強制わいせつで逮捕

2019-08-15

強制わいせつで逮捕

埼玉県川越市に住むAさん。
深夜、人通りが少なくなったアーケードを歩いていると、道の端に、泥酔して座り込んでいる女性を見つけました。
Aさんは、
「お姉さん大丈夫?」
などと声を掛けました。
返事がはっきりしない状態の女性を見たAさんは、
「これ幸い」
などと思い、女性の肩を抱いて、服の上から胸を揉むなどの行為に出ました。
後日、女性の供述や防犯カメラ映像などからAさんの犯行が発覚。
強制わいせつ罪の疑いで捜査が進み、Aさんは埼玉県川越警察署の警察官により逮捕されました。
(フィクションです)

~条例違反か強制わいせつか~

一般に、路上で体に触った場合、電車内での痴漢と同様、①各都道府県の条例違反になる場合と、より重い刑法の②強制わいせつ罪準強制わいせつ罪が成立する場合があります。
①と②のどちらに該当するかは、触り方などの犯行方法等によります。

たとえば、すれ違いざまに服の上からお尻を触ったというような場合は、①各都道府県の条例違反となる可能性が考えられます。
一方、服の中に手を入れて体に直接触ったような場合には、暴行を用いて「わいせつな行為」があったとして②強制わいせつ罪準強制わいせつ罪となる可能性が高いでしょう。

Aさんの行為は、場合によっては「わいせつな行為」に当たるのではないかと考えられます。
服の上から触っているだけではありますが、肩を抱いて胸を揉んだという方法は、ある程度強い態様での卑猥な行為をしたといえるので、②強制わいせつ罪準強制わいせつ罪となる可能性も十分考えられます。

なお②については、被害者が酒に酔うなどの状態により抵抗できないことに乗じて触ったような場合は準強制わいせつ罪に、暴行・脅迫を用いて無理やり行為に及んだ場合は強制わいせつ罪となります。

~罰則は?~

①と②両者の条文と罰則を確認しておきます。

まずは①の条例違反から見ていきます。

埼玉県迷惑行為防止条例(一部抜粋)
2条
4 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人に対し、身体に直接若しくは衣服の上から触れ、衣服で隠されている下着等を無断で撮影する等人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。

罰則は、常習犯ではない場合には、17条1項1号により、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金となります。
常習犯の場合、同条2項により、1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。
前科がある場合には、常習犯として処罰される可能性が上がるでしょう。

一方、②強制わいせつ罪準強制わいせつ罪は以下のような規定になっており、定められている刑罰もより重くなっています。

刑法第176条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

第178条1項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。

~今後の刑事手続きの流れと弁護活動~

逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束されます。
そしてもし検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。

その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートします。
そして裁判で無罪執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

なお、途中で釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて刑事裁判を受けるという流れになることが考えられます。

弁護士としては、検察官の勾留請求や裁判官の勾留決定を防ぎ、早期釈放を目指します。
また、検察官が起訴しないという判断(不起訴処分)をすれば、刑事手続はそこで終わり、釈放される上に前科も付かないので、被害者と示談を締結するなどして、不起訴処分を目指します。

~示談の重要性~

示談が成立しているか否かは、不起訴処分にするかどうかという検察官の判断などに大きく影響する可能性があります。
前科の有無などにもよりますが、被害者と示談が成立すれば、不起訴処分になることも十分考えられます。

また、犯罪の被害者の方はいつまでも事件にかかわりたくないものですし、損害賠償が受け取れるなら、早く事件を終結させた方が良いと考える方もいらっしゃいます。

そこで、すみやかに被害者の方に賠償し、示談を締結することが重要です。

~弁護士にご相談を~

しかし示談交渉をしようにも、加害者に直接会うことを嫌がる被害者の方もいらっしゃいます。
また、示談金額や示談書の内容をどうしたらよいのか、なんと言ってお願いすればよいのかなど、わからないことが多いと思います。

他にも、逮捕されるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。

条例違反や(準)強制わいせつ罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。