東京都港区で強制性交等致傷罪

2019-08-30

東京都港区で強制性交等致傷罪

【事件】
Aさんは、かねてより交際を希望していたVさん(当時21歳)と東京都港区内の自宅に2人でいました。
AさんはVさんに交際を申し入れましたが、Vさんは拒否する姿勢を見せました。
それでもなおも強く迫ったものの、Vさんの姿勢は崩れないので,カッとなったAさんはVさんをそのまま押し倒し,Vさんを姦淫しました。
その際、Vさんの抵抗を押さえつけるために手首を強く握ったことから,Vさんは全治5日の怪我を負いました。
Vさんからの通報を受けた警視庁三田警察署の警察官によって,Aさんは強制性交等致傷罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです)

【強制性交等致傷罪】

強制性交等致傷罪(刑法第181条第2項)は,強制性交等罪(刑法第177条)が成立することを前提に,その機会に相手に傷害結果が生じた場合に成立する罪です。
強制性交等致傷罪の法定刑は無期または6年以上の懲役(ただし、死亡した場合も兼ねる)です。

強制性交等罪は平成29年の刑法改正で新設された罪で,以前は強姦罪等があったもののその客体(被害者)が女性に限定されていました。
それに対して、強制性交等罪は①女子だけでなく男子も対象となり,なおかつ②処罰の対象となる行為が姦淫だけに限られない犯罪となりました。
強制性交等罪が成立するための要件をより詳しくみていきましょう。

強制性交等罪は,13歳以上の者に対し,暴行または脅迫を用いて,性交,肛門性交または口腔性交(以下,これらをまとめて「性交等」といいます)をした場合に成立します。
また,暴行や脅迫がなくとも,13歳未満の者に性交等のみを行った場合も強制性交等罪が成立します。
強制性交等罪の法定刑は5年以上の有期懲役(上限20年)となっています。

ここでの暴行・脅迫とは,相手方の反抗を抑圧する程度のものでなければならないとされています。
「反抗を抑圧する」とは,物理的・精神的に反抗できない状態にすることを意味します。
したがって、強制性交等罪の要件である暴行・脅迫は少なくとも被害者の反抗を著しく困難ならしめる程度の強度が必要であるように思われます。
ですが,実際は相手方の意思に反するという事実が認められれば,さほど強度な暴行・脅迫でなくとも相手の反抗を抑圧するものと扱われる傾向が強いです。

ここで,相手に対する強制があった場合で,容易に抵抗できたと考えられるのに現実には抵抗がされなかったという理由で,強制性交等罪が要求する程度の暴行・脅迫がなかったと無罪を言い渡されたり訴追されなかったりするという意見があります。
たしかに、過去にそのような判断が下されたこともありました(最判平成23・7・25判タ1358号79頁など)。
ですが,性犯罪被害者が被害に遭った際に容易には抵抗できない心理状態にあることなど種々の事情から、当該被害者にとって抵抗が困難であると認められた際には,比較的軽微な暴行・脅迫しかなかったとしても反抗を抑圧する程度のものであったと認められるケースも少なからず見られます。
特に、性被害に対する昨今の問題意識の高まりから、今後は上記のような方向性の認定がより頻繁に見られるようになっても不思議ではないでしょう。

そして,無理やり性交等に及んだ際、相手に「傷害」を負わせてしまった場合、強制性交等致傷罪が成立する余地が出てきます。
傷害とは,生理機能を侵害することを言い、出血や骨折などにとどまらない様々な心身の不調が含まれる可能性があります。
強制性交等致傷罪は、専門用語で「結果的加重犯」と呼ばれる類型に属します。
結果的加重犯とは、ある犯罪(基本犯)の成立を前提に、その犯罪によって特別な結果(加重結果)を生じさせた場合をさらに重く処罰する犯罪類型のことです。
結果的加重犯の特徴は、たとえ最終的に生じた結果を意図していなかったとしても、故意がなかったとしてその責任を免れることができない点です。
強制性交等致傷罪に当てはめると、無理やり性交等に及んで相手方が怪我などを負った以上、そのつもりではなかったと主張して怪我などの責任を回避することはできないということです。

強制性交等致傷罪は,性交等に至らずとも性交等をしようとした際に傷害結果を発生させた場合にも成立し得ます。
したがって、相手の抵抗などにより性交等に失敗した場合でも、その機会に怪我などが生じていれば強制性交等致傷罪に当たることになります。

強制性交等罪のような性犯罪の場合,加害者が被害者に謝罪をしようとしても接触を拒まれることが非常に多いです。
また、加害者やそのご家族などによる示談交渉も非常に困難を伴います。
もし強制性交等罪などの性犯罪の被疑者となってしまった場合は,早急に刑事事件に強い弁護士に事件を依頼することを強くお勧めします。
刑事事件に強い弁護士であれば、謝罪や示談交渉を依頼者様の利益になる内容で円滑に進めることができます。
示談内容によっては不起訴処分執行猶予を得られる可能性を高めることもできます。

強制性交等致傷罪の被疑者となってしまった方,三田警察署で取調べを受けることになってしまった方は,お早めに,刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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