監護者性交等罪の弁護活動

2019-08-10

監護者性交等罪の弁護活動

事例:V(18歳)は、実の父であるAと共に、大阪府大阪市浪速区に住んでいた。
Vは,小学校高学年のころから恒常的に,実親であるAにより支配された状態で,性行為を強要されていた。
Vの供述などから捜査を進めた大阪府浪速警察署の警察官は、Aを監護者性交等罪の疑いで逮捕した。
Aの逮捕を知ったAの知人は,性犯罪事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実を基にしたフィクションです。)。

~刑法における新たな性犯罪規定~

2017(平成29年)の刑法改正により,性犯罪規定が刷新され,さらに新たな犯罪類型が規定されるに至りました。
改正刑法第179条1項は,「18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第176条の例(注:強制わいせつ罪の規定。6月以上10年以下の懲役)による」として,監護者わいせつ罪を規定しました。
さらに同2項では,「18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第177条の例(注:強制性交等罪(旧強姦罪)の規定。5年以上の有期懲役)による」として,監護者性交等罪を規定しています。
これらは,暴行・脅迫等の手段を用いなくても,親子関係等の一種の支配関係を利用し性犯罪に及ぶという性的虐待を犯罪として処罰するために創設されたものです(すでに欧米等では立法例がありました。)。

本件では,後者の監護者性交等罪が問題となっています。
上述した改正刑法により、177条(旧強姦罪)の法定刑は,「3年以上の有期懲役」から「5年以上の有期懲役」に引き上げられました。
そのため、監護者性交等罪についても、新設規定ながら厳罰化の影響を受けていることに注意が必要です。
特に本罪のような新設規定に関しては,刑事事件専門でない弁護士は比較的経験が少ないと考えられ,刑事事件専門の弁護士の経験・知識が活かされる場面のひとつということができるでしょう。
監護者性交等罪に関しては,刑罰規定が施行されて間もないわけですが,現実に具体的事件に適用されるに当たって,はやくも「18歳未満」という要件は妥当であったのかなど,本罪を含む性犯罪規定のあり方が問われているところでもあります。

~監護者わいせつ・監護者性交等のおける弁護活動~

まず,これらの犯罪は家族間での性犯罪事件であることから,被害者感情などを含め非常に複雑かつ機微を捉えた弁護活動が必要になってきます。
この点,刑事事件のみを扱う弁護士は,本罪を含めた性犯罪の弁護活動の経験に長けており,十全な弁護活動を行うことが期待できます。
上述の刑法改正における性犯罪の非親告罪化もあり,法律上は告訴取下げがあったとしても,検察官は被疑者を起訴することが可能な状況にあります。
もっとも,性犯罪規定が本質的には被害者の性的自由の保護にある以上は,検察官も被害者感情には十分な配慮をせざるを得ません。
このように性犯罪の弁護活動は新局面を迎えており,ますます刑事事件の専門性が問われうる時代になったということができるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,監護者性交等罪を含む性犯罪の弁護経験を多く有する刑事事件専門の弁護士が所属する法律事務所です。
監護者性交等罪事件逮捕された方のご知人等は,24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)にまずはお問い合わせください。

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