部下へのセクハラで警察から呼び出し

2019-05-22

部下へのセクハラで警察から呼び出し

Aさんは、大阪府大阪市北区の某建設会社で部長をしています。
Aさんは新入社員として入ってきた女性Vさんに対し、デートに誘ったり、現在の性的関係の有無を聞こうとするなどのセクハラ行為をしていました。
夜遅い時間に電話をかけるなど、行動をエスカレートさせていったAさん。
Vさんがこういうことはやめてくださいと言っても、Aさんはやめませんでした。
ある日、Aさんに大阪府曽根崎警察署から電話が入り、Vさんさんのことについて事情を聞きたいから曽根崎警察署まで来てくれないかと言われました。
Aさんはどうなってしまうのでしょうか。
(フィクションです)

~セクハラ行為にもストーカー規制法が適用されうる~

昨今、セクハラに対する世間の目が厳しくなってきました。
それでもセクハラをしてしまう方はいらっしゃるようです。
会社内で処分を受ける可能性ももちろんありますが、場合によってはストーカー規制法が適用され、刑事事件に発展してしまう可能性もあります。

ストーカー行為等の規制等に関する法律(抜粋)
第2条1項
この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
第3号 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
第8号 その性的羞恥心を害する事項を告げ…(以下略)

Aさんの行為も「つきまとい等」、すなわち「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情…を充足する目的で、当該特定の者に対し」て、3号や8号の行為をしているといいうるでしょう。

第2条3項
この法律において「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等(第一項第一号から第四号まで及び第五号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してすることをいう。

「つきまとい等」を反復して行うことを、「ストーカー行為」と呼んでいるわけです。
なお、交際の要求などの行為は必ずしも悪いことではないので、身体の安全が害されるなど悪質な態様の「つきまとい等」を反復して行う場合に限り「ストーカー行為」にあたります。
Aさんの行為も、「ストーカー行為」に該当する可能性があるでしょう。

~警告・中止命令・罰則~

Aさんは警察に出頭するよう言われてしまいました。
今回は口頭で注意を受けるだけで終わるというパターンもあり得ますが、ストーカー規制法上は①警告、②禁止命令、③罰則の適用が考えられます。

①警告は、つきまとい等をした者が、さらにつきまとい等を行うおそれがある場合に、これ以上行わないよう、警察が警告するというものです。

②禁止命令は、つきまとい等の中でも悪質な態様のものを行い、今後も反復するおそれがある場合に、警察が禁止命令を出すというものです。
悪質か否かの判断は難しいですが、法律上はストーカー規制法3条にあたるつきまとい等を指します。

第3条
何人も、つきまとい等をして、その相手方に身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせてはならない。

③罰則は以下のようになります。
(1)禁止命令を受けていない状態でストーカー行為を行った場合→1年以下の懲役また100万円以下の罰金
(2)禁止命令を受けたにもかかわらず、さらにストーカー行為を行った場合→2年以下の懲役または200万円以下の罰金

実際にはストーカー行為に至っている場合に、まずは①警告を行った上で、それでもやめない場合に逮捕勾留し、刑事裁判にかけ、③(1)罰則の適用をする、というパターンが多いようです。
また、ストーカー行為に起因して脅迫等を行ってしまい、刑法違反により逮捕されるケースも多いです。

~ストーカーで警察が動いたら弁護士に相談を~

上司のセクハラといえばモラルの問題にすぎないという印象を持たれる方も多いと思います。
しかし度がすぎるとストーカー行為として扱われ、逮捕や懲役といったことにつながる可能性も否定できません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を専門とする弁護士による法律相談が、初回無料となっております。
ぜひ0120-631-881までご連絡ください。
(大阪府曽根崎警察署への初回接見費用33,900円)