セクハラ行為の刑事事件化回避

2020-01-16

今回は、セクハラ行為の刑事事件化の回避を目指す弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

Aさんは小売店の社員として、兵庫県神戸市東灘区内の店舗で勤務しています。
今年度から入社してきた女性新入社員Vを性的に気に入っていたので、店内で不意に同女の腰や尻を触るなどのセクハラ行為を行っていました。
後日、Vの弁護士からAさんの自宅に内容証明郵便が届き、「上記セクハラ行為について慰謝料を支払ってほしい。告訴状を提出する用意もある」と記載されていました。
Aさんとしては、警察の捜査を受けるような事態は絶対に回避したいと考えています。
どうすればよいのでしょうか。
(フィクションです)

~Aさんに成立する犯罪

近年では、セクシャルハラスメントを許容しない風潮が高まっています強まっています。
Aさんの行ったセクハラ行為は、セクハラの中でも特に悪質な行為であり、後述する犯罪を構成する可能性が高いと思われます。
以前は、セクハラ行為については軽く考えられていたかもしれません。
あるいは、被害者が泣き寝入りすることにより、何の咎めを受けることもなかったのかもしれません。
しかし、今後はこのような考えは通用しないものと考えておいた方が良いと思われます。
以下、Aさんに成立する可能性のある犯罪を検討します。

(各都道府県が定める迷惑行為防止条例違反の罪)
限定的な場合ですが、Aさんが店長を務めるお店が「公共の場所」と判断されれば、Vの腰や臀部に触れる行為につき、各都道府県が定める迷惑行為防止条例違反の罪が成立する可能性があります。
規制されている内容は自治体によって異なります。
セクハラ行為を行った自治体が制定する迷惑行為防止条例が、どのような行為を規制しているかについては、弁護士のアドバイスを受けましょう。

(暴行罪)
迷惑行為防止条例違反の罪が成立しない場合は、刑法上の暴行罪の成否が検討されます(刑法第208条)。

(強制わいせつ罪)
ケースにおいては考えにくいですが、セクハラ行為が被害者に強いてわいせつな行為をしたものと評価される場合、強制わいせつ罪の成否が検討されることになります。

(傷害罪)
度重なるセクハラ行為により、被害者がPTSD(心的外傷後ストレス障害)に罹患すれば、傷害罪を構成する可能性があります。

以上の通り、セクハラ行為が犯罪を構成する可能性がある以上、Vに被害届を出されてしまうと、警察による捜査が始まり、被疑者という立場に置かれてしまう可能性があります。

~告訴状、被害届を提出されることを阻止する~

(示談交渉)
弁護士に依頼し、V(ケースの場合はVの弁護士)と示談を成立させることが考えられます。
Vに謝罪し、生じさせてしまった損害を賠償する合意を行います。
さらに、示談書の条項に「被害届や告訴状を出さない」旨の文言を入れてもらうことができれば理想的です。

以上のように、Vとの示談がまとまれば、刑事事件化する可能性は極めて低くなります。
なお当然ですが、示談で合意した義務は誠実に履行する必要があります。
示談金の支払を不当に怠ると、再度刑事事件化するリスクが高まります。
示談交渉がうまくいったからといって、一旦表明した謝意を翻すような態度をとれば、おそらくVは納得しないでしょう。
Vに真摯に謝罪し、示談金を支払うことにより、初めて事件が解決したといえます。
セクハラ事件についてお悩みの方は、まず弁護士に相談し、示談交渉についてアドバイスを受けましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
セクハラ事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。