被害届提出前に示談

2021-04-28

被害届提出前に示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

東京都内に住むAさんは,好意を持っていたVさん(22歳)に「お前の裸の写真を持っている」「性交に応じなければ写真をネット上にばらまくぞ」と言って脅しVさんと性交しました。AさんはVさんから「慰謝料300万円を払ってもらえれば、警察に被害届は提出しない」といわれています。(フィクションです)

~強制性交等罪とは~

強制性交等罪は刑法177条に規定されています。

刑法177条

 13歳以上の者に対し,暴行又は脅迫を用いて性交,肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という)をした者は,強制性交等の罪とし,5年以上の有機懲役に処する。13歳未満の者に対し,性交等をした者も,同様とする。

改正前の刑法177条は

13歳以上の「女子」を姦淫した者は

と規定されていました。しかし,改正後は13歳以上の「者」と改められ,男子も保護の対象となりました。したがって,女子による男子への,男子による男子への性交等も処罰の対象となります。

一般に,「暴行」とは人の身体に対する有形力の行使,「脅迫」とは人を畏怖させるに足りる害悪の告知のことをいいます。そして,強制性交等罪の暴行・脅迫の程度は

相手方(被害者)の反抗を著しく困難しらしめる程度

であることが必要とされています。
具体的には,相手方を殴る,蹴る,叩く,武器を使用して殴る,叩く,馬乗りになる,羽交い絞めにする,縄などで縛るなどが「暴行」に当たるでしょうし,言う通りにしなければ「殺すぞ」,「裸の写真をばらまくぞ,ネットに流すぞ」,「家に火をつけるぞ」などという行為が「脅迫」に当たるでしょう。

性交の他に,肛門性交(アナルセックス),口腔性交(オーラルセックス)も含まれます。性交とは膣内に陰茎を入れる行為,肛門性交とは肛門内に陰茎を入れる行為,口腔性交とは口腔内に陰茎を入れる行為をいいます。
行為者が自己又は第三者の陰茎を被害者の膣内,肛門内,口腔内に入れる行為(加害者:男性,被害者:女性又は男性)だけでなく,自己又は第三者の膣内,肛門内,口腔内に被害者の陰茎を入れる行為(加害者:女性又は男性,被害者:男性)も含まれます。

~被害届提出前に示談~

本件の場合、Vさんが警察に相談に行ったり、被害届を提出しないかぎりは、警察に発覚することは考えられません。:
そこで、警察に発覚することを防ぐためには、何よりもVさんに真摯に謝罪し、示談交渉を進め、示談を成立させて「警察に被害届、告訴状を提出しない」旨の確約を得る必要があります。

しかし、当事者間で示談交渉を進めるのは絶対にやめましょう。性犯罪の場合も、被害者やそのご家族の処罰感情が高い場合が多く、当事者間で示談を成立させるのは現実的に不可能です。それどころか、下手に被害者に接触を試みると、警察に被害届を出された上、罪証隠滅行為を図ったと疑われてしまって逮捕に繋がるおそれもないとはいえません。ですから、性犯罪の示談交渉は弁護士に任せましょう。

弁護士であれば、交渉しだいで、適切な内容、形式で示談を成立させることが可能です。また、適切な内容・形式で示談を成立させることができれば、成立後、被害者から訴えられるというおそれなく安心して生活することができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。