児童福祉法違反と勾留
児童福祉法違反と勾留について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
塾講師のAさんがは児童福祉法違反(児童に淫行をさせる罪)及び売春防止法違反(売春周旋の罪)で逮捕されました。逮捕事実は、Aさんが、今年の1月、女子高生Vさん(17歳)に売春の相手方(30歳、男性)を紹介し、同男性と淫行させたというものです。逮捕の事実を聞いたAさんの家族は、刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼しました。
(平成30年5月24日西日本新聞掲載事案を基に作成)
~児童福祉法違反児童に淫行をさせる罪~
「淫行をさせる(行為)」とは、児童に淫行を強制したり、勧誘して淫行させた場合に限らず、児童の自発的な意思に基づく場合でも、これに直接たると間接たるとを問わず、児童に対し事実上の影響力を及ぼして児童の淫行を助長・促進する行為も含まれます。
罰則は「10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又は併科」です。
~勾留~
「勾留」とは被疑者または被告人の身体の自由を拘束する裁判及び執行のことをいいます。読みは同じですが刑罰の「拘留」(刑法9条)とは異なります。
勾留は起訴される前の①被疑者勾留と起訴された後の②被告人勾留に分けられます。
①被疑者勾留の勾留期間は検察官の請求のあった日から数えて10日間です。
ただし、検察官が勾留期間を延長することにつき「やむを得ない事情」があると判断した場合は、勾留期間の延長を請求されることがあります。請求期間は原則として10日間で、請求を受けた裁判官は独自の裁量で延長期間を決めることができます(例えば、検察官が10日間の延長請求しても、裁判官の判断で8日間に短縮されることがあります)。
②被告人勾留の勾留期間は公訴の提起があった日から2か月です。その後は、特に継続の必要がある場合に、決定をもって1か月ごとに更新されます。
このように勾留期間は決して短いものではありません。
したがって、この勾留を解く(釈放する)ために、様々な対抗手段を講じることが必要です。
ここでも①被疑者勾留と②被告人勾留の場合にわけてご紹介いたします。
①被疑者勾留の場合、まず、検察官に勾留請求しないよう働きかけたり、裁判官に勾留の決定を出さないよう働きかけることができます。ただし、これは法的な手段ではありません。法的な手段としては、勾留決定が出た後に勾留裁判に対する不服申し立て(準抗告)をすることが考えられます。なお、被疑者勾留の場合、被告人勾留と比べ身柄拘束期間が短いことから保釈請求は認められていません。
②被告人勾留の場合の主な対抗手段としては保釈請求でしょう。その他、勾留更新決定に対する準抗告、抗告の手段なども考えられますが、あまり例がないようです。
本件の場合、Aさんはすでに起訴されていますから②保釈請求して釈放を求めていくことになります。
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