アイドルに対するストーカー行為

2019-10-29

アイドルに対するストーカー行為

アイドルに対するストーカー事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

兵庫県三田市に在住する無職のAさん(32歳)は、亀岡市を中心に活動している現役高校生アイドルBの大ファンであり、アイドルBが出演するライブやトークショーに欠かさず参加し、Bのファンクラブにも所属していた。
アイドルBは高校2年生のデビュー当時から、清純派アイドルとして売り出しており、ライブやトークショーでもファンたちに対し、「今までに彼氏はいたことがない」と公言していた。
しかし、週刊誌の報道によりアイドルBに長年付き合っている19歳の交際相手がいたことが発覚した。
Aさんは、Bが自分たちファンを裏切ったのだと絶望し、Bに対し復讐してやろうと決意した。
Aさんは、仕事終わりのBのあとをつけて自宅を特定し、BのSNSの投稿からBが通っている高校を特定した。その後Aさんは、Bの自宅や高校周辺でBを待ち伏せしBのあとをつけるといったストーキング行為を繰り返し行い、BのSNS上のコメント欄に「いつもお前を見ている」などの書き込みを頻繁に行った。
Aさんの行為がエスカレートするのを恐れたBが被害を兵庫県三田警察署に相談したところ、警察は、Aさんの行為態様が悪質であると判断しAさんをストーカー規制法違反逮捕した。

~ストーカー規制法~

ストーカー規制法(正式名称は「ストーカー行為等の規制等に関する法律」)は、一定の行為を「つきまとい等」として規制しています。
そして、そのような行為を反復して行うと「ストーカー行為」に該当して罰せられる可能性があります。。

つきまとい等とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨感情を充足する目的で、当該特定の者やその家族など対し、住居や通っている学校などの付近をみだりにうろついたり(法2条1項1号)、その行動を監視していると思わせるような事項を告げたり(同項2号)、拒まれたにもかかわらず、連続した電話をかけたり、メールを送信したりすること(同項5号)などをいいます。

上記の事例のAさんは、アイドルBに長年付き合っている交際相手がいたという週刊誌報道をきっかけとして、Bへの復讐目的でストーキング行為等を行っています。
そのため、Aさんは、アイドルBという特定の者に対する好意の感情が満たされなかったことに対する怨恨感情を充足する目的を有しているといえます。

また、Bの自宅や通っている高校を特定してBを待ち伏せたりBのあとをつけるといった行為は、法2条1項1号の「住居等の見張り」や「つきまとい」行為にあたります。
さらに、同項2号におけるその行動を監視していると思わせるような事項を告げる行為については、口頭や文書だけでなく、電子メール送信といった方法も含むと考えられています。
そのため、AさんがBのSNS上のコメント欄に「いつもお前を見ている」という書き込みを行ったことについても、行動を監視していると思わせるような事項を告げる行為にあたると判断されるおそれがあります。

したがって、AさんのアイドルBに対する一連の行為は「つきまとい等」にあたるといえ、Aさんはこれらの行為を繰り返し行っていることから「ストーカー行為をした者」として、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処せられる可能性があります(法18条)。

このように、現在のストーカー規制法においては、様々な行為が規制の対象となっています。
そのため、犯罪を行っているという自覚のない人であっても、いきなり逮捕されてしまうというケースもあり、刑事事件に精通した弁護士を早期に選任し、適切な弁護活動を行っていくことが重要であるといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,ストーカー規制法等の性犯罪事件の加害者となってしまった方のための無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けています。
まずはフリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。