【事例解説】ナンパした女性を泥酔させ同意を得ずに性行為に及んだ事例
酒によった女性の同意を得ることなく性行為に及んだというフィクション事例をもとに、不同意性交等罪とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事件概要
福岡県博多警察署は、泥酔した状態の女性に対して無理やり性行為に及んだとして、不同意性交等罪の疑いで、熊本県在住の会社員の男性A(34)を逮捕した。
警察によると、Aは、ナンパをするつもりで桜で有名な博多の観光地を訪れ、夜桜でお花見をしにきた女性Vをナンパし酒に酔わせて同意を得ることなく性行為をしたとされている。
翌朝になって酒が抜けて落ち着いたVが被害届を提出したことで捜査が始まった結果、Aが逮捕された。
Aは容疑を認めている
(フィクションです)
不同意性行等罪とは
不同意性交等罪(刑法177条「出典/eーGOV法令検索」)は、簡単にいうと、無理やり性行為に及ぶなど、相手の同意を得ていない状態で性行為等を行なった場合に成立する犯罪です。
より正確には、刑法176条1項各号にあげる行為等により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性行為等に及んだ場合に成立する犯罪です。
具体的には、アルコールや薬物を摂取させることで、泥酔したり正常な判断をすることができない状態にさせて、性行為を行うと本罪が成立する可能性があります。
本件では、Aは、夜桜を見に桜で有名な観光スポットを訪れたVに目をつけ、お酒をのませて泥酔した状態にして性行為をしたようです。
したがって、泥酔状態は、176条1項3号の「アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響」に該当し、このように泥酔した状態では、Vは「同意しない意思を形成し、表明」することが困難な状態にあったと言えそうです。
Aは、これに乗じて性行為に及んだようですから、本件では、不同意性行等罪が成立する可能性があります。
できるだけ早く弁護士に相談を
被害者のいる犯罪では示談が成立しているかどうかが、事件処理に大きく影響しますが、特に不同意性交等罪の場合には示談を成立させることができるかどうかが非常に重要となります。
不同意性交等罪のような性犯罪では、被害者の意思が尊重され、プライバシーの観点や起訴後の被害者側の負担を鑑みて、検察官は、示談が成立し告訴がされていないような場合には起訴をしないことがあるからです。
このように事件を終わらせるために非常に重要となる示談ですが、加害者が自ら交渉を行うことは望ましくありません。
被害者からすれば2度と関わりたくない相手だと思われている可能性が高いですから、前のめりな示談交渉が被害者の神経を逆撫でするかもしれませんし、そもそも交渉に応じてくれない可能性も高いです。
そこで、示談交渉は弁護士に一任されることをおすすめします。
加害者と直接連絡を取ることに強い抵抗感を抱く被害者であっても、弁護士相手であれば、示談交渉に応じてくれることは少なくありません。