【事例解説】バス内で故意に女性の首筋や耳に息を吹きかけた事案(前編)

2025-06-25

バス内で故意に女性の首筋や耳に息を吹きかけた事案で、今後の見通しについて弁護士に相談した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】

愛知県内に住むAさんは、自らの性的欲求を満たすために通勤時間帯のバスに乗車し、乗っていた30代の女性Bさんの首筋や耳に息を吹きかけました
そうしたところ不審に思ったBさんに次の停車駅で「痴漢ですよね」と腕を掴まれ、降車させられました。AさんはBさんの腕を振り払い、その場から立ち去ろうとしましたが、Bさんに誰何されたため、Aさんはその場から逃走しました。
後日不安になったAさんは、今後の対応を含め、弁護士に相談することにしました。
(この事例はフィクションです)

【触らない痴漢とは】
触らない痴漢とは最近増えている新たな痴漢の手口で、過剰に匂いを嗅ごうとする携帯の写真送信機能を用いて不特定多数の人にわいせつな画像を送りつける故意に息を吹きかけるなど、相手の身体に触れない点に特徴があります。この触らない痴漢は、痴漢か否かの線引きが非常にあいまいである点が問題であるとされています。
今回の事例のAさんの行為はまさしく触らない痴漢に該当するものですが、この行為が罪に問われるか否かについては見解が分かれる点であるといえるでしょう。

【触らない痴漢は何罪になる?】
今回の事例のような触らない痴漢行為は、不同意わいせつ罪か、迷惑行為防止条例違反に問われる可能性があるといえます。

不同意わいせつ罪とは刑法176条に定められており、同176条所定の事由により、「同意しない意思を形成、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした」という犯罪です。また、その刑罰として「六月以上十年以下の拘禁刑」が定められています。
触らない痴漢が、刑法176条の「わいせつな行為」に該当する場合は、不同意わいせつ罪で捜査が進むことになるでしょう。

他方、「わいせつな行為」に該当しないと判断された場合には、迷惑行為防止条例違反を検討することになります。
迷惑行為防止条例違反とは、各都道府県が制定する迷惑行為防止条例に違反する罪で、愛知県迷惑行為防止条例2条の2は卑わいな行為の禁止を定めています。またこれに違反した場合の刑罰として、同15条1項により「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」が定められています。
触らない痴漢が、同2条の2・4号の「卑わいな言動」に該当する場合は迷惑行為防止条例違反で捜査が進むことになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は痴漢事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
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