無実の強制性交等事件
今回は、身に覚えのない強制性交等事件の嫌疑をかけられた場合における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
ある日、福岡県戸畑警察署からAさんのもとに連絡があり、「聞きたいことがあるから出頭されたい」とのことです。
全く心当たりがありませんが、とりあえず出頭してみたところ、知り合いの女性が「Aさんによって強制的に性交された」と訴えていることがわかりました。
その日は任意の取調べであったので帰宅することができましたが、後日この件で逮捕されてしまうのではないかと不安です。
どうすればよいのでしょうか(フィクションです)。
~強制性交等罪とは?~
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(「性交等」といいます)をし、又は、13歳未満の者に対し、性交等をする犯罪です。
かつては強姦罪と呼ばれていた犯罪類型であり、法定刑は5年以上の有期懲役となっています。
かなり重い部類の犯罪であり、有罪判決を受け、かつ、何らかの事由により減軽されることがなければ、必ず実刑判決となります(刑法上、3年を超える懲役刑を言い渡されると、執行が猶予されません)。
~Aさんには身に覚えがないが…?~
身に覚えのない犯罪の被疑者にされてしまうことは、冤罪に他なりません。
冤罪事件において、被疑者が長期間勾留されたり、起訴されて有罪判決を受けることは絶対にあってはならないことです。
ケースの場合において、捜査機関がAさんの知り合いの女性の虚偽を看破し、Aさんの取調べを自ら中止することはありえます。
しかし、その保証はどこにもありません。
知り合いの女性の供述がある程度合理的で、真実らしければ、捜査機関もこれを信用し、Aさんへの嫌疑を深めることもありえます。
あってはならないことですが、逮捕されてしまうこともありえます。
Aさんはどうすればよいのでしょうか。
~まずは弁護士に相談する~
まずは弁護士に相談し、今後の善後策を練る必要があります。
取調べで犯行を否認すると、捜査機関からAさんに対して、①犯行を自白する調書へのサインの強要、②暴力、暴言、欺罔などが用いられる、違法・不当な取調べがなされる可能性があります。
弁護士のアドバイスを受けることにより、上記の被害に遭うリスクを低減することができます。
(供述調書へのサインの強要)
ところで、やっていない、関与もしていない犯罪の自白はなぜできるのでしょうか。
それは、供述調書が作成される過程にポイントがあると思われます。
供述調書は、取調官が対象者の供述をまとめ、書面にし、署名押印をさせて作成されています(対象者が自ら記述することもあります)。
捜査機関がある程度の捜査を行い、事件の概要がみえてくると、捜査機関において「事件のストーリー」を組み立てることができるようになります。
Aさんの供述が正しくまとめられ、その通りに供述調書が作成されるのであれば問題ないのですが、予め取調官のほうで供述調書を作成した上で、これに署名押印をさせることができれば、全く供述していない事柄が録取された供述調書を作成することができます。
捜査機関の言う通りに署名押印をしていけば、簡単にやっていない犯罪の自白ができてしまうのです。
(違法・不当な取調べへの対処)
捜査機関がAさんの知り合いの女性の訴えを信用している場合、Aさんの供述は「ウソ」とされるでしょう。
捜査機関としての「真実」を供述させるために、暴力・暴言や誘惑などが用いられることがあるかもしれません。
そのような取調べが行われた場合は、すぐに弁護士に相談しましょう。
(Aさんに有利な証拠を収集する)
Aさんのアリバイや、Aさんや知り合いの女性の当時の言動を証明する証拠など、Aさんに有利な証拠を集めていくことも大切です。
特にAさんが逮捕されてしまった場合には、弁護士に外で活動してもらうことが非常に重要です。
身に覚えのない強制性交等事件の被疑者になってしまったら、すぐに弁護士と相談することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
身に覚えのない強制性交等事件でお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。