売人の逮捕で児童ポルノ所持が発覚
児童ポルノ所持が発覚
~ケース~
東京都新宿区在住の会社員Aさんは、インターネットを介してXと名乗る業者から17歳の少女の性行為の描写を含むDVDを購入した。
購入の経緯としては、Aさんが、自己の性的欲求を満たす目的で、インターネット上で「児童ポルノ動画」などのキーワードで検索を行ったところ、ポルノ動画の販売を専門に扱う業者Xのホームページを発見し、同ホームページ上で児童ポルノを含むDVDの購入手続きを行ったというものである。
Aさんは、自分が購入したDVDは児童ポルノにあたることは十分認識していたが、そのDVDを他人に譲渡したり販売したりする意図は有していなかったため、単にDVDを所持するだけの行為が犯罪となるとは思っていなかった。
警視庁牛込警察署は、児童ポルノを提供した容疑で業者Xを逮捕したところ、Xの販売先リストからXがAさんに児童ポルノを販売したことが発覚した。
(上記の事例はフィクションです)
~児童ポルノ規制について~
児童ポルノの所持については、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、児童ポルノ規制法とする)7条1項において禁止されており、違反した場合には一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処せられるおそれがあります。
そもそも、「児童ポルノ」とは、児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態(規制法2条3項1号)や、他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの(同項2号)、衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの(同項3号)を描写した写真やデータなどのことを指します。
また、ここでいう「児童」とは、18歳に満たない者をいうとされています(同法2条1項)。
上記の事例において、Aさんが購入したDVDには17歳の少女による性行為の描写が含まれていることから、「児童による性交に係る児童の姿態」を描写したデータであるといえ、「児童ポルノ」に該当します。
児童ポルノ規制法7条1項は、「自己の性的好奇心を満たす目的」での児童ポルノの所持を処罰しています。
さらに、同条により児童ポルノの単純所持が犯罪となるためには、児童ポルノを「自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る」とされています。
このように、同条が犯罪の成立範囲を限定しているのは、他人から知らない内に児童ポルノを送りつけられていた場合や、購入した動画にたまたま児童ポルノに該当するような描写があった場合に犯罪を成立させないようにするためであるといえます。
もっとも、上記事例のAさんは、自己の性的欲求を満たす目的で業者XからDVDを購入しており、児童ポルノの所持にあたって「自己の性的好奇心を満たす目的」が認められます。
また、Aさんは、業者Xの運営するサイトにおいて販売されているDVDが児童ポルノにあたることを認識しつつ、自ら購入の申し込みを行っており、Xの販売先リスト内にAさんの名前が含まれていることから、Aさんは児童ポルノを「自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ当該者であることが明らかに認められる」といえます。
よって、Aさんには、児童ポルノの単純所持の罪が成立することになります。
なお、仮にAさんが購入したのがDVDではなく同内容の動画データであった場合であっても、児童ポルノ規制法7条1項後段より、同様に児童ポルノの単純所持の罪が成立することになります。
児童ポルノの単純所持については、よほど大量に児童ポルノを所持していたり、同種前科があるなどの事情がない限り、逮捕や勾留といった身柄拘束がなされる可能性は低いといえます。
しかし、児童ポルノの単純所持であっても、書類送検(事件書類を検察に送り、事件として捜査すること)や家宅捜索がなされたり、場合によっては起訴されてしまうこともあり得ます。
そのため、児童ポルノの単純所持の容疑で警察から聴取等を受けた場合には、出来る限り早期の段階で刑事事件に強い弁護士に相談をすることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、児童ポルノ規制法などの特殊な犯罪類型にも精通した刑事事件専門の弁護士が多数在籍しております。
弊所では、24時間、無料相談のご予約、初回接見サービスを受け付けておりますので、刑事事件についてお悩みの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。