淫行と自首
淫行と自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
Aさん(21歳)は、出会い系サイトで知り合ったVさん(16歳)が18歳未満の者であると知りながら、Vさんとホテルへ行き、そこでVさんと淫行しました。その後、Aさんは介護福祉士の試験が近づいてきたことから、介護福祉士に関するサイトの情報を見たところ、「禁錮以上の刑に処せられた」場合は「社会福祉士、介護福祉士」になることができないことが分かりました。そこで、Aさんは、警察にばれる前に自首しようと刑事事件に強い弁護士に相談することとしました。
(フィクションです)
~はじめに~
社会福祉士、介護福祉士の資格などについて定めた「社会福祉士及び介護福祉士法」3条2号には
禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
は社会福祉士、介護福祉士となることはできない(欠格事由)、と定められています。
そこで、Aさんがいうように、このような事態を避けるために自首することがAさんにとって適切(有効)なのか検討していきたいと思います。
「禁錮以上の刑に処せられ」とは、禁錮、懲役、死刑を指し、罰金刑は含まれません。「処せられ」とは、その刑を言い渡した裁判が確定したことをいい、執行猶予付き判決を受けた場合も含まれます。
「執行を終わり」とは、服役が終了したことをいいます。
「執行を受けることがなくなつた」とは、仮釈放後の残刑期間経過、刑の時効成立、恩赦による刑の執行免除のことをいいます。
~淫行の罪~
そのためには、まず、淫行の罪の内容と罰則から確認することとします。福岡県の場合、淫行の罪は、福岡県青少年健全育成条例(以下、条例)の31条1項に規定されています。
条例31条1項
何人も、青少年に対し、いん行又はわいせつな行為をしてはならない。
※青少年=18歳未満の者(他の法令により成年者と同一の能力を有されるとされる者を除く。)
また、罰則については、条例38条1項1号に規定されています。
条例38条 次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
1号 31条1項の規定に違反した者
つまり、淫行罪に問われた場合は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる可能性があるのです。
~自首とは~
次に、自首についてご説明いたします。
自首とは、
①捜査機関に犯罪事実又は犯人が発覚する前に、
②犯人が自ら進んで自己の犯罪事実を捜査機関に申告し、
③その処分を委ねる意思表示の
ことをいうとされています。
この要件を満たさない場合は「自首」として認められません。
自首が成立した場合の「法律上の効果」としては
減軽されることがある(任意的減軽=裁判官の判断、裁量しだい)
ことでしょう。懲役刑であれば「2年以下の懲役」が「1年以下の懲役」に、罰金刑であれば「50万円以下の罰金」にまで減軽されます。
~自首することは適切(有効)か?~
上記のよいうに、自首が成立しても必ず減軽されるわけではありません。しかし、自首が成立すると次のような「事実上の効果」を得られます。
・逮捕のリスクが減る(在宅のまま処理される)
・量刑で有利となる
逮捕のリスクが減ることで
・勉強に集中できる
・学校に通える
・試験を受験できる
ことができます。自首することは、反省の態度を示すことに繋がり、量刑の面で有利となり得ます。つまり、
・本来、懲役刑のところを罰金刑
なとという量刑となり得ることも考えられます。そうすると、介護福祉士の場合、「禁錮以上の刑に処せられた」ことが欠格事由となっていますから、欠格事由に当たる可能性も回避することができるのです。
以上の意味では、Aさんにとって、自首することは適切・有効かと思います。しかし、これはあくまで自首が成立した場合の話ですから、まずは自首が成立するかどうかは弁護士に相談するなどして確認する必要があります。
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