦罪)や強制わいせつ罪といった性犯罪は、被害者からの告訴や被害届から発覚することが少なくない犯罪です。
そして改正後もなお、性犯罪における被害者の処罰感情は、検察官の訴追裁量に与える影響が大きいと考えられます。
このことからも、従前からの性犯罪に対する弁護活動の経験が活かされていくことは間違いなく、性犯罪事件の経験豊富な刑事事件専門の弁護士による捜査段階での弁護活動は重要性を失っていません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、監護者性交等罪を含む刑事事件専門の法律事務所です。
刑事事件専門に扱っていることから、刑事法に関する改正などのフォローアップも迅速に行っており、刑事弁護のエキスパートの弁護士が依頼者様のご相談を承ります。
監護者性交等罪でご家族等が逮捕されてしまった方は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせください。