監護者性交等で逮捕

2021-03-24

監護者性交等罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。

Aさんはさんは、娘のVさんが小さいころから暴力による虐待を加えていました。Vさんが中学生になると、AさんはVさんと性交をするようになりました。Vさんは同意していませんでしたが、長年虐待されていた恐怖から抵抗できませんでした。Aさんの妻Bさんも、Aさんによる虐待や性交に気付いていましたが、BさんもたびたびAさんから暴力を振るわれていたことから恐怖心があり、やめるように言うことができませんでした。Vさんが学校の先生に事実を打ち明けたことから、Aさんは監護者性交等罪の疑いで警察に逮捕されました。
(フィクションです)

~監護者性交等罪~

監護者性交等罪は刑法179条2項に規定があります。

179条
1項 略
2項 18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第177条の例による。

「177条」とは「強制性交等罪」を指し、法定刑を強制性交等罪と同様「5年以上の有期懲役」とするという意味です。

「監護者」は法律上の監護権(民法820条)に基づかなくても、事実上現に18歳未満の者を監督し保護する者であれば「監護者」に当たります。反対に、法律上の監護権を有していても、実際に監護している実態がなければ現に監護する者に当たりません。現に監護している実態があるかどうかは、同居の有無や居住状況、指導や身の回りの世話などの生活状況、生活費の負担などの経済的状況、未成年者に対する諸手続の状況などを考慮して判断されます。

(例)
・同居して子供の寝食の世話をして指導・監督している親
・単身赴任して平日は子供との関わりは少ないが、配偶者を介したり電話やメールで指導等をしたり、休日に帰宅して指導等をしている親
・親の再婚相手で、養子縁組している者
・養子縁組していない者であっても、同居し子供の寝食の世話し指導・監督している者

「影響力」とは、監護者が被監護者の生活全般にわたり、衣食住などの経済的な観点や生活上の指導・監督などの精神的な観点から、現に被監督者を監督し、保護することによる生じる影響力とされています。「あることに乗じて」とは、当該影響力が一般的に存在し、当該行為時においてもその影響力を及ぼしている状態でわいせつ行為・性交等をすることをいいます。
わいせつ行為・性交等をする場面で、特定の影響力が生じるための具体的な行為を行う必要はありません。影響力を及ぼしている状態でわいせつ行為・性交等を行ったことで「影響力があることに乗じて」に当たります。

性交等とは、刑法177条で性交、肛門性交、口腔性交をいうとされています。

上記のとおり、監護者性交等罪は5年以上の有期懲役と、起訴され、有罪認定を受ければ原則として実刑ととなる大変重たい罪です。
監護者性交等罪でお困りの方は、はやめに弁護士に相談しましょう。

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