施術中に強制わいせつ

2021-07-21

強制わいせつと執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

東京都在住のAさん(40歳)は、市内で整骨院を経営しています。Aさんは、ある日、Aさんの整骨院に施術を受けに来ていた小学6年生のVさん(12歳)に対し、12歳と分かっていながら施術とは関係なく陰部を触るなどのわいせつな行為をしました。数日後、警視庁の警察官がAさんのもとへやってきて、Aさんは強制わいせつ罪の疑いで逮捕されてしまいました。Aさんは、万引きで執行猶予中であったため、実刑にならないか不安でいます。Aさんの奥さんは、今後の対応について刑事事件に強い弁護士事務所に相談することにしました。
(フィクションです。)

~強制わいせつ罪~

強制わいせつ罪は刑法176条に規定されています。

刑法176条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。 

「暴行」とは、他人の身体に対する有形力の行使をいい、脅迫とは、人を畏怖させるに足りる害悪の告知をいいます。
被害者が13歳未満の場合は、暴行や脅迫といった手段が無かったとしても、「わいせつな行為」を行った時点で強制わいせつ罪が成立することになります。
そして、強制わいせつ罪における暴行、脅迫の程度は、一般には、被害者の反抗を著しく困難ならしめる程度のものでなければならないとされています。
具体的には、殴る、蹴る、叩く、首を絞める、馬乗りになるなどが「暴行」の典型ですが、そのほかAさんのようにわいせつ行為の手段として腕を引っ張る、羽交い絞めにするなどの行為も「暴行」に当たります。
「わいせつ行為」については、膣を触る、陰部に手を入れる、乳房を揉む、相手方の感情を無視したキスなどが典型です。

本件のVさんは12歳です。
また、AさんがVさんの陰部を触る行為は「わいせつな行為」にあたると判断される可能性が高いです。
そうすると、Aさんには強制わいせつ罪が成立すると考えられます。

~執行猶予とは~

執行猶予とは、その罪で有罪ではあるが、言い渡された刑(懲役刑、罰金刑)の執行を一定期間猶予する(見送る)ことをいいます。
たとえば、懲役刑を受けた方であれば、刑の確定後、猶予期間中に犯罪などしなければ刑務所に入らなくて済みますし、罰金刑を受けた方であれば、罰金を納付する必要はありません。

執行猶予を受けるための要件は、刑法25条1項に規定されています。

刑法25条1項
次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる

1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を受けた日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

つまり、執行猶予を受けるには

1 3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けること
2 上記1号、あるいは2号に該当すること
3 (執行猶予付き判決を言い渡すのが相当と認められる)情状があること

が必要となります。
裁判で争点となるのは3の情状です。
執行猶予獲得のためには、Vさん(Vさんの親)と示談するなどして、Aさんにとって有利な情状を主張・立証していく必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強制わいせつ罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。